インクルーシブ・ビジネス・ ボンド 世界人口の半数以上がいまだ貧困層 世界銀行グループの一員であるIFC（国際金融公社）は、開発途 開発途上国に暮らす45億人が1日8米ドル未満で生活し、日常 上国の民間セクター支援に特化した世界最大の国際開発金融機 生活に必要な食料、飲料水、住居、交通、電力などの費用を賄 関です。 わなくてはなりません。その多くが保健医療や教育へのアクセス IFCは民間セクターへの投融資資金の提供のほか、国際金融市 がありません。こうした人々はBOPと呼ばれる世界の経済ピラ 場における資本の動員、事業や政府への助言サービスを提供す ミッドの下層部で生活する低所得者層を指し、彼らは収入を得る ることで、開発途上国の持続可能な成長達成を支援しています。 機会が非常に限られ、しばしば定職を持ちません。さらに、BOP 層は遠隔の農村地域や人口が過密する都市のスラム街に暮ら IFCは新興市場における民間投資の収益性を証明することで、触 す為、多くの場合、商品やサービスへの十分なアクセスを持ちま 媒的（catalytic）な役割を果たしています。 せん。 「貧困から脱出し、生活の向上を図る機会は、誰にも与えられる 市場規模5兆米ドルに及ぶインクルーシブ・ビジネス べきである」というのが、IFCのビジョンです。 BOP層の45億人が個人レベルで消費する額は非常に小さいも のですが、すべて合わせると年間5兆米ドルの消費額になります。 これは開発途上国の支出全体の半分以上に相当します。 IFCの強み 近年、様々な需要を抱えているBOP層に対して、地場や グローバル企業は手頃な価格で質の良い商品やサービスを • 世界銀行グループの一員 持続可能に提供できる方法を模索しています。IFCは、このよう • 資本金が全額払込済である唯一の国際機関 に低所得者層を事業のバリューチェーンに組み込むビジネスを 「インクルーシブ･ビジネス」 と呼びます。持続可能性と規模の • 潤沢な資本と高い流動性による強固な財務基盤 拡大を達成できるビジネスだからこそ、商品やアクセスが欠如 • グローバルに分散したポートフォリオ ― 126ヵ国、2,000社以 している人々の経済への包括的な参加が可能になるのです。 上の企業に投融資 IFCは過去10年間で110億米ドル超を投じ、90ヵ国で同ビジネス を展開する400以上の企業と協働してきました。こうした支援資 • バーゼル規制におけるIFCのリスク･ウェイトは0% 金を活用し、インクルーシブ･ビジネスに取り組むIFCの顧客企業 • 184の加盟国政府が出資、資本金の約70％をAAA/AA格の は、BOP層も含めた2億5,000万人にのぼる人々に影響を与えて 国々が出資 います。 • スタンダード&プアーズおよびムーディーズは一貫して IFCのインクルーシブ･ビジネス･ボンドは、魅力ある投資の選択 AAA/Aaa（見通し「安定的」）に格付け 肢であるだけでなく、低所得者層の生活向上を支援する機会も 提供します。インクルーシブ･ビジネス･ボンドの発行による調達 資金は、独自の勘定に移され、開発途上国におけるインクルー シブ･ビジネスの支援プロジェクトを対象とした融資にのみ割り 当てられます。 IFCは様々な市場、通貨で頻繁に起債することによ IFCに対するAaa格付（見通し「安定的」）は、強固な り、資本市場への強力なアクセスから恩恵を受けて 自己資本および流動性、優先的債権者としての地位 いる。IFCは多くの国際機関と異なり請求払資本が （PCS – Preferred Creditor Status）、株主からの強 ないため、当社のICRは当社の「トリプルA」スタンド 力な支援、といった要因に基づいている。 アローン信用プロファイルを反映したものである。 AAA Aaa 長期格付 (2014年12月) 長期格付 (2014年12月) スタンダード＆プアーズ 見通し: 安定的 ムーディーズ 見通し: 安定的 MANILA WATER :低所得者層の世帯に、 安全な水への24時間アクセスを提供 フィリピンのマニラ首都圏に暮らすマキシマさんは串焼き屋 の店主です。彼女は自宅に水道が通るまで、毎日安全な水 を求めて井戸水を買いに並んでいました。Manila Waterが 彼女の村に来るまで、安全な飲料水へのアクセスがありませ んでした。Manila Waterはマニラ首都圏東部で620万人以上 の人々に上下水道サービスを提供する民間企業です。その うち170万人にのぼる顧客が低所得者層で、彼らに飲料水や 下水道設備を提供し、排水量の削減や地域の公共水道施設 の改修にも携わっています。同社は水の供給システムの 資金調達、設計、運営を行い、地方自治体や地域の市民団 体と協力し、低所得者層の暮らすコミュニティーにもサービス を提供しています。IFCはManila Waterの事業拡大を支援す ECOM コーヒー:小規模農家に収入と市場への るため、2003年に6,000万米ドルの長期融資を提供し、2005 アクセスを提供 年には1,500万米ドルの資本参加を行いました。さらにIFCは、 ケニアのメルーに暮らすキノテさんは農業では食べていけ 同社が マニラ首都圏とその東部で飲料水の供給と下水処理 ないと諦めかけていました。彼の小さな耕作地から得られ の サービス提供範囲を拡大できるよう、2013年に1億米ドル る収入では、家族を養えなかったのです。ECOMは世界中 の 追加融資を行いました。その結果、全体で4,611キロメー でキノテさんのような小規模農家からコーヒー豆を調達して トルの水道管が敷かれ、38の下水処理施設が建設され、無 います。同社は農家からコーヒー豆を仕入れる際に 収水率は63%から12.2%まで減少しました。同社がサービス トレーニングを提供し、彼らが生産する農作物の品質を を 提供する地域の99%で、低所得者層の顧客も24時間、 向上させ、プレミアム価格で購入しています。例えば、 安全な飲料水へのアクセスが可能となりました。 キノテさんはECOMからコーヒーの栽培技術を学びました。 その結果、 生産高が増え、より多くのコーヒー豆を販売し、 収入を増やすことができました。 ECOMはコーヒー、カカオ、綿花を専門とする農産物取引･ 加工の世界的な企業です。IFCは世界的な事業展開を行う ECOMを支援するため、1億5,400万米ドルの融資を提供し、 準株式による資本参加を行っています。また、IFCは同社の 持続可能な取り組みにかかる戦略を、中南米、アジア、 アフリカでサポートしています。ECOMは2013年までに25万 人の小規模農家から直接、コーヒー豆やカカオを調達しま した。こうした農家は、同社から農業普及指導サービスの ほか、農業投入物や融資へのアクセスの提供を受け、生産 高と収入を増やしています。 お問い合わせ先 資金調達 Ben Powell ∙ Head of Funding ∙ +1 202 473 1642 ∙ bpowell@ifc.org Marcin Bill ∙ Financial Officer ∙ +1 202 473 7364 ∙ mbill@ifc.org Flora Chao ∙ Senior Financial Officer ∙ +1 202 473 7355 ∙ fchao@ifc.org Elena Panomarenko ∙ Senior Financial Officer ∙ +1 202 473 0862 ∙ epanomarenko@ifc.org インベスター・リレーションズ（IR） Denise Odaro ∙ Investor Relations Officer ∙ +1 202 473 0958 ∙ edodaro@ifc.org 塩澤 健一郎 ∙ Senior Investor Relations Officer ∙ +81 3 3597 6699 ∙ kshiozawa@ifc.org メディア（広報） Alexandra Klöpfer ∙ Senior Communications Officer ∙ +1 202 473 4645 ∙ aklopfer@ifc.org www.ifc.org/investors www.ifc.org/inclusivebusiness Bloomberg: IFC @ifc_investors IFC ∙ 2121 Pennsylvania Avenue NW ∙ Washington, DC 20433 USA ∙ +1 202 473 8392 本文書はIFCが発行するいかなる債券の購入も勧誘あるいは推奨するものではありません。 IFCに関するより詳細な情報をご希望の方は、IFCのWebサイト（www.ifc.org/investors）を閲覧ください。 2015年1月