2014年度 Financial Times/IFC共催 Transformational Business Awards
                                     インクルーシブ・ビジネス部門 最終選考候補
                                       Engro Foods Limited (EFL)

会社概要
2005年創業のEFLはパキスタンで乳製品、ジュース、アイスクリーム、冷菓を製造、加工、販売しています。加工乳の製造元と
して、国内2番目の大きさを誇ります。EFLの株式87%は親会社のEngro Corporation Limited (ECL)が保有しており、ECLはパ
キスタン国内最大手の複合企業の1社で、さまざまな産業界で7つの事業を展開しています。



BOP層へのインパクト
30万人の小規模酪農家から生乳を調達




           課題                                   戦略                                         成果                     IFCの役割
▪▪ 約800万人の農家のうち100万人以下が       ▪▪ 小規模酪農家と密接かつ長期的な関係を                         ▪▪ EFLの総収入は2006年の1,650万ドルから   ▪▪ 2009年に5,000万ドルを上限とする劣後ロ
   企業に生乳を販売し、残りは非公式セクタ           築くことで、安全で安定した生乳の供給元                           2013年には3億7,000万ドルへと成長         ーンを提供し、ECLが必要としていた資金調
   ーに留まる                         を確保する                                      ▪▪ EFLが生乳を調達する小規模酪農家の数           達を賄う
▪▪ パキスタンでは大半の酪農家は2~5頭の        ▪▪ 農村レベルでの調達システムを確立し、生                           は2008年から2013年の間に2倍となり、30   ▪▪ ECLが事業を成長軌道に乗せるために重要
   乳牛を飼育し、生乳の産出は1日2~3リット         乳を農家から直接買い取る                                  万人に達する                        な時期および市況が低迷し資金調達が困難
   ルと規模が極めて小さい                ▪▪ トレーニングや継続した指導を農家に提供                        ▪▪ 1軒の小規模農家がEFLに販売する生乳は          な時期に、融資を提供し、同社の景気回復
▪▪ 農家は広い範囲にわたって散り散りに居住           することで、生乳の生産量と品質を高める                           年間平均1,000リットルに至り、売上高は1        剤の一助となる
   しており、仲買人を通じて市場へのアクセス       ▪▪ 買い取り価格の設定や支払いに透明性を持                           軒につき約450ドルとなる
   を得る                           たせ、テクノロジーを利用した効率の良い調                       ▪▪ 1,800以上の生乳回収センターは20万平方
▪▪ 不十分な肥育形態、原始的な農法、獣医サ           達方法を推し進める                                     キロメートルに設置され、40の現場チームが
   ービスへのアクセスの欠如などによって、生                                                        約1万5,000の農村に農業支援サービスを
   乳の生産量は少なく、品質も劣る                                                             提供




                                              EFLのインクルーシブ・ビジネスモデル
                                              EFLは広範囲に及ぶ農村レベルのシステムを通じて酪農家から生乳を調達しており、その規模は1,800を超える生乳回収セン
                                              ター(MCCs)に至り、同社の30万人のサプライヤーの85%がこれを利用しています。MCCsから遠く離れた地域に住む農家は
                                              EFLの1,700人に及ぶ村落生乳回収者(VMCs)に生乳を売却します。女性を含めたVMCsは生乳の検査、取り扱い、衛生管理
                                              のトレーニングを受けており、適切な器材を与えられています。EFLは、農家から直接生乳を買い取り、同社のMCCsに届ける契
                                              約社員や農村レベルの訪問生乳回収者からも生乳を調達しています。約360台のトラックがMCCs からEFLの地域拠点や加
                                              工工場に生乳を運搬しています。

                                              同社は、Engro生乳自動管理ネットワーク(EMAN)と呼ばれる情報管理システムを用いて、MCCsからリアルタイムのデータを回
                                              収、伝達、監視しています。生乳は搬入時に検査・測量され、受け入れ後、各農家は配布されている特殊な磁気カードをその
                                              場でカードリーダー端末に通し、EMANに取引記録を残します。EMANは農家に直接、電子振込みを行う際、もしくはMCCsを通
                                              じて農家に現金で代金を支払う際にも活用されています。

                                              農業支援サービスを提供するEFLの40の現場チームには、周辺のMCCsを担当する獣医が配属されています。獣医は予防接
                                              種、衛生管理、肥育形態といった分野のトレーニングや指導を農家に提供します。さらにEFLはUSAIDとCARE Inc. USAとの協
                                              力のもと、生計手段として身につけることを目的とした家畜と乳製品の管理方法に関するトレーニングを、女性を対象に提供し
                                              ています。詳しくはwww.engrofoods.comをご参照ください。