G20チャレンジ 革新的なインクルーシブ・ビジネス 〜受賞企業のプロフィール〜 © International Finance Corporation 2012. All rights reserved. 2121 Pennsylvania Avenue, N.W. Washington, D.C. 20433 公式ウェブサイト : www.ifc.org 本著作に記載されている内容はすべて著作権で保護されています。承諾なくその内容の一部あるいはすべてを複写、および /または伝播することは該当法規に違反する可能性があります。 International Finance Corporation (IFC:国際金融公社)で はその制作物の普及を奨励しており、通常は出版物の内容の部分的な複製を迅速に許可しています。また、道理の範囲内で しかるべき出典を明記する場合に限り、教育もしくは非営利目的での出版物の複製を無償で承諾しています。 本著作に記載された内容やそれに付随する結論、判断等の正確性、信頼性あるいは完全性は IFC の保証するところではなく、 ( 誤植、技術的な誤りに限らず) また 内容の漏れや誤り、ないし本書の内容に依拠したことに起因するいかなる結果についても 責任を負いかねます。本書に用いられている一切の地図におけるいかなる境界線、配色、表記その他の情報は、特定地域の 法的帰属に関する世界銀行のなんらかの判断、あるいはかかる境界線の是認もしくは許容を意味するものではありません。 本書において示されている所見、解釈および結論は、必ずしも世界銀行の理事もしくはその代表する各国政府の見解を反映 しているとは限りません。 本著作の内容は一般的な情報提供のみを目的としており、法律、証券もしくは投資上の助言や、なんらかの投資にかかる妥 ( 本著作に記載のあるものを含めて) 当性に関する意見や勧誘を意図するものではありません。IFC もしくはその関係機関は 特 定企業ないし団体に投資を行い、助言やなんらかのサービスを提供し、あるいはその他の経済的利害関係を有している可能 性があります。 その他、付随するものを含む権利と承諾についてのお問い合わせは 2121 Pennsylvania Avenue, N.W., Washington, D.C. 20433 に所在する IFC の Corporate Relations Department までお寄せください。 は世界銀行加盟国間で取り交わされた協定に基づき設立された国際機 (IFC:国際金融公社) International Finance Corporation 関であり、世界銀行グループに属しています。その名称、ロゴおよび商標の一切は IFC の所有に帰すもので、IFC の書面によ 「International Finance Corporation 」 る明確な承諾のない利用は、目的を問わず禁止されています。また、 「IFC 」 および はそれ ぞれ IFC の登録商標として、国際法により保護されています。 G20チャレンジ 革新的なインクルーシブ・ビジネス 〜受賞企業のプロフィール〜 このページは意図的に空白にしています。 iv G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 目次 序文 _______________________________________________________________________________________________________ 1 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネスとは ___________________________ 2 G20チャレンジからのハイライト ______________________________________________________________ 4 受賞企業のプロフィール Agrofinanzas _______________________________________________________________________________________ 6 Apollo Hospitals Enterprise Limited ____________________________________________________________ 8 Bakhresa Grain Milling Malawi Ltd. __________________________________________________________ 10 Brilla, a program of Promigas __________________________________________________________________ 12 Corporación Universitaria Minuto de Dios __________________________________________________ 14 Ecofiltro ____________________________________________________________________________________________ 16 Engro Foods Limited _____________________________________________________________________________ 18 Jain Irrigation Systems Limited _________________________________________________________________ 20 Manila Water Company, Inc. ___________________________________________________________________ 22 Millicom International Cellular _________________________________________________________________ 24 Reybanpac Unidad de Lácteos _________________________________________________________________ 26 Sustainable Harvest Coffee Importers ________________________________________________________ 28 Tenda Atacado Ltda ______________________________________________________________________________ 30 VINTE Viviendas Integrales _____________________________________________________________________ 32 Waterlife India Private Limited _________________________________________________________________ 34 附属書1 その他の注目すべきビジネスモデル _____________________________________________ 36 附属書2 審査員略歴 ________________________________________________________________________________ 41 謝辞 ______________________________________________________________________________________________________ 44 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス v このページは意図的に空白にしています。 vi G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 序文 先駆的な企業は、低所得層の生産者や消費者を自らのバリュー・チェーンに取り込む方法を見いだしていま す。 世界の優れたインクルーシブ・ビジネスモデルを表彰するため、主要 20カ国・地域(G20)首脳会議は「G20 チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス」を発足させ、これを世界銀行グループに属するIFCが運営す ることとなりました。これは、インクルーシブ・ビジネスを事業として成立可能な形で展開している企業の中 から参加を募るコンテストで、これらの事業は顕著な開発の成果を示し、彼らが事業を展開する市場だけでな く、地域の枠を超えて成長する可能性があります。 本書は、コンテストを勝ち抜いた15 社の受賞企業を紹介するとともに、その他の興味深いいくつかの事例に焦 点を当て、次第に大きな流れとなってきているインクルーシブ・ビジネスモデルをまとめて解説しています。 世界では、およそ40億の人々が経済ピラミッドの下層部(the base of the economic pyramid: BOP)に属してお り、こうした人々は現地の購買力に換算しても年間3,000米ドルに満たない所得で生活しています。所得が低 いことに加え、こうした人々は非公式もしくは必要最低限の生活物資しか持たず、いわゆる貧困ペナルティと 呼ばれる、品質の劣った商品やサービスに対してより高い価格を支払っています。 インクルーシブ・ビジネスモデルは、重要な機会を民間セクターに提供します。すなわちBOP層を全面的な経 済的パートナーとして扱う企業へ投資します。インクルーシブ・ビジネスモデルを活用することで、現地の企 業は収入を増やし、BOP層向けの商品やサービスをさらに生み出しています。 例えば、マラウイの大手製粉会社は、収入の少ないベーカリーに小分けに袋詰めした小麦粉を提供し、所有す る小型トラックで遠隔地の市場にも商品を送り届けています。コロンビアのエネルギー会社は、家庭用天然 ガスのガス管導入費用を完済した顧客対象に、家屋の改築や教育、家電製品の購入に必要となる資金を提供す るサービスを行っています。低中所得層を顧客とするメキシコの住宅企業は、5,000を超える低所得世帯向け に、手頃な価格で住宅を供給しています。 インクルーシブ・ビジネスはこれまで飲料水、電力、新しい通信手段、保健衛生、教育、住宅、および金融サ ービスを安定的に得られなかった何百万もの人々に、こうした商品やサービスへのアクセスを提供するだけで なく、BOP層が公式経済に参加する機会を与えます。こうしたビジネスは、市場を大きく変える可能性を持っ た新しい商品やサービス、小売りや流通の方法を生み出しています。 ここでIFCを代表いたしまして、G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネスで受賞した各社にお祝 いを申し上げます。受賞15企業は10カ国を超える国々で4,000万人以上のBOP層をサプライヤー、流通業者、 小売業者もしくは顧客として各社の事業に組み込んでいます。 本書をご覧になる方々が、私ども同様、これら15の事例に新たな可能性を見いだし、また他の企業も先例に倣 ってBOP層のための変革を進めていくことを願ってやみません。インクルーシブ・ビジネスを世界のビジネス の第一線に押し上げていく中で、IFCはこうした事業が成功していくことを楽しみにしています。 Nena Stoiljkovic IFCアドバイザリー・サービス担当副総裁 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 1 G20チャレンジ: 革新的なインクルーシブ・ビジネスとは G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネスは 2011年11月3 – 4 るか、事業が成長可能であり、他の市場でも同様のビジネスモデルを容 日にかけてフランスのカンヌで開催されたG20首脳会議の席上、主要20 易に適用できるか、そして事業が環境的・社会的に持続可能であるかも カ国・地域によりIFCを運営担当機関として発足しました。G20チャレン 考慮されます。 ジは、開発途上国の経済ピラミッドの下層部(Base of Pyramid: BOP)に 属する人々の経済機会と生活に必要な商品・サービスへのアクセスを拡 G20チャレンジの審査委員会は民間セクター、学術界、国際機関、そし 大し、なおかつビジネスとして成長可能なインクルーシブ・ビジネスモ てG20各国から、著名な専門家ら12人で構成されました。各審査員は個 デルの発展を促進することを目的としています。 々の経験に基づいた独自の視点から評価作業に取り組みました。国際ビ ジネスの分野において秀でたキャリアを持つ審査委員会全体の見解は、 発足時から2012年3月1日までの期間に、G20チャレンジは規模、地域を インクルーシブ・ビジネスの研究が進んでいる国際金融機関やG20、学 問わず世界中のインクルーシブ・ビジネスから応募を募りました。イン 術界から選ばれた各審査員の持つ評価能力によって補完されています。 クルーシブ・ビジネスモデルであることを実証するために十分な期間、 各審査員は他者からの見解を受けることなく、まず個別に各応募企業の 営業活動を実施しており、BOP 層をサプライヤー、流通業者、小売業 評価を行い、この第一評価が全て完了した時点で、審査員12人のそれぞ 者、あるいは顧客として事業に組み込み、かつ事業が財務面で持続可能 れの意見がまとめられ、全体に共有されました。こうして取りまとめら であることを示すことを条件に、開発途上国で事業を展開する営利企業 れた全員の評価結果を基に、審査員は2012年5月にG20チャレンジ:革 であれば、自由にG20チャレンジへの応募が認められました。1  オンラ 新的なインクルーシブ・ビジネスの受賞企業15社を選出しました。 インでの参加手続きを開始した企業291社のうち、167社が実際に手続き を完了しました。本書の内容は、各社がG20チャレンジに応募した際に 15社の受賞企業は2012年6月18 – 19日に、メキシコのロス・カボスにお 自己申告した内容と、評価の過程で実施した補足面接からの情報に基づ いて開催されたG20首脳会議に招待され、2012年6月18日の受賞式典で いています。 表彰されました。受賞企業は、審査の対象となった候補企業の多様性を 反映し、5つの地域、8つの業種から選ばれています。 応募企業は、インクルーシブ・ビジネスの成功に不可欠な財務面での 持続可能性、開発効果、革新的なアプローチ、事業の成長と再現の可能 受賞企業は今後、一連のG20主催のワークショップに招待され、企業間 性、ならびに環境的・社会的な持続可能性の5つの基準に沿って評価さ の討論会を通じてインクルーシブ・ビジネス間での関係を強化していく れました。財務面での持続可能性は、企業の業績を中心に査定されまし 方針です。アラブ首長国連邦の寛大な追加支援とドイツのシーメンス財 た。例えば、財務の観点から当該企業のビジネスが成長可能と判断でき 団の協力を受けてG20が主催する地域ワークショップでは、企業がビジ るかを調べます。開発効果は広範に、深く調査します。どれだけの数の ネスモデルを他の国々で取り組む際に直面する課題に焦点をあてていき BOP層の人々を事業のプレイヤーとして取り込んでいるのか、またその ます。なお、第1回目のワークショップは2012年9月にベルリンで開催さ BOP層の人々の生活にどれだけの影響を与えているのか、といった点を れる予定です。 調べます。評価ではまた、各企業のBOP層へのアプローチが革新的であ 2011 年 2012 年 11 月 12 月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 2011 年 11 月 3 - 4 日 2012 年 6 月 18 日 カンヌでの G20 首脳会議にてチャレンジ発足 メキシコのロス・カボス G20 首脳会議にて 2011 年 11 月 4 日 - 2012 年 2 月 29 日 受賞企業発表 291 社が 応募過程の第一段階として事前申込書の提出 応募手続きを開始 2011 年 12 月 1 日 - 2012 年 2 月 29 日 2012 年 3 月 1 日 - 2012 年 4 月 30 日 2012 年 5 月 167 社が 15 社を 受賞企業に 正式な応募書類の提出 応募内容の評価期間 応募手続きを完了 選抜 報告 面接と適格性精査の実施 1 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス応募資格と して、企業ないし子会社は2009年6月30日以前に設立され、BOP層を組み込んで事業を展開していなくてはならない。さらに、応募企業は 1)マイクロファイナンス機関、プライベート・エクイティ・ファンド、預貯金を受け入れる金融機関のいずれかに該当しておらず、2)石油、 ガスまたは鉱業セクターのいずれかにも属しておらず、3)アル コール、煙草、賭博あるいは兵器の生産および取引を行っていないことを条件とする。 2 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 受賞企業統計資料 審査委員会 受賞企業の地域分布 審査委員会は民間セクター、学術界、国際機関、そして G20 各国から以下の 12 人の著名な専門家らで構成され 東アジアおよび太平洋地域 7% 全世界 20% ました。 Aigboje I. Aig-Imoukhuede, Access Bank Plc グルー サハラ以南アフリカ 7% プマネージング・ディレクター兼最高経営責任 ラテンアメリカおよび 者(CEO) 南アジア 20% カリブ海地域 46% Ibrahim M. I. Alturki, 世界銀行サウジアラビア理事 代 理;G20 Development Pillar on Private (PIJC) Investment and Job Creation 共同ファ シリテーター 註:受賞企業のうち国際企業 2 社はラテンアメリカ/カリブ海地域とサハラ以南アフリカで事業を展開。さらに他の国際企 業1社が南アジア、中東/北アフリカ、 ラテンアメリカ/カリブ海地域およびサハラ以南アフリカで事業展開している。 Georgina Baker, IFC 貿易・サプライチェーン局長 Armin Bauer, アジア開発銀行 プリンシパル・エ (ADB) 受賞企業のセクター分布 コノミスト 分野(受賞企業は複数選択可) 受賞企業数(社) Michael Chu, ハーバード・ビジネス・スクール社会的 農業 5 企業イニシアティブ上級講師 金融 3 保健医療・教育 3 Susanne Dorasil, ドイツ連邦経済協力開発省 (BMZ) 小売り 2 経済政策/金融セクター部長;G20 Development 水 2 Pillar on Private Investment and Job Creation 住宅 1 (PIJC) 共同ファシリテーター 通信 1 Bernard Giraud, ダノンLivelihoods Fund and Livelihoods 酪農 1 Venture共同設立者・社長 Luiz Ros, 米州開発銀行Opportunities for the Majority マネージャー 応募企業統計資料 Víctor Manuel Rivera Sandoval, メキシコ経済省 Head of the General Office of Business 応募企業の地域分布 Information Management, Under Ministry 全世界 7% ラテンアメリカおよび for Small and Medium Enterprises;2012年 カリブ海地域 29% 6月開催のG20首脳会議ホスト国およびG20 東アジアおよび 太平洋地域 7% 議長国メキシコの代表 中東および北アフリカ 4% 南アジア 16% Yasuyuki Sugiura, 米国三菱商事会社社長兼CEO サハラ以南アフリカ 37% Tim Turner, アフリカ開発銀行民間セクター・マイクロフ ァイナンス局ディレクター Bharat Wakhlu, タタ・グループレジデント・ディレクター 註:応募手続きをすべて完了させた 167 社の統計 応募企業のセクター分布 分野(応募企業は複数選択可) 合計(社) 農業 63 金融 15 保健医療・教育 24 小売り 24 公益(エネルギー・水・公衆衛生など) 4 住宅 10 通信 14 運輸 3 その他 62 「その他」には自己申告による以下の分野が含まれる。電子決済、乳製品、流通、保険、職業訓練、太陽光 発電、IT、リサイクル、衛生、林業および観光を含む。 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 3 G20チャレンジからのハイライト Sustainable Harvest Coffee Importers は、中南米および東アフリカ地域において、 コーヒー生産者である小規模農家から適切 な価格でコーヒーを購入し、北米市場で販 売することで、こうした農家の所得向上に 貢献しています。 WaterHealth International, Inc(WHI) は、持続可能で地域分散型のモデルを用 い、イン ド、 ガーナ、 リベリア、 ナイジェ リア、 Millicom International Cellular は、ラテン バングラデシュ、フィ リピンの水道が行き届 アメ リカやアフリカなど新興市場の顧客に対 いていない地域で、500 万人以上の住民に し、手頃な価格で利用しやすい携帯電話サー 対し、安全な飲料水を手頃な価格で提供し ビスや、金融サービスを含むモバイルソリュー ています。 ショ ンを提供しています。 Agrofinanzas は、メキシコの農家 や食料生産者に金融サービスを提 供することで、人々の生活水準の 向上を支援しています。 Brilla, a program of Promigas は、コロン ビアの BOP 層の人々が家の改築をしたり、 零細規模のビジネスを始めたり、学費を支払 Mi Tienda は、保存食品や日常生活 ったり、電化製品を購入したりできるよう、 用品を専門に扱う流通業者で、大規模 融資を提供することで、こう した人々の生活 小売店の手が行き届かないメキシコの の質の向上に貢献しています。 InterSwitch は、支払い処理事業を展開 農村地域の小さな町に位置する 6,500 する企業で、プリペイ ドカードや携帯電話 以上の店舗を中心にサービスを提供し 用電子マネーによる取引を可能にすること ています。 Corporación Universitaria Minuto de で、ナイジェリアの BOP 層の生活水準向 (Uniminuto) Dios は、コロンビアの BOP 上に取り組んでいます。 層の学生にローンを提供することで、高等教 VINTE Viviendas Integrales は、 育に手の届く環境を作り出しています。 メキシコに暮らす低中所得層の世帯 に低価格で環境に優しい住宅を販 売しています。 Ecofiltro は、現地で入手可能な原材料と 労働力を活用し、低コストな浄水フィルター を製造しています。 Tribanco は、零細・中小規模の小売業者 の事業拡大を支援するブラジル企業です。 融資や小切手の換金サービスの提供によ Moderna Alimentos S.A. は、小麦粉と り、これらの小売業者の設備改善や店舗改 製パン材料をエクアドル全土のパン職人や 装を支援しているほか、店舗経営やビジネ 小規模なベーカリーに供給する製粉会社 ス慣行、マーケティングに関する トレーニン です。 グを実施しています。 Reybanpac Unidad de Lácteos は、零 Tenda Atacado Ltda は、クレジットヒスト 細規模の酪農家から調達した牛乳で作っ リーを持たない零細起業家に信用供与を行 た高タンパク乳飲料を BOP 層の人々にも うことで、ブラジル国内の零細ビジネスを支 手が届く価格で販売することで、エクア ド 援しています。 ルにおける栄養不良の問題に取り組んで います。 Ideal Invest S.A. は、Pravaler というプ ロ グラムを通してブラジルの大学生にローンを 提供しています。  G20チャレンジ受賞企業 興味深いビジネスモデル Brookfield は、連邦政府によるプログラム  本社所在国 Minha Casa, Minha Vida(「マ イホ ー ム、 マイライフ」の意)の対象となる低所得層に  事業展開地域 手頃な価格で住宅を販売しています。 4 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Jain Irrigation Systems Ltd. は、農家の 人々に灌漑設備を提供することで、年間で 1 エーカーあたり100 米ドルから1,000 米ド ルの生産高増加を可能にしています。 Engro Foods Limited は、生乳回収に不可 欠なインフラを整備し、そのインフラに IT ソリ ューショ ンを融合することで、パキスタンの農 Butwal Power Company Limited(BPC)は、 村地域の零細酪農家が自宅近くからでも公式 発電と配電をその中核事業と しています。 同社は、 経済に参加できるよう支援しています。 国営の電力会社に多くの電力を供給し、また農村 地域に暮らすおよそ 3 万 8,000 人の顧客に直接配 電しています。 Financial Information Network & Operations Ltd.(FINO) は、国内 3 Manila Water Company Inc. は、フィリ 万カ所に設置された トランザクション ピンに暮らす BOP 層の人々に安全で低価 用携帯端末やその他の携帯用端末を 格な飲料水を供給しています。 活用した商取引・銀行サービスのプ ラットフォームを通して、銀行口座を Waterlife India Private Limited は、 持たないインドの BOP 層を対象に金 インドの農村部に暮らす BOP 層の人々に 融サービスへのアクセスを提供してい 安全な飲料水を手頃な価格で提供するた ます。 め、浄水施設を建設し、 運営しています。 インドの Apollo Hospitals Group は、 AfriCert は、ケニアのナイロビを本拠 これまで十分な医療サービスの提供を受 とし、ガーナのアクラに支社を持つ認 けてこなかった農村地域や小さな町に暮 証会社。同社の展開する認証サービ らす BOP 層の人々に専門的な医療を提 スは東、中央、西および南アフリカの 供することで、彼らの生活の質を向上し 多くの国々を網羅しています。 ています。 Virtual City は、コンピューターソフト ウェアやモバイルアプリケーションを 提供する東アフリカの企業です。同社 のソフ トウェアやアプリケーションを利 用することで、商品を供給元から顧客 に届けるまでの業務上の手順を自動化 することが可能です。 Bakhresa Grain Milling Malawi Ltd. (BGM)は、BOP 層の人々が焼き菓子や ナミビアに拠点を置くTrustco Finance (Pty) 食品販売のビジネスを始める手助けをす Ltd. は、Trustco Group 傘 下 の Institute for ることで、こう した人々の生活の質を向 Tanna Coffee Development Company Open Learning (IOL) が提供する通信教育を 上しています。 は、 アラビカコーヒーを栽培・加工し、焙煎・ 受講する学生を対象とした教育ローン事業を 包装済みの商品を販売しています。 同社は、 展開しています。 バヌアツ・タンナ島の小規模コーヒー農家 500 世帯以上に対し、コーヒーの栽培と基 本的な加工に必要な原材料や設備、技術支 援を提供しています。 Trustco Mobile は、携帯電話を通じて、保険に 加入していないアフリカの BOP 層の人々を対象に 生命保険を提供しています。 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 5 Agrofinanzas “ Agrofinanzasは、メキシコの農家や食料生産者に ” 金融サービスを提供するこ とで、人々の生活水準の向上を支援しています。 AGROFINANZASとは Agrofinanzasは預金業務を行わない金融機関としてメキシコの農家および食料生産者に対して金融 サービスを提供しています。Agrofinanzasの顧客は25種類に及ぶ農産物を生産し(例としては、サ トウキビ、砂糖、トウモロコシ、小麦、雑穀、綿花、コーヒー豆、カカオ豆、鶏肉、豚肉、牛肉な ど) 、その80%以上がそれまで金融サービスへのアクセスを持たなかった人々です。 Agrofinanzasが事業を開始するまで、こうした小規模生産者は以下の理由により金融サービスの提 供を受けるのが困難でした。まず、生産者の多くがクレジットヒストリーを持たず、また限られた 金融サービスに関する情報しか入手することができませんでした。従って、食品の加工業者と卸業 会社概要 者は、個々の生産者に対して必要な資金を自ら融資していました。こうした状況の中では生産者が 直接銀行と取引を行うことがなく、銀行の提供する金融サービスについての情報も彼らの元には届  本社所在地 きませんでした。また、生産者は銀行が担保として利用可能な資産をあまり持たず、生産規模も限 られていたことから、金融機関はビジネスとしての持続可能性に疑問を持っていました。最後に、 メキシコ 銀行にとって、融資を行い、返済金を回収する際にかかる取引コストが高いことも問題でした。 営業拠点 こうした理由から、小規模生産者の多くが資金の調達先を見つけるのに苦労するだけでなく、資金 メキシコ の提供を受けることが全くできずにいました。仮に彼らが資金調達できたとしても、それは生産物 を買い取る加工業者を通すため、業者の都合に大きく左右されました。 設立 2005年 BOP層へのアプローチ 年間売上高 Agrofinanzasはサプライチェーン上の小規模生産者を対象に利益とリスクの共有モデルを利用した 金融サービスを提供することで、これらの問題を解決しました。同社の提供する融資は加工業者や 1,070万米ドル 卸業者と同程度の金利水準のため、市場での競争力があります。マイクロファイナンス機関が提供 する融資と比較すると、同社の金利水準は大幅に低く抑えられています。また、Agrofinanzasは顧 従業員数 客の信用取引に関する情報を政府機関に届けています。 26 – 100人 BOP層へのインパクト 業種 農業、金融 Agrofinanzasと取引をすることは、小規模生産者にとって単に資金調達が可能になるというだけで なく、他の金融機関が参照できるクレジットヒストリーを形成することにつながります。その結 果、Agrofinanzasの顧客は他の金融機関との取引も自由に行えるようになり、以前はできなかった 会社沿革 銀行口座の開設のほか、個人ローンや保険などのサービスを利用することが可能になります。最近 の調査によると、AgrofinanzasのBOP層顧客の35%が同社のサービスを利用するようになってから 国際的な商業作物商社であるECOM の筆頭株主 Esteve 一族 生活水準が向上したと答えています。 が、同社のメキシコ子会社のサプライヤー・ファイナンス部 門を分社化する形で、2005年に設立。以降、Agrofinanzas は順調に事業拡大を遂げ、現在メキシコ国内の21州に6,500 社の顧客を抱えています。 その他情報 公式企業サイト http://www.agrofinanzas.com/(スペイン語) サービス概要 http://www.agrofinanzas.com/index_archivos/Page319.htm(スペイン語) 6 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Agrofinanzas “ 本社・営業拠点/事業拡大 私たちのビジネスはとても安定しています。 顧客からのローン返済率は ” Agrofinanzasは過去数年間で大きく事業を拡大し、現在メキシコ国内の21州で25種類の農作物を生 産する6,500の小規模生産者にサービスを提供しています。Agrofinanzasの顧客の90%は農村地域 100%を確保しています。 で暮らし、平均年収は1万3,850米ドルにも達しません。 — Francisco Mere, CEO Agrofinanzasの顧客に、メキシコの農村地域に暮らすイ チゴ農家のグループがあります。以前、彼らはあらゆるサ ービスへのアクセスを持ちませんでした。Agrofinanzas からのローンの提供を受ける前は、こうした農家は収穫 したイチゴを市場で売ることもできず、道路の脇で販売 することを余儀なくされていました。 今日、 Agrofinanzasの支援により、この農家は収穫した イチゴをメキシコ最大のマーマレード・果実加工会社に 販売することができるようになりました。その加工会社 は、加工した食品を大きな食品業者に供給しています。 Agrofinanzasのビジネスモデルの特徴のひとつとして、 農村地域の生産者をアグリビジネス企業のサプライチェ ーンに組み入れることが挙げられます。取引を始める前  本社 に、農家と会社側は取引価格について決めておきます。  営業拠点 こうした契約を交わすことで、農家は収穫した農産物の 買取先が決まります。また、重要な点として、あらかじ め取引内容を決めておくことで、Agrofinanzasは農家が 得る収入を予測することができ、少ないリスクで金融サ ービスを提供することが可能になります。 主な開発効果 融資にあたって必要なリスク審査などのプロセスは、 対象が小規模生産者か大規模な会社かによって異な Agrofinanzasの定義では、BOP層の顧客は1日あたりの収入が38米ドルに満たない人たちを指しま ります。イチゴ農家の場合、融資は農作物保険と共に す。AgrofinanzasのBOP層の顧客のうち、90%が農村地域に暮らし、10%が都市部で生活していま 提供されます。また、Agrofinanzas は融資金額の回収 Company: Agrofinanzas す。 可能性について判断するに当たり、有望な生産者を選 択し、彼らがどれほど大手食品業者向けに農産物を生 産、販売する契約責任を果たせるかを精査します。現 7,000 99% 在、Agrofinanzas がイチゴ農家向けに提供する融資は “ 6,000 100%の返済率を誇っています。 5,000 99% 98% Agrofinanzasの 4,000 ローン ・ ポー トフォ リオは2008年から 顧客数 3,000 2011年の間で2倍に増え、 ” 2,000 99% 1,000 1億米ドルに達しました。 0 1,541 4,970 4,779 6,594 2008年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  BOP層の顧客数  総顧客数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 7 Apollo Hospitals Enterprise Limited “ インドのApollo Hospitals Groupは、これまで十分な医療サービスの提供を 受けてこなかった農村地域や小さな町に暮らすBOP層の人々に ” 専門的な医療を提供するこ とで、彼らの生活の質を向上しています。 APOLLO HOSPITALS GROUPとは Apollo Hospitals Groupはインドで病院や医療機関のネットワークを所有し、運営する保健医療機 関です。 Apolloは合計8,500床以上を持つ54の病院の経営だけでなく、診療所、健康診断センタ ー、薬局も所有し、運営しています。また、健康管理や医療コンサルティング、教育、トレーニン グ、遠隔医療といったサービスを、あらゆる所得層のインド国民に提供しています。さらに2008年 以降、Apollo Hospitals Groupはこれまで十分な医療サービスを受けてこなかった地域に暮らすBOP 層の人々を対象に割引価格で一定の医療を提供する 「Apollo Reach病院」と呼ばれる比較的小規模な 医療施設ネットワークを事業展開しています。 会社概要 インドでは、25%を超える世帯が BOP層に属し、商品やサービスに費やす金額は1カ月に70米ドル 未満にとどまります。こうした人々の基本的なニーズの多くが満たされておらず、飲料水や金融サ  本社所在地 ービス、教育へのアクセスをほとんど持ちません。 インド これらBOP層の世帯の85%以上は主要都市から外れたところで暮らしています。そして、残念なが 営業拠点 ら、インドの三次医療機関は主な大都市に集中しています。つまり、BOP層のインド国民の大半 は、専門医療サービスへのアクセスをほとんど、もしくは全く持ちません。 インド 設立 BOP層へのアプローチ 1979年 Apollo Reach 病院は BOP 層の人々にも専門医療を受けられるようにすることで、都市部と農村部に おける医療サービスの格差を埋める目的で設立されました。Apollo Reach 病院は Tier II (第2階層)都 年間売上高 市と言われる、まだ開発の進んでいない居住地域で事業を展開し、他の主要病院よりも20%から30 ~244万米ドル(数字はカリムナガルにあるApollo Reach %安く医療サービスを提供しています。Apollo Reach 病院では、低所得層の医療費は、同じ地域に 病院のもの) 居住する高所得層の患者に提供されたサービスの費用から捻出されています。 従業員数 カリムナガルに位置するApollo Reach病院はApollo Hospitals Groupの代表として選出され、G20チ ャレンジへ参加しました。 >1,000人 業種 BOP層へのインパクト 保健医療、教育 Apollo Reach 病院はそれぞれ150から200の病床数を持ち、40の集中治療室と5つの手術室を備えて います。心臓医療、腫瘍治療、放射線医療、神経外科、遠隔内視鏡検査、および血液バンクといっ た専門的な医療サービスのほか、健康診断や完備された臨床設備、歯科、眼科、耳鼻科診療などの 会社沿革 サービスも提供しています。Apollo Reach病院は遠隔地での生死に関わる緊急事態に対応するため、 救急医療に対応するためのヘリコプターも所有しています。 Apolloは1979年に150床規模の病院として事業を設 立、2008年に小さな町や農村地域で医療サービスを提供す さらに Apollo Reach 病院は、患者と専門医を電話やインターネットのビデオ電話でつなぐことによ るApollo Reach病院システムを開始。それ以降、Apolloはイ って、遠隔操作や移動式の医療サービスの提供を可能にしています。これによって、農村地域や郊 ンドの急成長とともに、世界の医療機関の主要拠点として 外で暮らす人々が長い距離を移動し、専門医のセカンド・オピニオンを得るために何週間も待つ必 事業を拡大してきました。今日、Apollo Hospitals Groupは 要がなくなります。そして、こうした人々も医師の診断を受け、健康に関する注意や疾病管理の情 合計8,500床以上を持つ54の病院と1,200店の薬局を経営し 報を電子的に受け取ることが可能になります。 ています。 受賞経歴 Apollo Hospitals Groupは医療界から数々の賞を受賞してい ます。 • 最優秀 高度専門病院(民間部門) その他情報 • 最優秀 高度専門病院(インド国内部門) 公式企業サイト http://www.apollohospitals.com/initiatives_reach.php • 最優秀 高度専門病院(救急医療部門) • 最優秀 民間病院(インド国内部門) 会社概要 http://www.apollohospitals.com/about_company.php 直近のニュース http://www.apollohospitals.com/news.php 8 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Apollo Hospitals Enterprise Limited 本社・営業拠点/事業拡大 Apollo Reach 病院は農村地域や郊外のコストの低さを活用することで、BOP層の人々にも手の届く 価格での医療サービス提供を可能にしています。こうした地域では人件費や土地代、また運営費な どが大都市に比べかなり抑えられます。例えば、物件を手頃な値段で取得でき、医療スタッフや救 急隊員に支払う給与もおよそ30%低く済みます。その結果、Apolloは良心的な価格での医療サービ スを提供しながらも、投資資本から回収する利益を十分な高さに保つことができ、全プロジェクト にかかる費用を20%から25%ほど抑えることができます。Apolloは心臓医療、心臓胸郭部の手術、 整形外科、神経外科、救急医療や心的外傷の治療といったサービスを提供し、インドの農村地帯全 域にApollo Reach病院のチェーンを拡大することを計画しています。 “ 2008年以降、 Apolloは 3つのApollo Reach病院を開設し、 ” 5,000人以上を治療してき ました。  本社  営業拠点 主な開発効果 Apolloの開発効果を示す数字は、カリムナガ ル県 (アンドラ・プラデシュ州) 、カルール 15,000 県(タミル・ナードゥ州) 、ブバネシュワル 12,000 県(オリッサ州) にある3病院のBOP層の顧客 顧客数 9,000 数の合計です。ApolloはBOP層の顧客を、商 品やサービスに費やす金額が1カ月に70米ド 6,000 38% ル未満の人々と定義しています。 70% 61% 3,000 70% 0 1,050 2,322 2,982 5,122 2008年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  BOP層の顧客数  総顧客数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 9 Bakhresa Grain Milling Malawi Ltd. “ BGMは、BOP層の人々が焼き菓子や食品販売のビジネスを始める手助けを ” するこ とで、こうした人々の生活の質を向上させています。 BAKHRESAとは (BGM) Bakhresa Grain Milling Malawi は袋詰めにされた小麦粉を大型製パン会社や小規模ベーカリ ー、小売業者、スーパーマーケット向けに1袋5キログラムから50キログラム単位で小麦粉を販売 する製粉会社です。BGM Malawi はタンザニアやマラウイ、ウガンダ、ケニア、ザンビア、ルワン ダ、モザンビークで食品のほか、運搬、物流を手がける Bakhresa Group のグループ会社です。 BOP層へのアプローチ 会社概要 マラウイの人口の多くは電気などの基本的なサービスが十分行き届いていない小さな町や農村地域 で生活をするBOP層の人々です。こうした人々は移動に必要な資金を持たないため、自給自足の生  本社所在地 活をし、交通機関を利用する機会がありません。そのため、これらの地域では小麦粉やその他の商 マラウイ 品を十分に手にすることができません。たとえ流通していたとしても、法外に高い価格で取り扱わ れていることがほとんどです。 営業拠点 マラウイ BOP層へのインパクト 設立 BGMはBOP層の人々に手頃な価格の小麦粉を供給し、小規模な製パン事業を始めるために力を貸す ことで、こうした人々の生活の質を向上しようとしています。BGMはBOP層内の異なるニーズに対 2003年 応する形で、販売方法を変えています。まず、BGMは5キログラムから10キログラムの小さな袋で 小麦粉を提供していますが、これは小規模なBOP層の小売業者が購入しやすいようにするためで 年間売上高 す。顧客が商品の質を信頼できるよう、小麦粉はばら売りではなく、袋詰めの状態で販売していま ~5,210万米ドル す。また、BGMは遠く離れた農村地域に小型トラックで出向き、その商品をベーカリーや遠隔地で 自家製の焼き菓子やパンを販売する女性、また同社の営業出張所に届けています。 従業員数 101 – 1,000人 そして最も重要なこととして、BGMはドーナッツやスコーン、mandasisと呼ばれる小さな揚げパン の販売方法など、ビジネスに関するトレーニングやワークショップの機会を提供することで、人々 業種 が零細規模のビジネスを立ち上げる支援をしており、それには女性が多く含まれます。ほかにも簿 記や営業のトレーニング、また小麦やパン製品の扱い方法、保存の仕方、および販売についてのワ 農業 ークショップも開催しています。こうした個人事業者に自宅で焼いたり揚げたりしたパンを販売し てビジネスを運営する方法を教授することで、BGMはこうした女性たちが尊厳のある暮らしを自ら 築くことができるよう支援しています。 会社沿革 Bakhresa Groupは1970年代にタンザニアの港湾都市ダルエ スサラームで小さな家族経営のレストランとしてつつましく 事業を開始しました。それ以降、ザンジバル、ウガンダ、ケ ニア、マラウイ、ザンビア、およびモザンビークに事業を拡 大し、今日、同グループは売上高 3 億米ドル、従業員数 2,000人以上の規模まで成長を遂げました。BGM Malawiは 2003年に設立されました。 その他情報 公式企業サイト http://www.bakhresa.com/bakhresa-group/group-companies-list.php Bakhresa http://www.bakhresa.com/bakhresa-group/news.php グループニュース 10 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Bakhresa Grain Milling Malawi Ltd. “ 本社・営業拠点 Mary Chibweyaが学んだよ う に、 Bakhresaから商品やサービスの供給を 受けてベーカ リー事業を営むこ とで、 以前は自身を虐待のリ スクにさらすよ う な仕 事を していた女性たちに ” 自尊心を もたらすこ とが可能です。 — Joseph Scott著 『 Fish for Sex in Nkhotakota 』 より抜粋 Mary Chibweya は BOP 層の中でも最も貧しい人々が生活 を送るマラウイ湖畔のロジ族の村で暮らしています。彼 女の夫が、Maryと5人の子どもたちを置いて出て行った とき、彼女には生活するための選択肢がほとんど残され ていませんでした。彼女は収入もなく、子どもたちに服 を着せ、食事をさせる術を持ちませんでした。最初に、 彼女は地元の猟師たちに売ろうと、近くの森で薪を集め  本社 ました。しかし、薪を売るだけでは生活するために十分  営業拠点 な稼ぎにはなりませんでした。なんとか生きていくため に、彼女は魚と引き換えに猟師たちに体を売ることを始 めました。これは彼女を HIV感染へのリスクにさらすだ けでなく、時には暴力を受けることにつながりました。 主な開発効果 Maryや同じような苦境に立つ他の女性たちのことを聞き つけ、援助機関は彼女らがパンやスコーンを販売するビ 以下の図表は、売買された小さな袋詰めの小麦粉の数を基に推定された開発効果を表しています。 ジネスを立ち上げるための手助けをすることを決めまし この大きさの袋詰めの小麦粉はBOP層の顧客にとって手の届く価格帯で販売されることから、BOP た。援助機関は彼女らに事業を始めるための資金とビジ 層の店員や顧客に好まれます。BOP層の顧客の数は零細規模のベーカリーのほか、BOP層の小売業 ネススキルを身に付けるためのトレーニングを提供しま 者から間接的に小麦粉を購入する最終消費者も含みます。およそ10%から15%の小規模小売業者 した。今日、 Maryは自立し、家族を養い、子どもたちを やパン職人は直接商品の供給を受け、残りは仲介業者から商品を購入しています。 Company: BGM Company: BGM 学校へ送るのに十分な収入を、焼きパンや揚げパンを売 ることで手にしています。 5,000 150 4,000 流通業者の数 100 顧客数 3,000 56% 58% 56% 2,000 54% 54% 42% 50 1,000 0 1,600 1,675 1,780 0 60 65 75 2009年 2010年 2011年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  総流通業者数 Company:BGM BOP層の顧客数  BOP層の流通業者の数  総顧客数に占めるBOP層の割合  総流通業者数に占めるBOP層の割合 2,000 “ BGMの売り上げは 1,500 小売業者の数 1,000 2008年から2010年で15%の   38% 複合年間成長率を 33% ” 31% 500 記録しま した。 0 550 625 735 2009年 2010年 2011年  総小売業者数  BOP層の小売業者の数  総小売業者数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 11 Brilla, a program of Promigas “ Brillaは、コロンビアのBOP層の人々が家の改築をしたり、 零細規模のビジネスを始めたり、学費を支払ったり、 電化製品を購入したりでき るよう、融資を提供することで、 ” こうした人々の生活の質の向上に貢献しています。 BRILLAとは Brillaを運営するPromigasはコロンビアの港湾都市バランキージャに拠点を置くエネルギー資源持ち 株会社で、エネルギー事業のほかに、コロンビアやペルー、パナマで天然ガス輸送と流通、配電、 電気通信事業を展開する18の企業に投資しています。Promigasの家庭用天然ガスを利用する顧客の およそ87%はコロンビアの最低所得層に属します。Promigasが天然ガス事業を開始したとき、対象 顧客のほとんどが定職を持たないこと、そしてガスへの接続に必要な費用が500米ドルと世帯月収 の3倍に相当することが市場拡大の妨げとなっていることに気付きました。 会社概要 Promigasと地域のガス流通業者は最長72カ月間、ガスの接続費用を賄うための代替金融サービスを  本社所在地 顧客に提供することとし、これによってBOP層の人々も天然ガスを利用できるようにしました。し コロンビア かし、市場占有率が伸び、多くの顧客がガスの供給ライン導入費用を完済するにつれ、Promigasは 他の収益源を探し始めました。 営業拠点 そして、企業調査から、Promigasの顧客の間で床材や電化製品、コンピューターなどの住環境の改 コロンビア 善にかかる費用を融資してほしい、あるいは学費を支払うための信用供与を提供してほしいとの要 設立 望が非常に高いことがわかりました。Promigasの顧客の多くはセメントの床やベッド、冷蔵庫、コ ンロといった基本的な設備を持たず、BOP層であることから、銀行の提供する金融サービスへのア 2007年 クセスを持たない人が大半でした。こうした人々がお金を借りる唯一の手段は、年間で最大240% の利子を請求するような非公式の金融業者でした。 年間売上高 ~3,060万米ドル BOP層へのアプローチ 従業員数 Promigasは自社が持つ最も価値のある資源でもある、顧客200万人それぞれの支払い方法の習慣に 26 – 100人 関する細かな情報を活用し、Brillaという新たなプログラムを展開することにしました。同社は顧客 に天然ガス供給ラインを設置する費用を融資していく過程で、顧客への請求履歴と支払い習慣に関 業種 する記録をデータベースに蓄積してきました。そして、この情報を用いることで、Promigasはどの 顧客がガス料金を常に期日通りに支払ってきた信用リスクの低い人物かを判断し「成績」 を付けるこ 金融 とを始めました。そして、「成績」の良い顧客に対して、生活の質を向上するために他の商品を購入 する上で必要な資金を融資する事業を始めました。 会社沿革 500米ドルのガス接続費用を完済した時点で、その顧客はBrillaの対象となり、さまざまな商品を購 入するための信用供与の申請をすることができます。Brillaを通して貸し出される資金は現金の形で Brillaは2007年当初、非銀行系の金融サービスプログラムと 顧客に直接手渡されるのではなく、特定の店舗で顧客が商品と交換できる証明書の形で届けられま してブランド名を持たずに始まり、同年12月にBrillaと名付 す。 けられ、マーケティングキャンペーンが開始されました。 そして、Brillaが事業を展開する地域の地元のガス流通業者 に対して、天然ガスを利用する人々が持つ信頼を活用する BOP層へのインパクト ため、Promigasとガス流通業者がこのBrillaブランドの支持 250万人の顧客のうち、Promigasが現在Brillaを通して資金援助を行っているのは60万人以上に上り を公式に表明しました。 ます (設立以来の累計)。PromigasはBrillaを同社の最も重要な事業のひとつとして位置付けていま 2009年、Brillaは人々がコンピューターを購入するのを支援 す。それは、単に同事業がBOP層の人々の生活の質の向上に役立つからだけではなく、利益を生む し始め、今日ではBrillaの昨年の総売り上げの24%を占める からです。そして、それは長期的に持続可能な事業となる可能性を持つことを意味します。 ベストセラー商品となっています。2010年にはマイクロイ ンシュアランスの販売を開始。2011年には戦略情報サービ ス企業と新たに提携を結び、市場を拡大して教育向けの融 資を増やしました。この教育ローンには642人の学生に対し て融資された計27万2,000米ドルなどがあります。 12 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Brilla, a program of Promigas “ 本社・営業拠点/事業拡大 Brillaの成功は、 今日、Brillaはコロンビア全土で展開され、アトランティコ、マグダレナ、セサル、グアヒラ、スク 信用供与が行われるならば レ、コルドバ、ボリーバル、バジェ・デル・カウカ、キンディオ、カルダス、リサラルダの11の県 BOP層の顧客は期日通り に返済を行うことを ” に渡ります。 実証しています。 Brillaの成功は、信用供与が行われるならばBOP層の人々 は責任を持って行動することを実証しています。Brillaは 慈善活動ではなく、ビジネスとしてBOP層の人々と関係 を構築することで、こうした人々が金融システムに迎え 入れられるよう手助けしています。今日までにBrillaは3 億米ドルを融資し、そのうち支払期日を60日以上経過し ているものは1.28%のみにとどまります。 Brillaの顧客の中には、屋外で遊ぶよりも安全な家の中で 子どもたちが過ごすように促すため、コンピューターを 購入する資金を融資してほしいと要望する者がいます。 ほかには、家族の生活の利便性向上のために電化製品を 購入したい、また零細規模の事業を始めたいと希望する 者や、洋服を作って販売するためにミシンを購入した  本社 り、冷たい清涼飲料水を販売するために冷蔵庫を購入し  営業拠点 た例があります。ある女性はカートと洗濯機を購入し、 家から家へと洗濯機を入れたカートを引いて回り、住人 の洋服を洗濯して収入を得ていました。 主な開発効果 Company: Brilla PromigasはBOP層世帯を1カ月268米ドル未満で生活する家族と定義しています。 “ 3.0 顧客数 2.5 BrillaはPromigasと ︵単位 そのサプライヤー、 2.0 1.5 小売業者の中で1,000以上の 百万人︶ 1.0 0.5 新たな雇用を創出し、 7% 7% 経済波及効果を 6% 4% ” 0 121,000 76,400 168,100 182,900 生み出しています。 2008年 2009年 2010年 2011年  Promigasの総顧客数  Brillaの顧客数  Promigasの総顧客数に占めるBrillaの顧客数の割合 その他情報 公式企業サイト http://www.promigas.com/wps/wcm/connect/web_content/NeoPromigas/inicio(スペイン語) http://www.promigas.com/wps/wcm/connect/NeoPromigas/English(英語) Brilla設立に関する http://www.promigas.com/wps/wcm/connect/Web_Content/promigas/english/more+links/press+room/news/comunicado+informe+anual+ingles-2008 解説 (英語) 出版物 http://www.promigas.com/wps/wcm/connect/web_content/NeoPromigas/informese/Publicaciones/(スペイン語) G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 13 Corporación Universitaria Minuto de Dios “ Uniminutoは、コロンビアのBOP層の学生にローンを提供するこ とで、 ” 高等教育に手の届く 環境を作り出しています。 CORPORACIÓN UNIVERSITARIA MINUTO DE DIOSとは (Uniminuto) Corporación Universitaria Minuto de Dios はコロンビア全土で42カ所を拠点に6万人の 学生を抱える大学で、遠隔地の生徒には通信教育プログラムも提供しています。Uniminutoの学生 は大抵、コロンビア政府が定義する6つの社会経済階層の下から3つまでの区分の出身者です。ま た、同大学のキャンパスの大半が低所得層の生活する地域に位置しています。そして、Uniminuto の生徒の約3分の2を女性が占め、キャンパスの多くは女性がこれまで高等教育を受けることができ なかった地域に位置することからも、これを特に誇りとしています。 BOP層へのアプローチ 会社概要 教育をBOP層の人々により手の届くものにするため、Uniminutoは学費を抑える方法として地域の  本社所在地 公的および民間の共同出資者を見つけだし、コロンビア政府とも協力してBOP層の学生たちに長期 コロンビア の学生ローンを提供しています。こうした助成金や融資によって、BOP層の学生が1学期に負担す る授業料は400米ドルから1,400米ドルとなっており、Uniminutoが学生に毎月支払いを求める額は 営業拠点 100米ドルから200米ドルにとどまります。Uniminutoの42のキャンパスは低所得層が暮らす地域に 位置し、都市や小さな町からジャングルの入植地にまで至ります。平日の講義に出席している学生 コロンビア は全体の28%で、他の33%は夜間講座を、また39%は遠隔通信講座を履修しており、大半の学生 が在学中も働いています。さらに、Uniminutoは各地域のニーズに合わせた学習プログラムを提供 設立 しており、約半数の学生が3 年制の工業技術・工学科に、残りの半数が専門課程に在籍していま 1992年 す。 年間売上高 BOP層へのインパクト ~4,150万米ドル Uniminutoは質の高い学校に通うための資金を融資するだけでなく、卒業要件のひとつとして同校 従業員数 の学生に低所得層のコミュニティーでボランティア活動をするよう求めることで、BOP層の人々の 生活水準向上に貢献しています。そして最も重要な点は、Uniminutoが低コストな高等教育に対す >1,000人 るニーズがあることを実証することで、他の教育機関も同様の事業モデルを導入するよう促してき 業種 たことです。 保健医療、教育 会社沿革 (Uniminuto) Corporación Universitaria Minuto de Dios は 1992年に Corporación El Minuto de Dios と非営利団体の Center Minuto de Dios および Congregation of Jesus and Mary によって設立されました。同大学の土木工学科は1992 年に開始し、コミュニケーション学科とジャーナリズム学 科は1993年に始まりました。 その他の情報 公式企業サイト http://portal.uniminuto.edu/(スペイン語) 直近のニュース http://portal.uniminuto.edu/index.php/component/ seyret/?task=allvideoslist(スペイン語) 直近の関連報道 http://portal.uniminuto.edu/index.php/actualidad/uniminuto-enmedios. html(スペイン語) 出版物 http://portal.uniminuto.edu/index.php/multimedia/publicaciones- uniminuto.html(スペイン語) 14 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Corporación Universitaria Minuto de Dios “ 本社・営業拠点/事業拡大 低コストな高等教育へのニーズがあるこ とを Uniminutoは2018年までに学生数が11万人を超えると予想しています。 実証することで、Uniminutoは 他の教育機関も同様の事業モデルを 導入するよう促し、コロ ン ビアの需要と 開発目標に即した形で教育の改善を ” 進めています。  本社  営業拠点 主な開発効果 Uniminutoは2011年の時点で顧客の3分の2にあたる約4万人の学生がBOP層だと推定しています。 Company: Uniminuto 学生登録をした時点での学生の家族1世帯あたりの収入は、平均して1カ月でおよそ500米ドルだと されています。 “ 60 過去10年間でUniminutoは 顧客数 67% 40 ひとつのキャ ンパスに ︵単位 67% 2,000人の学生が在籍する 67% 大学から、 42カ所を拠点に 千人︶ 20 67% 約6万人の学生を抱える大学へと ” 0 12,837 17,397 30,961 39,988 2008年 2009年 2010年 2011年 成長を遂げま した。  総顧客数  BOP層の顧客数  総顧客数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 15 Ecofiltro “ Ecofiltroは、現地で入手可能な原材料と労働力を活用し、 ” 低コス ト な浄水フ ィルターを製造しています。 ECOFILTROとは Ecofiltroは、現地の原材料と労働力によって組み立てが可能な、安全かつ手頃な価格の、環境に優 しい粘土製の浄水フィルターの製造・販売事業を展開しています。 Ecofiltroの浄水フィルターは、粘土、おがくず、およびコロイド銀の3つの材料で作られており、開 発途上国でも簡単に製造することが可能です。フィルターの細孔は非常に小さく、水中に混入した バクテリアや寄生虫、糞便は通さず、水だけを透過させるよう設計されています。またこのフィル ターは、水から悪臭や色を取り除き、容器内部の水を冷たく保ちます。さらに、持ち運びも非常に 簡単で、現地の原材料を用いて作られているため、手頃な価格で購入することができます。 会社概要 BOP層へのアプローチ  本社所在地 Ecofiltroの顧客の多くは、この浄水フィルター装置を自宅に設置するまでは、安全な飲料水へのア グアテマラ クセスを持ちませんでした。こうした顧客は、自給自足の生活をしているか、コーヒーや砂糖を栽 培する地元の大農園で季節労働者として働くことで、なんとか生計を立てています。そのため、一 営業拠点 家の働き手が汚染された水による腸内感染を患うと、家族全員の暮らしが立ち行かなくなることも グアテマラ あります。 設立 BOP層へのインパクト 2009年 Ecofiltroを自宅に設置して使用を開始すると、水を煮沸する必要がなくなるため、薪の使用量が減 年間売上高 り、また汚染された水が原因の腸内感染を治療するために必要な薬代も減ります。清浄水を飲むよ うになると、感染症にかかる頻度が少なくなるので、子どもが学校で勉強する時間が増え、親もよ ~74 万4,000米ドル り多くの時間を仕事に費やすことができるようになります。 従業員数 都市部の顧客にとっても、Ecofiltroのバリュープロポジションは明らかです。グアテマラ都市部に暮 26 – 100人 らす平均世帯は、年間200米ドル以上をミネラルウォーターの購入に費やしています。一方、Ecofiltro のフィルター装置なら、わずか35米ドルで十分な濾過水を手にすることができます。また、同社は都 業種 市部の消費者向けに、左上写真のような高級フィルター装置を販売することで利益を上乗せしてい 水 ます。その結果、農村部ではフィルター装置を割引価格で販売することができ、さらに学校や病院 に対しては無償提供することが可能となります。 Ecofiltroは現地で工場を操業することで、直接的な雇用機会も創出しています。現在、工場では農 会社沿革 村地域出身の従業員33人が勤務しており、同社はこれら従業員に住宅や食糧のほか、読み書きのト Ecofiltroの浄水フィルターは1981年に初めて開発されまし レーニングも提供しています。その結果、彼らの収入は工場での職を得たことで以前の3倍以上に たが、その後何年もの間、大量生産されることはありませ もなりました。さらに同社は、これまで収入のなかった女性も雇用し、販売員として訓練していま んでした。Ecofiltroは当初、事業資金を補助金や寄付金で賄 す。こうした女性は、Ecofiltroの製品カタログを持ってBOP層の顧客を訪問し、フィルター装置の う財団として設立されましたが、提携先のNGOによるフィ 戸別販売を行っています。 ルターの購入は不定期であり、インクルーシブ・ビジネス として事業を開始するまで、困難な道のりを歩みました。 しかし、国際NGOであるワールド・ビジョンのプログラム からの支援によって同社フィルターの流通量が一気に増え たことで、2007年からEcofiltroの事業は軌道に乗り始めま した。2011年には、フィルター装置の年間生産能力を従来 の2万5,000台から12万台へと拡大するため、新たに工場を 建設しました。 その他の情報 公式企業サイト http://www.ecofiltro.org/(スペイン語) http://www.ecofiltro.org/en(英語およびスペイン語) 製品紹介ビデオ http://www.ecofiltro.org/documental-institucional-0(スペイン語) 顧客の声 http://www.ecofiltro.org/testimonios-0(スペイン語) 16 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Ecofiltro “ 本社・営業拠点/事業拡大 Ecofiltroのビジネスモデルは、どんな開発 ” Ecofiltroは、過去3年間で5万3,000台以上のフィルター装置を販売し、30万人以上に恩恵をもたら 途上国においても再現可能です。 しました。同社の昨年の売り上げは前年比50%増、利益も前年の3倍以上となりました。現在の顧 客基盤には、 NGO10 団体のほか、流通業者 8 社と 73 人の女性訪問販売員を通じて獲得した 32 万 6,000人のBOP層の顧客が含まれます。従来の設備では生産可能なフィルター装置の数は年間2万台 に限られていましたが、新たに操業を開始した工場は年間12万台のフィルター装置を生産する能力 を備えています。 2011年のフィルター装置の売り上げは75万米ドル、2012年には250万米ドルの売り上げを見込ん でいます。  本社  営業拠点 主な開発効果 Company: Ecofiltro Company: Ecofiltro Company: Ecofiltro Ecofiltroは、73人の女性訪問販売員を通じて32万6,000人のBOP層の顧客を獲得しました。 450 12 100 400 顧客数 350 78% 92% 9 75 小売業者の数 流通業者の数 300 ︵単位 92% 250 81% 6 42% 50 200 91% 千人︶ 150 95% 50% 38% 100 3 29% 25 50 0 88,000 155,464 225,921 325,927 2 3 3 5 0 54 73 0 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  総流通業者数  総小売業者数  BOP層の顧客数  BOP層の流通業者数  BOP層の小売業者の数  総顧客数に占めるBOP層の割合  総流通業者数に占めるBOP層の割合  総小売業者数に占めるBOP層の割合 “ Ecofiltroは、自社製フィルターに対する 高い需要に対応するため、近年には ” 生産能力を拡大しま した。 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 17 Engro Foods Limited “ Engro Foodsは、生乳回収に不可欠なイ そのイ ンフラを整備し、 ンフラに ITソリ ューシ ョンを融合することで、パキスタ ンの農村地域の零細酪農家が ” 自宅近く からでも公式経済に参加でき るよう支援しています。 ENGRO FOODS LIMITEDとは (Engro) Engro Foods Limited は、乳製品、ジュース、アイスクリーム、その他冷菓を製造・加工・ 販売するパキスタンの食品会社です。Engroの主力事業は酪農業であるため、生乳の調達は同社に とって最も重要な活動のひとつです。パキスタンの酪農セクターは規模が大きく、乳畜の数は 6,700万頭以上に上ります。しかし、同国の酪農業は、生乳の大半が大農場で生産されている他の 酪農国とはその事業展開が大きく異なります。パキスタンでは、何百万頭の家畜が広大な国土全域 にわたって分散しており、各農場の規模は非常に小さくなります。 会社概要 パキスタンの酪農家800万世帯の大半はBOP層に属し、平均的な世帯が所有する乳畜の頭数は1世帯 あたり2頭から5頭です。ミルクの生産量は少なく、その原因としては原始的な農法、技術と知識の  本社所在地 不足、不十分な肥育形態や家畜の獣医サービスの欠如などが挙げられます。零細酪農家の97%以上 パキスタン は農村地域に住んでおり、自らミルクを販売できるような市場へのアクセスを持ちません。そして ミルクを販売する場合、こうした酪農家は大抵、仲買人による搾取、不当な買い取り価格の設定、 営業拠点 支払いの遅れなどの問題に直面します。その結果、大部分の零細酪農家は 「裏庭農園」で自家消費用 に家畜を飼育するばかりで、それをビジネスとして成立し得る、将来性ある事業としては捉えてい アフガニスタン、パキスタン ません。 設立 BOP層へのアプローチ 2004年 Engroは、零細酪農家から生乳を調達することで、パキスタンの酪農セクターに大きな変革をもた 年間売上高 らそうと努めてきました。その一環として同社は、遠く離れた農村地域に生乳の調達施設を設置 ~209億パキスタンルピー し、パケットデータ通信サービスGPRSを搭載したモバイル機器を通じて調達の管理を行う情報シス テムを用いることで、零細酪農家からの生乳の調達を可能にしました。同社は、農家が予約せずに 従業員数 生乳を持ち込み、その場で売却できる施設を1,000カ所以上運営しています。生乳はその後250台以 >1,000人 上の車両で回収され、調達施設から加工工場へと輸送されます。酪農家は週単位で支払いを受け取 るほか、1,500人以上からなる同社の現場チームによって一連のサポートを受けています。この管 業種 理情報システムの活用により、供給元の酪農家への迅速かつ正確な支払いが可能となっただけでな く、リアルタイムで調達プロセスを監視しながら、サプライヤーの要望に応じて支払い頻度を変え 乳製品 ることもできるようになりました。 会社沿革 BOP層へのインパクト Engro Foods Limited は、パキスタンで最大手の複合企業の1 Engroは、酪農家の自宅近くで生乳回収を可能とする調達網、そして乳畜の飼育やミルク生産に関 社で、化学肥料、PVC樹脂、液体化学品用タンク・ターミナ する現場研修や技術指導を併せて提供することで、零細酪農家が事業として酪農を営むよう働きか ル、産業用機械、発電、商品取引、および食品の7部門で事 けています。こうした同社の取り組みは、何十万人もの零細酪農家の生活水準の向上につながって 業を展開するEngro Corporation Limitedが100%出資する子 います。 会社として、 2004 年に設立されました。酪農業を皮切り に、同社は他の食品分野にも事業を拡大しています。南部 の都市サッカルと北部の都市サヒワルに生乳加工工場を、 またサヒワルにアイスクリーム工場を所有するほか、酪農 場も所有および経営しています。ごく最近では国際市場に も参入しました。最初の国際事業は、イスラム教の戒律に 従って処理された食肉 (ハラル・フード) を販売する北米の 食品会社、Al Safa Halal, Inc. (Al-Safa)の買収でした。 その他の情報 公式企業サイト http://www.engro.com/our-businesses/engro-foods-limited Engro Corp http://www.engro.com 公式企業サイト 18 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Engro Foods Limited “ 本社・営業拠点/事業拡大 Engroのビジネスモデルは、 Engroは急速にその事業を拡大しています。2006年以降、同社の売り上げは20倍に成長し、2006 小さな村に暮らす人々に焦点をあてるこ とで、 年から2011年の間に生乳調達量は3倍に増えました。国内1,000カ所に上る調達施設で仕入れた生 彼らの市場参加を促進し、 乳は、250台の車両を使って加工工場に輸送されます。また、1,500人以上からなる現場チームを通 生活水準を向上させ、 ” じて、供給元である酪農家の生産量向上に向けたさまざまな支援を提供しています。 国全体の経済発展に寄与しています。  本社  営業拠点 主な開発効果 主な財務安定性の指標 Engroの直接的および間接的サプライヤーは12万5,000人に上ります。また、こうしたサプライヤー Engroは2010年度より純利益を計上しています。また、2008 Company: Engro のほぼ全員が BOP層の人々です。 年度および2009年度の損失は、事業の急速な成長を支えるた Company: Engro めの投資によるものです。 “ 150 21 20.94 93% 遠く 離れた農村地域で1,000カ所 売上 供給者の数 96% 18 ︵単位 97% 95% 100 以上の調達施設を運営し、 15 14.67 BOP層の人々の生活水準を 12 ” ︵単位 十億パキスタンルピー︶ 9 8.17 50 改善しています。 6 4.39 千人︶ 3 2.72 1.05 0.18 0 100,000 110,000 115,000 125,000 0 2008年 2009年 2010年 2011年 (0.55) (0.43) 2008年 (EOY) 2009年 (EOY) 2010年 (EOY)  総供給者数  BOP層の供給者の数  総売上  総供給者に占めるBOP層の割合  売上総利益  純利益  純損失 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 19 Jain Irrigation Systems Limited “ Jainは、農家の人々に灌漑設備を提供するこ とで、年間で1エーカーあたり ” 100米 ドルから1,000米ドルの生産高増加を可能にしています。 JAIN IRRIGATION SYSTEMS LTD.とは (JISL) Jain Irrigation Systems Ltd. は小規模農家の農業生産高を増やすために、インドで灌漑設備の製 造、および販売を行っています。また、Jainは顧客が生産する農作物を仕入れ、顧客の農業生産に おける効率性向上の恩恵を享受しています。 BOP層へのアプローチ インドでマイクロ灌漑システム大手のJainは点滴灌漑システムの市場で55%、またスプリンクラー 灌漑システムの市場で35%のシェアを誇っています。Jainは小規模農家と食料サプライチェーンの 会社概要 両端で連携しており、その始端では新しい技術に関心のある農家にマイクロ灌漑システムを販売 し、効率的な作付けや灌漑、収穫方法についてのトレーニングを提供し、また有機農薬と高収穫品  本社所在地 種の種を販売しています。一方でサプライチェーンの終端では、小規模農家から農作物を調達して インド います。 営業拠点 BOP層へのインパクト インド、米国、イスラエル、スイス、トルコ、 点滴灌漑システムや、スプリンクラー灌漑システムに代表されるマイクロ灌漑システムは、通常の 南アフリカ、イギリス、チリ、ブラジル、スペイン、 灌漑システムと比較して水利用とエネルギー効率に優れています。水とエネルギーの消費量が大き オーストラリア(製造拠点のある国) い伝統的な灌漑方式からマイクロ灌漑システムに切り替えることで、農家は1エーカーあたり100米 ドルから1,000米ドルほど所得を増やすと同時に、1年あたり5億立方メートルの水を節約すること 設立 が可能になります。 農業生産に必要な投入物を取り扱う商社として1963年発 足。1978年に製造業に参入。 Jainの事業はインド政府から補助金を受けており、この支援によって5ヘクタール以下の耕作地しか 持たない農家が設備を購入する際、その費用の50%が負担されています。残りについては、農家自 年間売上高 身が負担するか、銀行から融資を受けて賄います。 ~333億インドルピー Jainは2,000人の流通業者および技術者を対象に営業、商品配達、利用方法についてのトレーニング を実施する研修施設も運営しています。そしてこの流通業者とJainの社員である農業専門家と技術 従業員数 者が農家に必要な訓練を提供します。また、Jainは農作物の調達先として2,100の契約農家を抱えて (7,200) >1,000 人 おり、かなり細分化された市場においても高い食品の安全性と正確な生産履歴管理を維持していま す。 業種 農業、水、金融、小売 会社沿革 Jain は当初、農業用の肥料、種、農薬の取引を行う商社と して1963 年に設立。 1978 年にバナナパウダーの製造工場 を購入し、食肉軟化剤に使われるパパインの製造を開始す る。1980年にはPVCパイプの製造に着手し、1989年にマイ クロ灌漑設備事業に参入。1994年からは乾燥玉ネギ、果物 のピューレ、濃縮果汁、果実パルプを生産する食品加工事 業を展開している。 その他の情報 公式企業サイト http://www.jains.com/ サービス概要 http://www.jains.com/Solution/index.htm Jainについて http://www.jains.com/Company/index.htm 20 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Jain Irrigation Systems Limited “ 本社・営業拠点/事業拡大 Jainの技術を利用するこ とで、 バナナの生産量が1エーカーあたり ” 現在 Jainは事業を中東、ヨーロッパ、オーストラリア、中南米、アフリカ、および北米で展開して います。 8~10 ト ト ンから30~35 ンへと増えました。 — Dr. Dilip N. Kulkarni, President, Sustainable Agriculture ある顧客は Jainの実証農地を訪れ、その高い生産性を目 にした後、彼は教師としての仕事を辞めて農家へと転向 しました。Jainの技術を利用することで、バナナの生産 量が1エーカーあたり8~10トンから30~35トンへと増 えました。現在、彼の農場は60エーカーまで拡大し、毎 年200人の地域の農家らを自身の農場でトレーニングし ています。  本社  営業拠点 Company: Jain Company: Jain Company: Jain 主な開発効果 300 3,000 2,500 90% 顧客数 250 2,500 2,000 80% サプライヤー数 60% 85% 82% 88% 流通業者数 200 2,000 ︵単位 93% 1,500 80% 60% 150 63% 1,500 76% 1,000 千人︶ 100 58% 1,000 50 500 500 0 70,000 120,000 144,000 188,000 0 1,500 1,800 2,000 2,100 0 950 1,200 1,600 2,100 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  総サプライヤー数  総流通業者数  BOP層の顧客数  BOP層のサプライヤー数  BOP層の流通業者数  総顧客数に占めるBOP層の割合  総サプライヤー数に占めるBOP層の  総流通業者数に占めるBOP層の割合 割合 Company: Jain 主な財務指標 Jainの純利益は洪水の影響により、2008年か 36 売上 33.31 ら2009年にかけて減少しました。しかし、同 ︵単位 30 27.23 社の年間成長率は 2008 年から 2010 年にかけ 24 て24%を記録しています。Jainの顧客の30% 21.79 十億インドルピー︶ から 40% は政府からの補助金を受けていま 18 す。 12 6.65 6 3.52 3.97 1.46 1.20 2.71 “ 0 2008年 (EOY) 2009年 (EOY) 2010年 (EOY) 今日、Jainは世界中で ”  総売上 7,200人を雇用しています。  売上総利益  純利益 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 21 Manila Water Company, Inc. “ Manila Water Companyは、フィリピンに暮らすBOP層の人々に ” 安全で低価格な飲料水を供給しています。 MANILA WATER COMPANYとは Manila Water Company は首都マニラ圏内の23の都市と自治体に暮らす 600万を超える人々に対し て安全な飲料水と下水道設備を提供しています。 1990年初頭、マニラ地域の上下水道のネットワークは危機的状況にありました。飲料水へのアクセ スは限られ、地域内の古くなった水道管は頻繁に漏水し、わずかな地区にしか24時間体制で水が供 給されませんでした。ほとんどの人々が飲料水や下水道設備を利用できず、水といえば、給水車か ら購入するか、公共の蛇口から汲んでくるか、他には汚染されている浅い井戸水だけでした。 国営のマニラ首都圏上下水道公社はこうした状況に対応することができないでいました。そのた 会社概要 め、1995年にフィリピン政府は水資源危機に関する法律を制定し、大統領の権限を1年間の期限付 きで拡大し、これを受けて当時の大統領が水道事業の運営を民間セクターに委託することを決定。  本社所在地 そして1997 年、Manila Water Companyはマニラ首都圏東部の地域における上下水道設備の運営権 フィリピン を独占的に得ました。この地域には約600万人が暮らし、マカティ、パッシグ、マンダルヨン、マ リキナ、サンファン、タギッグの各都市のほか、ケソン市の大部分、マニラ市の一部、パテロス 営業拠点 町、および東部に位置するリサール州の都市と町が含まれます。 フィリピン BOP層へのアプローチ 設立 1997年 新たな契約のもと、Manila Water Company は3,200キロメートルの新規パイプラインの設置、水道 管への不法接続が原因の盗水対策、そして1日あたり1億リットルの下水処理が可能な33の浄水場を 年間売上高 建設したことで下水処理のサービス範囲拡大を達成しました。以降、漏水や盗水が原因の無収水率 は2010年に63%から14%へと減少、2011年には11%まで下がり、水道水の24時間給水率は26%か ~110億フィリピンペソ ら99%にまで改善しました。また、規定の水質基準に対する達成率は100%を誇っています。Manila Water Company はこうしたすべての記録を達成する一方で、事業開始以降、最高の純利益も生み 従業員数 出しました。 >1,600人 BOP層へのインパクト 業種 水 Manila Water Companyの使命のひとつとして、BOP層のコミュニティーにおける衛生状況の改善が 挙げられます。安価な水道料金と柔軟な支払いシステムの設定のほか、同社はBOP層の人々の生活 水準向上を目的とした「生活改善プログラム」 を運営しています。例えば、タガログ語で 「貧しい地 会社沿革 域社会に水を」を意味するプログラム、Tubig Para sa Barangay はマニラ市の周辺地域に住む低所得 層の顧客を対象に飲料水の給水を24時間体制で行っています。そのほかにも、上下水道設備がそれ Manila Water Company は、一民間企業がビジネスとして成 までなかった周辺地域にある公共施設を対象としたプログラムでは、学校、病院、刑務所、市場、 立するだけでなく、BOP層に利益をもたらすような包括的か 孤児院に洗濯場や水飲み場を設置して150万を超える人々の水へのアクセスを向上しています。 つ環境に負荷のかからない方法で事業を展開できることを実 証しています。同社の決算は2001年に黒字に転じ、それ以降 順調に業績を伸ばしています。2009年には、政府の規制当局 は当初25年間だったコンセッション契約を2037年まで15年 間の延長をしました。最近では、Manila Water Company は ボラカイ島やアクラン州などの観光地やラグナ州、パンパ ンガ州クラークでの水道事業の運営、管理を請負う契約を 結びました。 その他の情報 公式企業サイト http://www.manilawater.com/ 消費者情報 http://www.manilawater.com/section.php?section_id=5 投資家情報 http://www.manilawater.com/investors/index.php 新着情報 http://www.manilawater.com/investors/news-updates.php 22 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Manila Water Company, Inc. “ 本社・営業拠点/事業拡大 Tubig Para sa Barangayは私たちの 現在 Manila Water Company は海外での事業展開も行っています。インドでは、無収水率の減少や 生活に安心を もたら しま した。 水の供給などに取り組む事業を開始しています。ベトナムでは、ホーチミンで漏水率の低下に取り もうこれまでのよ う に、 組んでいます。 高いミ ネラル ・ウ ォーターを買う必要や、 水を汲むために列に並ばなく て ” 済むのです。  本社  営業拠点  事業展開計画 主な開発効果 Tubig Para sa Barangay などの BOP層を対象としたプログラムには BOP層以外の顧客は含まれませ Company: Manila Water Company: Manila Water ん。Manila Water Company の展開する事業全体では、総顧客の 27.9%が BOP層の顧客で占められ ます。 1.25 100 顧客数 1.0 80 ︵単位 流通業者数 0.75 60 0.50 40 百万人︶ 24.4% 26.5% 27.9% 23.4% 0.25 20 >2% >2% >2% >2% 主な財務安定性の指標 Company: Manilla 0 230,000 244,000 282,000 287,000 0 2 2 2 2 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年 売上  総顧客数  総流通業者数 12 11.01 ︵単位 Company:  Manila Water BOP層の顧客数  BOP層の流通業者数 9.53 10 8.92  総顧客数に占めるBOP層の割合  総流通業者数に占めるBOP層の割合 8 7.24 十億フィリピンペソ︶ 6 5.24 5.58 100 4 “ 80 2 サプライヤー数 60 Manila Water Companyは、 0 2.79 3.23 3.99 2008年 (EOY) 2009年 (EOY) 2010年 (EOY) 40 一民間企業がビジネス として 20 成立するだけでなく 、  総売上  売上総利益 >6% 6 >6% 6 >6% 6 >6% 6 貧困層に利益を もたらすよ うな  純利益 0 2008年 2009年 2010年 2011年 包括的かつ環境に負荷のかからない 方法で事業を展開でき ることを ”  総サプライヤー数  BOP層のサプライヤー数  総サプライヤー数に占めるBOP層の 実証しています。 割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 23 Millicom International Cellular “ Millicomは、ラテンアメリカやアフリ カなど新興市場の顧客に対し、 手頃な価格で利用しやすい携帯電話サービスや、 ” 金融サービスを含むモバイルソ リューションを提供しています。 MILLICOMとは Millicomは、新興市場を対象に事業を展開する電気通信事業者で、音声、データ、ケーブルテレ ビ、その他の付加価値サービスを提供しています。 ラテンアメリカおよびアフリカ地域の14カ国に 営業拠点を置き、Tigoというブランド名で事業を展開しています。 BOP層へのアプローチ Millicom は、最低所得層にも手の届く価格設定でのサービス提供を実現しています。同社の音 会社概要 声、SMSおよびデータサービスはプリペイド式で、追加のクレジットはわずか0.10米ドルほどの単 位から購入可能です。2011年現在、携帯電話サービスの利用額は顧客1人あたり月平均10米ドル未  本社所在地 満で、さらに顧客全体の約3分の1は、その利用額が月平均1米ドル未満となっています。Millicom ルクセンブルグ は現在、13カ国で携帯電話サービスを提供していますが、そのうち現金経済 (市場での取引の90% 以上が現金で行われる経済) が主流となっている7カ国で、既にモバイル金融サービスを開始しまし 営業拠点 た。同社は、携帯電話サービスに加え、低価格でアクセスしやすい金融サービスを、銀行口座を持 携帯電話ネットワーク:エルサルバドル、グアテマラ、 たない人々に提供することを目指しています。 ホンジュラス、ボリビア、コロンビア、パラグアイ、チ ャド、コンゴ民主共和国、ガーナ、モーリシャス、セネ BOP層へのインパクト ガル、タンザニア、ルワンダ 携帯電話サービスが手頃な価格で手に入ることで、BOP層の人々は雇用機会の追求、農作物の価格 固定電話サービス:コスタリカ、エルサルバドル、グア などの市場情報の入手、医師による診察や医療保険への加入、送金や資金の受け取りなど、さまざ テマラ、ホンジュラス、ニカラグア まなサービスおよび機会へアクセスできるようになります。また、輸送手段や固定電話回線などの インフラが不十分または不確かな国では、携帯電話が最も有効な連絡手段となります。 設立 Millicomは、モバイル通信の対象範囲を低所得地域へ確実に拡大するための取り組みを行っていま 1990年 す。また同社は、顧客が通話時間のクレジットを使い果たしてしまったような場合にも、重要な要 件であれば継続して電話をかけられるよう手配し、顧客が次回通話時間を購入する際に、併せて料 年間売上高 金を請求しています。Millicomが顧客に貸し与える通信時間の価値は、ほとんどの場合小額 (1米ド ~45億米ドル ル未満) です。しかし、こうしたサービスは、大半が1日1米ドル未満で生活している同社の顧客層 のニーズを確実に捉えるものであり、結果として大きな成功を収めています。「Tigo Lends You」 従業員数 と呼ばれるこのサービスは、 2011 年には 1,500 万人の顧客に利用されており、同年 12 月だけで 1,000 – 1万人 6,400万件の取引が行われました。 業種 また、Millicomの同一サービスエリア内での電子マネー送金サービスを利用すれば、都市部で働く 家族の一員が、地方の親戚に送金を行うことも可能です。この電子マネー送金サービスは、同社が 電気通信サービス 携帯電話事業を展開する全13カ国のうち7カ国において利用可能で、 「Tigo Cash」というブランド名 で販売されています。 会社沿革 Millicomは、営業拠点を持つ国々においては最大手クラスの直接または間接雇用主です。2011年末 時点で、68万以上の販売スポットを持ち、その一部には街角でTigo製品を販売している個人の露天 Millicom Incorporated は、米国における携帯電話ビジネス 商も含まれます。 の機会をつかむため1979年に設立され、1982年には米国連 邦通信委員会より携帯電話事業の開発免許を取得していま す。翌1983年には、スウェーデンでモバイル事業免許を保有 するIndustriförvaltnings AB Kinnevik (Kinnevik)と連携し、 携帯電話事業の国際免許の申請を開始しました。 その他の情報 そして、1990年12月14日にはKinnevikとMillicomが国際的 なモバイル事業サービスの展開を視野に入れて、Millicom 公式企業サイト http://www.millicom.com/ (MIC) International Cellular S.A. を設立。MIC はルクセン 企業データ http://files.shareholder.com/downloads/MICC/1863119656x0x361043/192 ブルクの法律に従って 1992 年 6 月 16 日に法人化されまし 61e29-951b-4c3f-85cf-4019954919cc/Company_Fact_sheet.pdf た。1993年12月、Millicom Incorporatedの株主はMICとの 合併を承認し、同年12月31日、MICは正式にNASDAQ上場 プレスリリース http://www.millicom.com/press/releases.cfm を果たしました。 国際事業に関する http://www.millicom.com/operations/operations.cfm 情報 24 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Millicom International Cellular “ 本社・営業拠点/事業拡大 金融サービスへのアクセスがない 都市部の出稼ぎ労働者にと って、 携帯電話は、故郷の家族に送金するための、 ” 最も安全な手段なのです。 多くの途上国では、農村地域出身の出稼ぎ労働者は都市 部に移り住み、現金収入を故郷の家族に送金していま す。これらの出稼ぎ労働者の大半は BOP 層の人々であ り、従来の金融システムのサービスを受けるほどの収入 がありません。 公式な金融サービスへのアクセスがない場合、家族へ送 金する唯一の手段は、地方へ向かうバスの運転手に現金 を託すなど、非公式なルートに頼るほかありません。出 稼ぎ労働者は現金を運転手へ手渡し、家族は地方のバス 停でその仕送りを受け取り、運転手は預かった金額の  本社 10%を手数料として手にします。しかし、送金の安全性  営業拠点 を保証する正式な仕組みが存在しないため、地方で待つ 家族には本来の送金額よりも少ない金額しか届かない、 あるいは仕送りが全く届かないこともあります。 Millicomは、携帯電話を使って簡単に送金ができるよう にしています。出稼ぎ労働者は、携帯用の口座でクレジ 主な開発効果 ットを購入するか、手元の電子マネーを同口座へ入金 Millicomは、毎月の携帯電話あたりの使用料が10米ドル未満の顧客を、BOP層の顧客として定義し し、その電子マネーを家族名義の携帯用口座へ送金しま Company: Millicom ています。 す。送金されたクレジットは、家族の携帯電話に即座に 表示され、 Tigoの大規模流通網に属する多数の販売スポ 50 ットで現金化することが可能です。2011年末現在、ラテ “ ンアメリカ市場においては、顧客300人あたり1軒の割合 顧客数 Tigo Cashがあれば、 40 70% でTigoの販売スポットが存在する計算になりま ︵単位 30 都市部の労働者は、 す。Millicomが携帯電話を通じて提供する送金サービス は、非正式なルートによる送金より安く、速く、そして 20 農村部の家族に対し、 百万人︶ 安全です。 安全で、手軽に、かつ低コス トで ” 10 0 2008年 2009年 2010年 30,170,000 2011年 送金をするこ とができます。  総顧客数  BOP層の顧客数  総顧客数に占めるBOP層の割合 2008〜2010年:データなし Company: Tigo 主な財務安定性の指標 4,000 3,920 3,500 3,372 3,151 売上 3,000 2,590 ︵百万米ドル︶ 2,500 2,040 2,170 2,000 1,500 1,000 500 0 404 810 1,650 2008年 (EOY) 2009年 (EOY) 2010年 (EOY)  総売上  売上総利益  純利益 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 25 Reybanpac Unidad de Lácteos “ Reybanpacは、零細規模の酪農家から調達した牛乳で作った 高タ ンパク乳飲料をBOP層の人々にも手が届く 価格で販売するこ とで、 ” エクア ドルにおける栄養不良の問題に取り組んでいます。 REYBANPACとは Reybanpac Unidad de Lácteos は、エクアドルの食品会社で、零細規模の酪農家から仕入れた生乳 を、超高温殺菌乳、チーズ、ヨーグルト、乳飲料に加工し、スーパーマーケットや小規模小売業者 に提供しています。 BOP層へのアプローチ エクアドルは、ラテンアメリカで栄養不良の比率が非常に高い国のひとつです。国民の78%以上が 会社概要 BOP層に属し、また国民の半分は、生活における基本的なニーズを満たせるだけの十分な仕事を持 ちません。Reybanpacは、BOP層を顧客に持つBOP層の小売業者および流通業者に、栄養価の高い  本社所在地 乳製品を年間5,000万リットル販売することで、国民の生活水準と健康状態の改善に貢献していま エクアドル す。Reybanpacは、栄養不良の改善に有効なビタミンやミネラルを加えることで、自社の乳製品の 栄養価をさらに高めています。 営業拠点 栄養不良の主な原因のひとつはタンパク質不足であり、この問題に取り組むための革新的な手法と エクアドル して、Reybanpacは乳清を乳製品に加えるという生産方法にたどりつきました。乳清とは、牛乳を チーズへ加工する際に採取される、高品質のタンパク質です。 設立 2000年 エクアドルでは、乳清はチーズの生産工程で発生する無価値の廃棄物と見なされており、1日80万 リットルもの乳清が河川に投棄されています。Reybanpacは、自社のチーズ生産過程において乳清 年間売上高 を採取するだけでなく、他の小規模チーズ生産業者から不要となった乳清も買い取っています。 ~1億9,500万米ドル BOP層へのインパクト 従業員数 Reybanpacの最初の乳清製品は、牛乳と乳清から作った乳飲料でした。同社は現在、6カ月から24 101 – 1,000人 カ月の乳幼児向けのヨーグルトを開発中であり、この商品は脳の発達を促す乳清、ビタミンおよび ミネラルを添加することで栄養価を強化しています。 業種 農業 またReybanpacは、零細規模の酪農家に生乳の買い取りを保証することで、農村地域における経済 的機会を生み出し、結果としてこうした酪農家らの生活水準の向上にも貢献しています。同社は、 交通の便が悪い遠方の農村地域で2,500世帯以上の酪農家と取引を行っています。同社は、たとえ 会社沿革 こうした遠隔地であっても、調達した生乳の温度を一定に保つ冷蔵タンクを使って運搬すること で、零細酪農家をサプライヤーとして取り込むことを可能にしています。そして、こうして調達さ Reybanpacは、エクアドル共和国の法律のもと、法人格を取 れた生乳の加工・パック詰めが終わると、数百の現地の流通業者を通じて、4万5,000以上の零細小 得しています。同社は、バナナ輸出業者として1977年に設 売業者に低価格の乳製品を届けます。 立されました。現在もなお 8,000 ヘクタールのバナナ農園を 所有し、ロス・リオス、グアヤス、エル・オロといった沿 岸部の各県でバナナを販売しています。今日では、酪農業 や林業、プラスチック包装分野にも進出しています。同社 は、7,800人以上の従業員を雇用しており、南米で初めてレ インフォレスト・アライアンス認証を取得した企業です。 また2003年には、バナナおよびパイナップルのプランテー ションに関し、EurepGAP (現GlobalGap)認証を受けていま す。 その他の情報 公式企業サイト http://www.reybanpac.com/(スペイン語) 商品情報 http://www.reybanpac.com/html/productos.htm(スペイン語) 取得認証情報 http://www.reybanpac.com/html/certifica.htm(スペイン語) 乳製品事業に http://www.agr.ec(スペイン語) 関する情報 26 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Reybanpac Unidad de Lácteos 本社・営業拠点/事業拡大 Reybanpac は営業拠点を拡大しており、アマゾン地域に位置するコカでも生乳の調達および乳製品 の販売を行うほか、グアヤキルや首都キトなど主要都市の郊外で事業を拡大しています。  本社  営業拠点 主な開発効果 総顧客数に占めるBOP層の割合 (%)は、世界資源研究所(WRI) の刊行物から得たエクアドル人口全 体における BOP層の割合を基に概算した数値です。Reybanpac Company: Reybanpac は269 Company: の直接的なサプライヤーおよ Reybanpac び仲介業者を介して、2,500以上の零細酪農家と取引をしています。 “ 93% Reybanpacは、交通の便が悪い 15 300 遠隔の農村地域で2,500世帯以上の 顧客数 78% 93% 家族経営の零細酪農家と ” 92% 95% サプライヤー数 10 200 ︵単位 取引を行っています。 百万人︶ 5 100 0 11,297,173 0 200 205 215 269 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  総サプライヤー数 Company: BOP層の顧客数 Reybanpac Company: BOP層のサプライヤー数 Reybanpac  総顧客数に占めるBOP層の割合  総サプライヤー数に占めるBOP層の割合 150 99% 99% 500 99% 99% 100% 100% 100% 400 100% 流通業者の数 小売業者の数 100 300 200 50 100 0 131 136 142 140 0 385 415 425 445 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年  総流通業者数  総小売業者数  BOP層の流通業者数  BOP層の小売業者数  総流通業者数に占めるBOP層の割合  総小売業者数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 27 Sustainable Harvest Coffee Importers “ Sustainable Harvestは、中南米および東アフリカ地域において、 コーヒー生産者である小規模農家から適切な価格でコーヒーを購入し、 ” 北米市場で販売するこ とで、 こうした農家の所得向上に貢献しています。 SUSTAINABLE HARVESTとは Sustainable Harvest Coffee Importersは、小規模農家から適正価格でコーヒーを購入し、北米市場で 販売する輸入業者です。 BOP層へのアプローチ Sustainable Harvest のコーヒーの約95%は、BOP層の農家から購入したものです。こうした農家の 大半は、正規の雇用や経済活動がほとんど存在しない、中南米の農村部や山岳地帯の集落で生活し 会社概要 ています。初等教育以上の教育を受けたことのある農家は滅多におらず、その多くが毎年1カ月か ら2カ月の間は食糧不足に直面しています。各農家の平均的な耕作地の広さは2ヘクタールに満た  本社所在地 ず、現金収入の大部分をコーヒー栽培から得ており、限られた生活必需品しか手に入りません。ま 米国 た、同社は東アフリカの小規模農家からもコーヒーを購入しています。これらの農家に関しても、 コーヒー栽培による収入は概して低く、保健医療や教育などのサービスへのアクセスはほとんどあ 営業拠点 りません。彼らの暮らしは天候や干ばつ、コーヒー生産の妨げとなる政治的出来事などに左右され ボリビア、ブラジル、カナダ、コロンビア、 やすい状況に置かれています。 コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、 Sustainable Harvestは、中南米および東アフリカの両地域において、これらの小規模農家が自給自 エチオピア、グアテマラ、ホンジュラス、マラウイ、 足農業から持続可能な農業へと移行できるよう支援しています。同社は、農家が生産するコーヒー メキシコ、ニカラグア、ペルー、ルワンダ、 の品質改善に取り組んでいるほか、農家が最終バイヤーとの交渉に参加できるようサポートしてい タンザニア、米国 ます。また、農家が同社にコーヒーを供給する際にも、彼らが十分な情報を得た上で販売に関する 決断ができるよう支援しています。Sustainable Harvest のビジネスは「リレーションシップ・モデ 設立 ル」を採用しており、サプライチェーンのパートナーとコストや価格の決定、取引に関する情報の 1997年 共有など、事業の透明性の確保を重要視しています。同社は、コーヒーがどこで生産され、どこへ 販売されるのかについても情報の透明性を保つため、積極的に取り組んでいます。 年間売上高 ~7,800万米ドル BOP層へのインパクト 従業員数 これまで、金融機関は小規模農家が従来型の担保を持たないということから、こうした農家への融 26 – 100人 資提供には消極的でした。そのため、これらの農家が自給自足型の農業から脱却するのは、今でも 困難です。こうした現状を受け、Sustainable Harvestはコーヒーの納入予定日の 6カ月前には小規模 業種 農家と契約を締結することにしています。小規模農家は、同社とのコーヒー契約を担保として利用 することで、融資を受けることができるようになります。 農業 また、トレーニングと技術支援の提供を通じて、小規模農家の収穫高増加やコーヒーの品質改善に も貢献しています。同社の利益剰余金の3分の1は、農家を対象としたトレーニングや技術支援、財 会社沿革 務関連の教育プログラムのほか、農家が使用する肥料を化学肥料から有機肥料へと切り替えを促す 指導活動や、金融機関、国際NGOおよびコーヒー焙煎業者との関係構築のために使われます。特 Sustainable Harvestは、1997年に設立されました。その後、 に、金融機関、国際NGOおよびコーヒー焙煎業者とのパートナーシップは、同社の教育プログラム 中米、南米および東アフリカの 3 地域で小規模農家と提携 や事業活動のインフラを支えるための資金の呼び水にもなります。 し、それぞれ2002年、2006年、2007年に市場への参入を 果たしています。現在、36人の正社員を抱えており、世界 14カ国からコーヒーを輸入しています。また、米国オレゴン 州ポートランド、メキシコのオアハカ、ペルーのリマ、タ ンザニア北部のモシと北西部キゴマで営業所を運営してい ます。 Sustainable Harvest の年間売上高は、2011年にはおよそ7,800 万米ドルに達しました。また同社は、米国の月刊誌 『 Inc. 』が 毎年1回発表する 「米国で成長著しい企業トップ500」 の1社 その他の情報 として、2008年以降継続して挙げられています。 公式企業サイト http://www.sustainableharvest.com/ 同社の開発効果に http://www.sustainableharvest.com/stories/ 関するエピソード 28 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Sustainable Harvest Coffee Importers “ 本社・営業拠点/事業拡大 私たちは貧困の中からスタートしました。 Sustainable Harvest は営業拠点を拡大しており、2002年に中米、2006年に南米、そして2007年に しかし、私たちは自らを組織化し、 は東アフリカで小規模農家との提携を開始しています。 お互いを助け合い、そして 公平な市場を共に探しま した。 だからこそ、この協同組合は、私にと って ” 非常に特別な存在なのです。 —Romulo Sanchez, President of Rio Azul Cooperative  本社  営業拠点 主な開発効果 Company: Sustainable Harvest BOP 層のサプライヤーは、協同組合として組織されています。下記の数値は、Sustainable Harvest が事業を展開するすべての国におけるデータを集計したものです。 “ 250 サプライヤー数 メキシコをはじめとする 95% 95% 95% 200 95% 150 世界各地のコーヒー生産国には、 コーヒー栽培によ って ︵単位 100 50 暮ら しを立てているものの、 どのよ うにしてコーヒーを販売すれば 千人︶ 0 180,000 199,000 199,000 204,000 よいのかが分からない生産者が ” 2008年 2009年 2010年 2011年  総サプライヤー数 何十万人もいます。  BOP層のサプライヤー数  総サプライヤー数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 29 Tenda Atacado Ltda “ Tendaは、クレジットヒストリーを持たない零細起業家に ” 信用供与を行う ことで、ブラジル国内の零細ビジネスを支援しています。 TENDAとは (Tenda) Tenda Atacado Ltda は、ブラジルのサンパウロ州で BOP層の住民および零細起業家に食料 品、洗面用品、その他の家庭用品を供給している卸売・小売業者です。 BOP層へのアプローチ Tendaは、食料品や家庭用品を大量に買い付け、サンパウロ州内の系列小売店舗16カ所を通じて販 売する事業を展開しています。毎月の顧客数は約100万人に上り、その大半は自身の事業のために 衛生用品やその他の商品を購入している人々です。Tendaの売り上げのほぼ半分が、屋台や小さな 会社概要 コーヒーショップ、ピザ屋、パン屋など、食品産業で事業を展開する零細起業家の購入で占められ ています。Tendaが商品を大量調達することで、結果として同社はBOP層の人々にも手の届く価格  本社所在地 での商品提供を可能にしました。 ブラジル サンパウロでは、零細起業家の 60%以上が事業開始から5年が経たないうちに事業に失敗してお り、多くの場合、原因として彼らが資金を調達することができないことが挙げられています。こう 営業拠点 した起業家の大半は、いかなる公式な金融サービスも利用することができません。これらの零細起 ブラジル 業家は金融システムから取り残され、クレジットヒストリーも持たないため、銀行は起業家への融 資に消極的です。 設立 1948年 BOP層へのインパクト 年間売上高 Tendaは、革新的な信用リスク評価システムを導入することで、零細起業家が事業拡大に必要な融 資を受けやすくしています。同社は、マーケット・インテリジェンス部門を設置し、顧客の購入履 7億9,800万米ドル 歴に関する情報を蓄積・処理しています。そして、過去の購入パターンから信用リスクが低いと判 従業員数 断された顧客に対しては、自社ブランドのクレジットカードを提供しています。一方、支払回収部 門では、たとえ支払いを滞納している顧客であっても関係性を保てるよう、その顧客の支払い能力 >1,000人 に合わせた支払い計画で応じるなどの対策を講じます。これまで、Tendaは3万人以上の起業家に、 信用供与を利用した仕入れを行えるよう支援してきました。 業種 小売 また同社は、顧客である起業家に対し、零細ビジネスの財務・運営管理に関するトレーニングを提 供するとともに、保険の販売開始も目指しています。 会社沿革 Tendaは2001年に設立されました。現在、毎月100万人の顧 客にサービスを提供しており、従業員数は3,200人に達して います。 その他の情報 公式企業サイト http://www.tendaatacado.com.br/(ポルトガル語) 商品情報 http://www.tendaatacado.com.br/produtos.shtml(ポルトガル語) 30 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Tenda Atacado Ltda 本社・営業拠点/事業拡大 Tendaは、最近アンゴラの首都ルアンダでも事業を展開し始め、同様のビジネスモデルを用いて1店 舗運営しています。  本社  営業拠点 主な開発効果 Company: Tenda Tenda AtacadoのBOP層の顧客は85万人で、これは同社の顧客基盤の85%にあたります。 1000 85% “ 88% 顧客数 800 86% 86% Tendaは、これまで 3万人以上の ︵単位 600 400 零細起業家に、 信用供与を通しての 仕入れが行えるよ う ” 千人︶ 200 支援を してきました。 0 600,000 600,000 750,000 850,000 2008年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  BOP層の顧客数  総顧客数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 31 VINTE Viviendas Integrales “ VINTEは、メキシコに暮らす低中所得層の世帯に低価格で ” 環境に優しい住宅を販売しています。 VINTEとは VINTEは、メキシコに暮らす低中所得層の世帯に低価格で環境への負荷が少ない住宅を専門に販売 しています。VINTEは土地の購入から、住宅のデザイン、建築、マーケティング、販売までのすべ てのプロセスに関わっています。またVINTEは現在、主にメキシコ中部の4州で8つの宅地開発プロ ジェクトを進めています。 メキシコは890万戸の住宅が不足していると考えられており、そのうち75%が手の届く価格で販売 が求められています。2030年までにメキシコの人口は1億2,100万人に達する見込みであり、その 結果、新たに1,100万戸の住宅需要が生まれることが予想されています。 会社概要 BOP層へのアプローチ  本社所在地 VINTEはメキシコ政府と共同で、低所得層の人々を対象に住宅ローンへのアクセスを提供すること メキシコ で、彼らの住宅購入を支援しています。メキシコ政府は住宅セクターを社会および経済発展の中で 重要な役割を担っているものとして位置付けており、INFONAVITとFOVISSSTEと共に、月収920米ド 営業拠点 ル未満の600万超の世帯に住宅ローンを提供しています。VINTEの販売する住宅の価値は年間最大で メキシコ 10%上昇していることから、住宅の購入が低中所得層の人々にとって資産形成の重要な手段となっ ています。 設立 2001年 VINTEは低所得から中所得世帯を対象に、8つの異なるタイプの住宅を販売しています。低所得層向 けの住宅は平均して450平方フィート (約41.8平方メートル)の広さを持ち、キッチンとリビング・ 年間売上高 ダイニング、寝室2つとバスルーム1つがあります。中所得層向けの住宅はキッチン、ダイニングル ーム、リビングルーム、寝室3つ、バスルーム2つを持ちます。また、VINTEは門で囲まれた中庭、 ~9,500万米ドル 学校、水処理設備、遊び場、多目的スペースも宅地開発をする上で建設します。こうした共同スペ ースの維持費用は住人が負担し、VINTEは新しく住宅を購入した人々に住宅の管理について研修を 従業員数 行います。 >1,000人 BOP層へのインパクト 業種 住宅 VINTEの主な顧客層は若い会社員、学校の先生、バスの運転手、工場労働者で、各世帯の平均年収 は6,000米ドルから2万7,000米ドルです。顧客のうち約75%が政府から住宅購入への補助を受けて います。多くの人々にとって住宅の購入は初めての経験であり、メキシコシティのインフォーマル 会社沿革 な居住区出身で、それまで飲料水、電力、保健衛生、道路、学校、また公園などに限られたアクセ スしか持たなかった人たちも多くいます。 VINTE Group は 2003 年に営業を開始しました。2005 年から IntelとMicrosoftの協力のもと、住宅1戸につき、パソコン1 VINTEの販売する住宅は最低で2万3,000米ドルから販売されています。また、住宅購入者の電気代 台を無償で提供しています。 2011 年時点で、 VINTE は 1 万 や維持費を抑えるため、屋上に太陽光パネルを取り付けるなどの新しいテクノロジーを活用してい 1,000戸以上の住宅を販売し、2008年から2011年にかけて ます。VINTEはほかにも住宅の購入者に対して水道、ガス、また電気などを効率的に利用すること VINTEの純収入は年27%で増加、利益も年36%の伸びを記 を促しており、公共料金の支払いを抑えることを奨励しています。同社は住宅に関する国内6つの 録しました。これは、BOP層を対象に事業を展開する住宅事 賞を受けており、最近では環境に優しい宅地開発の分野で受賞しています。 業が、メキシコの証券取引所に上場している大手の住宅事 業者と対等に競争することができることを示しています。 また、VINTEは環境と社会に配慮した事業も運営しており、 注水井戸や干潟、消費電力を測定するテレメトリー・シス テム、太陽光を活用した温水装置、太陽光発電システム、 インターネットなどのサービスを提供しています。 その他の情報 公式企業サイト http://www.vinte.com.mx(スペイン語、英語) 達成事項 http://www.realparaiso.com/Vinte/Achievements.html 32 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス VINTE Viviendas Integrales “ 本社・営業拠点/事業拡大 VINTEは低中所得世帯の人々の 自立を支援するため、新築住宅1戸あたり に インターネ ット接続が可能なコンピューターを ” 無償で提供しています。  本社  営業拠点 主な開発効果 Company: VINTE VINTEはBOP層の顧客を、3万9,000米ドル未満の価格の住宅を購入する人々として定義していま す。 “ 10,000 8,000 VINTEのビジネスの成功は、 6,000 70% 70% BOP層を対象に事業を展開する 顧客数 4,000 70% 住宅事業が、 メキシコの証券取引所に 70% 上場している大手の住宅事業者と 2,000 対等に競争するこ とができること を ” 0 2,818 4,403 4,942 5,772 2008年 2009年 2010年 2011年 示しています。  総顧客数  BOP層の顧客数  総顧客数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 33 Waterlife India Private Limited “ Waterlifeは、インドの農村部に暮らすBOP層の人々に 安全な飲料水を手頃な価格で提供するため、 ” 浄水施設を建設し、 運営しています。 WATERLIFEとは Waterlifeは、インドの農村地域および都市部の、特にサービスの提供が不十分な地域で、浄水施設 を建設し、運営しています。これらの地域では、Waterlifeの浄水施設以外に、安全な飲料水へのア クセスがありません。 インドには60万以上の村落があり、その大半で清浄水が不足しています。事実、農村地域および都 心の大部分では、安全な飲料水へのアクセスが完全に断たれています。インドでは多くの場所で、 地下水が都市廃水やフッ化物、硫酸塩、ヒ素などの産業廃棄物によって汚染されてきました。水の 会社概要 安全性を測る指標の調査で、同国は対象国123カ国のうち122位にランク付けされています。イン ドのBOP層の大部分は、トイレ、電気、保健医療、教育などの基本的な商品やサービスへのアクセ  本社所在地 スを持たない上、1日の収入が3米ドルにも満たないため、ミネラルウォーターを買う余裕もありま インド せん。 営業拠点 BOP層へのアプローチ インド Waterlifeは、安全な飲料水をBOP層の人々に提供するだけでなく、浄水施設の操業、管理および点 検のために地元の村民をオペレーターとして採用し、訓練することで雇用を生み出しています。ま 設立 た、同社はリヤカーや原動機付き三輪車でさらに遠隔地へと水を届けるため、地域の起業家による 2008年 流通網を確立し、起業家らが配達料金を得られるようにもしています。 年間売上高 BOP層へのインパクト ~365万米ドル 汚染された水は、高い乳児死亡率のほか、賃金の損失、学校の長期欠席、骨の変形、癌の原因とな 従業員数 ります。インドは、下痢による子どもの死亡数が世界で最も多い国のひとつです。インド政府は、 101 – 1,000人 安全な飲料水をすべての国民に提供できない状態にあり、民間企業にそのニーズに応えるよう求め てきました。Waterlifeが事業を開始する以前は、政府や大手企業の出資によって浄水施設が建設さ 業種 れることは度々あったものの、メンテナンスが不十分であるために、すぐに使用できなくなるのが 常でした。 水 一方、Waterlifeは浄水施設の操業を維持するためにさまざまな取り組みを行っています。まず、政 府と提携することで、政府が浄水施設の建設費用を負担しています。そして浄水施設の建設後に 会社沿革 は、小額の月額料金を顧客に課すことで収入を増やし、その資金を浄水施設の継続的なメンテナン スや操業にかかる費用に充てています。こうしてWaterlifeは同社業務のすべてにおいて、その収益 Waterlifeは、西ベンガル州で最初の浄水施設を複数建設し 性と規模拡大の可能性を確保しています。またこれは、同社のビジネスモデルが、飲料水を提供す ました。西ベンガル州はインド国内において、水を媒介と るためにインド全土で適用することができることを意味しています。 する疾病の発生率が最も高い州のひとつです。その後、ウ ッタル・プラデシュ州とタミル・ナードゥ州にも進出し、 また、Waterlifeは環境に配慮した技術を採用しており、地域社会に経済、社会、環境の3つの側面 現在では7州で1,700の浄水施設を所有しています。 で利益をもたらします。 その他の情報 公式企業サイト http://www.waterlifeindia.com/ メディアでの掲載・ http://www.waterlifeindia.com/press.html 報道内容 商品情報 http://www.waterlifeindia.com/solutions.html 34 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス Waterlife India Private Limited “ 本社・営業拠点/事業拡大 ある村では、Waterlifeの浄水施設が Waterlifeは西ベンガル州で操業を開始し、その後ウッタル・プラデシュ州とタミル・ナードゥ州に 稼動してから、 下痢の症例数が も事業を拡大しました。現在、同社はインド国内の7つの州で1,700カ所以上の浄水施設を運営して 毎月100件から10件以下にまで ” います。 減少しま した。 — Sudesh Menon, Managing Director / CEO インドでは多くの地域で、清浄水へのアクセスが断たれ ており、手に入る水は下水や産業化学物質、あるいはそ の両方で汚染されています。ある村では、サトウキビ精 製産業から排出される塩化物で水が汚染され、地元の人 々はこれが出生異常の原因となったと考えています。下 痢の症例が毎月100件以上報告され、雨期にはさらに件 数が増えるため、この村の人々は安全な水源を切実に必 要としていました。 Waterlifeの浄水施設が稼動してから、この村の下痢の症 例数は毎月10件未満にまで減少しました。  本社  営業拠点 主な開発効果 Company: Waterlife Company: Waterlife BOP層の顧客の95%は農村地域、残りの5%は都市部で生活しています。 1,400 90% 40 “ 1,200 顧客数 Waterlifeは現在、インド国内の7つの州で 1,000 30 流通業者の数 ︵単位 千人︶ 800 1,700カ所以上の浄水施設を ” 20 43% 600 76% 400 10 運営しています。 89% 100% 200 100% 0 15,000 120,000 1,257,500 0 5 16 16 2008年 2009年 2010年 2011年 2008年 2009年 2010年 2011年  総顧客数  総流通業者数  BOP層の顧客数  BOP層の流通業者数  総顧客数に占めるBOP層の割合  総流通業者数に占めるBOP層の割合 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 35 附属書1 その他の注目すべきビジネスモデル AFRICERT LTD BANCO TRIÂNGULO S/A – TRIBANCO BROOKFIELD INCORPORAÇÕES 本社所在地: ケニア 本社所在地: ブラジル 本社所在地: ブラジル 営業拠点: ブルンジ、ブルキナファソ、コー 営業拠点: ブラジル 営業拠点: ブラジル トジボワール、エチオピア、ガーナ、イン 設立: 1990年 設立: 1978年 ド、ケニア、マラウイ、モザンビーク、ナ イジェリア、ルワンダ、南アフリカ、タン 年間売上高: ~2億4,100万米ドル 年間売上高: ~177万米ドル ザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ 従業員数: 101 - 1,000人 従業員数: >1,000人 設立: 2004年 業種: 金融 業種: 住宅 年間売上高: 7,400万ケニアシリング (2011年) Tribancoは、零細・中小規模の小売業者の事業拡 Brookfieldは、ブラジル最大手の不動産開発業者 大を支援するブラジル企業です。融資や小切手の のひとつであり、サンパウロ、リオデジャネイ 従業員数: 30人 換金サービスの提供により、これらの小売業者の ロ、ブラジリア、ゴイアニアで事業を展開してい (ケニア本社およびガーナ支社) 設備改善や店舗改装を支援しているほか、店舗経 ます。主に高級住宅の開発業者として知られる一 業種: 農業 営やビジネス慣行、マーケティングに関するトレ 方で、低所得世帯向けの手頃な価格の住宅も販売 ーニングを実施しています。Tribancoの顧客はす しています。同社は、ブラジル連邦政府による AfriCertは、ケニアのナイロビを本拠とする農産 べて、家族全員が店舗運営に従事するような家 Minha Casa, Minha Vida(「マイホーム、マイラ 物を専門に扱う認証会社で、アフリカの東部、 族経営の小売業者です。同社は現在、 3 万 5,000 イフ」 の意) というプログラムの導入を受け、低 中部、南部 (ケニア、ウガンダ、タンザニア、ル 以上の小売業者に融資しており、その平均借入額 所得世帯向け住宅への投資を開始しました。この ワンダ、ブルンジ、エチオピア、マラウイ、ザ は1万2,000米ドルほどです。Tribancoは、ブラジ プログラムは、月収1,000米ドル未満の世帯に住 ンビア、ジンバブエ、モザンビーク、南アフリ ル全土の 90% に当たる地域で事業を展開してお 宅を供給するもので、家賃は世帯収入の 10% 以 カ) および西部 (ガーナ、ナイジェリア、コート り、5,000を超える市町村から、金融サービスが 下となることを保証しています。同社は 2011年 ジボワール、ブルキナファソ) で認証業務を行 ほとんど、あるいは全く利用できない遠方の農村 末までに、低所得世帯向けに9,343戸の住宅を供 っています。 Utz 、 FLO 、 4C 、 SAN/RA 、および まで、あらゆる地域でのニーズに対応していま 給しました。 GlobalG.A.P.といった民間、あるいは市場で一般 す。Tribancoとその顧客である小売店に在庫の大 Brookfieldの低所得世帯向け住宅は、下水処理場 的に用いられている規格に基づいたAfriCertによ 半を卸している Tribanco の親会社 Martins Group および飲料水用の給水施設など、必要な生活イン る認証は、アフリカでは新たな市場であり、コー の支援によって、多くの小規模小売業者は事業規 フラをすべて併せた形で建設されます。また、建 ヒーやカカオ豆、紅茶、綿花、切り花、果物など 模を当初の10倍にまで拡大しました。 設期間中に建築作業のための本部事務所として使 の商品作物を栽培するアフリカの生産者が輸出を さらに、Tribancoは金融機関および非金融機関と われる建物は、住宅建設終了後にはコミュニティ 始めるきっかけにもなります。認証取得により、 提携することで、その他のサービスも提供してい ーセンターとして活用し、運動場や子どもの遊び 小規模生産者の商品は、欧米のニッチ市場や専門 ます。一例として、Tribanco Corretora de Seguros 場、地域住民がコンピューターや簿記の専門講座 市場への参入が確実になります。認証付与に当た では、小売店舗のオーナーやその買い物客を対象 を受けるための施設として使われます。 り、AfriCertは小規模生産者を訪問し、食品安全 に、保険を提供しています。 性基準、適正農業規範、および社会・環境要件に 反する慣行がないかどうかを評価します。生産者 が、一定の認証資格基準を継続的に順守していく 上で必要な生産システムと管理体制を備えている と証明されれば、第三者機関による認証書が付与 されるか、販売免許が発行されます。生産者は、 こうした認証書や免許を活用して専門市場へ参入 し、結果として彼らの生産する認証済み作物は、 市場でより高い価格で取引されることとなりま す。 36 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 附属書 1 その他の注目すべきビジネスモデル(次ページへ続く) BUTWAL POWER COMPANY LIMITED FINANCIAL INCLUSION NETWORK IDEAL INVEST & OPERATIONS LTD (FINO) 本社所在地: ネパール 本社所在地: ブラジル 営業拠点: ネパール 本社所在地: インド 営業拠点: ブラジル 設立: 1966年 営業拠点: インド 設立: 2001年 年間売上高: ~4億8,000万ネパールルピー 設立: 2006年 年間売上高: ~1,740万米ドル 従業員数: 101 - 1,000人 年間売上高: ~18億6,000万インドルピー 従業員数: 101 - 1,000人 業種: 電力 従業員数: >1,000人 業種: 教育、金融 業種: 金融 (BPC) Butwal Power Company Limited は、発電と Ideal Investは、Pravalerというプログラムを通して 配電をその中核事業としています。同社が所有し Financial Inclusion Network & Operations Ltd. ブラジルの大学生にローンを提供しています。融 運転するネパール西部のアンディコラとジムラッ (FINO) は、国内3万カ所に設置されたトランザク 資を受ける学生の60%以上が月収1,750米ドル以 クに位置する2つの水力発電所は計17.1メガワッ ション用携帯端末やその他の携帯用端末を活用し 下の家庭出身で、また66%が家族の中で初めて大 トの発電が可能で、国営の電力会社に多くの電力 た商取引・銀行サービスのプラットフォームを通 学に進学することになります。Ideal InvestはBOP を供給し、また農村地域に暮らすおよそ3万 して、銀行口座を持たないインドのBOP層を対象 層の学生向けに、学生が元本を負担し、大学側が 8,000人の顧客に直接配電しています。BPCが同 に金融サービスへのアクセスを提供していま 奨学金として金利を全額負担する無利子融資を提 国西部のクディとキムティなどで行った他のプロ す。FINOは指紋認証システムを利用して本人確認 供することで、学生を支援しています。学生は融 ジェクトへの投資を勘案すると、同社は現在、ポ を行うことが可能な生体認証スマートカードを発 資を受けている間、毎月返済を行い、次の学期に ートフォリオに約30メガワットの発電能力を抱え 行することで、顧客が現金の振り込みや引き出 新しく学生ローンを借りる際には、その時点で求 ています。また、合計すると200メガワットの発 し、また雇用主や政府からの送金の受け取りとい められている返済が完了していることが条件とな 電能力を持つ3件のプロジェクトが進行中で、そ った各種金融取引を行うことを可能にしていま ります。同プログラムによって、教育機関は従来 のうち67メガワットの発電所の建設は2012年か す。顧客は遠方の銀行や保険会社、社会保障サー 大学教育を受けるために必要な資金を持たない層 ら 2013 年のうちに開始する準備ができていま ビスの窓口まで出向かなくても、自身が暮らす地 の人々を学生として迎え入れることができ、また す。 域のFINOの窓口に行けば、そこで必要な金融取引 Ideal Investは同社のサービスを市場に売り込む協 を行うことができます。FINOは現在インド国内の 力者を持つことになります。 BPCの配電事業は主にネパール西部の農村地域や 26州で3万の取引拠点を運営しており、4,800万 丘陵地帯で展開されており、パルパやシャンジ また、投資家にとっては、学生からのローンの元 人を超える顧客を抱えています。 ャ、アルガカチ、ピュータンの各郡を網羅してい 本返済、および大学側からの金利返済を元に市場 ます。同社の顧客 3 万 8,000 人の大多数が BOP 層 ベースの収益を上げることができます。Pravaler で、農業で生計を立てています。農村電化事業に プログラムを利用する学生の多くは、融資を受け つきものの運営面での困難に対処し、地域の生活 ることがなければ大学に進学することが叶いませ に貢献するため、BPCは顧客が 「利用者団体」を組 んでした。 織する方法を取り入れました。この利用者団体は 配電事業の運営を促進するために組織された顧客 グループで、いくつかある活動の中には、他の顧 客からの電力利用料金の徴収や電力系統の故障の 際における軽微な修理などが含まれます。その見 返りとして、BPCは利用者団体に徴収した料金の 10%に当たる値引きを適用し、利用者団体はこれ を業務上必要な経費に充てます。また、BPCは軽 微な修理や保全、料金の徴収、簿記やその他の活 動を遂行するために必要なトレーニングを提供 し、利用者団体を支援しています。 2011 年現 在、約3万人の顧客から構成される計 112の利用 者団体が発足しました。 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 37 附属書 1 その他の注目すべきビジネスモデル(次ページへ続く) INTERSWITCH LIMITED MI TIENDA MODERNA ALIMENTOS 本社所在地: ナイジェリア 本社所在地: メキシコ 本社所在地: エクアドル 営業拠点: ナイジェリア、ウガンダ 営業拠点: メキシコ 営業拠点: エクアドル 設立: 2001年 設立: 1999年 設立: 2008年 年間売上高: ~5,400万米ドル 年間売上高: ~634万米ドル 年間売上高: ~1億350万米ドル 従業員数: 1,000人 従業員数: 101 - 1,000人 従業員数: 101 - 1,000人 業種: 電子決済サービス 業種: 小売・流通 業種: 農業 InterSwitchは、支払い処理事業を展開する企業 Mi Tienda は、保存食品や日常生活用品を専門に Modernaは、小麦粉と製パン材料をエクアドル全 で、プリペイドカードや携帯電話用電子マネーに 扱う流通業者で、大規模小売店の手が行き届かな 土のパン職人や小規模なベーカリーに供給する製 よる取引を可能にすることで、ナイジェリアの いメキシコの農村地域の小さな町に位置する 粉会社です。同社はおよそ5,000の小規模ベーカ BOP層の生活水準向上に取り組んでいます。2011 6,500以上の店舗を中心にサービスを提供してい リーに小麦粉だけでなく、小麦粉とイースト、砂 年現在、BOP 層の直接および間接顧客の数は1万 ます。 糖、香味料を混ぜ合わせた製パン材料の供給、販 5,300人に上ります。 売をしています。 メキシコの農村で見られる小売店は、経営者の住 InterSwitchは、銀行口座を持たない顧客が現金の 居の一部を利用したような小さな規模のものがほ Modernaの顧客はBOP層に属し、青空市場で販売 受領や送金を簡単に行えるよう、Verveという金 とんどで、 1 日 4 米ドル以下の収入で生活をする するために自宅でパンを焼く人や、家族の他の1人 融商品を提供しています。Verveは、携帯電話や BOP層が対象顧客となります。こうした店を経営 か2人と小さな店を経営する人たちです。同社は彼 インターネット、またはATM、トランザクション する小売業者は十分なビジネスに関する知識を持 らに必要な材料を提供し、パンの焼き方や菓子パ 用携帯端末、銀行の支店で利用可能なプリペイド たず、金融サービスへのアクセスも限られていま ン生地の作り方、ビジネスマネジメント、会計、 カードです。受取人は直ちに振り込まれた資金に す。さらに卸売業者は、全国の農村地域に点在す さらには自尊心を育むためのトレーニングを提供 アクセスすることができ、ATMでの引き出しも可 る小規模店舗に商品を届けるために必要な交通費 し、生計を立てる手助けをしています。Moderna 能です。Verveの利用者は、大学で学んでいる子 が高いことから、小売店舗と取引を持つことはほ の支援のもと、こうした零細規模の会社の中に どもに仕送りをしたい親や、日雇い労働者へ賃金 とんどありません。たとえ商品へのアクセスがあ は、小中規模の事業に成長したものも、また小さ を支払う必要のある複合企業、さらにはナイジェ ったとしても、大抵の小売店が価格の高さや最低 なコンビニエンスストアにまで拡大したものもあ リアの農村部に暮らす家族へ送金を行う人々な 購入単位の問題に直面し、彼らの運転資金では賄 ります。 ど、多岐にわたります。 うことができません。 Mi Tienda はこれまで十分にサービスを受けるこ とのなかった地域に手頃な値段で食品や生活用品 を流通させ、金融サービスへのアクセスを持たな い小売店に信用供与を行うことで、これら小売業 者の生活向上に一役買っています。同社は小売業 者向けに会計や運転資金の管理、在庫管理、商品 陳列、顧客サービスなどのトレーニングも実施 し、さらにどのように店舗を改装し、売り上げを 伸ばし、収入を増やすかなどについてもアドバイ スを提供しています。 Mi Tienda と協力すること で、小売店はその収入を平均で 32%から35%伸 ばしており、こうした小売店が持つ顧客の数は 2010年の44万人から、2011年には78万人にまで 増加しました。 38 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 附属書 1 その他の注目すべきビジネスモデル(次ページへ続く) TANNA COFFEE DEVELOPMENT TRUSTCO FINANCE (PTY) LTD TRUSTCO MOBILE COMPANY 本社所在地: ナミビア 本社所在地: ナミビア 本社所在地: バヌアツ 営業拠点: ナミビア 営業拠点: ナミビア、南アフリカ、ジンバブエ 営業拠点: バヌアツ 設立: 1997年 設立: 2008年 設立: 1984年 年間売上高: ~3,450 万ナミビアドル 年間売上高: ~135万南アフリカランド 年間売上高: 3,370万バヌアツバツ 従業員数: 101 - 1,000人 従業員数: 1 - 25人 従業員数: 1 - 25人 業種: 金融 業種: 電気通信サービス、保険 業種: 農業 ナミビアに拠点を置く Trustco Finance ( Pty )Ltd Trustco Mobile は、携帯電話を通じて、保険に加 Tanna Coffee Development Companyは、アラビ は 、 Trustco Group 傘 下の Institute for Open 入していないアフリカの人々を対象に生命保険を カコーヒーを栽培・加工し、焙煎・包装済みの商 Learning( IOL )が提供する通信教育を受講する 提供しています。アフリカでは、約8億人が生命 品を販売しています。同社は、バヌアツ・タンナ 学生を対象とした教育ローン事業を展開していま 保険に加入していません。従来の生命保険モデル 島の小規模コーヒー農家500世帯以上に対し、コ す。Trustco Finance が 2005 年から2011年の間に では、毎月一定の保険料の支払いが求められま ーヒーの栽培と基本的な加工に必要な原材料や設 融資したBOP層の学生は5万4,000人に上ります。 す。しかし、キャッシュフローが不安定であった 備、技術支援を提供しています。生産能力が向上 り、本来であれば保険料の支払いに充てられるは 昨年、ナミビアの高卒者で大学へ進学できたの すれば、これらの小規模農家は高付加価値商品を ずの資金も、何らかの緊急な支払いが発生した際 は、その 12% にとどまります。毎年、実際の大 生産できるようになり、それに伴い彼らの所得 には他の用途に使われてしまう場合があり、多く 学進学者数よりも多くの高卒者が学業を継続する 水準も改善します。タンナ島の小規模コーヒー生 の顧客にとっては、定額の保険料を毎月払い続け ことを希望しますが、大学や職業訓練所の定員 産者は皆、かつては遠方の島で自給自足の農業を るのは困難です。一方で、そのような顧客層にと 数に限りがあるため入学が許可されません。IOL 営んでいました。教育や電気、水道水、下水設 って、一家の稼ぎ手の死は家計に大きな支障をき はこうした満たされていない高等教育への需要 備へのアクセスを持たない生活を送り、収穫期の たすものであり、経済的損失から立ち直るのに数 に応えるべく、教育やビジネス、情報技術の分野 季節労働から限られた現金収入を得ていました。 年かかる場合もあります。 で通信教育を提供しています。IOLの通信教育を 人々は自作農であったため、食糧の確保について 受講する学生の 97%以上が Trustco Finance を通 途上国では、生命保険の加入者数は限定的である は問題がありませんでしたが、定収入がなかった じてローンを借りています。こうした学生の大半 一方、携帯電話は広く普及しています。そのため ため、子どもの教育費を賄うことは困難でした。 が、収入が低いために他の金融機関から融資を Trustco Mobile は、顧客の信頼を確立し、地域社 タンナ島ブランドのコーヒーの供給を始めたこと 受けることができません。またTrustco Financeの 会への利益還元を目指す地元の携帯電話通信業 で、小規模農家は十分な付加価値収入を得られる 顧客の 78% は農村地域に暮らしており、住人の 者、銀行、小売業者、およびその他の商取引を行 ようになりました。今では、子どもの授業料を払 大多数が農業や小規模小売業で生計を立てていま う企業がその顧客に無料で生命保険を提供できる えるだけでなく、全体的な生活水準も向上してい す。Trustco Financeは手頃な金利での教育ローン ように支援しています。万一、加入者が死亡した ます。コーヒー栽培に携わっていないその他の島 の提供を通して、人々の教育機会の拡大に寄与し 場合には、最高1万米ドルの給付金が支払われま 民は、小規模農家から生のコーヒー豆を購入し、 ています。 す。Trustco Mobile は、マイクロインシュアラン それぞれの村を拠点とする加工センターで加工し ス業界では12年間の経験を有しています。各被保 ます。加工センターは島全体に点在し、全部で45 険者に支払われた給付金額を管理・追跡するソフ カ所あります。次に、コーヒーは、焙煎・包装 トウェアを提供しているので、取引先企業とその のため、バヌアツのポート・ヴィラにあるTanna 顧客は、給付金に関する記録を自身で追跡する必 Coffeeの主工場へ輸送されます。その後、バヌア 要がありません。現在、携帯電話を通じて同社の ツ国内の現地市場、および成長著しい観光セクタ 生命保険に加入した顧客は、 210 万人を数えま ーへ供給されるほか、一部の顧客向けに海外へ輸 す。無料の生命保険を毎月更新するには、顧客は 出されます。同社は今後、果物、ナッツ、精油製 同社の戦略的提携先から何かを購入しなければな 品の市場へも進出する予定です。 りません。例えば、携帯電話の通話時間を購入す ることで、携帯通信会社を通じた生命保険の更新 が可能となります。生命保険の給付金額は、顧客 がこうした取引をどのくらいの頻度で行っている か、またその取引金額がどの程度であるかを基準 として決定されます。 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 39 附属書 1 その他の注目すべきビジネスモデル VIRTUAL CITY LTD WATERHEALTH INTERNATIONAL 本社所在地: ケニア 本社所在地: 米国 営業拠点: ケニア、タンザニア、ウガンダ 営業拠点:バングラデシュ、ガーナ、イン ド、リベリア、ナイジェリア、フィリピン 設立: 1999年 設立: 2004年 年間売上高: ~169万米ドル 年間売上高: 未公表 従業員数: 26 - 100人 従業員数: 101 - 1,000人 業種: 農業、小売、調査研究、保健、教育 業種: 水 Virtual City は、コンピューターソフトウェアやモ バイルアプリケーションを提供する東アフリカの (WHI) WaterHealth は、持続可能で地域分散型の 企業です。同社のソフトウェアやアプリケーショ モデルを用い、インド、ガーナ、リベリア、ナイ ンを利用することで、保健、教育、農業、小売、 ジェリア、バングラデシュ、フィリピンの水道が 物流、運輸、公益事業などさまざまなセクターに 行き届いていない地域で、500万人以上の住民に おいて、商品を供給元から顧客に届けるまでの業 対し、安全な飲料水を手頃な価格で提供していま 務上の手順を自動化することが可能です。事業者 す。WHIの目標は、できるだけ多くの住民に最も は少額の月額利用料または取引手数料を支払うこ 安い価格で清浄水を提供することです。同社は、 とで、小規模農場で作られた農産物をはじめとす 紫外線消毒などの既存の技術を使って地域の可採 るあらゆる消費財に関し、その注文から販売、納 水を浄化することにより、WHOが定める飲料用 品、支払いに至るまでのプロセス管理を自動化す の水質基準を上回るようにしています。同社の飲 る技術を利用できるようになります。 料水は、都市部周辺や農村部にある給水センター を通じて個々の顧客へ配給され、直接販売されて Virtual City の農業セクター向け製品を使うと、農 います。こうした方法を取ることで、水道へのア 家から集荷した農産物の計量、等級付け、価格決 クセスがない地域に清浄水を届けることが可能と 定のほか、商品の追跡までを管理することができ なります。またWHIは、こうした地域に暮らす潜 ます。バイヤーが農家の収穫物を購入する際、バ 在的な顧客に対し清浄水のもたらす利益について イヤーはまず同社の製品を使ってその農産物を計 説明するための教育キャンペーンや社会的なマー 量します。そして、農産物の数量、品質、産地、 ケティング活動も展開してきました。消費者への および請求額などの詳細な情報を、一括して職員 飲料水の販売から得られる収入は、給水センター の携帯端末装置へ送信します。これらの情報は自 の操業と保守に使われます。手数料を払えば、顧 動的に本社へ送信され、データベースに組み込ま 客は自宅まで飲料水を配達してもらうことも可能 れるため、本社のスタッフはいつでも、農家や農 です。WHIの給水スタッフおよび浄水施設の操業 産物の情報、および必要に応じてカスタマイズさ 員は、地域住民の中から採用され、特別なトレー れたその他の情報を入手することが可能となりま ニングを受けています。 す。この一連の手順を自動化することにより、書 類作業の手間が省かれるばかりか、管理費や不正 行為が減り、サプライチェーンの関係者に対して 正確かつリアルタイムの情報を提供することがで きます。そしてサプライチェーンの関係者は、こ うした情報を取引のほかにも信用供与の際の判断 や生産性の管理といった目的にも利用することが 可能となります。Virtual Cityは、不正確な計量や 収賄が原因で生まれる取引コストを削減するだけ でなく、集金にかかる日数を短縮することで農家 が収穫物の売り上げを迅速に受け取ることができ るようにしています。こうした取り組みにより、 同社は小規模農家の生活水準の向上に貢献してい ます。2011年には、同社の製品により、120万人 のBOP層の顧客が中間業者によって価格を水増し されることなく商品を正当な値段で受け取ること ができました。そして、Virtual City はこうした人 々の多くを、同社の製品を利用する23万人のBOP 層の小売業者を通じることで、取り込んでいま す。また、同社製品を利用する農家は利用してい ない農家と比較すると、生産高を増やしたことで 少なくとも50%の収入増を達成しました。Virtual Cityの取り組みによって、こうした農家の収入は 年間100米ドル以上増加していることが分かって います。 40 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 附属書2 審査員略歴 AIGBOJE I. GEORGINA BAKER MICHAEL CHU AIG-IMOUKHUEDE IFC 貿易・サプライチェーン局長 ハーバード・ビジネス・スクール社会 AIGBOJE I. AIG-IMOUKHUEDE 的企業イニシアティブ上級講師 Access Bank Plc Georgina Baker は IFC の 貿易・ グループマネージング・ディレクター サプライチェーン局長として、 Michael Chu 氏は 2003 年 7月に 兼最高経営責任者(CEO) グローバル・トレード・ファイ ハーバード・ビジネス・スクー ナンスプログラム(昨会計年度 ル、ゼネラル・マネジメント・ Aigboje Aig-Imoukhuede 氏は 中の新興市場での貿易コミット グループの社会的企業イニシ Guaranty Trust Bank Plc に10 年以上にわたり勤務 メント額は 32 億米ドル)および優れた危機対応で アティブにおける上級講師として着任。同氏はま した後、 2002 年に Access Bank Plc のマネージン 表彰された世界貿易流動性プログラムを含む貿易 た、2007年にラテンアメリカ諸国の低所得層を対 グ・ディレクター兼CEOに就任し、同行を世界的な 金融事業全体の責任を担っています。この2つのプ 象に事業を展開する民間企業への投資に特化した 金融機関へと導きました。同氏のリーダーシップの ログラムの成功を受けて、現在はサプライチェー IGNIA 基金をメキシコのモントレーに共同で設立 もとで同行は 8 年以上にわたり成長を続け、Access ンおよび倉庫ファイナンスを支援するための新た し、そのマネージング・ディレクターも務めてい をナイジェリアで最大手 4 行の一角にまで押し上 なプログラムの開発に着手しています。Bakerは20 ます。また、ブエノスアイレスを拠点とするプラ げています。2007年10月、同氏はプライスウォー 年にわたりIFCで勤務し、東欧における製造業向け イベート・エクイティ企業であるPegasus Capital ターハウスクーパースの年次調査で最も尊敬され 金融や南アジア、欧州、中央アジア、中東および の設立パートナーとして、同社のシニア・アドバ る CEO の上位 10 名の内の 1 人として選ばれていま 北アフリカでの金融機関向け投資を始め、さまざ イザーも兼任しています。Pegasus社設立以前は、 す。2012年には 「2011 アーンスト・アンド・ヤン まな投資業務に従事してきました。IFCに勤める以 マイクロファイナンスに特化した非営利法人である グ:アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー (西アフ 前、Bakerはロンドン・ビジネス・スクールで経営 ACCION Internationalの社長兼CEOを務め、高水準 リカ) 」賞を受賞。同氏は現在 National Economic 学修士号 (MBA) を取得し、イギリスおよびインド の収益が期待できる金融の新しい分野として、低 Management Teamに所属しており、ナイジェリア ネシアでメカニカル・エンジニアとして勤務した 所得層向け金融サービスの開発に尽力しました。 の経済発展への貢献を評価され、National Honour 経歴を持っています。 同氏は大手国際投資会社Kohlberg Kravis Roberts & (2011 of Commander of the Order of the Niger (KKR) Co. に在籍中はプライベート・エクイティ分 年度) を授与されています。同氏はハーバード・ 野に積極的に関わってきたほか、複数の大手多国 ビジネス・スクールのエグゼクティブ・マネジメ ARMIN BAUER 籍企業で経営陣の一員として活躍してきました。 ント・プログラムを卒業、ベナン大学とナイジェ アジア開発銀行(ADB)      リア法科大学院でそれぞれ法学の学士号、法廷弁 プリンシパル・エコノミスト 護士資格を取得しています。また、同氏は国際非 SUSANNE DORASIL 営利組織 Aspen Institute の African Leadership Armin Bauer氏は1995年からADB ドイツ連邦経済協力開発省(BMZ ) Institute 特別研究員、および Chartered Institute のプリンシパル ・エコノミストとし 経済政策/金融セクター部長; of Bankers(CIBN)の名誉研究員であり、Bankers て同行のオペレーション、知識、 G20 Development Pillar on Private Committee on Economic Development and および 戦 略・政 策 局に勤務して (PIJC) Investment and Job Creation Sustainability 分科委員会議長を務めています。 きました。同氏は ADB が 1999 年に発表した貧困 共同ファシリテーター 削減戦略の主な執筆者の 1 人であり、 2010年には Operationalizing Inclusive Growth に関する業務 Susanne Dorasil 氏はBMZの経済 IBRAHIM M. I. ALTURKI を主導しました。また、同氏は ADB で貧困削減の 政策/金融セクター部長として、持続可能な経済開発 世界銀行サウジアラビア理事代理; ための信託基金の運用を担当し、貧困削減と包括 (経済政策、金融および民間セクター開発) 、開発の G20 Development Pillar on Private 的な成長、世界的景気後退の社会的影響、中所得 ための企業の社会的責任と革新的ビジネスモデル、お Investment and Job Creation 国における包括的な成長の社会的側面、労働市場 よび開発のための ICT を担当しています。同氏は現 (PIJC)共同ファシリテーター など多岐にわたる分野での著作があり、貧困およ 在、G20 Development Pillar on Private Investment び社会的影響の事前評価用ツールを開発していま and Job Creation(PIJC)共同ファシリテーターをドイツ Ibrahim M.I. Alturki氏は2010年 す。同氏はADB の民間セクター部門および地域・ 代表として務めると共に、SME Finance of the Global 11月以来、世界銀行グループにおいてサウジアラ 持続可能な開発部門が共同で実施している、同行 Partnership for Financial Inclusion の分科委員会の ビア理事代理を務めるほか、 PIJC 作業部会の共同 におけるインクルーシブ・ビジネス・イニシアテ ドイツ代表共同委員長を兼任しています。同氏は以 ファシリテーターとしてG20 を代表しています。 ィブの発起人です。このイニシアティブはアジア 前、世界銀行グループの中央アフリカ・西アフリカ 世界銀行グループで現在の役職に就任する以前、 10 ヵ国におけるインクルーシブ・ビジネス市場の II・マダガスカル地域局の副局長、およびドイツ理事の 同氏は世銀グループのサウジアラビア理事のアド 規模を分析し、インクルーシブ・ビジネスのイン シニア・アドバイザーを務め (対象分野:国際開発協会 バイザーでした。また、同氏はオーストリアの パクト評価ツールの開発、およびインクルーシ (IDA) の持続可能な開発、貸出証券、コーポレート・ OPEC(石油輸出国機構)国際開発基金(OFID)のア ブ・ビジネス分野における投資ファンド設立とパ ガバナンス、セーフガードとパフォーマンスの規格、 フリカ地域担当ディレクターを3年間、OFIDのアフ ートナーシップの構築に取り組んでいます。アジ グッド・ガバナンス、脆弱な国家) 、またBMZでは事 リカ地域担当上級オペレーションズ・オフィサー ア開発銀行に勤務する以前、同氏は1980年代のイ 務次官の私設秘書官、法務局の Deputy Headを歴任し を3年間勤めたほか、サウジアラビアのリヤドで15 ンドでの NGO 活動をはじめとして、 1991 年から てきました。同氏はベルリン自由大学で法律を専攻 年にわたりサウジアラビア開発基金 (SDF) のアフ 1995年まではドイツ国際協力公社 (GIZ) に、2003 し、ロンドンのキングス・カレッジで法学修士号を取 リカ地域オペレーションズ部門で勤務しました。 年から2006年まではドイツ復興金融公庫 (KfW)に 得、ベルリンで司法試験に合格しています。     それぞれ勤務してきました。 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 41 附属書 2 審査員略歴(次ページへ続く) BERNARD GIRAUD LUIZ ROS YASUYUKI SUGIURA ダノンLivelihoods Fund and 米州開発銀行 Opportunities for 米国三菱商事会社社長兼 CEO Livelihoods Venture共同設立者・ the Majorityマネージャー 社長 Yasuyuki Sugiura 氏はCorporate Luiz Ros 氏は2008年1月、米州開 Strategy and Research Department Bernard Giraud 氏は Livelihoods 発銀行の民間セクター開発担当 および Regional Strategy and Fund(ダノンとクレディ・アグリ 副総裁が統括するOpportunities Coordination Department でのゼ コル、国際エネルギー・マネジ for the Majority( OM ) Sector ネラル・マネージャーを含め、 メント企業 Schneider Electric および 気候変動に取 Office のマネージャーに任命されました。同氏の 三菱商事および米国三菱商事会社 (MIC)で長きにわ り組む投資・アドバイザリー機関の CDC Climatな もとで、この OM イニシアティブはラテンアメリ たりキャリアを築いてきました。また同氏は2006 どが共同で設立した投資信託会社) の共同設立者で カおよびカリブ海地域の 18 カ国において、総額 2 年から2008年にかけて、MICニューヨーク支社で その一事業分野であるLivelihoods Venture の社長 億米ドルに相当する 34 事業のポートフォリオを 最高財務責任者とCorporate Division のシニア・バ を兼任しています。最近まで、同氏はダノン で 構築してきました。米州開発銀行に入行する以 イス・プレジデントを兼任。2008 年に Corporate Sustainability and Shared Value Creation 副社長 前、同氏は世界資源研究所 (WRI) で Markets and Communications Departmentのゼネラル・マネー として、同社の意欲的な二酸化炭素排出量削減と Sustainable Enterprise を担当するグローバル・マネ ジャーとして東京本社に異動後、メディア対応と オフセット戦略の策定で中心的な役割を担ってい ージャーを、 またブラジルのサンパウロを拠点に小規模 ともに三菱グループ企業500社を対象に4万部発行 ました。2008年に同氏は国際自然保護連合 ながらも持続可能な企業を支援する VC III Stratus される社内報である RYOWA の編集業務に従事し ( IUCN ) やラムサール条約と共同でダノン自然基 Investment Fund で戦略委員会の委員も務めてい ました。その後、同氏は2009年に三菱商事のシニ 金を設立し、アフリカおよびアジア地域で大規模 ます。 ア・バイス・プレジデントに就任しています。同 なマングローブ林の再生とアグロフォレストリー 氏は2011年に米国三菱商事会社の取締役兼最高執 プロジェクトを開始しています。同氏はほかに 行責任者として米国に戻り、 2012年 4 月には米国 も、経済的・社会的価値創出を組み合わせた、社 VÍCTOR MANUEL 三菱商事会社の社長兼 CEO に就任しています。同 会事業基金ダノン・コミュニティーズ (8,000万ユ RIVERA SANDOVAL 氏は1978年に東京大学経済学部を、1988年には新 ーロ) や持続可能な農業のためのダノングループ・ 潟の国際大学をそれぞれ卒業しています。 メキシコ経済省 Head of the General エコシステム基金 ( 1 億ユーロ) をはじめとする基 Office of Business Information 金の設立に携わってきました。1998年にダノン社 Management, Under Ministry for に入社する以前は、フランスの政府機関である対 TIM TURNER Small and Medium Enterprises ; 仏投資庁の北米事務所 (DATAR) の事務所長を務め 2012 年 6 月開催の G20 首脳会議ホ アフリカ開発銀行、民間セクター・ たほか、米国に拠点を置くJohnson Worldwideの スト国および G20 議長国メキシコ マイクロファイナンス局ディレクター Marine DivisionでDirector for International Activities、 の代表 フランス西部および南部で Regional Development カナダ国籍を持つ Tim Turner氏 A g e n c i e sの ゼ ネ ラ ル ・ デ ィ レ ク タ ー 、 そ し て Víctor Manuel Rivera Sandoval 氏はメキシコの はアフリカ開発銀行 (AfDB)、民 Corporate Responsibility Europe の理事と取締役 Universidad de las Americas-Puebla 出身のエコノ ミ 間セクター・マイクロファイナ を歴任しています。 ストであり、スペインの Autonomous University ンス局のディレクターを務めて of Barcelona に て Strategic and Innovation います。AfDB初のHead of Risk Managementとし Management の修士号を取得しています。 1993年に て1996年に同行に加わる以前、同氏は米投資銀行 メキシコ経済省に入省して以来、同氏は中小企業 の Smith Barney のロンドンおよびニューヨーク支 向けの政策立案と革新・生産性・競争力育成のた 社に勤務していました。同氏はトロント大学の工 めのプログラム開発に従事してきました。公共セ 学の学士を持つほか、スイスのIMDで経営学修士号 クターでのキャリアの中で、同氏はメキシコ連邦 (MBA) を取得しています。 政府のUnder Ministry in the Directing Committees (科学技術、教育、金融、農業、観光、社 for SMEs 会開発、林業、ビジネス・インキュベーター、中 小企業支援基金) を代表し、州政府機関や民間セク ター、学術界、国際機関とも密接な関係を構築し てきました。同氏は現在、OECD中小企業・起業作 業部会 (WPSMEE)、OECD国際商取引における贈賄 に関する作業部会、国際協力機構 (JICA) およびメ ソアメリカ統合開発関連プロジェクト (MIDP) にお いてメキシコを代表しています。 42 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 附属書2 審査員略歴 BHARAT WAKHLU タタ・グループレジデント・ディレ クター ニューデリー在住のBharat Wakhlu 氏 はタタ・グループの レジデント・ディレクターを務 めています。現在の職務に就任 するまで、同氏はタタ・グループの米州業務を統 括するニューヨークの Tata Incorporated で社長を 務めていました。タタ・グループ傘下にある多様な 企業での同氏の勤続年数は 28年に及び、その間、 同氏は主に株主のための価値創出に注力してきま した。また、同氏は持続可能なビジネス、貧困の 削減、また人権における企業の役割について積極 的に取り組んできました。同氏の著作として 『Total Quality - Excellence through Organization-wide Transformation 』があり、また『Restoring Values - Keys to Integrity, Ethical Behaviour and Good Governance 』 を共同編集したほか、 2010 年には Penguin(インド) から初めての小説、 『 Close Call in Kashmir 』を出版しています。同氏はタタ・グル ープのSteering Committees for Innovation and for Climate Changeのメンバーで、Indian Institute of Corporate Affairs と米国品質協会 (ASQ-USA) のボ ードのほか、英Global Sustainability Councilおよび 米Fordham大学のアドバイザリーボードも務めて います。 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス 43 謝辞 本著作『G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス~受賞企業のプロフィー ル~』は、本書内で紹介されている企業29社の協力がなければ出版には至りませんでし た。執筆チームはこの場を借りて、自社のビジネス・モデルを掲載することを承諾し、 また拡大を続けるインクルーシブ・ビジネスの分野でリーダーシップを発揮する各社に 感謝の意を表します。 IFCの執筆チームは Alexis Geaneotes、Sabine Hertveldt、Eriko Ishikawa、Toshi Masuoka で構成され、Dalberg Global Development Advisors および Sunjay Dixit から意見提供を受 けています。本文の多くは、掲載企業29社がG20チャレンジに応募した際に記載した情 報を編集したものです。 また、執筆チームは時間と労力を費やして G20 チャレンジの受賞企業 15 社の選出にあ たった12名の審査員各位、ならびにメキシコのロス・カボスで開催されたG20首脳会議 の場で、受賞企業の表彰を行ったG20メキシコ政府代表に感謝の意を表します。また、 「G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス」の開催を実現する上で、牽引役 となったG20 Development Pillar on Private Investment and Job Creation (PIJC)の2名 の共同部会長、ドイツ連邦経済協力開発省(BMZ)のSusanne Dorasil氏と世界銀行サウジ アラビア理事代理の Ibrahim M. I. Alturki 氏に特別な謝意を表します。また、Alexandra Oppermann氏(GIZ:ドイツ国際協力公社)とNicole Maldonado氏(BMZ)によるプロジェ クト全体を通しての支援にも同様に感謝します。 翻訳:Rena Hinoshita, Tomohiro Nagasaki, Junko Tashiro 44 G20チャレンジ:革新的なインクルーシブ・ビジネス インクルーシブ ・ビジネスおよびその他IFCの支援サービスの詳細は、 IFC東京事務所までお問い合わせください。 IFC 東京事務所 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10 階 TEL: 03-3597-6657 FAX: 03-3597-6698 Email: ifctokyonews@ifc.org Website: http://www.ifc.org/japanese また、本著作に関する詳しい情報については、 IFC のインクルーシブ・ ビジネス・モデル・グループにお問い合わせください。 IFC ワシントンDC本部 2121 Pennsylvania Avenue, NW Washington, DC 20433 USA Website: http://www.ifc.org/inclusivebusiness Toshiya Masuoka(増岡俊哉) TEL:+1-202-473-9538 Email: tmasuoka@ifc.org Eriko Ishikawa(石川エリ子) Email: eishikawa@ifc.org International Finance Corporation 2121 Pennsylvania Avenue, NW Washington, DC 20433 USA www.ifc.org