IFCと日本 1 IFC(国際金融公社)とは 世界銀行グループの一員であるIFCは、民間セクター 支援に特化した世界最大規模の国際開発 金融機関 です。I FCは 、開発 途 上国の民間セクターへの投融 資、国 際 金 融 市 場での資 金 動員、企 業と政 府に対 するアドバイザリー・サービスの提供を通じて、途上 国が 持続可能な成長を実現できるよう支援していま す。IFCの活動は、途上国における民間投資の収益性 や持続性を証明することで、他の市場参加者による民 間向け投資や金融サービスを誘引する役割を果たし ています。 1956 年に設 立された IFC は 、加盟国 18 4 か 国から出資を受け、IFC の 方針はこれら加盟国によって決定されます。130 カ国を超える国々で、 事業会社や金融機関による雇用創出、税収確保、コーポレート・ガバナ ンスや環境・社会配慮面の能力向上、地元コミュニティの発展等に貢献 しています。 開発途上国で民間セクターへの投融資を持続可能な形で促進し、 企業にとっての IFCのメリット ・グローバルな知見を有しながら、各国の地域 貧困削減と人々の生活水準の向上に役立つこと、  事情に精通しています。 それが IFCの使命です。 ・長期的なパートナーとして顧客との関係を構  築しています。 ・顧 客 の ニーズ に合 わ せ て金 融 商 品 を 提 供  します。 ・環境・社会配慮等のリスク管理に関する助言  サービスを提供しています。 ・発展途上国で 50 年以上の実績に基づき、国  際的な投資家の資金を動員しています。 1 2 IFCの活動 IFCの戦略・重点分野 IFCは、投融資、アドバイザリー、アセットマネジメント フロンティア ・マーケット 金融サービスの拡大 • IFC は、最貧国、脆弱な環境や紛争の影響下にある 健全な金融市場は、資源の効率的配分、雇用創出、経 という3つのサービスを主軸とし、 開発途上国の民間 地域、中所得国の低開発地域(フロンティア地域)に 済成長促進を可能にするために不可欠です。IFC は、中 セクター開発を支援しています。 重点的に投融資を行うことにより、民間資金の投資 小企業、マイクロファイナンス、貿易、気候変動を中心と 対象としては困難な市場において、国際開発金融機 した金融セクター支 援を通じて、貧困層を援助する金 関としての独自の役割を果たしています。 融サービスの拡大に貢献しています。 投融資サービス アセット ・ マネジメント • 民間資本の投資対 象としては困難な分 野に投 融資 IFC の全額出資子 会社である A sset Ma na gement • 世 銀グループの最貧国向け 機 関である国際 開 発 協 インクルーシブ・ビジネス (株式投資、融資、貿易金融、協調融資、ストラクチ Company( AMC)はプライベート・エクイティ ・ ファンド 会( I DA ) の融 資 適 格 国に対 するI FC の投 融 資は 世界の経済構造の底辺( BOP, Base of the Pyramid ) ャード・ファイナンス等)を行い、事業の長期的成長 のマネージャーとして、政府系ファンド、年金基金の機関 2 0 0 0 年 以降 10 倍に増 加し、近年では投 融 資の約 で生活する人々を、消費者、生産者、或いは流通者とし を促すとともに、新興市場の開発促 進と利益追求の 投資家等から預託された資金を運用しています。これら 50% 、 アドバイザリー・ プロジェクトの 60% 以上はこ て位置づけ、様々な付加価値の創出プロセスに参加を 両面の実現を投資家に力強くアピールします。 第三者の資金をIFCとの共同投資に振り向けることによ れらIDA 適格国に向けられています。 求めていくインクルーシブ・ビジネスは、IFC の重点分 • 設立以来、これまで180 社を超える日本企業と280 件 り、開発効果の拡大を可能にしています。 野の一つです。IFC は、様々なパートナーと連携しなが 近くのプロジェクトを実施しています。 気候変動対応と持続可能性確保 ら、インクルーシブ・ビジネスに対して投融資業務とアド 気候変動への取組みは多額の費用がかかる上、水、食 バイザリー業務の両面から支援するとともに、積極的に アドバイザリーサービス 糧、保健衛生、医療、紛争といったきわめて困難な開発 こうした事業形態の情報を収集し世界に広める努力を 民間企業や政府に対して、助言、問題解決、研修などの 課題と相互に関連しています。IFCは、気候変動が最大 しています。 アドバイザリー・サービスを提供し、ベスト・プラクティス の悪影響を及ぼすと見られる最貧地域において、省エ (最善慣行)の普及を促します。例えば、政府を対象に ネや再生可能エネルギー、クリーン・テクノロジーの分 投資環境の整備に関する助言をしたり、投融資先企業 野を支援し、気候に配慮したビジネスモデルと金融手段 のコーポレート・ガバナンスや持続可能性を改善するた の開発、基準の設定・向上を目指しています。 めの助言をしています。 インフラ、 保健衛生・医療、 教育、アグリビジネス IFCは、インフラ向けプロジェクトに投融資を行ったり、 顧客である政 府に官民パートナーシップについての助 言を行うことで、電力、輸送、水へのアクセス改善を支 援しています。また、未だ民間投資が比較 的少ない保 健衛生・医療、教育セクターのビジネスを支援すること により、高い開発効果を目指しています。アグリビジネス においては、そのバリューチェーン全体を支援し、強化 することによって、食糧の需要増大・食糧価格高騰等の グローバルな課題へ対応しています。 3 4 IFCと日本 日本は IFC設立(1956 年)当初からの加盟国で、世界 日本の金融機関との協働 • また、JBIC・JICA・JETRO 等日本の関連機関との情 • 20 0 9 年 2 月、I F Cの全 額出資子会 社である A s set 報交換も積極的に行い、様々なプロジェクトやテーマ 第二位の出資比率を持つ株主として、IFCの資本強化、 Management Company( AMC) は、 IFCから10 億 の推進で協力しています。 ドル、 国際協力銀行( JBIC) から20 億ドルの出資を 戦略・方針決定、投融資の承認等に関与しています。 受けて、 「IFC 途上国銀行資本増強ファンド」 を設立 日本の資本市場 (資金調達実績) しました。同ファンドは投資・劣後融資を通じて新興 IFCは、プロジェクトへの幅広い投融資を可能にするた 日本企業との協働 国の銀行の資本増強を支援し、金融危機の影響を緩 め、 様々な資金調達プログラムを実施しています。IFC • IFCはフィリピンのマニラ首都圏東部と近隣のリサー 和しています。 債、及びその他の金融商品(グリーン・ボンド、マイクロ ル州への上下水道サービスの運営、普及、維持、そし ファイナンス・ボンドなど)の発行を通じて、日本の投 て拡大を強化するために、Manila Water Company • これまで日本の金融機 関と、共同投資や 協調 融 資 資家から資金調達を行っています。 に対し出資と融資を行いました。同社は2005年に上 (シンジケートローン)、AMCのファンド出資などの 場し、Ayala Corporationや三菱商事株式会社が主 分野で幅広く協働しています。 日本人職員の活躍 要株主です。 IFCには、世界各国のオフィスに50 名以上(2012年 9月 日本政府との協力 現在)の日本人職員が、様々な専門分野で勤務してい • I FC は、住 友 林 業グループの子 会社で、 ベトナム • 日本の財務省は、IFCの行うアドバイザリー・サービス ます。日本人職員の積極的採用を続けるためキャリア・ でパーティクルボード ( PB )工場を運営する、Vina 業務に対する資金支援を行うドナーです。日本側の優 イベントの開催を行い、また、日本企業・金融機関から Eco Board社に対し、 出資を行いました。 ベトナム 先的な政策課題や IFCの政策的ニーズ等について継 出向者の受入れ等も行っています。 は世界 第三位の木 製 家 具製 造セクターを抱えな 続的に対話しながら、主にアジアやアフリカのプロジ がらも、PB 生産能力が不足しており輸入に頼って ェクトを支援しています。 いますが、同社は 2012 年 5月より商業 生産を開始 し、高品質のPBサプライヤーとなることが期待され ています。 最近の日本企業が関与するプロジェクト • 途上国の企業の育成や成長を支援するIFCにとっ カザフスタン モンゴル ロシア リース 銀行 自動車部品 て、健全な企業統治を通じたそれら企業の持続的 アゼルバイジャン 油田・パイプライン 中国 自動車部品 な発展は大きな関心事です。IFC は、東京証券取 グルジア 油田・パイプライン 引所との間で広範な協力関 係を謳う覚 書を締 結 トルコ 油田・パイプライン し、アジアでの企業統治改善案件において連携を エジプト リース・金融 図っています。 フィリピン 太陽光発電・水道 インド 倉庫 タイ リース オマーン ベトナム リース・金融 サウジアラビア セメント・鉄鋼 ベネズエラ リース・金融 ・木質建材 石油化学 パキスタン モザンピーク リース・金融 アルミ精練 南アフリカ フェロクローム鉱山 5 6 IFC東京事務所 IFCは1988年に、日本の企業、政府機関、金融機関等の ための窓口として、東京事務所を開設しました。東京事 務所は主として下記の活動を行っています。 −開発途上国における日本企業のプロジェクトに対する、  投融資・アドバイザリー業務を通じた支援 −日本の金融機関との協働機会の発掘 −日本政府との緊密で良好な関係の維持 −IFCの日本人職員採用の支援、広報 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階 T 03 3597 6657 F 03 3597 6698 Mail : ifctokyonews@ifc.org Website : ifc.org(英語) ifc.org/japanese(日本語) 2012 7