1 世 界 銀 行 年 次 報 告 2 0 0 3 一 年 世 界 銀 行 を 振 年 次 報 告 り 返 っ て 2003 Volume 1 THE WORLD BANK 一年を振り返って 2003年度の活動概要 本年次報告は、2002年7月1 IBRD (単位:100万ドル) 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 日から2003年6月30日までの 承認額 11,231 11,452 10,487 10,919 22,182 活動を対象に、国際復興開 うち構造調整融資 4,187 7,384 3,937 4,426 13,937 発銀行(IBRD)と国際開発 プロジェクト数 99 96 91 97 131 うち構造調整融資 21 21 15 14 26 協会(IDA)の理事が、それ 実行総額 11,921 11,256 11,784 13,332 18,205 ぞれの機関の定款に従って うち構造調整融資 5,484 4,673 4,393 4,924 10,002 作成したものです。IBRDと 元本返済額(前納分を含む) 19,877 12,025 9,635 10,398 9,972 IDAの総裁および理事会議 実行純額 (7,956) (769) 2,149 2,934 8,233 長 を 兼 務 するジェームズ・ 融資残高 116,240 121,589 118,866 120,104 117,228 D・ウォルフェンソンは、本年 未実行額 33,031 36,353 37,934 44,754 51,372 次報告、運営予算、および 配分可能な純益 3,050 1,831 989 1,582 1,263 監査済み財務諸表を総務会 利用可能資本および準備金 30,027 26,901 24,909 25,067 23,782 に提出しました。 資本/貸出比率 26.6% 22.9% 21.5% 21.3% 20.7% 国際金融公社(IFC)、多数 IDA (単位:100万ドル) 国間投資保証機関(MIGA)、 2003年度 2002年度 2001年度 2000年度 1999年度 および投資紛争解決国際セ 承認額 7,282 8,068 6,764 4,358 6,967  うち構造調整融資 1,831 2,443 1,828 682 1,542  ンター(ICSID)の年次報告 プロジェクト数 141 133 134 126 145  は別途刊行されます。 うち構造調整融資 24 23 15 9 22  実行総額 7,019 6,612 5,492 5,177 6,172  うち構造調整融資 2,795 2,172 1,280 860 1,214  元本返済額 1,369 1,063 997 920 814  実行純額 5,651 5,549 4,495 4,257 5,358  融資残高 106,877 96,372 86,572 86,643 83,158  未実行額 22,429 22,510 20,442 20,833 22,249  開発グラント供与額 1,016 154 — — — 世 界 銀 行 年 次 報 告 2003 Volume 1 一年を振り返って 目次 総裁からのメッセージ 2 理事会 4 表紙 世界銀行グループ 8 ベトナムでは貧困層の大半が農村部で暮らし ています。現在、世銀は地方の最貧地域を対 第1章 世界銀行の戦略と行動 11 象とした地方自治体レベルの参加型プロジェ クトに重点的に融資を行うようになっていま 第2章 2003年度における世界銀行の活動 27 す。世銀は地域社会が定めた優先順位に従っ て、小規模なインフラ・プロジェク ト、農村地 第3章 開発の有効性 45 域の道路・市場、灌漑・給水、および基礎教 育・基本医療を支援しています。 第4章 テーマ別展望 59 表紙写真提供: Tran Thi Ho (World Bank Photo Library) 貧困削減と経済運営 60 人々への投資 65 環境責任と社会的公正を取り入れた成長に向けて 69 民間セクター開発とインフラ支援 73 健全な金融システムの構築 78 法制度の整備 81 (注) 本書は2巻1組で配布される資料の第1巻です。 第5章 地域別展望 85 第2巻「財務諸表および付表」 には世銀幹部の所 見と分析、国際復興開発銀行 と国際開 (IBRD) 世界銀行の地域区分、現地事務所、および融資適格国 86 発協会 (IDA) の監査済み財務諸表、および付表 アフリカ地域 88 が掲載されています。本年次報告の内容はイン 東アジア・大洋州地域 94 ターネッ トでも見ることができます。 南アジア地域 99 www.worldbank.org. ヨーロッパ・中央アジア地域 104 ラテンアメリカ・カリブ海地域 109 本書中のドル金額はすべて、特に断りがない限 中東・北アフリカ地域 114 り、現在の米ドルを意味します。 第6章 世界銀行について 119 パートI・パートII IDA加盟国リスト 181 世界銀行のウェブサイ ト一覧 182 囲み、図、 および表のリス ト 184 索引 186 略語 190 写真 :米国ワシントンDCに建つ世界銀行本部 (右上) 世界銀行の主な出版物 192 ウォルフェンソン世界銀行総裁兼理事会議長からの メッセージ 2002年5月、ウォルフェンソン総裁は中国を訪問し、中国のディベロップメント・ゲートウェイ財団加盟を祝う 記念式典に参加しました (世銀は同財団の創立メンバーです)。総裁は中国政府高官と共に、中国ディベロップメ ント・ゲートウェイの創設にも尽力しました。 この1年は長引く不況、イラク紛争、新種の伝染病 セクターとは、万人のための教育、HIV/エイズ、水と 「重症急性呼吸器症候群(SARS)」の流行など、世界 衛生、そして保健・医療です。世銀はパートナーと共 中が不安と不確実性に包まれたまれにみる年でした。 にこの4分野に取り組む中で、今後の活動に生かすこ こうした世界情勢の中、世銀が開発パートナーと手を とのできるさまざまな教訓を学びました。第1に、援 取り合い、世界の貧困削減に取り組むことがかつて 助は借入国が主体的に作成したプログラムに基づい ないほど重要となっています。 て、健全な政策環境のもとで行われなければなりませ 2002年3月にメキシコのモンテレーで開催された ん。第2に、適切な政策環境が存在する場合は、国際 「国連開発資金国際会議」で交わされた約束は、ミレ 社会は追加支援を通して、借入国の目標達成を支援 ニアム開発目標 を達成するためには国際社 (MDGs) する必要があります。第3に、援助は適切な形で借入 会の一致団結した努力が欠かせないことをあらため 国に提供されなければなりません。つまり、援助が借 て強調するものでした。2015年までに世界の貧困を 入国の予算サイクルに適合したものとなっているか、 半減することは、MDGsが掲げる目標の1つです。モン ドナーの都合による条件が付されていないか、そし テレー合意はすべての関係者、つまり先進国と途上 て援助の手続が簡略で調和しているかを確認する必 国の双方に行動と説明責任の枠組みを提供するもの 要があります。MDGsを達成するためには開発援助の でした。今後は計画の実行に注力し、国際社会の協 額を増やすだけでなく、援助の効果をこれまで以上 力の成果を高めていかなければなりません。この点 に高める必要があります。 については誰もが合意するところでありましょう。 (CDF) 包括的な開発フレームワーク と貧困削減戦 世界銀行はMDGsの達成に欠かせない優先セク 略文書(PRSP)には、開発の有効性を高めるための ターを4つ選び、集中的に取り組んできました。その4 アプローチが盛り込まれています。今、このアプロー 2 世界銀行 年次報告 2003 チは多くの最貧国で着実に根を下ろしつつあります。 ず、その2倍近い人々が不衛生な環境で暮らしていま 中所得国においては、貧困を削減し、不均衡を解消 す。こうした膨大な需要の存在をふまえ、世銀グルー するために、包括的な開発フレームワークの原則をど プは理事会の支援のもとで、ほかの多くの開発関係者 のように適用していくべきかが徐々に明らかになって と協力しながら、インフラへの投資を強化していくつ います。また、世銀は長期にわたって紛争が続いて もりです。そして、政策改革とキャパシティ・ビルディ いる地域をはじめ、脆弱な政策とガバナンスに苦しん ングに重点を置き、公共セクターと民間セクターの両 でいる低所得国には特に多くの努力を傾けています。 方から追加支援を確保していく考えです。 こうした国々の状況が改善されない限り、MDGsが達 我々の行動は持続可能な開発につながるものでな 成されることはありません。 ければなりません。昨年、南アフリカのヨハネスブル 最貧国への支援としては、世銀は他の組織と共に、 グで開催された「持続可能な開発に関する世界サ 重債務貧困国 イニシアテ (HIPC) ィブによる債務救済に ミット」は、環境責任を社会的公正と結びつけ、持続 取り組んでいます。最終的に、すべての債権国による 可能な未来に向かう必要性を強調するものでした。 債務救済総額は400億ドルに達する見込みです。世銀 世銀グループはこれからも引き続き、我々の開発プ では、2003年度に同イニシアティブのレビューを実施 ログラムが未来の世代に与える影響を十分に考慮し したところ、改善の余地のある点が明らかになりまし ていく予定です。 た。それを受けて、改革に向けた動きがすでに始 ここ数年、世銀はパートナーシップの強化を主要 まっています。また、国際開発協会の第13次増資 な目標に掲げてきました。調和と協力のあり方を模 において、債務に苦しむ貧困国へのグラン (IDA‑13) ト 索する中で、我々は2つの原則を行動の指針としてい 供与が認められたことも重要な一歩といえるでしょう。 ます。第1の原則は、開発の効率と効果を高めるた モンテレー会議では、MDGsの達成には貿易がき めには、各分野のパートナーとこれまで以上に密接に わめて重要な役割を果たすことが強調されました。 連携し、相手が比較優位を持っている分野において 国際社会は一昨年カタールのドーハで行われた貿易 は、パートナーの仕事と判断を尊重するというもので 交渉で、貿易を開発に統合するために力を合わせて す。第2の原則は、援助を提供する際には借入国の いくことを約束しました。ドーハ交渉が折り返し点に 戦略を尊重し、ほかの開発パートナーとの調和を心 近づくにつれて、この約束を具体的な成果につなげ がけなければならないというものです。つまるところ、 ることの難しさが浮き彫りになっています。中でも、 開発の有効性を高め、持続可能な開発を実現するた 最も重要かつ難しい問題が農業です。しかし、農業 めには、借入国自身が主体的に開発を推進し、国際 分野の市場規制と補助金こそ、途上国の貧困削減を 社会がその取り組みを全面的に支援する必要がある 阻んでいる最大の外部要因にほかなりません。事実、 のです。 先進国が自国の農業を保護するために支出している この点についていえば、この1年は我々にとって実 補助金は、すべての途上国がMDGsを達成するため り多いものでした。しかし、2015年までに貧困を半減 に必要な援助の総額をはるかに上回っています。貿 するという共通の目標を達成するためには、国際社会 易交渉を前に進めることは、国際社会の最優先課題 はより一層努力していかなければなりません。来る年 の1つです。 においても、世銀グループの献身的で有能な職員は 成長を加速し、MDGsを達成するためには、民間 この目的の達成に向けて、ひたむきな努力を続けて セクター投資を促進し、生産性を高めることも重要で いくことをお約束いたします。 す。インフラなどの経済セクターでは、必要な投資の 大半は引き続き公共セクターから拠出されています。 途上国のインフラ投資は年間2500億ドルから3000億 ドルに達していますが、その75%から80%は公共セ クターからの投資でまかなわれています。現在、途上 国では合計12億人以上の人々が安全な水を利用でき ジェームズ・D・ウォルフェンソン 世界銀行 年次報告 2003 3 理事会 左から右へ (起立) : Yahya Alyahya, Guangyao Zhu, Per Kurowski, Pietro Veglio, Pierre Duquesne, Eckhardt Biskup,* Eugene Miagkov,* Finn Jonck, Carole Brookins, Louis Kasekende, Paulo Gomes, Amaury Bier, 原田 有造, Neil Hyden, Alieto Guadagni, Kurt Bayer (着席) Rapee Asumpinpong, Tanwir Ali Agha, Mahdy Aljazzaf, Rosemary Stevenson,* Ad Melkert, C. M. Vasudev, Marcel Masse *理事代理(この他に写真撮影に参加していない理事が1名) 理事会は世銀業務全般の運営に責任を負ってお 効性について理事会に助言を行います。 り、総務会から委任された権限に基づいてその任務 2003年度、理事会はその職務を遂行するために世 を遂行します。世銀協定の規定により、24名の理事の 銀本部で定期的に会合を開きました。各理事は5つの うち5名は5大出資国が任命し、残りの理事はその他 常任委員会のうち、いずれか1つ以上の委員も務めて の加盟国からなる複数の理事選出母体(2年ごとに選 います(監査委員会、予算委員会、人事委員会、開発 によ 出) り選任されます。 (CODE) 効果委員会 、 (CODAM) 理事行政管理委員会 理 事 会 は 総 裁 が 提 出 する 国 際 復 興 開 発 銀 行 の5つ)。このうち理事行政管理委員会については、 (IBRD)の融資・保証案件や、国際開発協会(IDA)の 2003年にその権限が拡大され、統治の分野を含むよ 信用・融資・保証案件を検討・承認するほか、世銀の うになりました。これに伴い、同委員会の名称は「統 業務全般についての方針も決定します。また、理事 治・理事行政管理委員会(COGAM)」に変更されまし 会は年次総会の場で総務会に会計監査報告書、運営 た。5つの常任委員会は世銀の政策や慣行を包括的 予算、そして世銀の活動や政策などをまとめた年次報 に検討し、理事会がその監督責任を十分に果たすこ 告 を提出する任を負っています。業務方 (本報告書) とができるよう支援しています。各委員会の担当業務 針を策定する際は、出資国が世銀グループに期待し は次の通りです。まず、監査委員会は財務管理、コー ている役割の変化やこれまでの業務経験が考慮され ポレート・ガバナンス、および監督業務に関する助言 ます。この過程で重要な役割を果たすのが業務評価 を行い、理事会の意思決定を支援します。予算委員 局(OED)です。OEDは理事会に直接説明責任を 会は業務プロセス、業務運営方針、標準、そして予算 負っている独立の評価部門であり、理事会が承認し 問題のうち、特に世銀グループ業務の費用対効果に た政策、戦略、業務プログラムに従って評価を実施し、 大きな影響を及ぼすと思われる側面を検討します。 世銀業務の妥当性、持続可能性、効率性、および有 開発効果委員会は世銀の使命である貧困削減の進捗 4 世界銀行 年次報告 2003 をモニタリングするために、世銀の業務や政策を評価 に基づいて行われました。これらの文書は2001年度 し、開発の有効性について理事会に助言を行います。 に検討され、2002年度に再確認・改訂されたもので 人事委員会は給与や主要な人事方針に関する助言を す。理事会は計画を行動に移すこと、特にMDGsに 行います。統治・理事行政管理委員会はガバナンス 盛り込まれた開発目標を達成するための手続や施策 や理事、理事代理、および理事室スタッフに関する業 を構築することの必要性を強調しました。その一環と 務方針について、理事会に助言と提言を行います。 して、理事会は世銀の政策、プログラム、および手段 統治・理事行政管理委員会の検討議題は理事会が指 の強化に関する大量の文書を検討しました。こうした 定する場合もあれば、委員会が独自に設定する場合 文書は開発結果の測定・モニタリング・管理を強化し もあります。2003年度は理事室を強化することで、世 たり、援助国の業務方針・手続・慣行を統一したりす 銀グループの意思決定に対する理事の参加や発言権 ることで、世銀の中心使命である貧困削減の達成を を拡大する施策などが検討されました。 加速することを目的としたものです。また、2003年度 理事と理事代理は定期的に借入国を訪問し、援助 にはイラク復興に対する世銀の役割、IDA第13次増資 の実施状況を視察します。視察の際はプロジェクト・ のグラント比率、OEDのHIPCイニシアティブ評価、テ マネージャー、受益者、政府関係者のほか、非政府 ロ資金・マネーロンダリング対策、途上国の輸出品に 組織(NGO)や企業の代表者、開発パートナー、金融 対する市場アクセスといった問題も議論されました。 機関、現地事務所の世銀職員など、さまざまな関係者 との会談が行われます。2003年度の視察先はドミニ 貧困削減における世銀グループの役割 カ共和国、ウルグアイ、およびベネズエラ・ボリバル共 ミレニアム開発目標 に対する世銀の取り組 (MDGs) 和国でした。 みは、理事会の審議内容にも色濃く反映されました。 理事会は半年ごとに開催される「世銀・IMF合同開 たとえば、理事会は「MDGsと関連開発結果の達成: 発委員会」のアジェンダや課題文書の作成においても 政策と行動のモニタリング・ と題され フレームワーク」 重要な役割を果たしています。理事会は開発委員会 た文書を検討しました。理事会は世銀の任務である で討議される課題文書の草案を検討・議論し、担当 貧困削減の実施状況についても、引き続き厳密なモ 者に助言を行います。2003年度の合同開発委員会で ニタリングを行いました。理事会は15件の貧困削減戦 は、貧困削減、ミレニアム開発目標(MDGs)、および 略文書 と7件のPRSP進行状況報告書を検討 (PRSP) モンテレー合意の実現に注力することが再確認され し、改良の余地があると思われる点を指摘しました。 ました。そのための戦略として、世銀の政策やMDGs 一方、拡充HIPCイニシアティブについても、理事会 関連の活動をモニタリングすること、途上国の輸出品 は2件のHIPC決定時点文書1を検討したほか、 「HIPC に対する市場アクセスを拡大すること、モンテレー合 イニシアテ 「HIPCイニシアテ ィブ:実施状況」 ィブ:債 意を推進すること、援助国・援助機関の業務方針・手 「HIPC:完了時点における 権者の参加に関する問題」 続・慣行の調和をさらに促進すること、そして重債務 債務救済追加額の計算」など多数の世銀・IMF合同文 貧困国(HIPC)イニシアティブ、債務持続可能性、切 書を検討しました。また、2002年度の貧困削減活動 迫した状況にある低所得国への援助、世銀のセーフ をまとめた進捗報告も検討されました。 ガード・ポリシーを強化することなどが掲げられました (本年次報告第2巻付表13参照)。 国別プログラム 2003年度においても、国別援助戦略 と包括 (CAS) 的な開発フレームワークの原則(自主性の尊重、パー 戦略的課題 トナーシップ、結果重視)が世銀グループの国レベル 業務の基軸となりました。また、理事会は援助戦略と 2003年度に理事会が重点的に取り組んだ分野は次 PRSPプロセスの連携を密にする必要性をあらためて の通りです。 1. 完了時点:決定時点で合意された債務救済額の未実行部分を、 戦略フレームワーク すべての債権者が無条件で実行した時点のこと。完了時点に到達 2003年度においても、理事会の審議は戦略フレー したとみなされるためには、PRSPに記載された主要な改革や政策 ムワーク文書と戦略指針文書(そして経営行動計画) が実施されている必要がある。 世界銀行 年次報告 2003 5 強調しました。2003年度の理事会では24件のCASと 監督責任と受託者責任 CAS関連文書が検討されました。世銀は融資・非融 資援助手法の改善を継続的に進めていますが、理事 理事会は監査委員会を通して、世銀の株主に代わ 会はこのプロセスに積極的に関与すると共に、過去 り、監督責任と受託者責任を果たしています。監査 のCASの見直しと今後の方向性、実施面での課題 委員会は監督とリスク管理の範囲と責任が拡大して (業務方針と手法の近代化)、およびその他の関連課 自身の権限の見直しを行いま いることをふまえ、 した。 題について指針を提供しました。理事会は今後の 監査委員会は財務方針・管理問題に対する理事会 CASをより「結果重視」のものにするために、中間目標 の意思決定を支援するために、財務管理をはじめと や達成状況の評価指標を取り入れ、成果の報告や説 する金融ガバナンス問題についての助言を行ってい 明責任を強化することを提言しました。これは開発プ ます。 ロジェクトの結果を問う声が高まっていること、また CASの目的とその達成手段の間にしばしば断絶が見 られることをふまえたものです。スリランカのCASは、 情報公開と透明性 2003年度に議論された初の結果重視型CASとなりま した。 情報公開への取り組みをさらに推し進めるものとし て、世銀は2001年に情報公開政策の見直しを行い、 グローバル・プログラムとパートナーシップ 公開対象となるプロジェクト関連文書(構造調整融資 2003年度においても、世銀グループは国際通貨基 関連文書を含む)を大幅に増やすと共に、外部の 金(IMF)、国際開発金融機関(MDBs)、および国連機 人々が世銀の過去の情報にアクセスできる仕組みを 関との協力関係を強化し、シビルソサエティとの交流 構築することを決定しました(2002年「世界銀行情報 を深めました。また、その他の開発パートナーと協力 公開政策」参照)。 しながら、優先項目を検討しました。中でもIMFとの 2003年度、世銀は積極的な情報発信と戦略的な情 協力関係は深く、公共支出分析、金融セクター評価プ 報公開が必要であるという認識に基づき、途上国に ログラム、およびマネーロンダリング対策に共同で取 情報公開センターを設置し、情報へのアクセスを改善 り組んだほか、HIPCやPRSPイニシアティブの実施に することを決定しました。2003年1月、理事会は「情報 と題された世銀管理文書を承認 おいては、引き続き協力関係を維持しました。また、 公開センターの強化」 マネーロンダリング・テロ資金供与対策に関する合同 しました。この計画は2004年度から2005年度にかけ 報告書、不正資金移転システムに関する合同報告書、 て実施される予定です。また、理事会は「世界銀行文 国別プログラムとコンディショナリティにおける連携の 書翻訳フレームワーク」文書についても審議を行いま 進捗状況をまとめた報告書も作成されました。このほ した。これは新しい情報公開政策により、公開対象と か、公共支出に関する分析報告書、金融セクター評価 なる文書が大幅に増えたことをふまえたものです。 プログラム、基準・規定遵守報告書 に関する (ROSC) 文書も作成されました。また、モンテレー合意を実行 に移すに当たり、世銀は前掲の「MDGsと関連開発結 運営予算 果の達成:政策と行動のモニタリング・フレームワー ク」を検討したほか、MDBsや二国間援助機関との業 予算委員会での検討を経て、理事会で承認された 務方針、手続、慣行の調和にも引き続き取り組みま 2003年度の運営予算総額は16億7260万ドルでした した。 (返済金額を除く)。予算総額には開発グラント・ファ 世銀は情報公開政策の見直しを継続的に行ってお シリティに対する1億5700万ドルの予算も含まれてい り、理事会は情報公開センターの強化に関する文書 ます。前年度予算からの実質増加率は0%、名目増加 を検討しました。 率は3.1%でした。2003年6月、理事会は2004年度の 運営予算として18億7000万ドルを承認しました(返済 。 金額を除く) 6 世界銀行 年次報告 2003 査閲パネル 「パラグア 2003年度にはこのほか、 イ:水・通信セク ター改革プロジェクト」および「アルゼンチン:SEG‑ 理事会は1993年に独立調査機関である査察パネル BAV電力供給プロジェク (同プロジェク ト」 トの資金の を設置しました。これは世銀プロジェクトから影響を 一部は「アルゼンチン・パラグアイ:ヤシレタ水力発電 受ける人々の懸念にさらにきめ細かく対応すると共 プロジェクト」 に関する調査提言 に支出されています) に、プロジェクトの計画、準備、および実施段階で世 が査閲パネルから理事会に提出されました。2002年9 銀の業務方針と手続が遵守されているかどうかを確 月、理事会は調査提言を承認し、現在調査が進めら 認するものです。世銀が支援するプロジェクトによって れています。 悪影響をこうむる可能性があると判断した人々は、査 理事会は2001年に調査請求が提出された「チャド・ 閲パネルに申し立てを起こし、世銀が業務方針・手 カメルーン石油開発・パイプラインプロジェクト」の 続を遵守しているかどうかを調査するよう求めること チャド部分に関する調査報告書を検討し、2002年9月 ができます。理事会はパネルの提言をもとに、調査を に世銀幹部の提言を承認しました。2003年7月には 許可するか否かを決定します。 「インド石炭セクター・環境・社会的緩和プロジェクト」 2003年度においては、査閲パネルは新たに「チャ に対する査閲パネルの調査報告書と世銀幹部の提言 ド・カメルーン石油開発・パイプラインプロジェクト」 が検討される予定です。 「カメルーン のカメルーン部分と、 :石油環境能力拡大 査閲パネルの設置以来、27件の調査請求が行われ プロジェクト」に関する1件の調査請求を受け、これを ました。このうち9件はアフリカ地域、9件はラテンア 受理しました。この請求はカメルーンのNGOと一般市 メリカ・カリブ海地域、7件は南アジア地域、2件は東 民が提出したものです。2002年12月、理事会は査閲 アジア・大洋州地域から提出されたものです。正式 パネルの提言を受け入れ、調査を承認しました。査 に受理された27件の調査請求のうち、査閲パネルは 閲パネルの調査報告書は2003年5月に理事会に提出 13件について調査を提言しました。このうち6件はパ されました。本報告書の内容と、その調査結果に対 ネルの活動方針に修正条項が加えらた1999年4月より する世銀幹部の提言は、2003年7月に理事会で審議さ 前に承認されたもの、7件はそれ以降に承認されたも れる予定です。 のです。 世界銀行 年次報告 2003 7 世界銀行グループ 世界銀行(世銀)グループ 国際復興開発銀行(IBRD) 国際開発協会(IDA) は、途上国の貧困を削減し、 1945年設立■184加盟国 1960年設立■164加盟国 累積融資額:3830億ドル 累積承認額:1420億ドル 人々の生活水準を高める 2003年度融資額:37ヶ国の99件の 2003年度承認額:55ヶ国の141件の 新規プロジェク トに対して112億ドル 新規プロジェク トに対して73億ドル ことを使命とする国際開発 機関です。世銀グループは 融資、政策助言、技術支援、 および知識共有サービスを 提供しています。世銀を構 成する国際復興開発銀行 と国際開発協会 (IBRD) (IDA)の株主は加盟国であ 保健・医療、栄養、および人口セクターにおけ IDAの融資は教育、保健・医療、飲料水、衛生 り、これらの加盟国が最終 る世銀の活動は、初の融資が行われた1970年 といった基本的サービスの質とアクセスの改 以来、大幅に拡大しています。同セクターに 善に役立てられています。IDAの支援により、 的な意思決定権を有してい おいて、世銀は低・中所得国に対して単独で 何百万人もの子供たちに初等教育の機会が開 は世界最大の融資機関となっています。 かれました。 ます。現在、世銀グループ は相互に密接な関係にあ IBRDは中所得国および信用力のあ 世銀はIDA加盟国の拠出金を原資と る貧困国に融資、保証、および分 して、81の最貧国 に (総人口25億人) る5つの機関で構成されて 析・助言サービスなどの非融資業務 年間70〜80億ドルの譲許的融資を を提供し、持続可能な開発を推進す 行っています。これらの国々は市場 います。 ることで、 これらの国の貧困を削減 の条件で借入を行う ことはほとんど、 することを目指しています。IBRDの もしくはまったくできないため、無利 目的は利益の最大化ではありません 子で提供されるIDAの融資がきわめ が、1948年以来毎年純利益を計上し て大きな役割を果たしています。多 ています。こう した利益は開発活動 くの最貧国では住民のほとんどが1 の原資になるだけでなく、世銀の財 日2ドル未満で生活しています。IDA 務的健全性を示す指標となってお の資金は借入国が推進する貧困削 り、世銀が資本市場から低利で資金 減戦略の重要政策分野にあてられて を調達し、借入国に緩やかな条件で います(生産性の向上、責任あるガ 融資を提供することを可能としてい バナンス、民間投資環境の整備、教 ます。IBRDの理事会は184の加盟国 育と医療に対する貧困層のアクセス を代表する24名の理事で構成されて の改善など) 。 います。このうち5名は任命理事、19 名は選任理事です。 8 世界銀行 年次報告 2003 国際金融公社(IFC) 多数国間投資保証機関(MIGA) 投資紛争解決国際センター(ICSID) 1956年設立■175加盟国 1988年設立■162加盟国 1966年設立■139加盟国 承認済ポー トフォリオ:234億ドル(協調 累積保証額1:124億ドル 合計登録案件:129件 融資分の66億ドルを含む) 2003年度保証額:14億ドル 2003年度登録案件:26件 2003年度承認額:64ヶ国の204件の プロジェク トに対して39億ドル ペルーのTecnofil社はIFCの融資をもとに銅 MIGAは干ばつにより深刻な電力不足にみま ICSIDは高速道路建設プロジェクトに関する 製品の製造工程を近代化しました。 われたブラジル北東部に非常用発電機を船舶 紛争の調停を進めています。 輸送するシンガポールのプロジェクトを保証 しました。 IFCは民間セクターを通じて途上国 MIGAは外国投資家が途上国に投資 ICSIDは国際投資紛争の調停と仲裁 の経済発展を支援しています。IFC を行う際の非商業リスク (収用、通 を行う場を提供することで、外国投 は政府保証を取りつけることなく、 貨の交換停止・送金制限、戦争や内 資の促進に貢献しています。ICSID 民間パー トナーと共に、途上国の持 乱、契約不履行などによる損失) を の存在は、国家と外国投資家が信頼 続可能な民間企業に投資を行って 保証することで、途上国に対する外 関係を育む一助となっています。国 います。こう した企業には投資、長 国直接投資を促進しています。また、 際投資協定の多くはICSIDを仲裁機 期融資、融資保証のほか、 リスク管 途上国が自ら投資を誘致し、投資情 関に指定しています。なお、ICSID 理サービスや助言サービスが提供さ 報を提供することができるように、技 は仲裁法や外国投資法に関する研 れます。IFCは資本の確保が困難な 術支援や各種の助言サービスも提供 究・出版活動も行っています。 地域・国の企業に援助を行っていま しています。MIGAは要請に応じて す。IFCはリスクが高いと民間投資 投資紛争の調停も行っています。 家が考えるような市場に投資を行 い、現地企業にコーポレー ト・ガバナ ンスや環境・社会分野の専門知識を 提供することで、現地プロジェク トの 投資価値を高めています。 1. 協調保険引受プログラムを通して保証し た金額を含む。 世界銀行 年次報告 2003 9 第1章 世界銀行の戦略と行動 第1章 世界銀行の戦略と行動 世銀を構成する国際復興開発銀行 と国際 (IBRD) 的保護が十分に提供され、人々が自らの生活に 開発協会(IDA)は、世界の貧困と闘うことを使命とす 関わる重大な意思決定に参加することのできる る国際金融機関です。世銀の加盟国は184ヶ国にの 環境が育まれます。 ぼります。世銀は持てる資源を活用し、開発金融機 ■ エンパワーメント:すべての人々に機会と安全を 関やシビルソサエティ組織(CSO)などの関係諸機関 提供し、社会に効果的に参加できるようにするこ と密接に連携しながら、借入国の持続可能な開発を とで、誰もが自分の生活を自分の手で管理でき 支援しています。 るようになります。 開発には変化が伴います。過去のプロジェクトから ■ 経済成長:開発に経済成長は不可欠です。貧困 学ぶこと、そして得られた教訓を国全体に適用するた が削減された国は、成長率が急激に伸びた国で めにキャパシティ・ビルディングを行うことも必要です。 もあります。一人当たり生産高の持続的な上昇 世銀は過去の経験から学び、利用可能な手段と資源 を経験することなく、開発が成功した例はありま を活用することで、今日の開発課題に取り組んでいま せん。 す。数十年にわたる開発活動の経験から、世銀は効 ■ 民間セクター:活気ある民間セクターがなけれ 果的な開発にはいくつかの共通する要素があることを ば、経済成長を持続させることはできません。中 発見しました。これらの要素は世銀の開発戦略の基 でも貧しい人々に雇用の機会を提供する中小企 盤となっています。 業の役割は重要です。 ■ 金融セクターと貿易障壁の撤廃:借入国の個別 ■ 活気ある国家:活気に満ち、公共セクターと民間 の状況に合わせた合理的な金融セクター政策 セクターの両方に良好なガバナンスがある国で は不可欠です。国際貿易の障壁を撤廃し、輸 は、契約が履行され、市場が機能し、基本的イン 出事業を途上国の成長の促進剤とすることも必 フラが整備され、保健・医療、教育、および社会 要です。 ■ 借入国の主体性:借入国の状況や政治経済を開 発戦略に盛り込むためには、借入国とその社会が 自国の開発戦略に主体性を持つ必要があります。 貧困削減の2つの柱 これらの要素をふまえ、世銀の開発戦略は次の2つ の柱に基づいて構築されています。 投資、雇用、持続可能な成長のための環境作り 1つ目の柱は、投資、雇用創出、および生産性の改 善をあらゆる規模の企業に奨励することで、企業家精 神を培う良好な投資環境を構築することです。第1の 12 世界銀行 年次報告 2003 (4) 民意を反映した行動を求める。 途上国の組織能 力:公的機関の運営を効率化する。この4つの要素が 実現すれば、国民は十分な知識をもとに、国家の開 発計画に参画できるようになります。 貧しい人々のエンパワーメントとミレニアム開発目標 (MDGs)の達成を分けて考えることはできません。 MDGsの中でも、教育、ジェンダーの平等、保健・医療、 および環境関連の目標を達成するためには人々への 投資が不可欠です。地域サービスに住民の声が反映 されるようにすることは、MDGs達成の素地を整える ことでもあります。こうしたエンパワーメントのよい例 が、地域住民による学校運営、保健活動、水管理で す。こうした活動は貧しい人々のニーズに合ったサー ビスを作り、彼らの生活を向上させる上で大いに役 柱は次の3点から構成されています。 立つことになります。 多くの地域社会では、女性のエンパワーメントが最 ■ 企業が安心して生産決定を下し、生産に取り組 重要課題となっています。これまでの経験から、あら むことのできる安定したマクロ経済環境を構築 ゆる年齢の女性の機会を拡大することは、社会にお し、自由貿易、革新、および企業家精神を育む貿 ける女性の地位を高めるだけでなく、開発全体の有 易政策を導入すること。 効性にも大きな影響を及ぼすことが実証されていま ■ 汚職、行きすぎた官僚主義、および組織犯罪を す。母親の教育が子供の健康を大きく左右することを 排除し、契約と規制が道徳的に妥当とみなされ 示す研究もあります。また、女性が家族の収入、生産 る形で履行・遵守されるガバナンスと制度を実 的資産、および移動を管理する立場にいる場合、家 現すること。 族全体の利益になることも証明されています。 ■ 高品質で信頼性の高い物的インフラと金融インフ ラを手頃な価格で十分に提供し(交通システム、 世銀の戦略とミレニアム開発目標:セクターの枠を超 公共サービス、銀行制度など)、個人や企業が経 えて 済活動に参加できるようにすること。 世銀戦略のフレームワークとなっている2つの柱は、 持続可能な貧困削減を達成し、途上国がMDGsを達 貧しい人々への投資とエンパワーメントによる開発へ 成するためには不可欠です。しかし、国によって必要 の参加促進 とする支援は異なります。たとえば、ほとんどの低所 世銀の開発戦略の2つ目の柱は、人々が自分や家 得国は世銀と協力してMDGsを達成することを優先項 族の生活に関わる重大な意思決定に参加する機会を 目に掲げているのに対し、中所得国はむしろ投資環 拡大することです。人権と法的権利の確保は、開発 境の構築を重視しています。 にとって欠くべからざるものです。生活と資産が守ら 2003年度、世銀は地域戦略と国別ニーズの分析に れていない限り、貧しい人々が自らの将来に投資し、 取り組むと同時に、MDGsの達成を支援するために世 地域社会に参加することはできません。 銀に何ができるのか、またどんな制約が存在するのか エンパワーメントについてはまだ学習を続けている を分析しました。その結果、MDGsを達成するために 段階ですが、世銀はこれまでの研究とプロジェクトの はセクターの枠を超えた活動が必要であることが分 経験から、貧しい人々のエンパワーメントを成功させ、 かりました。現在、世銀は保健・医療、教育、環境と 選択の自由を拡大するためには次の4つの要素が必要 いった従来のセクター分類では捉えることのできない (1) だと考えています。 情報へのアクセス:貧しい人々 活動にも支援を提供できるように、プログラムの見直 が十分な情報に基づいて意思決定を行うことができ しを進めています。たとえば、MDGsにはインフラに (2) るようにする。 参加:公共プログラムに貧しい人々 関する具体的な記述はありませんが、MDGsを達成す (3) の意見を反映する。 説明責任:官僚や公的機関に るためにはインフラ投資は不可欠です。道路と電気 第1章 世界銀行の戦略と行動 13 ミレニアム開発目標(MDGS) 世銀はMDGsのフレームワークに基づいて、その他の国際機関と共に途上国の開発に取り組んでいます。MDGs とは貧困を削減するために、国際社会が1990年から2015年の間に達成しなければならない具体的な目標を定め たものであり、持続可能な貧困削減の条件について国際社会がかつてない規模で合意したものです。 1. 極度の貧困と 2. 初等教育の完全普及 飢餓の撲滅 2015年までにすべての 2015年までに極度の 子 供 が 初 等 教 育を修 貧困状態にある人々 了 できるようにする。 と飢餓に苦しむ人々 の 数 を 半 減 させ る 。 3. ジェンダーの 4. 子供の死亡率の削減 平等と女性の 2015年までに5歳未満 エンパワーメント の子供の死亡率を3分 2005年までに初等・ 中 の2削減する。 等教育におけるジェン ダー 格 差 を 解 消し 、 2015年までにすべての 教育現場におけるジェ ンダー格差を解消する。 がなければ適切な学校を建設し、初等教育の完全普 す。可能な援助の範囲を明確にするために、世銀は 及を実現することはできません。道路と電気は医療 援助の内容と借入国が作成した活動計画が一致して 施設の建設にも必要です。十分な医療施設があれば、 いるかどうかを分析しており、両者の整合性を高める 乳幼児死亡率を削減し、妊婦の健康状態を改善し、 ために、ネットワーク、国別担当局長、そして借入国の HIV/エイズ(ヒト免疫不全ウィルス/後天性免疫不全 間で活発な議論が行われています。こうした分析活動 症候群)などの伝染病を治療することができます。ま はMDGsに対する世銀の取り組みを明確にする上で た、借入国のインフラ需要を分析する際には、貧しい も役立っています。途上国、先進国、そして開発コ 人々の意見を取り入れることも必要です。 ミュニティ全体が活発に活動しない限り、一部の国が 開発プロジェクトに対し、世銀がどの程度の援助を MDGsを達成できないことは明らかです。世銀は貧困 提供するかは、借入国の要望や開発パートナーとの協 削減戦略文書 を通して借入国の主体性を高 (PRSP) 力の可能性、そして世銀の資金や人的資源の限界を め、また開発委員会 に進捗状況を報告すること (DC) 考慮して現実的に判断されなければなりません。世 で、こうした国々への注目の喚起につとめています。 銀はこうした資金面、あるいは能力面での需給ギャッ プは開発コミュニティ全体に存在し、それがMDGsの 政策と行動のモニタリング 達成を遅らせる一因となっていると考えています。こ 開発委員会は2002年9月の会合で、MDGsとその関 うしたギャップの問題を解決する上で重要な役割を 連結果を達成するために、途上国と先進国の政策と 果たすのが、途上国と先進国の間で結ばれる協定で 行動を定期的にモニタリングする意向を明らかにしま 14 世界銀行 年次報告 2003 MDGsに盛り込まれたテーマは世銀にとって新しいものではありません。第一の目標である貧困の削減は、世銀 が長年にわたって掲げてきた目標でもあります。MDGsの大きな特徴は、開発の結果を重視していること、期限を 定め、測定可能な目標を設定していること、そしてグローバルな開発パートナーシップへの参加を先進国に義務づ けていることです。 5. 妊産婦の健康の改善 6. HIV/エイズ、 2015年までに妊産婦 マラリアなどの の死亡率を4分の3削 疾病の蔓延防止 減する 2015年までにHIV/エ イズ、マラリアなどの 深刻な疾病の拡大を 食い止め、減少に転じ させる。 7. 持続可能な環境作り 8. グローバルな 2015年までに安全な 開発パートナーシップ 飲 料 水 へ の 安 定した の構築 アクセ スを 持 たない ルールに基づいた、開 人々の割合を半減さ 放的で公正かつ予測 せる。 可能な貿易・金融制度 を構築する。 した。DCはMDGsのモニタリングは国連の役割であ を達成するために開発パートナーが約束した支援が るとしつつも、世銀と国際通貨基金(IMF)に対し、 確実に提供されているかどうかを確認する上でも役 MDGsの達成を促進する施策を提言するよう要請しま 立ちます。世銀とIMFが作成したモニタリング案は した。これを受けて、世銀とIMFは国連、国際開発金 2003年4月のDC会合に提出され、各国代表から幅広 融機関(MDBs)、世界貿易機関(WTO)、および経済 い支持を得ました。各代表から寄せられた意見をふ 協力開発機構の開発援助委員会 と協 (OECD/DAC) まえて、世銀とIMFは現在、パートナー機関と共にモ 議しながらモニタリングのフレームワークを設計し、 ニタリング・フレームワークの実践を進めています。 最初の適用を行いました。 世銀とIMFが提言したモニタリング・フレームワーク 開発の成果 は、定期的な報告を行うことで、DCが政策の実施状 成果を測定する仕組みがなければ、効果的なモニ 況や注目が必要とされる分野を継続的に把握できる タリングを行うことはできません。2003年度、世銀は ようにするものです。報告にはディベロップメント・ 行動計画に結果アジェンダを盛り込み、執行部の議 ゲー (囲み1.2) トウェイ のオープンなデータ・プラット 論を促しました。結果アジェンダに関する詳細は第3 フォームが利用される予定です。このプラットフォーム 章に記載されています。 はモニタリングの透明性を高め、途上国が自国の開 発成果を同じような条件下にある地域と比較できるよ うに設計されています。こうしたモニタリングはMDGs 第1章 世界銀行の戦略と行動 15 パートナーシップ:開発効果を高める イニシアテ (ROSC) ィブがあります。2003年3月、世銀 とIMFの理事会は世銀・IMF合同文書を検討したほ 今日、パートナーシップは世銀の業務アプローチの か、これらのプログラムについても議論を行いました。 中核を占めるものとなっています。国際社会のパート ナーと協力し、それぞれが比較優位を持つ分野を明 国際連合 らかにすることで、開発資金の費用対効果を高めるこ 世銀と国連はどちらも、国際社会が構築し、国際 とが可能です。また、過去のプロジェク トの成功と失 的に合意された開発のためのフレームワークを推進し 敗を緻密に分析し、実績のあるアプローチを集積し ています。世銀は国連のさまざまな専門機関、 プログ ていけば、 それぞれのプロジェク トに合ったアプロー ラム、 および基金と強固な協力関係を構築しています。 チを取り入れ、開発の成果を高めることができます。 2003年度、世銀と国連はPRSPの作成に取り組む途 一方、世銀業務におけるパー トナーシップの重要性が 上国への支援を強化しま した。その過程で、MDGsと 高まったことに伴い、各パー トナーシップと世銀の戦 PRSPプロセスの相補関係が分析されました。一方、 略的優先項目や借入国が作成した開発戦略の整合性 世銀と国連開発グループはさまざまな関係者を巻き をとること も重要となっています。 込んで、政策、手続、 および慣行の調和に関する議論 を続けています (囲み1.1参照) 。現在の焦点は開発 他機関とのパー トナーシップ 効果の改善と借入国の主体性強化となっています。 世銀は国際通貨基金 (IMF) 、国際連合、国際開発 世銀は政府間プロセスも支援しています。2002年 金融機関 (MDBs) 、経済協力開発機構 (OECD)、欧 の世銀の開発委員会会合において、MDGsを達成す 州連合 (EU) 、世界貿易機関 (WTO)といった国際機 るためには行動と政策のグローバルなモニタリ ングを 関とパー トナーシップを結んでいます。 強化する必要があるという意見が加盟国代表から出 されました。世銀の幹部はこの問題についても国連 国際通貨基金 (IMF) と対話を続けています。こう した対話は開発課題にお 世銀にとって最大のパー トナー組織はIMFで、両者 ける両機関の役割と責任を明確にする上でも役立っ はさまざまな貧困削減イニシアテ ィブを共同で進めて ています。 います。2003年度、世銀とIMFの協力関係は一段と 紛争が政治、社会、経済、および国際関係の各側 強ま り ま した。いずれもそれぞれが比較優位を持つ分 面で複雑化していることは、MDGs達成を目指す途上 野で活動を行っています。たとえば、IMFは借入国当 国の歩みに負の影響を与えています。国連と世銀は 局とマクロ経済問題に関する対話を進め、世銀は社 緊密な連携のも とで、紛争中、 また紛争後復興のあら 会的・構造的分野で主導的な役割を果たしています。 ゆる段階において、相互またはその他の重要な関係 2003年度も引き続き、世銀とIMFは重債務貧困国 者との協力関係の強化に取り組んでいます。 イニシアテ ィブ(HIPC) を通して、適格国の債務救済 に取り組みました。両機関の理事会は2つのHIPC適 国際開発金融機関 (MDBs) 格国が完了時点に到達したことを承認しま した。また、 2 0 0 3 年 度 に お い て も 、ア フ リカ 開 発 銀 行 世銀の理事会は 「国別プログラムとコンディショナリ (www.AfDB.org) 、アジア開発銀行 (www.ADB.org) 、 ティに関するIMF・世銀の連携強化―進捗報告」 と題 米州開発銀行 ( www.IADB.org )、欧州復興開発銀行 された文書を検討しま した。 (www.EBRD.org) 、イスラム開発銀行 (www.ISDB.org) 2 0 0 3 年 度 、I M F の 貧 困 削 減・成 長 ファシリティ をはじめとする国際開発金融機関と世銀の密接な協 (PRGF) の支援を受けた低所得国に対し、IMFと世銀 力関係は維持され、一部の分野では大幅に強化され はPRSPフレームワークのもとで共通の国別戦略を実 ま した。この点については、合同報告書 「国際開発金 施すると共に、 それぞれの責任分野に力を注ぎまし 融機関における近年の協力関係の発展」 に詳述され た。中所得国に対しては、各国の構造的問題を共に ています。 協議しながら、連携を強化するために一層の努力を 2002年にモンテレーで開催された 「国連開発資金 払いま した。 会議」 では、開発の有効性に関する共同声明が採択 その他の世銀・IMF共同プログラムと しては、金融 されま した。この声明に基づき、MDBs各機関の総裁 セクター 評 価 プ ログラムと基 準・規 定 遵 守 報 告 書 は定期会合を開き、政策や業務に関する問題、特に 16 世界銀行 年次報告 2003 囲み1.1 調和 開発結果の測定、モニタリング、および管理に関する会 OECD/DACがまとめたグッド・プラクティスの原則と基準 合の後も、国際開発金融機関 は開発結果に関する (MDBs) を、調和化の基盤として徐々に導入することなどが掲げられ 協議を続けてきました。2003年2月、MDBsとOECD/DAC ました。 は共同で国際会合を開催し、開発の有効性を高めるための 環境アセスメント、評価、財務管理・報告、および調達の 政策、手続、および慣行の調和について話し合いました。 面でも、合意文書や基準の策定が進みました。こうした国 イタリア政府の支援を得てローマで開催されたこの会合に 際基準文書は国別援助の調和化を進める上で重要な指針 は、国際ドナー・ (二国間ドナー、 コミュニティ 多国間ドナー) となるものです。業務面での調整も、主にPRSPを中心と の大部分と、約30ヶ国の途上国の高官が参加しました。本 して進みました。国別援助戦略 との連携はその一つ (CAS) 会合の最後に採択された「ローマ調和化宣言」は、調和化 です。 に関する国際的な宣言としてはこれまでで最も包括的なも 調和化の焦点は各国での実行段階に移っています。 現在、 のです(www.worldbank.org参照)。ローマ宣言には数多 世銀が支援した3つの公式な調和化パイロット・プロジェク くの野心的な行動計画が盛り込まれています。たとえば、 ト (エチオピア、ジャマイカ、ベトナムで実施)に続き、14の 調和化は途上国の個別に状況に合わせて進めること、途上 途上国が国主導の調和化プロジェクトに名乗りを上げてい 国の優先項目にドナーの援助を合わせること、途上国主導 (バングラデシュ、 ます ボリビア、カンボジア、ホンジュラス、 の取り組みを拡大し、支援の手続と慣行を合理化すること ケニア、キルギス共和国、モロッコ、ニカラグア、ニジェー (需要に合った技術協力の拡大など)、国・機関の政策、手 ル、太平洋諸島、フィリピン、セネガル、タンザニア、および 続、慣行を調和させる方法を分析・特定すること、MDBsや ザンビア)。 多くのMDBsが直面している国際的、地域的不確実性 ます。主な優先項目としては、ガバナンスと公共セク の問題と、MDBsシステムのさらなる強化について議 ター管理、税務政策と行政、貿易、コーポレート・ガ 論を重ねました。近年、MDBsの協力関係が大幅に バナンス、持続可能な開発、農業、知識経済などが 進歩したことを伝えるために、MDBsは「MDBs協力 あります。世銀、OECD、IMFの3機関は「国際租税対 の進捗に関する最新報告書」を全MDBsの理事会と総 話」を開始し、税務に関する知識共有や多国間での 務会に配布しました。また、MDBs各機関の総裁と 議論を促進しています。 IMFの専務理事は世界女性デーに共同声明を発表 世銀とOECDの連携は両機関が共に活発に活動し し、MDBsとIMFの協力関係においても、またそれぞ ている国でも行われています。OECDに加盟している れの組織の内部においても、ジェンダーの平等が重要 メキシコやトルコといった途上国、EU加盟候補国、 な役割を果たしていることを強調しました。 OECDの特別フォーカスとなっている非加盟国(ブラ ジル、中国、ロシア)はその一例です。こうした連携を 経済協力開発機構 (OECD)と開発援助委員会(DAC) 通して、世銀とOECDは活動の重複を避けつつ、それ 2000年5月に発表された協力に関する共同声明を ぞれの活動から相乗効果を得ています。 機に、世銀とOECDのパー トナーシップは加速されま した。それ以来、両機関は積極的に協同関係の構築 欧州連合(EU) に取り組んでいます。 世銀グループとEUのパー トナーシップは密接なも 世銀とOECDは共同でOECD/DACアジェンダに取 のです。欧州委員会が管理するEUの多国間援助プ り組んでいます。この中には、包括的な開発フレーム ログラムが世界第3位の規模だからです。 ワーク(CDF)とPRSPに沿ったドナー援助の提供、結 世界の政府開発援助 (ODA) のうち55%はEUによ 果重視の姿勢の強化、 ドナーの政策と慣行の調和、 るものです(2001年は260億ドル以上) 。また、EUは途 および切迫した状況にある低所得国への支援などが 上国にとって最も重要な貿易相手であり、途上国の あります。 輸出品の21%を受け入れているほか、途上国に特恵 DACアジェンダ以外の分野でも、OECDと世銀の協 措置を与えています。2004年には新たに10ヶ国 (合 力関係を強化する取り組みは計画的に進められてい 計人口1億人以上) がEUに加盟することになっていま 第1章 世界銀行の戦略と行動 17 す。EUは世界中で、特に中東や北アフリカのように、 な課題、政策、プログラムについてCSOと協議し、意 貿易、投資、移民などの面でつながりの深い隣接地 見を聞き、提案を促しています。2003年度、世銀は構 域において、政治・経済改革や貧困削減に取り組ん 造調整融資の融資方針、採掘産業への投資、また「世 でいます。 界開発報告2004」の作成にあたっては基本的サービ 近年、EUと世銀グループの協力関係はPRSPプロ スの提供問題について、世界中のシビルソサエティと セスやHIPCイニシアティブ、バルカン半島諸国とアフ 協議を行いました。第3に、世銀は技術支援や研修 ガニスタンの紛争後復興、アフリカとの戦略的パート サービス、CSOプロジェクトへの資金提供、共同プロ ナーシップ、貿易・開発分野での政策対話など、さま グラムの実施といった形でCSOと連携しています。最 ざまな側面で拡大してきています。 近の例では、政府、CSO、および援助機関と共同で 「アフリカ農薬廃棄プログラム」を開始しました。これ 世界貿易機関 (WTO) はアフリカからすべての旧式な農薬の在庫を除去し、 世銀が貿易分野の活動を拡大し、新たに貿易局を 安全に処分すること、そしてさらなる蓄積を避けるた 設置したことによ り、世銀とWTOのパー トナーシップ めの予防措置を講じることを目的としたものです。こ はさらに密接なものとなりま した。世銀とWTOは自由 の10数年で、世銀が支援するプロジェクトにCSOが参 貿易と開発という 目標を共有しています。世銀総裁の 加する例は着々と増えています。全プロジェクトに対 WTO訪問を機に、両機関は協調戦略の策定に着手し するCSO参加プロジェクトの割合は1990年度は21% ました。重点項目は次の通りです。 (a)政策研究成果 でしたが、2003年度には71%に達すると見込まれて と知識の共有、 「後発開発途上国のための技術支 (b) います。 援に関する統合フレームワーク」 の実施、(c)世界銀行 また、宗教コミュニティとのパートナーシップも数、 研究所 とWTOによる貿易関連研修とキャパシ (WBI) 深さの両面で拡大を続けており、現在ではHIV/エイ ティ・ビルディ ング、(d)貿易と開発に関する国際対話 ズ、教育、保健・医療、紛争解決、ジェンダーなど幅 の強化と促進。 広い分野にわたっています。世銀は世界信仰開発ダ イアログ(www.wfdd.org.uk)、世界教会協議会、世界 国際シビルソサエティ 宗教者平和会議をはじめとする世界中の宗教指導者 世銀は他機関とのパートナーシップにとどまらず、 ネットワークと対話を続けています。2002年10月には 世界中のシビルソサエティ、民間財団、議員、民間セ 世銀総裁とカンタベリー大主教の呼びかけで、イギリ クターとも幅広い協力関係を構築しています。 スのカンタベリーにおいて宗教と開発指導者の世界 会合が開催されました。会合では主にMDGsの観点 シビルソサエテ ィ から、貧困、グローバリゼーション、および社会正義 この20年におけるシビルソサエティの出現と成長 に関する諸問題が議論されました。会合には開発機 は、国際開発分野における2大潮流の1つです。世銀 関の指導者はもとより、主立った宗教、ビジネス、財 は貧しい人々の声を汲み上げ、政府と政策決定者の 団、および人文科学の世界から幅広いグループの代 説明責任を追及し、開発の有効性と持続可能性を高 表者が参加しました。 めるためには、 シビルソサエティがきわめて重要な役 ここ数年で、シビルソサエティとの対話や国際的な 割を果たすと考えています。現在、世銀は地域グ 労働組合運動との関わりも着実に拡大しました。今年、 ループ、 先住民組織、労働組合、宗教団体、財団など、 世銀とIMFは国際自由労連や国際労連との合同作業 世界各地の何千ものシビルソサエテ ィ組織 と (CSO) 計画に合意しました。その一環として2002年10月に世 協議・協調しています。 銀・IMFの上級幹部と労働組合指導者との会合が開 世銀は3つの形でCSOに関与しています。第1に、 かれ、合同研究プロジェクトや職員の交流なども行わ 世銀はシビルソサエテ ィと政府の対話およびパート れました(www.worldbank.org/civilsociety参照)。 ナーシップを促進しています。その手段と して、世銀 は資金、研修、技術支援を提供しているほか、国別 財団 PRSPの策定過程ではさまざまな会合を開き、CSOの 世銀はさまざまな財団と協力して、加盟国における 参加を促進しています (現在、40以上の途上国が 開発援助の効果を高めています。財団とのパート PRSPの策定に取り組んでいます)。第2に、さまざま ナーシップは外部の技術・金融資源を動員したり、業 18 世界銀行 年次報告 2003 囲み1.2 ディベロップメント・ゲートウェイ財団 同財団の使命は情報・通信技術の活用を通して貧困を削 「ディベロップメン また、 ト・ゲートウェイ・ポータル」は 減し、持続可能な開発を促進することです。世銀グループ 国際的な緊急課題に関する意見を交換したり、活動を は同財団の設立メンバーであり、財団の理事会には世銀の 調整したりする場となっています。 ジェームズ・D・ウォルフェンソン総裁、マンペーラ・ラン ■  知識共有の促進: 「ディベロップメント・ゲートウェイ・ ペーレ専務理事、およびモハメド・ムーシン副総裁兼主席情 ポータル」は、持続可能な開発と貧困削減に関する貴 報担当官が参加しています。2002年12月にはアラン・ロッ 重な情報源となっています。情報共有を促進するため シが同財団の最高執行責任者(CEO)に任命されました。 に、同ポータルには主要な開発テーマごとにインタラ 同財団の主な目的は以下の通りです。 クティブなコミュニティが設けられています。同財団の 年次会合である「ディベロップメント・ゲートウェイ・ ■ 公共セクターの透明性の向上:政府の透明性と効率性 フォーラム」には世界中から指導者が集い、それぞれ 「グローバル・オンラインdgマー を促進するために、 の経験を披露し合い、開発の有効性を高めています。 ケット」を通して途上国のパートナーや政府に電子入札 ■ 地域社会のエンパワーメント:44ある「カントリー・ゲー ソリューションを提供しています。同財団とイタリア政 トウェイ」は財団の使命を国ベースで推進することを目 府は今後成長が期待される電子政府アプリケーション 的として、各国がパートナーシップをもとに運用してい の早期実装を目指して、電子政府プログラムを立ち上 「ディベロップメント・ゲー ます。 トウェイ・ポータル」は げました。 国内の組織が交流を深める場となっています。また、 ■  援助の有効性の実現:開発活動に関する情報データ 「dgマーケット」の国別調達ポータルでは、地元の供給 (AiDA) ベース は世界中の開発プロジェクトに関する情 業者が入札に参加できるように現地語が利用されてい 報を集めた世界最大のオンライン・データベースです。 ます。 務プロセス刷新の可能性をみきわめたりする上で役 資」 。 参照) 立っており、世銀の学習プロセスを強化するものと なっています(囲み1.2 「ディベロップメント・ゲートウェ 議員 イ財団」参照)。 世界銀行国会議員ネッ トワーク(PNoWB)は、約60 国レベルでは、世銀はさまざまな財団 (フォー ド、グ の先進国・途上国の国会議員400人以上からなる独 ルベンキアン、 ヒューレッ ト、マッカーサー、モッ ト、 立組織です。PNoWBは2000年にヨーロッパの国会 パッカー ド、ロックフェラー、 ソロス、ユーラシアなど) 議員グループによって設立されました。PNoWBの目 とのパートナーシップを通して、MDGsを補完する 的は開発と貧困緩和における国会議員の役割を高 テーマ別イニシアテ ィブを推進し、 「世界開発報告」 な めることです。PNoWBはMDGs関連の活動を促進・ どの世銀プロジェク トに対するCSOの参加を促進して モニタリングする 「国会議員実施ウォ ッチ」、現地視察 います。こう した活動はPRSPプロセスの促進につな プログラム、HIV/エイズに関する特別委員会の設置 がっています。また、 フォー ド財団、 モット財団、 およ など、 さまざ まなイニシアティブ を 進 めて います。 び財団協議会との間で新たに始まったイニシアテ ィブ PNoWBの年次総会は開発問題に関する議員同士 では、「コミ ュニテ ィ財団」が地域社会主導型開発にお の、 また議員と世銀の重要な交流の場となっ ています ける有効なキャパシテ ィ・ビルデ ィングの手段になるか (www.pnowb.org参照)。 どうかが研究されることになっています。 地 域 および グ ローバ ル・レ ベ ル で は 、世 銀 はビ 民間セク ター ル&メ リンダ・ゲイツ財団、国際ロータリー、 および国 ますます多くの民間企業が 「企業の社会的責任」 に 連財団と共に、2005年までに世界のポリオを撲滅す 留意し、 ビジネスの開放性と透明性を高め、倫理、法 るために、バイ ダウン方式の融資でポリオ・ワクチン 律、商業、 および公的側面で社会の期待に応える (あ を購入するという革新的なプロジェク トを支援してい るいは越える) ことを目指すよう になっています。一方、 ます(第2章 「2003年度の概観」 、第4章 「人々への投 世銀グループも民間セク ターとの関係をこれまで以上 第1章 世界銀行の戦略と行動 19 に重視するようになっており、貧しい人々のための活 まってから5年未満のプログラムですが、すでに10年 動に民間資金が効率的に投入されるよう、あらゆる努 〜30年の歴史を持つプログラムも12あります。 力を払っています。現在、世銀グループの多くの部門 現在、世銀が関与しているグローバル・パートナー が民間パートナーシップ・アプローチを取り入れてい シップには、国際農業研究協議グループ(CGIAR)、 ます。これは開発効果とパートナーの利益の両方を エネルギー・パートナーシップ、地球環境ファシリティ 最大化することを目指すもので、このアプローチの効 (GEF)などの環境関連のパートナーシップ、保健・医 果はプロジェクトを単体ではなく、世銀のグローバ 療、栄養、および人口に関するパートナーシップ、また ル・プログラム、地域別プログラム、または国別プロ ナレッジネットワーク、都市開発に関するパートナー ジェクトと連携させることで最大限に高まります。世 シップなどがあります。 銀の中核事業と連携を強め、パートナー企業の事業 目的との整合性を高めることで、開発効果と企業利 農業研究 益の両方を拡大することができます。たとえば、世銀 国際農業研究協議グループ (CGIAR) は国家、国 グループがアンゴラで進めているプロジェク トでは、 際・地域組織、 および民間財団からなる戦略的なネッ 石油セク ターの現地調達、収益の透明性、 および社会 トワークです。CGIARが支援する16の農業研究セン 開発活動を、戦後復興を目指す公共セク ターの優先 ターでは、各国の農業研究機関、民間セク ター、 およ 項目 と一致させる方法が模索されています。これは世 びシビルソサエテ ィと協力して研究が進められていま 銀のアンゴラ担当チーム、FAS (Fundo de Apoio So‑ す。CGIARは農業科学を通して、貧困削減、福祉の cial)、および世銀の石油・ガス局と世銀の企業社会 増進、農業生産性の向上、および環境保護に取り組 責任慣行グループの合同プロジェク トです。世銀グ んでいます。CGIARの研究者は農林業、生物多様性、 ループはシビルソサエテ ィ、大手国有石油企業、在ア 食糧、飼料、漁業、畜産、食糧政策をはじめ、農業セ ンゴラの多国籍組織、 およびアンゴラの石油・企画担 ク ターのあらゆる重要分野で技術革新に取り組んで 当大臣と共に、 このプロジェク トに取り組んでいます。 います。また、農業研究サービスの強化にも努めてい ます。CGIARの研究対象は公共財であるため、研究 グローバル・パー トナーシップ 成果がもたらす利益ははかり しれません。CGIARは グローバル・プログラムは世銀の国別援助活動を アフガニスタンに種子や技術支援を提供し、同国の 補完するものであり、環境破壊、伝染病の蔓延、金融 農業再建を支援しています。新アフリカ米 (NERICA) 不安、不安定な世界情勢といった新しく台頭しつつ プログラムはサハラ以南のアフリカで暮らす農民の生 ある課題に取り組むことを使命と しています。グロー 産性と所得の向上に貢献しています。また、CGIAR バル・ プログラムを進めるためには、国家や地域レベ が開発した数々の新しい手法は、 アジアのコメ生産 ルの政策に加えて、各国が協調的に行動することが 量と漁獲高の向上に役立てられています。一方、 不可欠です。グローバル・ プログラムはあらゆる借入 「チャレンジ・プログラム」 は微量栄養素欠乏や水不 国に関係しており、世銀の業務には欠かすことのでき 足といった世界規模の問題に取り組む革新的なプロ ない存在です。世銀はその任務を遂行するために、 グラムです。CGIARの研究者は3年連続で世界食糧 国際的な活動が国別プログラムを補完・強化する場 賞を受賞しています (www.cgiar.org参照)。世銀の業 合、 あるいはパー トナーと協力することで一国では生 務評価局は2003年度にCGIARに関する特別報告書を み出せない公共財を提供することができる場合に、 グ 理事会に提出しま した。この報告書の内容は第3章で ローバル・プログラムやパー トナーシップに参加して 取り上げています。 います。さらに、世銀はグローバル・プログラムを補 完・強化するような国別プログラムにも精力的に取り エネルギー 組んでいます。伝染病がそのよい例です。各国が 世銀は 「随伴ガス削減のためのグローバル・パー ト HIV/エイズ、 マラリア、結核、 ポリオに関するプログラ ナーシップ」 を推進しています。2003年度、世銀は借 ムを個別に進めることで、 これらの疾病の撲滅を目指 入国や企業関係者を訪れ、協力内容の詳細や、随伴 すグローバルな努力が強化されています。現在、世 ガス削減への投資を促進するための現実的で経済的 銀は70のグローバル・プログラムの創設、資金調達、 な方法を議論しま した。2002年12月 には第1回運営委 管理、および推進に携わっています。その大半は始 員会が開かれ、向こう3年間の活動計画と予算が承認 20 世界銀行 年次報告 2003 されました。 このパートナーシップの創設メンバーは世銀、シェ ル、BP、 (アルジェリア) ソナトラック 、およびエクアド ル、ナイジェリア、ノルウェーの各政府です。その後、 アンゴラ、カメルーン、米国の各政府と、シェブロン・ テキサコ、トタルフィナエルフが加わりました。 「グローバルビレッジ・エネルギー・パートナーシッ プ」は、エネルギーをまったく、あるいは限定的にし か利用できない人々に現代的なエネルギー・サービ スを届けることを目指すものです。このパートナーシッ プは国連開発計画 と世銀の合同プログラム (UNDP) である「エネルギー・セクター管理支援プログラム (ESMAP)」が管理しています。現在、150の組織がこ のパートナーシップの主旨に賛同しています。加盟メ ンバーはBPソーラーからタンザニア連合共和国まで 幅広く、今日のエネルギー・サービス供給に関わって 世銀の「環境ネットワーク」は、開発や貧困削減のための行動が、環境 いるさまざまな関係者が参加しています。2003年度、 の悪化や貧困の拡大につながらないように万全を期しています。 同プログラムの技術事務局はアディスアベバとダカー ルで「地域エネルギー・貧困ワークショップ」を開催し ジェクトが実施されています(他の実施機関との共同 ました。このワークショップには13ヶ国の代表者が参 プロジェクトも含む)。これらのプロジェクトはGEFか 加しました。今後、事務局はガーナ、タンザニア、ウ ら27億ドルのグラント供与を受けているほか、公共・ ガンダ、および ザンビア でフォローアップ・ワーク 民間セクターのパートナーからも122億ドルの資金を ショップを開催し、受益者を増やすための戦略を構 得ています。世銀とGEFの共同プロジェクトの管理に 築・調整する予定です。 おいては、世銀のGEF事務局が重要な役割を果たし ています。 環境 また、世銀はGEF信託基金の受託人と して、GEF事 世界銀行は地球環境ファシリテ ィ(GEF)の成功に大 務局の運営も支援しています (www.theGEF.orgまたは きな役割を果たしています。GEFは地域あるいは世 www.worldbank.org/gef 参照) 。 界レベルのパー トナーシップに利益をもたらすような 「環境・社会面での持続可能な開発のための信託 途上国のプロジェク トに資金を提供する革新的な多国 基金」 (www.worldbank.org/tfessd)は、ドナーと世銀が 間パー トナーシップです。GEFが支援するプロジェク 構築した新しいタ イプのパー トナーシップです。この トには、生物多様性の保全、気候変動リスクの削減、 信託基金は環境、社会、および貧困の側面から持続 オゾン層の保護、国際水域の浄化、土壌の劣化防止、 可能な開発を促進する世銀プロジェク トにグラン ト資 および有毒有機汚染物質の段階的除去に関するもの 金を供与します。 があり ます。 2003年度、世銀は 「持続可能な開発に関する世界サ 1991年の設置以来、GEFは重要な国際環境問題の ミ ット」 で新しい炭素基金 「コミュニテ ィ開発炭素基金 改善において目 をみはる成果を上げてきま した。たと (CDCF) 」を発表しま した (www.communitycarbonfund. えば、東ヨーロッパと中央アジアではオゾン層破壊物 org参照) 。CDCFは世銀と国際排出権取引協会の共 質を大幅に削減し、サハラ以南のアフリカでは森林 同事業であり、1億ドルを調達する予定です。CDCF 破壊や砂漠化の問題に取り組み、既存の電力網から は途上国の小規模プロジェク ト(農村部への再生可 遠く離れた場所に暮らす途上国の人々に再生可能エ 能エネルギー供給、エネルギー効率向上、固形廃棄 ネルギーを提供しま した。 物の熱源転換、農林など) に対し、温室ガス排出削 世銀は3つのGEF実施機関の1つであり、借入国に 減のための財政支援を行う予定です。なお、 この基 よるGEFプロジェクトの策定と監督を支援しています。 金はプロ トタ イプ炭素基金を補完するものです (www. 現在は129ヶ国で370件を越える世銀・GEF共同プロ prototypecarbonfund.org参照) 。 第1章 世界銀行の戦略と行動 21 保健・医療、栄養、 および人口 ナレッジネッ トワーク パー トナーシップの活動は、保健・医療、栄養、 お 世界銀行研究所 (WBI)はさまざまなパー トナーと連 よび人口関連のMDGsを達成するためにも不可欠で 携して、開発プロジェク トに取り組む途上国のキャパ す。120億ドルの資金をもとに64ヶ国でワクチンの普 シテ ィ・ビルディ ングを支援しています。WBIのナレッ 及活動を行っている 「ワクチンと予防接種のための世 ジネッ トワークはパー トナーが提供する資金、教材、 ト 界同盟 (GAVI) 」 にとって、子供の死亡率の削減は中 レーニングなどで支えられています。最近ではベル 心課題の一つです。 「栄養向上のためのグローバル同 ギー、 カナダ、 フィンラン ド、アイルランド、イタリア、オ 盟」 は微量栄養素欠乏の削減に取り組んでいます。 ランダ、 スペイン、 スイスをはじめ、多くの国がWBIに また、妊産婦の健康を改善することは、生涯を通じて 長期的な資金協力と革新的な援助手段を提供するよ の栄養改善に取り組んでいる 「栄養とジェンダーに関 うになっています (囲み1.3「スイスと世界銀行研究 するイニシアテ ィブ」 や、広く利用されている避妊手 所:キャパシティ ・ビルディングにおけるパートナー 段の安全性確保に30年来取り組んでいる 「ヒューマ シップ」 参照)。こう したパー トナーシップはキャパシ ン・ リプロダクテ ィブ・プログラム」 の活動と密接に関 ティ・ビルディ ング・プロジェク トの効果を高める上で 連しています。信頼できるデータがなければ、MDGs も有効です。現在、WBIは115を越える組織と公式な の達成状況を測定することはできません。INDEPTH パートナー契約を、約250の組織と非公式なパート (途上国において人口や地域住民の健康に関する統 ナーシップ契約を結んでいます。 計調査を継続的に行っている組織の国際ネッ トワー ク) などのパー トナーシップは、政策決定者をはじめ 都市開発 とする関係者を対象に、疾病や保健・医療 (栄養、性 「都市同盟」は都市と開発パー トナーが参加する国 と生殖に関する健康を含む) に関する情報を提供し 際的なパートナーシップです。都市同盟は1999年に ています。 世銀と国連人間居住計画 (UN‑HABITAT)が設置し 世銀は 「国連合同エイズ計画 (UNAIDS) 」 の8スポ たもので、現在は18のメンバーが参加しています。メ ンサーの1つであり、HIV/エイズの拡大を食い止め ンバーの内訳は先進7ヶ国、 オランダ、 ノルウェー、 ス る世界戦略の策定に重要な役割を果たしています。 ウェーデン、4つの地方政府連合、国連環境計画、 お 2002年度から2003年度にかけて、世銀は共同スポ よびアジア開発銀行などです。 ンサー組織委員会 (CCO) の代表を務めました。世 都市同盟は2つの分野に重点を置いています。1つ 銀は共同スポンサーや各国政府と積極的に協力し、 は、抜本的な現状改革を目指す都市を支援して、包 各国におけるエイズ関連プロジェク ト/プログラム 括的な都市開発戦略を策定すること、 もう1つは、スラ のモニタリング・評価の質的改善に取り組んでいま ム地域の改善に取り組んでいる都市または国家を支 す(www.worldbank.org/hivaids参照) 援することです。「スラムのない都市」 行動計画は、都 世銀は民間パー トナーと共に、 「国際 HIV 治療導入 市同盟の最初の取り組みの一つです。世銀内に設置 連合 (ITAC) 」などを通してHIV感染者を対象に薬物 された小さな事務局のサポー トのもとで、 メンバーが 療法の普及に取り組んでいます (www.who.int参照) 。 活動を行っています。 世銀は 「 世 界 エイズ・結 核・マラリア 対 策 基 金 (GFTAM) 」 の 設 立にも大き く貢 献しました ( w w w. globalfundatm.org参照) 。GFTAMは公共・民間セク 国別優先項目に対する行動 ターが参加する独立のパー トナーシップであり、関連 案件に対し、すでに15億ドルの資金支援を決定して 世銀は常に、借入国の固有のニーズに合わせて戦 います。世銀は 「ストップ結核」 「マラリア撃退」 と 略を調整しています。世銀の国別援助戦略(CAS)は いった従来のパー トナーシップにも引き続き関与して 借入国の開発ビジョン、的確な政策分析、開発ビジョ います。 ンを支える世銀のプログラム、および開発の結果に また、世銀はUNDP、世界保健機関 (WHO) と共に 重点を置いています 「包括的な開発フレーム (囲み1.4 熱帯病研究プログラムを支援し、ハンセン病や住血 ワーク」参照)。CASの内容は借入国が低所得国なの 吸虫症などの伝染病の抑制手段の改善にも取り組ん か、切迫した状況にある低所得国なのか、あるいは でいます。 中所得国なのかによって変化します。 22 世界銀行 年次報告 2003 囲み1.3 スイスと世界銀行研究所(WBI) :キャパシ クを大幅に強化し、借入国政府と世銀がCASの進捗 ティ・ビルディングにおけるパートナーシップ 状況を定期的に分析し、成果を測定できるようにする ことです。これをふまえ、2003年度の理事会では結果 スイス開発協力庁とWBIは能力拡大のためのパート 重視型CASのパイロット・プロジェクトとして、スリラン ナーシップを結びました。このパートナーシップにより、 カのCASが議論されました。パイロット・プロジェクト WBIは同庁の比較優位やスイスの技術機関を活用でき では「CAS完了報告書」が作成されます。これは完了 るようになりました。WBIは向こう3年で350万スイスフ したプロジェクトをあらゆる側面から総合的に自己評 ランの資金供与を受け、これをもとに財政分権化、持 価するもので、世銀の業務評価局(OED)はこの報告 続可能な開発、および地域社会のエンパワーメントに 書をもとにCASの結果を分析し、今後の教訓を引き 取り組む予定です。WBIは同庁の職員や現地事務所職 出します。2004年度には結果重視型CASのパイロッ 員の専門知識、スイス大学およびCSOの能力も活用し ト・プロジェクトに対する評価が行われる予定です。 ています。 低所得国 世界の最貧困層の圧倒的多数が暮らす低所得国で 国別援助戦略(CAS) は、世銀戦略の2つの柱を実現するのはきわめて困難 CASは途上国支援の指針となる事業計画です。世 です。こうした国々には持続可能な成長を促すような 銀グループは国別調査の内容にCASを追加・統合す 投資環境があるとはいえません。また、制度、人材、 る形で支援の内容を決定しています。CASは政府、 物質面の制限から、貧しい人々を開発に参加させる CSO、開発パートナー、およびその他の関係者との協 ことが難しい場合もあります。 議を経て策定されます。また、CASに盛り込まれる融 低 所 得 国 に 対 する支 援 の 要となって いるの は 、 資プログラムや知識・助言サービスは、貧困削減戦 1999年末に導入された貧困削減戦略文書(PRSP)で 略文書(PRSP)、包括的な開発フレームワーク、ある す。PRSPは国内外のパートナーや関係者との広範な いはその他の借入国主導のプロセスで決定された開 協議に基づいて、借入国自身が作成する結果重視の 発戦略と一致したものでなければなりません。 包括的なロードマップです。PRSPは貧困を削減する 2003年度、世銀はIDA融資国のCASを各国のPRSP ための国内政策、セクター横断プログラム、または開 に沿って作成しました。アゼルバイジャン、エチオピ 発援助そのもののフレームワークとなります。PRSPを ア、ガンビア、ギニア、ガイアナ、ホンジュラス、キルギ 作成する際には、借入国自身が積極的に計画の立案 スタン共和国、マラウイ、ニカラグア、ニジェール、ル に参加し、自国の固有の状況やニーズを反映すること ワンダ、セネガル、スリランカ、タジキスタン、ベトナム、 が求められます。世銀はPRSPの過程に関係者が確実 およびイエメン共和国のCASがこれにあたります。 に参加できるよう積極的に支援しています(第4章「貧 また、2003年度には切迫した状況にある低所得国 困削減と経済運営」参照)。また、MDGsの達成には (LICUS) 「国別援助 を支援する新たなCASとして、 セクターを超えた取り組みが不可欠であるという視点 ノート 」 (CRN) が導入されました。 から、世銀は借入国がPRSPにMDGsを盛り込むこと 2003年度の理事会では41件のCASが議論されまし を奨励しています。これはMDGsの達成に伴う痛みを、 た 。ここには ハイチに 対 するカントリー・ブリーフ 国別戦略の中で吸収することを目指したものです。 /CRN、ソマリアに対するCRN、アフガニスタン、アン PRSPの主体が国であること、またPRSPの作成は複 ゴラ、コソボ、 (旧ユーゴスラ セルビア・モンテネグロ 雑で時間がかかる可能性があることから、貧困国が ビア連邦共和国)などの紛争後諸国に対する4件の移 IDAの譲許的融資やHIPCの債務救済を速やかに利 行支援戦略などが含まれます。また、15件のCASが 用できるように、PRSPのフォーマットを簡略化した暫 国際金融公社 と共同で作成されました。2003 (IFC) (I‑PRSP) 定PRSP が導入されました。貧困国は貧困 年度に作成されたCASはすべて公開中または公開準 削減戦略信託基金に対し、PRSPの作成支援を求める 備中です。 こともできます。この基金はオランダと日本が拠出した 2003年度に完了した「第3次CAS検証」では、CAS 2000万ドルをもとに設置されたもので、PRSPの作成 の成果重視側面を強化することに焦点が当てられまし に取り組む貧困国に最高50万ドルのグラントを提供し た。今後の課題はモニタリングと評価のフレームワー ています。 第1章 世界銀行の戦略と行動 23 囲み1.4 包括的な開発フレームワーク(CDF)−世銀グループの活動基盤 「包括的な開発フレームワーク(CDF)」は、どの国にお が必要です。国際援助機関の援助活動はPRSPに沿って行 いても世銀グループの活動基盤となっています。低所得国 われるようになってきました。中にはプログラム的アプロー の場合、CDFの原則がPRSPの基盤となります。相互に関 チを採用している機関もあります。調和化や援助の調整に 連した4つの原則に従って開発を行うことにより、効果的で 関する取り組みも前進していますが、まだ十分とはいえま 持続的な貧困削減が促進されるというのがCDFの考え方 せん。特に制度レベルではさらなる調整努力が必要です。 です。この4原則とは、長期的かつ包括的な開発アジェン 世銀職員のインセンティブやスキルも、CDFの原則に沿っ ダ、借入国の広範な主体性に基づいた優先順位の設定、 た形で調整していく必要があります。 戦略の実行における政府、シビルソサエティ、民間セク 2003年度においては、CDFをラテンアメリカの中所得国 ター、およびドナーの強力なパートナーシップ、そして開発 に適用することをめぐり、さまざまな会合が開かれました。 結果の重視です。 また、紛争の影響を受けたアフリカ諸国に対するCDFの適 2003年春、世銀はPRSPまたはI‑PRSPを作成した経験 用を検討する会合も開催されました。こうした会合には政 のある48の低所得国を対象とした分析調査を実施しまし 府、民間セクター、およびシビルソサエティの代表者が参 た。その結果、CDFの遵守が途上国の開発目標達成や、ミ 加しました。こうした国の多くはCDFの原則に従って開発戦 レニアム開発目標の達成状況改善に役立っていることが分 略を策定・実行することにより、成長、貧困削減、および社 かりました。途上国政府は政策や戦略の立案に幅広い関係 会正義を達成したいと考えています。こうした試みはパート 者を参加させ、主体的に開発に取り組むようになっていま ナーシップ(特に民間セクターと地方政府のパートナーシッ す。しかし、政府が必ずしも関係者の参加に積極的なわけ プ)の 強 化 と 開 発 結 果 の 重 視 に つ な が るも の で す ではなく、事後のフォローアップにはばらつきが見られるこ (www.worldbank.org/cdf参照)。 とも分かりました。また、議員や民間セクターの参加を促進 なお、二国間・多国間援助機関はCDFに関する大規模な する仕組みも必要です。 合同評価を実施しました。評価の結果は2003年6月に発表 PRSPプロセスは途上国が制度や社会経済の問題にバ された「国主導型開発に向けて:パートナーによる包括的な ランスよく目を配る助けになっているものの、PRSPの内容 開発フレームワーク評価」にまとめられています。 と予算プロセス全体の一致という点では、まだ多くの努力 PRSPに基づいて低所得国に提供されるIDA援助の パートナーと密接に連携しながら、分析活動を拡大・ 1つに、貧困削減支援融資(PRSC)があります。PRSC 改善し、キャパシティ・ビルディングに投資し、LICUS は借入国自身が設定した貧困削減優先項目に支援を のガバナンス強化と基本的サービスの改善に向けた 提供するもので、政府のキャパシティ・ビルディングや 革新的な方法を模索するべきだと提言しました。 制度環境の整備 に (特に貧困層に影響を及ぼすもの) タスクフォースの提言をふまえて、世銀は2003年度 重点を置いています。2003年6月30日現在、世銀理事 に改革に着手しました。国家には固有の状況と進歩 会は7ヶ国で7件のPRSCを承認しています。また、 のスピードがあるという認識から、今のところ、活動 IDA融資を民間セクターのプロジェクトにあてることを は国ごとに行われています。2003年度には7つの国別 許可する条項も成立しました。 チームがパイロット・プロジェクトを実施し、2004年度 にはさらに多くのチームが参加する予定です。国ベー 切迫した状況にある低所得国(LICUS) スの援助活動においては、LICUSの原則はCASに組 世銀をはじめとするドナーは、援助の結果重視志向 み込まれています。こうした戦略の例としては、天然 が強まるにつれて、最貧国への援助がおろそかにな 資源の収入管理、戦闘員の復員、および地域社会主 る傾向があることに気づきました。特に政策やガバナ 導の社会活動に的を絞ったアンゴラのCAS、知識基 ンスが長期にわたって不安定な状況にある低所得国 盤の再構築およびドナーと政府の対話を目指すハイ については、さらに積極的な関与を行うことが求めら チのプロジェクト、複数ドナーミッションの完了を目指 「切迫した状況にある低所得 れています。2002年6月、 す中央アフリカ共和国のCAS、公共財の提供に関す 国 タスクフォース」 (LICUS) は理事会に対し、世銀は るソマリアのデモプロジェクト、和平プロセスの推進 24 世界銀行 年次報告 2003 を目的としたスーダンの政策対話とキャパシティ・ビル 重大かつ幅広い開発課題に直面しています。 ディング、トップダウンの公的融資管理と地域社会主導 中所得国における世銀の重要な役割は、投資環境 のイニシアティブを統合することでガバナンスの改善 の整備を促進するような改革を支援すること、経済改 を目指すタジキスタンのセクター別プログラムなどが (市場から長 革を後押しし、投資ニーズに応えること あります。 期資金を調達することは難しいため)、貧困地域をさ LICUSの開発にはパートナーシップが不可欠です。 らに縮小し、経済危機に耐えることのできる経済体制 これまでの研究から、こうした困難でリスクの高い地 を整えること、そして国際公共財への取り組みを支援 域で高い開発効果をあげるためには、パートナーの することです。 力を優先順位の高い改革に集中する必要があること 世銀は抜本的な市場開放改革を支援して中所得国 が分かっています。現在、世銀はOECD/DACと共に、 の投資価値を高めたり、市場開放に伴う構造改革や ドナーと途上国の代表者が意見を交換し、調査結果 社会改革の遂行を支援したりすることで、中所得国の や過去の教訓を共有することのできる学習・助言グ 民間セクターの育成に引き続き取り組んでいます。そ ループの設立に取り組んでいます。パイロット・プロ のために、世銀は借入国とさまざまな形で政策対話 グラムを実施している国別チームのうち4チームは を進め、借入実績のない国にも関与を続けています。 UNDPと共同で戦略の策定を進めており、3チームは2 そうした手段の一つが分析報告書の活用です。分 国間援助パートナーと密接に連携しています。これま 析報告書は中所得国の個別の開発優先項目や、貧困 でのパイロット・プロジェクトの結果から、開発戦略の 削減とセクターの繋がりを理解する上で大いに役に 作成段階からパートナーと連携することがプロジェク 立っています。また、世銀は各プロジェクトが十分な トを成功させる鍵となることが分かっています。 民間資本を調達できるように、資金の一部を融資した り、部分リスク保証を提供したりしています。金融セ 中所得国 クター開発については、IBRD、IFC、多数国間投資保 中所得国には世界の貧困層の4分の3が暮らしてお 証機関 もそれぞれの範囲で貢献しています。 (MIGA) り、引き続き貧困が課題となっています。中所得国は 第1章 世界銀行の戦略と行動 25 第2章 2003年度における世界銀行の活動 2003年度の概観 ■ (IBRD) 国際復興開発銀行 は総額112億ドルの融資を され、入賞者に総額250万ドルが授与されました。この 行いました。このうち、ラテンアメリカに対する融資は うち150万ドルは世銀の現地事務所が調達したもので 57億ドルにのぼりました。国際開発協会(IDA)は過 す。なお、2003年度のCID開催地はブラジル、ブルキ 去3番目に多い73億ドルの融資を承認しました。最大 ナファソ、中央アジア、エジプト、エチオピア/スーダ の融資先はアフリカで、承認総額は37億ドルにのぼり ン、グアテマラ、ペルー、ウクライナ/ベラルーシ/モ ました。 ルドバ、およびベトナムでした。コンテストにはさまざ ■ 5月にインドのバンガロールで世界銀行開発経済年次 まなプロジェクト案が寄せられました。たとえば、グア 会議(ABCDE) 「開発の加速」 が開催されました。 を テマラ大会ではコーヒー廃棄物を利用した有機肥料、 テーマに掲げた今回の会合には、インドや南アジアを ベトナム大会では古い都市のためのバイクを利用した はじめ、世界中から300人を越える研究者、学術関係者、 消防活動が提案されました。 開発実践者、および学生が集まり、それぞれの研究結 1998年以来、DMは50ヶ国以上の230件を超える画 果や開発現場の経験をもとに、貧困削減を加速する方 期的なプロジェクトに対し、総額1600万ドル以上を拠 法を話し合いました。ABCDEが途上国で開催されたの 出しました。入賞者はシビルソサエティ組織(CSO)、 は今回が初となります( www.econ.worldbank.org/ 大学、企業をはじめ、公共・民間セクターの両方にわ 。 abcde参照) たっています( www.developmentmarketplace.org ■ 4月、世銀は他の3組織と共に、2005年までに ポリオ 参照)。 を撲滅 することを目指す革新的な融資プログラム「ポ ■ 2002年12月、世銀は第1回目の「都市研究シンポジウ リオのための投資パートナーシップ」を設立しました。 ム」を開催しました。世銀職員、研究者、官民組織の代 世銀、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、国際ロータリー、 表者をはじめ、世界中の研究関係者約280名が参加し、 および国連財団が参加する本パートナーシップは、 途上国および移行経済国の都市貧困について、最新の IDAのポリオ撲滅融資を し、政府が規定 「バイダウン」 研究成果を検討しました。このシンポジウムは都市貧 の目標を達成した場合はそれをグラントに転換すると 困研究に対する世銀の新たな意気込みを示すと共に、 いうものです(www.worldbank.org/hnp参照)。 世界各地で幅広いテーマに関する質の高い研究が行 ■ 世銀は2003年度も引き続き、万人のための教育(EFA) われていることを明らかにするものでした。本シンポ とEFAファースト・トラック・イニシアティブ(FTI) ジウムの資料および2003年大会に関する報道資料は を推進しました。また、幼児教育、基礎教育、および シン ポ ジ ウム のウェブ サイト( w w w. w o r l d b a n k . 女子教育を強力に支援すると共に、障害児、孤児、お で公開されています。 org/urban/symposium2003) よび弱い立場の子供たちのニーズに取り組みました。 ■ ヨハネスブルグ・サミット2002−持続可能な開発 2003年3月、FTIドナーは2003年から2005年の間に初 に関する世界サミット(WSSD) 等教育の完全普及を達成するという目標に向けて、2 2002年8月26日から9月4日にかけて、南アフリカの 億ドル以上の追加融資を約束しました。また、最新の ヨハネスブルグで開催されたWSSDは、リオ地球サ 分析調査により、国家の経済成長には活気にあふれた ミット以降の10年を総括するものでした。本サミットに 知識集約型社会が不可欠であり、そのためには高等教 は各国政府首脳、国家使節、CSOや企業の指導者な 育の整備が不可欠であることが指摘されました(第4章 ど何万人もの人々が参加しました。世界人口が増え 「人々への投資」参照)。 続け、食糧、水、住居、衛生、エネルギー、医療サー ■ 世銀のディベロップメント・マーケットプレース(DM) ビス、および経済の安定を求める声がかつてないほど は革新的な開発アイディアを支援するために、貧困削減 高まっている中、環境的・社会的に責任のある成長戦 の優れたアイディアを持つ企業家にプロジェクトの実行 略を通して、人々の生活水準を向上させることの重要 資金を提供し、有望なパートナーと出会う場を提供し 性に世界の注目が集まりました( www.worldbank. ています。2003年度には9回にわたって世界各地でカ org/sustainabledevelopment参照)。 ントリー・イ (CID) ノベーション・デー コンテストが開催 28 世界銀行 年次報告 2003 第2章 2003年度における世界銀行の活動 高所得国が投資を再開することで、持続可能な世 途上国全体のGDP成長率は2003年の4%から2004 界成長が実現するという予測は実現されませんでし 年には4.9%に上昇すると予測されています。これは た。イラク戦争の脅威は石油価格の上昇と投資家の 2002年にGDPが激減した国々の一部で、危機的状況 信頼感の低下を招き、2003年上半期の世界成長に水 が終わりを告げたと考えられているためですが、この を差す一因となりました。低・中所得国の国内総生産 ほかにも途上国に関するいくつかの重要な予測が反 (GDP)成長率は2001年の2.8%から、2002年には 映されています。たとえば、イラクにおける軍事行動 3.3%に上昇しました。先進国に力強い回復が見られ は混乱を引き起こしているものの、途上国全体の成 なかったこと、主要新興市場の一部で金融・政治不 長に深刻かつ長期的な影響を及ぼすにはいたらない 安が広がったことは、途上国の成長率にも影響を及 と考えられること、2003年の世界貿易が世界のGDP ぼしました。途上国からの輸出品に対する需要が 成長率(2.3%)の2倍にあたる4.6%という高水準で拡 2.5%の伸びにとどまったのに対し、非石油品目の価 大したこと、また外国直接投資や民間資本のフローが 格は5.1%上昇しました。活発な融資は行われず(特 緩やかな回復基調にあることなどが挙げられます。 にラテンアメリカ)、外国直接投資は160億ドル減少し こうした地域間格差をふまえ、世銀は2003年度に ました。 おいても、各国の個別のニーズに合わせた知識・助 2002年の途上国の成長率には、国内状況などの影 言サービスおよび融資を提供しました。 響から、地域によって大きなばらつきが見られました。 東アジア地域の成長率は6.7%でした。これは中国 が8%という高成長を続けたこと、そしてその他の国 知識共有と学習サービス でも成長を後押しする政策が導入されたことによるも のです。これに対し、ラテンアメリカ・カリブ海地域の 世銀が蓄積している豊富な開発関連知識は、世銀 GDP成長率は0.8%下がりました。これはアルゼンチ の援助活動において、常に重要な役割を果たしてき ンにおける銀行破綻と政府の債務不履行、ブラジル ました。知識分野における世銀の活動は、国別調査 の選挙に伴う不確実性、ベネズエラ・ボリバル共和国 の実施、国別援助の基盤となる分析・概念フレーム の状況の悪化、および金融市場の流通資金が300億ド ワークの構築、借入国における情報アクセスの拡大 ル以上減少したことによるものです。ヨーロッパ・中央 など、幅広い分野にわたっています。2003年度の主 アジア地域は、トルコが2001年の危機から急速に回 な活動は次の通りです。 復したこと、また石油価格の高騰により、ロシアと独 立国家共同体(CIS)諸国が引き続き高い収益を挙げ 研究 たことにより、4.6%のGDP成長率を達成しました。南 国別研究は世銀の知識基盤の中核を成すもので アジア地域では対テロ戦争で地域情勢が混乱したに す。世銀は政策研究報告書、開発データ、開発見通 も関わらず、インドの国内需要が引き続き堅調だった し分析をはじめ、開発関連のさまざまな報告書を発 ため、GDP成長率は4.2%となりました。アフリカ地域 表しています。次の3つは世銀の研究活動の代表的な と中東・北アフリカ地域のGDP成長率は伸び悩み、ア ものです。 フリカ地域が2.8%、中東・北アフリカ地域は3.1%で した。 第2章 2003年度における世界銀行の活動 29 の投資環境が中国の水準に達した場合、企業がどの 程度の成長率を達成するかといった予測を行ってい ます。つまり、世銀の研究活動の1つの目的は、投資 環境を客観的に測定し、それを企業の業績に結びつ けることで、各国や都市がそれぞれの進捗状況を把 握し、今後の改革に優先順位をつけることができるよ うにすることにあります。 しかし、さらに重要な目的は抜本的な改革を促すこ とです。途上国のビジネス・コミュニテ(国内企業と外 ィ 資企業の両方)の緊密な協力がなければ、投資環境 調査を実施することはできません。調査の第2段階で は、民間セクターのパートナーと協力して調査結果を政 策議論につなげ、民間セクター開発に必要な優先改革 分野を特定します。その後、世銀やその他のドナーは 特定された優先順位に従って、改革を支援します(第4 章「民間セクター開発とインフラ支援」参照)。 世界開発報告 世界開発報告は世銀が毎年発表している主要な報 告書の1つであり、世銀の研究を総括するものです。 「世界開発報告2004:貧しい人々のためのサービスの 向上」 は、教育、保健・医療、水、エネルギー、衛生 といったサービスが、 アクセス、量、および質の点で 貧しい人々のニーズに応えていないと指摘していま す。サービスの提供チェーンは3つの主体、つまり受 益者である貧しい人々、サービスの提供者、そして サービス関連の政策を決定する政策決定者から構成 されています。貧しい人々に十分なサービスを届け セネガルの工事プロジェクトの様子。貧しい地域社会のキャパシティ・ るためには、 このチェーンを構成している3つの関係 ビルディングを支援し、住民が自らの福祉のために、開発プロジェクト を計画・管理できるようにすることが重要です。 (貧しい人々−提供者、貧しい人々−政策決定者、政 策決定者−提供者) を改革・強化する必要があります。 投資環境調査 世銀は政府、市民、およびドナーが貧しい人々を 世銀の開発経済研究グループ は、 (DEC) 世銀の他 サービスの中心に据え、貧しい人々がサービス提供 のユニットや現地パートナーと緊密に連携し て投資環境 者を監視できる仕組みを作り、貧しい人々の声を政 調査を実施しています。 これは衣料品、 電子機器、 情 策決定に大き く反映させ、サービス提供者が貧しい 報技術など個別セクターの民間企業を無作為に抽出し 人々にサービスを提供するためのインセンテ ィブを強 て実施する大規模な調査です。借入国はこ うした調査 化することで、 サービスの提供状況を改善することが 結果をもとに自国の投資環境の問題点を把握し、 効果 できると考えています。 の高い改革分野をみきわめ、 改革を実行し ています。 投資環境調査では、貧弱なインフラ、官僚的で効 研究活動 率の悪い政府、汚職など企業活動のボトルネックとな 1993年以来毎年、 世銀の貧困削減・経済運営ネ ット る主要な項目に重点を置いています。サンプル数が ワークはその年の貧困削減の進捗状況をま とめた報告 多いため、各企業の業績をさまざまな投資環境指標 書「貧困削減と世界銀行」 を発表し ています。報告書で と関連づけて比較することができます。こう した比較 は世銀の活動が貧困削減にどのよ う な影響を与えたか を通して世銀の研究者は、 たとえば、バングラデシュ が検討されます 。 (www.worldbank.org/poverty参照) 30 世界銀行 年次報告 2003 経済・セクター調査(ESW) (24%) 中央アジア地域 、 東アジア (14%) ・大洋州地域 知識の創造、共有、および適用を目指す世銀のア でした。国別報告書を補完するものとして、地域貿 プローチは、国際復興開発銀行 と国際開発 (IBRD) 易・輸送、保健・医療、所得分配、ミレニアム開発目 協会(IDA)の融資活動を補強し、開発の有効性を高 標(MDGs)の達成などに焦点をあてた地域別報告書 める一助となっています。経済・セクター調査(ESW) も作成されました。ESWは世銀の国別援助プログラ は世銀の助言サービスの1つです。ESWの主要現状 ムにますます深く組み込まれるようになっており、最 分析報告書は、国別援助戦略(CAS)や借入国との政 近ではそれぞれの国の主体性、参加プロセス、パー 策対話の基礎となっています。このほか、効果的な融 トナーシップ、およびキャパシティ・ビルディングに重 資プログラムの策定、実施、結果の測定の基礎とな 点が置かれるようになっています。中東・北アフリカ る一般現状分析報告書、特定のテーマに関する国 地域と東アジア・大洋州地域ではプログラム的ESW 政策ノー 別・地域別助言報告書、 トなどの非公式文書、 に重点が置かれました。中東・北アフリカ地域では従 そしてワークショップ・会議などのイベントがあります。 来のESWに加えて、償還可能な技術協力プログラム ESWプログラムは世銀の重要な分析・助言ツールで が強化されました。2003年度には借入国全体で591 あり、その活動は厳重にモニタリングされています。 件のESWが実施されました(2002年度は457件)。この 表2.1は1998年度から2003年度にかけて発表された うち120件は貧困、公共支出分析、借入国の経済・開 ESWの報告書をまとめたものです。 発政策、借入国の財政責任や調達などをテーマにし ここ数年は現状分析に対する優先順位が高まった た主要現状分析報告書です。これらの報告書は国別 ことを受けて、主要現状分析報告書が大きな割合を 援助戦略(CAS)、貧困削減支援融資(PRSC)、および 占めるようになっています(表2.1参照)。また、一般現 その他の構造調整融資の基礎となるほか、借入国と 状分析報告書や助言報告書に代わり、非公式文書の の政策対話にも役立てられています。 割 合 が 急 増して います。ここには 世 銀 が キャパシ ティ・ビルディング、知識の普及、および借入国に対す セクター別戦略文書(SSP) る「ジャスト・イン・タイム」な助言の提供に重点を置く SSPは世銀が関与している主要な経済セクターや ようになったことが反映されています。2003年度にお テーマを分析した戦略文書であり、徹底した調査と いては、金融・民間セクター開発、公共セクター・ガバ 世銀職員および主要関係者との幅広い協議に基づい ナンス、および経済運営に関する報告書が最も多く作 て作成される、知識の集大成ともいうべき包括的な 成されました。また、人的開発、社会的保護、リスク 報告書です。SSPは世銀の業務に戦略的な選択肢と 管理、貿易、および農村開発の分野でも相当数の 指針を与えるものとなります。また、SSPは活動分野 ESWが実施されました。ESWの調査結果はプロジェ ごとに戦略的優先項目を定め、CASの枠組みでSSPを クトの設計や国別計画の策定に役立てられています。 実行するための計画を提示します。世銀執行部は 2003年度に作成されたESWを地域別に見ると、アフ SSPの実施状況を定期的にモニタリングしています。 (25%以上) リカ地域が最も多く 、次いでヨーロッパ・ 2003年度には3件のSSPが作成されました(「農村部 表2.1 経済・セクター調査(ESW)報告書 1998–2003年度 作成された経済・セクター調査文書の数 報告書のタイプ 1998 1999 2000 2001 2002 2003 主要現状分析報告書 60 75 63 62 90 120 一般現状分析報告書 134 118 100 74 35 39 国別助言報告書 75 132 79 71 101 124 地域別報告書 38 47 50 28 22 36 報告書の合計 307 372 292 235 248 319 その他の文書 21 28 86 100 209 272 経済・セクター調査報告書・その他の文書の合計 328 400 378 335 457 591 第2章 2003年度における世界銀行の活動 31 囲み2.1 グローバル・ディベロップメント・ラーニン さまざまなサービスを通して途上国のキャパシティ・ビ グ・ネットワーク(GDLN) ルディングに取り組み、各国がそれぞれの開発目標を 達成できるよう支援しています。WBIのサービスの目 GDLN は開発や貧困削減に携わっ (www.gdln.org) 的は、政府やシビルソサエティがスキルを高め、世界 ている公的機関・民間組織を結ぶパートナーシップで 中の情報源から知識を獲得し、その知識を自国の制 す。GDLNは現在も拡大を続けており、世界各地に設 度 や 政 策 に 活 用 できるように することで す。また 、 けられた50以上の遠隔研修センターでは、さまざまな WBIは世銀と連携して、融資プロジェクトのキャパシ パートナーが双方向性技術を使って知識の共有、調整、 ティ・ビルディング部分の設計や実行も支援していま 協議、トレーニングを行い、キャパシティ・ビルディング す。2003年度には人的開発、貧困削減・経済運営、 に取り組んでいます。最近ではHIV/エイズ感染者に対 環境的に持続可能な開発、および金融・民間セクター する偏見や差別の問題を議論するフォーラムが開催さ 開発といった優先分野に関するプログラムが実施さ れ、世界各地の意思決定者や地域リーダーが参加しま れました。 した。フォーラムではバルバドス、中国、モルドバ、タ 2003年度、WBIは国別アプローチを採用しました。 ンザニア、タイ、ウガンダの参加者がHIV/エイズ感染者 その一環として、キャパシティ・ビルディング・プログラ が置かれている困難な状況を訴えると共に、この疾病 ムをその国の優先項目に従ってカスタマイズし、実績 に対する認識を高め、差別をなくすためのさまざまなイ のある教授法を導入し、国レベルの活動を展開し、 ニチアティブが議論されました。 政策決定を実行に移す上での鍵となる人々と協調し ました。また、国別学習・知識プログラムの対象国と して41ヶ国が選ばれました。この中にはアフガニスタ 「水資源セク の貧困層への支援」 ター戦略:世銀参加 ン、ソマリア、スーダンのように、世銀が知識・学習活 「世銀グループの新森林戦略」 の戦略的方向性」 )。 動を支援している国、アルバニア、ケニア、ラオス人 「農村部の貧困層への支援」 1つ目のSSP は、農業と 民民主共和国のように、学習プログラムが世銀の活 農村開発に対する世銀のアプローチを修正するもの 動を補完・支援する上で重要な役割を果たす国、そ となりました。このSSPでは貧困層に配慮した包括的 してブラジル、中国、インドのように人口が多く、しか な農村開発手法の導入、農業以外の経済活動や民間 もその多くが貧困にあえいでおり、知識経済への移 セクターを巻き込んだ農村経済成長、農村地域全体 行に戦略的に取り組むことが急務となっている国が を対象とした長期的なセクター横断アプローチの推 含まれています。 進、およびプロジェクトやプログラムへの幅広い関係 現在、ブルキナファソ、ナイジェリア、タジキスタンと 者の参加が提唱されました。 いった国々では、能力拡大ニーズ評価が試験的に進 2つ目の水資源に関するSSPは、貧困削減と持続可 められています。これは途上国自身が実施する能力 能な経済成長において、水資源管理と水資源開発が 格差と優先順位に関する総合評価で、WBI は評価の 果たす重要な役割を強調するものでした。また、水資 結果に基づいて対応戦略を立案すると共に、WBIと 源インフラの管理と開発、改革の政治経済面への配 して何ができるかを検討する予定です。この戦略は 慮、公的資金と民間資本の両方を用いた水力発電イ 世銀のCASに盛り込まれることになります。 ンフラの建設と適切な備蓄管理、および関連する環 また、WBIは開発のための知識プログラムも実施 境・社会セーフガードの遵守も訴えられました。 しています。これは途上国が知識経済に移行するた 3つ目の新森林戦略では、相互に関連する3つの柱 めの課題を分析するもので、69の構造的・数量的変 に基づいて、貧困削減と環境管理を目指すことが提 数をもとに、その国の状況を周辺国、競合国、そして 案されました。3つの柱とは、森林の潜在能力を利用 その国が目標とする国と比較します。この評価プログ した貧困削減、森林と持続可能な経済開発の統合、 ラムは途上国が直面している問題や機会を特定する そして地域・世界レベルの重要な環境活動と環境価 上で役立っています。 値の保護です。 WBIはより多くの人々にサービスを提供するため に、パートナーと協力し、遠隔研修のツールや技術を キャパシティ・ビルディング:世界銀行研究所(WBI) 利用しています。WBIはEラーニング、ウェブキャスト WBIはトレーニング、政策助言、情報文書、および (B‑SPAN)、ウェブサイト、グローバル・ディベロップメ 32 世界銀行 年次報告 2003 ント・ラーニング・ネッ (GDLN) トワーク を通して、情報 となっています。 アクセスの機会を拡大しています。2003年度にはテ 一般に、IBRD融資の対象となるのは中所得国です レビ会議システムを利用して約3万6000人がGDLNに が、IDAの原資には制約があるため、比較的規模が アクセスしました(囲み2.1参照)。また、WBIは知識共 大きく、信用力のある低所得国についてはIBRDの融 有サービスや学習・実践コミュニティの構築を通して、 資適格国と見なされます。IBRDの融資は償還期間が 途上国が広範な知識にアクセスできるよう支援してい 長く、融資条件も市場の条件に比べるとやや有利と ます。WBIは世銀職員が過去のベストプラクティスを なっています。2003年度は37ヶ国の99件のプロジェ 活用するための知識・学習助言サービスも管理してい クトに対して、合計112億ドルの融資が行われました。 ます。 一方、IDAの融資対象となるのは特に貧しい国々 です。こうした国々は通常、市場ベースの条件では資 金を調達することができません。IDAはこうした国々 2003年度における世銀の融資 に対し、10年間の据置期間を設け、35年から40年と いう長い償還期間で無利子の譲許的融資(「開発融 世銀は国際資本市場から資金を調達するIBRDと、 資」 を提供しています。2003年度は55 と呼ばれます) 富裕な加盟国から直接に拠出金を得るIDAで構成さ の低所得国の141件のプロジェクトに対して、73億ドル れています。世銀はIBRDとIDAの資金を借入国の貧 の融資が行われました。 しい人々のために役立てています。 IBRDとIDAはどちらも貧困削減を最大の目標とし 世銀の融資は主に国レベルで行われています。ま ており、成長を促進し、基本的な公共サービスを改善 た、融資の内容にはMDGsの達成という世銀の目標 するようなプロジェクトに融資を行っています。世銀は が反映されています。融資は借入国の個別のニーズ その他の機関とのパートナーシップを通して、協調融 に基づいて行われ、その手段はますます柔軟なもの 資や信託基金の形でプロジェクトを支援することもあ 図2.1 プロジェクト・サイクル 1. 国別援助戦略  8. 評価  世銀が援助効果と借入国の比較優 世銀の独立組織である業務 位に基づいて、 貧困削減に向けた融資・ 評価局が監査報告書を作成し、 プロジ ェクトを  助言サービスを準備します。  評価し ます。分析結果は今後のプロジェクトに 活用さ れます。  国別 援助     戦略   2. プロジェク トの発掘  評価 世銀の援助戦略に合致し、 かつ財 務、 経済、 社会、環境の視点か ら プロ 発掘 適切と思われるプロジ ェクトが選定 されます。 開発戦略の分析が行わ ジェ   7. 実施・完了     世銀と借入国の成果を評価す れます。    ク 了 トの るために、 プロジ ェクト完了報 ・完 告書が作成さ れます。     実施 プロジェクト・  3. 準備   サイクル  世銀は借入国の政策 やプロジ ェクトに助言を   準備 6. 実施・監督  行うと共に、 準備に必要 実施 借入国がプロジェ クトを実施し な資金を援助し ます。借入 ます。 世銀は融資が当初の目的 国は調査を重ね、 プロジェク ・監 に沿って、 経済的、 効率的、 効 ト計画を作成し ます。   督  果的に実施されているかど うかを 監督します。  交渉   ・理 事 審査 承認 会 の   4. 審査    世銀は借入国が作成したプロジ ェクト 5. 交渉・理事会の承認   を経済、技術、 制度、 財務、 環境、社会の 世銀と借入国の間で融資交渉が行われま 面から包括的に分析し ます。 プロジ ェクト審査報告書と プ す。 合意が成立する と、プロジェ クトは世銀の理事 ロジェクト契約の草案が作成さ れます。  会に提出さ れ、承認を受けます。  第2章 2003年度における世界銀行の活動 33 図2.2 IBRDとIDAの地域別融資 2003年度 ります。図2.1は世銀プロジェクトの一般的なサイクル 合計185億ドルに占める割合 を示したものです。図2.2〜図2.4はIBRDとIDAの融 資を地域、テーマ、およびセクター別で分類したもの、 表2.2はテーマ別、セクター別融資の一覧です。世銀 南アジア16% アフリカ 20% 融資に関する詳細は本報告書の第2巻に記載されて 中東・  います。 北アフリ カ 6% 東アジア・   大洋州 12% IBRDの役割 国民一人当たり所得が5115ドル未満の国々のうち ラテンアメ リカ・  カリブ海  ヨーロッパ・   国際開発協会(IDA)からのみ融資を受けている国を 31% 中央アジア 13% 除いた国々が、IBRDの融資適格国です。国民一人当 たり所得が上記の金額より高い国であっても、特定の 条件下で、あるいは「卒業」戦略の一環としてIBRDの 融資を受けることができます。ただし、IBRDから融 図2.3 IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 資を受けることのできる金額は各国の信用力によって 合計185億ドルに占める割合 異なることに留意する必要があります。したがって、 借入資格があっても、信用力が低い場合にはIBRDか 環境・  経済政策管理 4% 天然資源管理 6% ら融資を受けることはできません。また、信用力に関 わらず、一国に対するIBRDの融資残高が135億ドル 農村開発  公共セクター運営  10%  13% を越えることは認められていません。 法規 2% 1日1ドル未満で生活している人々の75%は、IBRD 都市開発  9% から融資を受けている国で暮らしています。一般に、 金融・民間  IBRD借入国は多少なりとも民間資本市場にアクセス セクター開発16% 人的開発  できる中所得国です。国民一人当たり所得が低いた 19% 貿易・統合  め、IDA融資適格国となっている国でも、ある程度の 3% 信用力があればIBRDからの融資が限定的に認めら 社会開発・   社会的保護・リスク管理 13% れる場合があります。これらの国々は「ブレンド借入 ジェンダー・参加 5% 国」と呼ばれています。ブレンド借入国に対する融資 注:表2.2参照  を除いた場合でも、1日1ドル未満で生活している人々 の実に25%は、IBRDから融資を受けている国で暮 らしています。IBRDは償還期間が長く、条件が緩や 図2.4 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 かで、しかも市場に比べてはるかに持続可能な形で 合計185億ドルに占める割合 多額の融資を行うことを通じて、世界の貧困削減に 大きく貢献しています。 給水・衛生・治水  農業・漁業・林業 7% IBRDはAAAの格付けを得ている国際金融機関で 7% すが、ほかの金融機関にはない次のような特徴を備 運輸 15% 法律・司法・行政  えています。たとえば、IBRDの株主は各国政府です。 20% また、IBRDの加盟国である借入国はIBRDの方針策 エネルギー・鉱業  定の際に発言権があります。IBRD融資(およびIDA融 6% 情報・通信  資)では通常、融資と平行して、融資の効果を高める 産業・貿易  1% 4% ための非融資サービスが提供されます。また商業銀 教育 13% 行と異なり、IBRDの目的は利益の最大化ではなく、 保健・その他の  金融 8% 開発効果の最大化に置かれています。 社会サービス 19% 注:表2.2参照  34 世界銀行 年次報告 2003 表2.2 世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資 1994–2003年度 (単位:100万ドル) 1994–97 1998–99a 年度 年度 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002b 2003 テーマ 経済政策管理 1,033.9 1,952.7 799.6 895.3 1,408.0 777.7 公共セクター運営 1,582.5 2,552.4 2,142.5 2,053.7 4,247.2 2,465.5 法規 323.0 362.9 373.6 410.0 273.2 456.6 金融・民間セクター開発 5,933.3 9,486.0 3,368.4 3,940.9 5,055.4 2,957.5 貿易・統合 711.9 813.2 426.4 1,059.9 300.9 560.9 社会的保護・リスク管理 1,162.6 2,653.9 1,895.0 1,651.0 1,086.4 2,345.8 社会開発・ジェンダー・参加 1,061.3 1,320.5 800.8 1,469.7 1,385.7 1,003.1 人的開発 1,869.0 2,484.8 1,190.3 1,134.7 1,756.1 3,356.3 都市開発 2,099.5 2,403.3 1,036.6 1,458.6 1,482.4 1,576.3 農村開発 2,327.5 2,746.4 1,413.7 1,822.3 1,600.0 1,910.9 環境・天然資源管理 2,859.7 2,018.6 1,829.4 1,354.6 924.0 1,102.6 テーマ総額 20,964.1 28,794.8 15,276.2 17,250.6 19,519.4 18,513.2 セクター 農業・漁業・林業 1,572.7 2,097.1 837.5 695.5 1,247.9 1,213.2 法律・司法・行政 3,241.8 6,127.2 4,525.4 3,843.0 5,199.6 3,947.5 情報・通信 220.4 179.4 273.8 216.9 153.2 115.3 教育 1,661.5 2,154.3 728.1 1,094.7 1,384.6 2,348.7 金融 2,060.9 5,167.1 1,580.9 2,253.4 2,862.4 1,455.3 保健・その他の社会サービス 1,891.3 3,114.5 1,491.7 2,521.2 2,366.1 3,442.6 産業・貿易 1,714.0 2,922.7 1,036.7 718.3 1,394.5 796.7 エネルギー ・鉱業 3,362.0 2,311.0 1,572.4 1,530.7 1,974.6 1,088.4 運輸 3,281.0 3,511.3 1,717.2 3,105.2 2,390.5 2,727.3 給水・衛生・治水 1,958.5 1,210.2 1,512.6 1,271.7 546.0 1,378.3 セクター総額 20,964.1 28,794.8 15,276.2 17,250.6 19,519.4 18,513.2 うち、IBRD融資額 15,027.4 21,634.3 10,918.6 10,487.0 11,451.8 11,230.7 IDA融資額 5,936.8 7,160.5 4,357.6 6,763.6 8,067.6 7,282.5 注:融資は世銀の新しいテーマ・セクター分類システム (68テーマ、57セクター)に従って、11の主要テーマと10の主要セクターに分類した。端数は 四捨五入されているため、合計が合わないことがある。IBRDとIDAのテーマ別、国別融資の詳細については、第2巻の付表11参照。融資金額に保 証は含まれていない。 a. 1998年度と1999年度の世銀融資については、東アジア金融危機に伴う例外措置と して、合計額を記載した。 b. 1件のプロジェク トの分類が変更されたことに伴い、2002年度の年次報告 (表2.2)に記載された数字を一部変更した。これにより、本表では2002 年度の社会的保護・ リスク管理の数字は220万ドル高く、農村開発の数字は220万ドル低く記載されている。 IBRD融資 最大を記録したものの、2003年度は例年並みに戻り、 2003年度のIBRDの新規融資額は前年よりも2億 結果としてプロジェクト当たりの平均融資額は小さく 2100万ドル減少しました。一方、新規承認プロジェク なりました。構造調整融資が減る一方で投資融資が トの件数は増え、99件と前年を上回りました。全融資 増加し、投資融資の総額は1999年度以来最高の70億 に占める構造調整融資の割合が、2002年度には過去 ドルとなりました。 第2章 2003年度における世界銀行の活動 35 表2.3 世銀による構造調整融資承認額 2000–2003年度1994–97 1998–99 average) average) 2000 2001 2002 2003 2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 (百万ドル) (%) (百万ドル) (%) (百万ドル) (%) (百万ドル) (%) 地域別構造調整融資承認額 アフリカ 495 10 908 16 1,437 15 789 13 東アジア・大洋州 552 11 250 4 17 0 100 2 南アジア 251 5 500 9 850 9 615 10 ヨーロッパ・中央アジア 950 19 1,132 20 4,743 48 710 12 ラテンアメリカ・カリブ海 2,860 56 2,788 48 2,517 26 3,639 60 中東・北アフリカ 0 0 185 3 263 3 165 3 IBRDとIDAの 構造調整融資承認額 IBRD 4,426 87 3,937 68 7,383 75 4,187 70 IDA 682 13 1,826 32 2,443 25 1,831 30 構造調整融資合計 5,108 100 5,763 100 9,826 100 6,018 100 世銀の融資承認総額 IBRD 10,919 10,487 11,452 11,231 IDA 4,358 6,764 8,068 7,283 IBRDとIDAの合計 15,276 17,251 19,519 18,513 融資総額に占める 構造調整融資の割合 33 33 50 33 注:端数を四捨五入したため、合計が合わないことがある。 2003年度のIBRD融資の大きな特徴は、ラテンアメリ IBRDの原資 カ地域に対して大規模な融資が行われたことです。ラ 2003年度に、IBRDは通常の資金調達の一環として、 テンアメリカ地域に対する融資は融資全体の50%にあ 国際資本市場で中長期の資金を170億ドル調達しまし たる57億ドル、次いでヨーロッパ・中央アジア地域が た。この金額は2002年度の230億ドルを下回るもので 20億ドル、東アジア・大洋州地域が18億ドルでした。 した。2003年度に発行した世銀債は、期間とストラク 2002年度に比べると、融資対象国も分散されました。 チャーが多岐にわたっていました。このように世銀債 2002年度はブラジルとトルコの2国で融資承認総額の の商品性が多様化したことにより、投資家基盤が拡大 約45%を占めていたのに対し、2003年度はアルゼンチ し、その結果、借入国に対する融資金利を引き下げ ン、ブラジル、中国、コロンビア、およびメキシコの5ヶ ることが可能となりました。IBRDの健全な財務体質 国を合わせて融資承認総額の約49%となっています。 は、株主国の支援と、国際市場で高い信用を維持す 2003年度のIBRD融資をセクター別でみると、法 るためにIBRDが採用している財務方針とその運用に 律・司法・行政が最も高く、全体の23%にあたる26億 支えられています。 ドルでした。第2位は保健・その他の社会サービスで、 全体の18%にあたる21億ドルでした。 健全な財務体質 テーマ別でみると、金融・民間セクター開発と人的 2003年度のIBRDの営業利益は30億2100万ドル、純 開発が最も高い比率を占めています。図2.5〜図2.7 利益は30億5000万ドルでした。こう した純利益の一部 はIBRDの融資を地域、 テーマ、およびセク ター別に は準備金や開発活動に配分されています。IBRDは長 示したものです。表2.3は2000年度から2003年度にか 期的に健全な財務体質を維持し、 またその他の開発 けての世銀の構造調整融資承認額を示したものです。 ニーズを充足するとの方針によ り、純利益のうち24億 1000万ドルを別途積立金に (2002年度は12億9100 36 世界銀行 年次報告 2003 図2.5 IBRDの地域別融資 2003年度 万ドル)、1億ドルを余剰金勘定に繰り入れました。 合計112億ドルに占める割合 IBRDは2003年度も流動性を適切な水準に維持し、業 務の遂行に必要なキャッシュフローを確保しました。 南アジア 7% アフリカ <1% 2003年6月30日現在の流動資産は約270億ドルとなって 中東・  東アジア・   います。 北アフリ カ 8% 大洋州 16% 健全な財務体質を維持するための収益管理 ヨーロッパ・   IBRDは協同組織として、利益の最大化ではなく、 中央アジア  19% 健全な財務体質を維持し、開発業務を継続的に行う ラテンアメ リカ・  ための資本利益率 を実現するよう努めていま (ROA) カリブ海 50% す。IBRDは年率約1%の資本利益率を達成していま す。ただし、2003年度の資本利益率は貸倒引当金が 減少した結果、2%を上回りま した。図2.8は1999年度 から2003年度にかけての資本利益率の推移を示した ものです。 図2.6 IBRDのテーマ別融資 2003年度 合計112億ドルに占める割合 リスク管理 開発業務に取り組むIBRDにとって、最大のリスク 環境・天然資源管理 6% 経済政策管理 5% は途上国に対する融資・保証に伴うカン トリーリスク です。金利や為替レー トの変動リスクは最小限に抑 農村開発  公共セクター  9% 運営 14% えられています。世銀は途上国のニーズに合った融 都市開発  資を、できる限り有利な条件で行うために、国際金融 9% 法規 3% 市場で活発な活動を続けています。世銀のリスク負 担能力の基本指標となる総資本に対する貸出の比率 金融・民間  は、世銀の財務とリスクに関する見通しに基づいて厳 人的開発  セクター開発 18% 17% 格に管理されています。図2.9は2003年6月30日現在の 貿易・統合  資本/貸出比率を示したものです。 4% 社会開発・   社会的保護・リスク管理  ジェンダー・参加3% 12% 優れた金融仲介能力 IBRDは、株主である各国政府から資金拠出を受 けていること、 また借入国から優先債権者と見なされ ていることから、資本市場できわめて高い評価を受 けています。IBRDはトリプルA (AAA)という高い格 図2.7 IBRDのセクター別融資 2003年度 付けを得ており、長期資金を有利な条件で調達する 合計112億ドルに占める割合 ことができます。このため、新規融資コス トは相対的 に低く、2003年度にはロンドン銀行間取引金利 (LI‑ 給水・衛生・治水 8% 農業・漁業・林業 5% BOR)を平均で約37.8ベーシス ・ポイント(1ベーシス・ 運輸  ポイン ト=0.01%)下回りま した。また、払込資本およ 15% 法律・司法・行政  び留保利益に比較してかなり大きな金額を調達する 23% ことが可能となっています。 エネルギー・  鉱業 5% 2003年度においては、世銀の資本市場からの借入 情報・通信  産業・貿易  <1% 金残高 (スワップ後) は1030億ドルを越え、融資実行  4% 教育 12% 額と未実行残高の合計は約1160億ドルとなりました。 保健・その他の  この借入額は自己資本のほぼ3倍です。図2.10は2003 社会サービス18% 金融 10% 年6月30日現在の世銀の借入と投資の状況を示したも 第2章 2003年度における世界銀行の活動 37 表2.4 IBRDの財務データの概要 また、IBRDは重債務貧困国 イニシアテ (HIPC) ィブ (単位:100万ドル) に対する支援も重視しています。過去5年間でHIPC 信託基金に移転された資金の総額は約10億3000万ド 2003 2002 ルにのぼっています。この金額はIBRDの年間純利益 年度 年度 の約12%に相当します。 IBRDの純利益は必要に応じてその他の開発ニー 会計年度a ズにも利用されています。世銀はIBRDの純利益をも 融資収益 5,742 6,861 投資収益 418 734   とに、予期せぬ人道危機への対応、あるいはその他 借入費用 (3,594) (4,903) の有意義な目的に対して、グラントやその他の支援を 管理費 (882) (876) 提供しています。また、手数料を減免したり、一部の その他 1,337 108 適格国については融資の約定利子を免除したりする 営業利益b 3,021  1,924  ことで、借入国にも利益の一部を定期的に還元して 配分可能な純利益 3,050 1,831 います。 融資承認額 11,231  11,452  健 全 な 財 務 基 盤と市 場 からの 高 い 信 用 により、 融資実行額 11,921  11,256  IBRDには世界の債券市場において自己資本の4倍の 起債が可能となっています。これにより、IBRDは開発 年度末a プロジェクトに対して高い融資能力を確保しています。 現金および流動性投資 26,620  25,056  融資金残高 116,240  121,589  図2.11は世銀が理事会に提出した純営業利益の配 借入金残高c (103,017) (111,205) 分案です。 自己資本 (37,918) (32,313) IDAの役割 a. 本年次報告の第2巻に示されている監査済み財務諸表からの抜粋 IDAは最貧国に譲許的融資を行う世界最大の機関 b. 米国財務会計基準書No.133の調整を除く c. スワップ後の借入金残高 であり、経済・人的資源開発分野の基礎的なプロ ジェクトに投資を行っています。IDA融資の適格国と なるためには、2つの基準を満たす必要があります。 のです。表2.4は2002年度と2003年度におけるIBRD (一人当たり所得で比 1つは相対的に貧困であること の財務データの概要です。 較)、そしてIBRDの融資を得るだけの信用力がない ことです。2003年度においては、IDA融資適格国の IBRD純利益の獲得と配分 基準となる国民一人当たり所得の上限は875ドルでし IBRDは融資収益(利息収入から借入費用を引いた もの)、投資収益、および払込資本から利益を得てい ます。予期せぬ信用危機が発生しない限り、貸倒準 図2.8 資本利益率(ROA)推移 (%) 備金と一般管理費 を差 (職員退職金への引当金など) し引いたものが純利益となります。 2.5 2.06 IBRDの純利益は世銀業務に関わるさまざまな目的 に使用されています。一部は財務の健全性を維持す るために毎年留保されます。こうした留保利益により、 1.34 1.29 1.05 IBRDは緩やかな条件で途上国に融資を行うことに伴 0.78 う信用リスクを管理することができ、借入国もその恩 恵を享受することができます。また、融資の質が低下 0 99 00 01a 02a a 03(年度)  したり、資金需要が増加したりした場合にも、財務の a.  IBRDは2001年度に米国財務会計基準書No.133および国際会計基準書No.39を 健全性を維持することが可能になっています。 使用した。 その結果、 デリバリティ ブを時価で計上する必要性が生じた。 2001、2002、 2003各年度の資本利益率は過年度の数値と比較できるよ うに、これ らの基準書を使 IDAへの支援は常に優先的に行われています。過 用する前の数値で示さ れている。これ らの基準書を使用した場合は、2001年度は0.87、 2002年度は1.87、 2003年度は3.64となる。  去5年間で、IBRDの純利益の約18%に当たる15億 7000万ドルがIDAに移転されました。 38 世界銀行 年次報告 2003 図2.9 資本/貸出比率 2003年6月30日現在 た。融資額は借入国が定めた成長促進政策や貧困削 (%) 減政策の質によって決定されます。なお、この評価は 毎年実施されます。IDAの融資適格国の基準である 30 26.6 国 民 一 人 当 たり所 得 の 上 限 は 越 えて いるもの の 、 22.9 20.7 21.3 21.5 IBRDから融資を受けるだけの信用力を持たない国 についても、IDAは例外的に融資を行っています(経 。 済規模の小さい諸島国など) IDAの融資を受けている国々は、MDGsの達成に 取り組んでいますが、その前には数多くの複雑な問 0 99年度  00年度  01年度  02年度  03年度  題が立ちはだかっています。政策面の優先事項とし ては、HIV/エイズをはじめとする伝染病の拡大防止 策の強化、民間セクター投資の条件となる健全な投 資環境の整備、ジェンダーの平等の促進、基礎教育の 質の改善、貧しい人々が教育を受ける機会の拡大な どがあります。 IDAはこれまで、きわめて譲許的な融資を通して途 図2.10 借入金および投資額 2003年6月30日現在 上国を支援してきましたが、2003年度初頭からはグラ (単位:10億ドル) ントの適用範囲も拡大されました。これは2003年度か ら 2 0 0 5 年 度 の I D A 融 資 を 対 象とする第 1 3 次 増 資 118.6 114.0 111.5 111.2 (IDA‑13)の合意内容に従ったものです。このグラン 103.0 トはIDA国の中でも、最も弱い立場にある最貧国の 状況を緩和するために提供されます。従って、グラン トの対象は主に重債務貧困国や紛争後復興国におけ 30.1 25.1 26.6 24.3 24.4 るプロジェクト、HIV/エイズ対策、および自然災害復 興となります。 99年度  00年度  01年度  02年度  03年度  IDAの活動資金は自己資金とドナー国からの拠出 現金および流動性投資  金でまかなわれています。IDAドナーは3年ごとに会 スワップ後借入金残高  議を開き、今後の融資プログラムへの新規拠出額を 決定すると共に、融資方針と優先事項を議論します。 2001年からは借入国の高官もこうした増資協議に参 加するようになっています。現在は38ヶ国がIDAド ナーとなっています。 IDAドナーの拠出額は通常、各国の相対的経済力 図2.11 2003年度の純営業利益30億5000万ドル や貧困国に対する支援方針に基づいて決定されま の配分案 (単位:100万ドル) す。従って、拠出額の大半は主要先進国によるものと なっています。ドナー国の中にはアルゼンチン、ブラ 重債務貧困国   240 ジル、ハンガリー、韓国、ロシア連邦、トルコのような IDA  300 途上国・移行経済国も含まれています。その一部は 剰余金  現在もIBRDから融資を受けているか、IDAから融資 100 を受けた経験を持っています。IDAの財務状況はド 別途積立金  ナーからの強力で安定した支援と融資金返済により、 2,410 健全な水準を維持しています(IDAに関する詳細は 。 www.worldbank.org参照) 注:理事会に対する提案  第2章 2003年度における世界銀行の活動 39 図2.12 IDAの地域別融資承認額 2003年度 図2.15 IDAの資金源 合計73億ドルに占める割合 12.7 13.2 11.7 9.6 8.4 7.9 南アジア29% 1.2 0.9 0.9 中東・  11次増資 97–99年度  12次増資 00–02年度  13次増資 03–05年度  北アフリ カ 3% アフリカ51% IDAの自己資金 a  IBRDの純利益からの拠出  ドナー拠出金  ラテンアメ リカ・  a. IDAの自己資金には元本返済金、手数料か   ら一般経費を引いたもの、 カリブ海 2% および投資利益が含ま   れている。 ヨーロッパ・  東アジア・大洋州 7% 中央アジア 8% 図2.16 社会セクターに対するIDA援助の増大 実施中のプロジェク ト:297件 (10年前は190件) 実施中の  図2.13 IDAのテーマ別融資承認額 2003年度 プロジェ クトの件数  300 合計73億ドルに占める割合 47 44 67 環境・天然資源管理 7% 経済政策管理 3% 200 38 48 公共セクター運営12% 30 90 105 農村開発  61 法規 1% 13% 100 都市開発  金融・民間  セクター開発12% 88 92 93 7% 貿易・統合 2% 0 1993年度  1998年度  2003年度  人的開発 20% 給水・衛生  保健・栄養・人口  社会サービスa 教育  社会開発・   社会的保護・   ジェンダー・参加 10% リスク管理13% 注: IDAからのみ融資を受けている国と ブレンド国の両方のプロジ ェクトを含む。 実施中の社会セク ター・プロジェクトに対するIDA融資承認額は1993年度が 101億 ドル、1998年度が142億ドル、 2003年度が140億ドル。   a. 社会サービス とは社会開発と社会的保護の両方の件数。   IDAの融資 図2.14 IDAのセクター別融資承認額 2003年度 2003年度、IDAは141件のプロジェクトに対して総 合計73億ドルに占める割合 額73億ドルを融資しました。このうち61億ドルは融資 (ベトナムに対する7500万ドルの保証は含まない)、12 給水・衛生・治水 8% 農業・漁業・林業 9% 億ドルはグラントです。過去最高額を記録した昨年の 実績には及ばないものの、2003年度のIDA融資は過 運輸 14% 法律・司法・行政  18% 去3番目に高い額となり、過去5年間の年間平均融資 額を上回っています。 エネルギー・鉱業  融資額が最も多かったのはアフリカ地域で、60件 7% 情報・通信  産業・貿易 5% 1% のプロジェクトに対して37億ドルの融資が行われまし 教育 14% た。これはIDA融資総額の51%、プロジェクト数でも 保健・その他の  43%に相当します。第2位は南アジアで29件のプロ 社会サービス 19% 金融 5% ジェクトに対し21億ドルの融資が行われました。国単 40 世界銀行 年次報告 2003 位ではバングラデシュ、コンゴ民主共和国、エチオピ 信託基金 ア、インド、およびウガンダがIDA融資の主要借入国 となりました。 信託基金とは、世銀が自己資金とは別に外部ド 2003年度においては、IDAプロジェクト融資の約 ナーと締結する財務・運営面での協定です。信託基 17%はグラントの形で提供されました。カテゴリー別 金は技術支援・助言サービス、債務救済、紛争後復 に見ると、最貧国に対するものが2億4100万ドル、債 興、協調融資といった優先度の高い開発ニーズに対 務返済の困難な最貧国に対するものが4億600万ドル、 してグラントを供与します。信託基金は革新的なプロ 紛争後諸国に対するものが3億600万ドル、HIV/エイ ジェクト・アプローチを推進したり、パートナーシップ ズ関連のプロジェクト(またはその他のプロジェクトの を構築したり、開発協力の範囲を拡大したりすること に対するものが2億1400万ドル、 で、世銀の貧困削減プログラムの強化に貢献してい HIV/エイズ関連部分) 自然災害復興プロジェクトに対するものが6500万ドル ます。 でした。 こうした信託基金には多数の先進国、一部の大き セクター別でみると、大きな割合を占めたのは保 な途上国、民間セクター、および財団が参加しており、 健・社会サービスと法律・司法・行政で、保健・社会 それぞれの目的に応じて、世銀のプロジェクトに資金 サービスにはIDA融資全体の19%に相当する14億ド を提供しています。また、世銀もグラント資源の一部 ルの融資が行われました。 をいくつかの信託基金に提供しています。 2003年度のIDA融資をテーマ別にみると、最も重 点が置かれたのは人的開発の分野で、融資額全体の 拠出金、実行状況、収支 21%がこの分野のプロジェクトに提供されました。こ 2003年度、世銀の信託基金プログラムは拡大しま のほか、社会的保護・リスク管理、農村開発、公共セ した。ドナーの拠出金は合計44億4000万ドルに達し、 クター運営、および金融・民間セクター開発にも多額 前年度比18億3000万ドル(70%)増となりました。信 の融資が行われました。 託基金の資産は53億3000万ドルから30%増えて、68 億9000万ドルになりました。これらの数字には、重債 IDAの原資 務貧困国(HIPC)、地球環境ファシリティ(GEF)、世界 2003年度はIDA第13次増資(IDA‑13)の初年度にあ エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)の3基金を たりました。IDA‑13は2003年度から2005年度に承認 除くすべての信託基金に現金で払い込まれた金額が される融資の原資となるもので、IDA融資適格国に対 反映されています。これら3基金については、拠出金 (約240億ドル) し、3年間で180億SDR の特別引出権 は発生ベースで計上されます(GEFとGFATMについ が供与されることになり (SDR) ます。IDA‑13の内訳は、 ては2003年度より開始)。表2.5に記載された上位10 (約130億ドル) ドナーからの新たな拠出金100億SDR 、 のドナーで拠出総額の79%を占めました。 IDAの自己資金(過去の融資に対する元本返済金、約 2003年度の融資実行額は25億6000万ドルでした。 (約100億ドル) 73億SDR に対する手数料など)、IBRD これは2002年度に比べ33%多く、額にして6億3000万 純利益から移転された7億SDR、および過去の増資の ドルの増加となります。融資実行額の上位5つのプロ 少額の残余資金です。図2.15は過去3回の増資にお (7億5100万ドル) グラムは、HIPC (4億900万ド 、GEF けるIDAの資金源を示したものです。図2.16はIDAが ル)、アフガニスタン復興信託基金(1億8200万ドル)、 社会セクターに対する支援を強めていることを示して 国際農業研究協議グループ (1億1800万ド (CGIAR) います。 ル)、世界エイズ・結核・マラリア基金(GFATM) IDA‑13のもとで、IDAは結果重視アプローチを強 (6400万ドル)で、合計実行額は融資実行総額の60% 化する大規模なイニシアティブを開始しました。その にあたる15億2000万ドルとなりました。信託基金の融 一環として、IDA援助の結果を測定・モニタリングし、 資実行額はいずれも現金ベースのものです。図2.17 IDAプログラムと借入国の開発成果を関連付けるシ は1999年度から2003年度における信託基金への拠出 ステムの開発が行われました。 額と実行額を示したものです。 主な新規プログラム 新たな開発課題の登場を受けて、ドナー・コミュニ 第2章 2003年度における世界銀行の活動 41 表2.5 信託基金ドナーの上位10ヶ国・機関 入しました。信託基金関連改革の主な目的は、信託基 (単位:100万ドル) 金の政策や手続を標準化すること、信託基金の活動と 02年度 03年度 世銀の戦略や優先項目を一致させること、講習や認定 制度を通して、信託基金管理における職員の説明責 任を向上させること、信託基金の財務管理を強化する 米国 640 1,085 日本 316 500 こと、財務情報の公開を促進すること、および信託基 世銀グループ 222 329 金の監査システムを簡略化・標準化することです。 オランダ 114 269 英国 268 252 欧州共同体(EC) 187 241 協調融資 フランス 80 217 スウェーデン 81 201 ドイツ 44 194 協調融資とは、世銀が支援する特定のプロジェクト ゲイツ財団 15 170 に対して、二国間・多国間パートナー、輸出信用機関、 その他のドナー 696 985 および民間投資家が共同で行う融資のことです。協 調融資を活用することで、世銀は借入国に対し、さら 拠出金総額 2,663 4,443 なる融資を緩やかな条件で提供することができます。 2003年度にはIBRDとIDAの融資を補完するものとし ティは2003年度、複数の大規模な信託基金プログラ て、30億ドルの協調融資が実施されました。2003年 ムを創設し、世銀に管理を委託しました。新たなプ 度の主なパートナーは米州開発銀行、地球環境ファ ログラムの例と 「金融セク しては、 ター改革・強化イニ シリティ、およびヨーロッパ投資銀行でした。 シアティブ」「国際比較プログラム」 、 「ポリオ撲滅の 、 2003年度の協調融資対象地域は上位からラテンア ためのグローバル・プログラム」「気候変動のための 、 メリカ・カリブ海(8億7000万ドル)、 (8億5000 アフリカ 後発開発途上国基金」などがあります。 万ドル)、東アジア・大洋州(6億4000万ドル)でした。 図2.18は協調融資の対象地域を示したものです。 ドナーとの協議:信託基金の政策改革 2003年度においても、世銀は信託基金のドナーと信 2003年度の協調融資の例 託基金政策改革に関する協議を続けると共に、コンサ 2003年度に世銀とパートナーは合計103件のプロ ルタント信託基金を管理する新たなフレームワークを導 ジェクトに協調融資を行いました。融資額が大きかっ たプロジェク (a) トは次の通りです。 コロンビア社会セ ク (3億9000万ドル) ター調整プログラム (b) 、 ガーナ保 図2.17 信託基金に対する拠出額と融資実行額 健・医療セクター・プログラム支援プロジェク (3億 トII 1999–2003年度 1000万ドル)(c) 、 メキシコ農村金融開発構造調整融資 (単位:100万ドル) (3億ドル)(d) 、 ナレッジプロジェクトのためのヨルダン 5,000 教育改革(1億2000万ドル)。 世銀グループによる拠出  4,443 4,500 図2.19は2000年度〜2003年度における協調融資総 その他のドナーによる拠出  4,000 融資実行額  額とそれが世銀融資総額に占める割合を示したもの 3,500 です。 3,000 2,719 2,613 2,500 2,000 1,769 2003年度の特別援助 1,568 1,500 1,000 債務救済の加速 500 2003年度においても、重債務貧困国を対象とした 債務救済の取り組みが行われました。重債務貧困国 0 1999 2000 2001 2002 2003 (HIPC)イニシアティブは、包括的な開発戦略の一環 42 世界銀行 年次報告 2003 図2.18 地域別の協調融資 2000–2003年度 (a) 次の通りです。 まだイニシアティブの適格国となっ (単位:100万ドル) ていない重債務国(その多くは紛争の影響を受けてい 4,500 に対し、適切な政策の実行を続け、決定時点に る国) 4,000 (b) 達することを奨励する、 プログラムの救済措置を受 けている適格国に対し、早期に完了時点に到達でき 3,500 (c) るよう促す、 完了時点に到達した後も貧困削減戦略 3,000 文書(PRSP)の実行を継続し、長期債務の返済能力の 2,500 (d) 継続的維持と、MDGsの達成を目指す、 非パリクラ 2,000 ブ債権国、民間債権者、および小規模国際機関の参加 1,500 (e) を促進する、 HIPCイニシアティブは貧困削減の手 1,000 段であるという認識に基づき、重債務国における貧困 500 層に配慮した成長戦略の遂行を支援する。図2.20は 0 HIPCイニシアティブによる債務救済の状況を示したも 2000 2001 2002 2003 のです。図2.21はHIPCイニシアティブの前後で対象国 アフリカ  ヨーロッパ・中央アジア  東アジア・大洋州  中東・北アフリカ  の社会支出がどう変わったかを示したものです。 南アジア  ラテンアメリカ・カリブ海  2003年度の重点課題は、低所得国がふたたび重債 務に陥ることを防ぐための施策を検討することでし た。債務返済能力の維持という長期課題に取り組む 図2.19  世銀融資に占める協調融資の割合 ために、世銀は二国間ドナーとワークショップを開催 2000–2003年度 しました。世銀は今後も、こうした活動に継続的に取 (単位:10億ドル) り組んでいく予定です。この取り組みを補完するもの 20 として、HIPCや一部低所得国のCASに債務返済能力 維持に関する指標が盛り込まれるようになりました。 15 HIPCイニシアティブにまだ参加することのできない 10 重債務国の大半は、紛争の影響を受けている国々で す。HIPCユニットは「切迫した状況にある低所得国 5 イニシアテ (LICUS) ィ との緊密な連携のも ブ」 とで、こ うした国々が抱えている固有の問題に取り組んでい 0 2000 2001 2002 2003 ます。このほかにも、世銀はブルンジにおける移行支 世銀融資  協調融資  援戦略、中央アフリカ共和国とスーダンにおける国家 再建戦略、コンゴ共和国における紛争後基金、ソマリ ア援助調整機関といったイニシアティブを支援してい として行われているもので、HIPCの対外債務を管理 ます。 可能な水準まで引き下げることにより、HIPC諸国に HIPCイニシアティブの適格国は、完了時点に到達 開発のスタートラインに立つチャンスを与えることを目 する前に暫定貧困削減戦略文書 を作成しな (I‑PRSP) 指しています。現在、26ヶ国(HIPC適格国の3分の2) ければなりません。債務救済額は各国が作成した が債務救済の適用を受けており、すべての債権国に PRSPに基づいて、その国の貧困削減プログラムに適 よる債務救済総額は400億ドルに達すると見込まれて 用されます。PRSPの優先項目はシビルソサエティを います。適用国のうち、ベニンとマリが最近このプロ 含む幅広い関係者との協議に基づいて、途上国自身 グラムを完了したことにより、完了時点に達した国は が設定します。PRSPプロセスは貧しい人々に配慮し 8ヶ国となりました。上記の2ヶ国以外で債務救済プ た成長、貧困削減に向けた長期戦略、およびMDGs ログラムが完了した国はボリビア、ブルキナファソ、 の達成に重点を置いており、HIPCイニシアティブの モーリタニア、モザンビーク、タンザニア、およびウガ 適格国にとどまらず、IDAの融資を受けているすべて ンダです。 の国に適用されています。IDA融資国のCASは通常、 現在、HIPCイニシアティブが抱えている主な課題は その国が作成したPRSPに基づいて作成されます。 第2章 2003年度における世界銀行の活動 43 図2.20 重債務貧困国(HIPC)に対する債務救済 公的機関を持つ国に融資を行うPRSCです。PRSCは −債務額の削減と債務返済比率の改善 関係者との徹底した協議に基づいて、借入国が自ら (%)   (10億ドル)   また責任を負っている改革プログラムに対し、 作成し、 30 90 輸出に占める  債務返済の割合  それぞれのニーズに合った支援を提供します。PRSC (左軸)  は政府の能力および制度構築(特に貧しい人々を対 $62 歳入に占める  60 債務返済の割合  に重点を置いています。 象にしたもの) 15 (左軸)  2003年度においては、ブルキナファソ、ガーナ、ガイ 現在の債務額  $27 (右軸)  アナ、スリランカ、タンザニア、ウガンダ、およびベトナム 30 に対するPRSCが承認されました。世銀はPRSP対象国、 21.4% 14.6% 14.7% 9.9% 開発パートナー、およびシビルソサエティの代表者と対 0 0 支援前  支援後  話を続けています。こうした話し合いの中で、PRSPプ (1999年)  (2002年)  ロセスを借入国の状況に適合させること、PRSPの主 注:2003年3月末時点で救済対象と なった26ヶ国の加重平均。   体を借入国に置き、現実的な優先順位と目標を設定 出典:世界銀行: 2002年9月28日時点での重債務貧困国   (HIPC) イニシアテ ィブの実施状況、 重債務貧困国 (HIPC)  すること、およびドナーの政策を調和させ、PRSPの遂 イニシアテ ィブ−2003年3月時点での最新統計値  行を支援することの重要性が再確認されました。 図2.21 重債務貧困国イニシアティブの実施前と実施 アフガニスタン 後の社会支出の推移 IDAが融資する1億800万ドルの緊急輸送再建プロ (100万 ドル)  ジェクトは、国内の輸送ボトルネックを排除し、高速道 (%)   10,000 10 路や航空網を再建することを目指しています。2002年 9.1% 9 度には4200万ドルの緊急公共事業・地域社会エンパ ワーメント・プロジェクトによって、サラング・トンネルが 8 社会支出額  再建されました。このトンネルはカブール市と8つの州 $5,825 5,000 (左軸)  7 を結ぶ高速道路の要所であり、カブール市にとっては 社会支出の  6 対GDP比率(右軸)  人道援助、各種物資、および北からの帰還難民の唯 $8,437 5.9% 一の受け入れ口となっています。 0 5 支援前  支援後  (1999年)  (2002年)  イラク 注:2003年3月末時点で救済対象と なった26ヶ国の加重平均。   2003年4月に開催された開発委員会(DC)会合での 出典:世界銀行:重債務貧困国 (HIPC)  イニシアテ ィブ―2003年3月時点での最新統計値  議論を受けて、世銀理事会は世銀執行部に対し、イ ラク復興に向けたニーズ・アセスメントを実施するこ とを承認し、その一環として復興ニーズを評価するた 貧困削減支援融資(PRSC) めの視察調査団が派遣されました。世銀は国連、イ 開発戦略と開発援助を借入国の主体性に基づいた スラム開発銀行、欧州連合などと共に、イラク復興に 広範なプロセスのもとで推進するためには、PRSPの 向けた緊急ニーズの特定に取り組んでいます(本調 アプローチがきわめて有効です。このプロセスを支 査については第5章の「中東・北アフリカ地域」参照)。 援するために考案されたのが、良好な政策と健全な 44 世界銀行 年次報告 2003 第3章 1日1ドル未満、2ドル未満で生活する人々の割合 開発の有効性 (%) アフリカ地域  東アジア・大洋州地域  50 47.4 50 49.0 46.0 30.5 23.7 25 25 15.3 15.6 3.9 0 0 1990 1999 2015 1990 1999 2015 南アジア地域  ヨーロッパ・中央アジア地域  50 45.0 50 36.6 25 22.5 25 20.3 9.3 15.7 6.8 5.1 1.4 1.4 0 0 0.7 1990 1999 2015 1990 1999 2015 ラテンアメリカ・カリブ海地域  中東・北アフリカ地域  50 50 27.6 26.0 23.3 25 18.9 25 21.0 16.0 11.0 11.1 7.5 2.1 2.2 2.1 0 5.5 0 1.1 1990 1999 2015 1990 1999 2015 1日1ドル未満で生活する人口の割合   (実際値) 予想推移(1日1ドル未満)  1日2ドル未満で生活する人口の割合   (実際値) 予想推移(1日2ドル未満)  本章に掲載されている表および地図は、現在の傾向に MDGsに定められた目標達成に必要な推移  基づいてMDGsの達成状況を示したものである。これ らのデータは各国・地域の現状を評価したものであり、 注:アフリカ地域、 東アジア・大洋州地域、 および南アジア地域のグラフには「1日2ドル未満で生活する人口 の割合(実際値) 」に関するデータは記載されていない。   最終結果に対する予測ではない。 出典:世銀、 「世界開発指標2003」 2003年、 、ワシント   ンDC。 第3章 開発の有効性 開発機関の活動環境は、時と共に大きく変わりまし プロジェクト管理と戦略の修正)、およびプロジェクト た。すべての国と地域が分かちがたく結ばれ、地球 の完了後(プロジェクトの総括と今後に向けた提言) 規模の安定と繁栄がかつてないほど求められている です。具体的な行動としては、途上国が自らの政策や 現在、開発機関には単なるプロセスを超えて、測定 (たと 行政意思決定の結果に注目できるようにすること 可能な結果を達成する努力が求められています。こ えば結果のモニタリング・評価の活用)、世銀のイン 「結果」 こでいう とは、より多くの人々を貧困から救う センティブ、手段、および手続を調整し、世銀の結果 ことであり、高等教育へのアクセスを改善することで 重視能力を強化すること、結果を管理するためのグ あり、乳幼児死亡率を引き下げることです。途上国も ローバル・パートナーシップを推進し、協調によって 開発の結果を重視する必要があります。そうすること 開発効果を高めることなどがあります。 で、よりよい政策決定を下し、国主導の開発に向けた 戦略を構築できるようになるからです。モンテレー、 途上国のキャパシティ・ビルディング ヨハネスブルグ、ドーハの各サミットが掲げた開発の 開発機関やその他のパートナーの支援があるとは ための新しいパートナーシップは、ミレニアム開発目 いえ、最終的に結果を出すのは途上国自身です。し 標(MDGs)の達成を加速し、その過程をモニタリング かし、多くの途上国には政策決定者が開発の進捗状 するために、開発の結果に重点を置くことを提唱する 況を確認したり、個々の政策、プログラム、およびプ ものでした。世銀の「結果アジェンダ」は、開発機関 ロジェクトの結果や効果を立証したり、こうしたデータ としての世銀の有効性を高めるための行動計画です。 を政策決定に活用したりするための適切なモニタリン 結果アジェンダは明確な目標設定、測定可能な指標 グ制度や評価制度がありません。また、貧困削減戦 の確立、行動と結果の関連性の分析、および分析結 (PRSP) 略文書 が対象とする3年から5年の間に、貧困、 果に基づいた意思決定から構成されています。 保健・医療、教育などの重要分野でどのような変化を 起きたのかを追跡するための基礎的な統計データが ほとんど、あるいはまったくない例も多々あります。世 結果アジェンダ 銀の行動計画はまず、結果の測定・モニタリングの重 要性を借入国が理解すること、そして借入国が結果に 世銀の結果アジェンダは、トップが結果に注目する 関するデータを入手・利用するためのキャパシティ・ビ ようになれば結果は改善されるというシンプルな発想 ルディングを行うことを重視しています。そのためには に基づいています。近年では、このアプローチの有 低所得国のPRSPをより結果重視のものにすること、公 効性は世銀の業務の「質」に表れています。世銀は 共セクター運営プログラムを通して、公共セクターの 1990年代半ばから、承認された融資や分析活動の質 結果重視志向を高めること、そして統計能力を構築す を検討するようになりました。これにより、世銀の報告 るための融資プログラムを簡略な手続のもとで実施 書やサービスの質は徐々に改善され、開発プロジェ し、国家規模の統計制度を整備することが必要です。 クトの効果を高める一因となっています。結果アジェ ンダはプロジェクトのさまざまな段階で分析を行うこ 進捗状況の把握 とを提唱しています。つまり、初期(戦略的な計画立 プロジェクトを綿密に設計することは重要ですが、 案とプログラム設計)、プロジェクトの実施中(日々の まずはプロジェクトの目標自体を、借入国の成長、社 46 世界銀行 年次報告 2003 会福祉、および貧困削減に貢献するようなものにする 促進される予定です。こうした電子調達システムは現 必要があります。それと同時に、世銀の戦略と援助 地事務所に委任されている高い基準値、借入国の優 手段も各プロジェクトの結果ではなく、国レベルの開 先、国内競争入札の増加といった既存の措置を補完 発結果に重点を置くものへと変えていく必要がありま するものであり、パートナー国の取引コストの削減に す。具体的には、結果重視志向を強化すること、国別 貢献するものとなります。現在、国別調達評価報告書 の明快な目標とそれを支える世銀の援助プログラム と国別財政アカウンタビリティ評価は、世銀の経済・セ を、国別援助戦略(CAS)、セクター戦略、投資融資、 クター調査(ESW)の一環として作成されています。 および政策ベースの融資に組み込むこと、そして必要 な文書やプロセスを簡略化することが求められます。 開発効果を高めるためのパートナーシップ 各国の進捗を測定可能な指標をもとに、プロジェクト、 それぞれの途上国が高い開発結果を達成するため 国、セクター、およびグローバル・レベルで把握する には、援助国と機関が連携して開発に取り組む必要 ための包括的な仕組みも必要です。 があります。現在、世銀とそのパートナーが取り組ん 進捗状況のモニタリングは、借入国の目標達成を でいる大きな課題の1つは、報告システムを調整し、 支援し、世銀の業務を管理する上でも、またプロジェ 国別の主要な開発指標とPRSPの優先項目を一致さ クトの有効性を証明する上でも重要です。今後は せ、MDGsの達成状況を測定できるようにすることで ポート (本章の フォリオの年次レビュー 「世銀の質保証 す。また、途上国の統計能力に合わせて、統計分野 グループ」参照)、IDAプロジェクトの評価システム、 のキャパシティ・ビルディングを協調的に進めることも 戦略・予算プロセスをはじめ、世銀のさまざまなレ 重要な課題となっています。 ビュー・プロセスに援助の結果を体系的に評価する 世銀の結果アジェンダは進化の途中にありますが、 ための仕組みが導入される予定です。 すでに多くのユニットで進捗が報告されています。たと えば、借入国を対象としたPRSPソースブック(「貧困削 政策・手続の簡略化 と 減戦略ソースブック」 して2巻組で発行)が改訂され、 2003年、世銀は援助の効果をさらに高めるために、 目標設定、モニタリング・評価、および進捗状況の監視 3つの分野で世銀の政策と手続の簡略化および現代 にシビルソサエティが果たす役割に関する章がさらに充 化に取り組みました(これは調和化の促進にもつなが 実しました。また、多くの分析報告書や融資プロジェク ります)。財務管理の分野では、監査方針を大幅に変 トが、結果をモニタリング・評価する仕組みを導入する 更したほか、その他のドナーと財務報告や監査のプ ことで公共セクターの運営は強化されると指摘するよう ロセスを調和させることを決定しました。また、支出 になっています。現在、カメルーンとウクライナをはじめ、 承認規則の見直しに着手しました。 多くの国のチームが結果重視型CASのパイロット・プロ 融資政策・手続の分野では、構造調整融資の業務 ジェクトに取り組んでいます。また、世銀は新しい融資 方針や完了日延長の遡及承認手続の修正案につい プログラムとして を導入しま 「StatCap」 した。これは統計 て、広範な協議を行いました。また、リピート・プロ マスタープランに基づいて、複数のドナーが途上国の統 ジェクトに対する追加融資やリスクの低い小規模プロ 計能力の構築を支援できるようにしたものです。ウクライ ジェクトの手続を簡略化したほか、主要な投資融資書 ナがStatCapを導入した最初の国となりました。StatCap 類の雛形とガイドラインを見直し、より簡素なものとし の導入に関心のある国や国別チームのための資金援 ました。さらに、職員が業務上の問題を迅速に解決 助プログラムも用意されています(www.worldbank.org できるようにホットラインを設置しました。 の「About Us」セクション内の「data」 。 参照) 調達の分野では、世銀はその他の国際開発金融機 結果アジェンダはプロジェクトの有効性を高めるこ 関 と共に、政策、手続、 (MDBs) および標準入札書類 とによって、MDGsの達成を加速することを目指してい の調和化に取り組んでいます。現在、世銀幹部はド ます。 ナー、借入国、産業界、およびシビルソサエティと協 議しながら、世銀の調達ガイドラインの改訂を進めて います。改訂案は理事会に提出され、承認を待つこと ミレニアム開発目標に向けた課題 になります。新しい調達ガイドラインでは電子調達シ ステムが導入され、手続の簡略化と政策の調和化が ミレニアム開発目標(MDGs)は国際社会に広範な 第3章 開発の有効性 47 開発ビジョンを持つことを求めています。各国が社会 けば、この2つ地域では多くの国がMDGsの第1の目標 と経済を持続的に発展させるためには、人的開発を である極度の貧困と飢餓の撲滅を達成できない可能 精力的に推し進める必要があります。MDGsは開発 性があります(図3.1参照)。 のためのグローバル・パートナーシップを構築するこ との重要性も指摘しています。世銀にとって、MDGs 初等教育の完全普及 は機会であると同時に課題でもあります。国際社会が 図3.2は小学校の修了率(小学校の最終学年を修了 MDGsを達成するためには、世銀自身が業務の有効 をも した子供の割合) とに、初等教育の完全普及とい 性をさらに高め、借入国により質の高い支援とサービ う目標の達成状況を示したものです。東アジア・大洋 スを提供する必要があるからです。 州、ヨーロッパ・中央アジア、ラテンアメリカ・カリブ海 の3つの地域は、2015年までに初等教育を完全普及 極度の貧困と飢餓の撲滅 させるという目標に向かって着々と進んでいます。こ 第1のMDGsは、極度の貧困と飢餓に苦しむ人々の れに対して、初等教育対象年齢の児童1億5000万人 割合を2015年までに1990年の半分の水準にまで削減 を抱える残りの3地域では、目標の達成が危ぶまれて することです。十分な食糧を得ることができない子供 います。状況が最も深刻なのはサハラ以南のアフリ たちは栄養失調に陥ります。食事の内容が不十分で カで、1990年以降ほとんど進歩が見られません。南 あれば、必要な栄養素を摂取することはできません。 アジアは慢性的に就学率・修了率が低く、中東・北ア 疾病によって、摂取した栄養素が失われる場合もあり フリカは1990年以降ほとんど進歩していません。ただ ます。栄養不良の母親から未熟児が生まれるという し、この2地域には例外的に大きな進歩を遂げた国も 問題も存在します。栄養不良人口の割合を地域別に 存在します。阻害要因が取り除かれ、コストが削減さ 見ると、南アジアの数値が高く、サハラ以南のアフリ れれば、就学率は上昇する可能性があります。 カではその割合は上昇しています。現在の傾向が続 図3.1 子供の栄養不良 目標1: 極度の貧困と飢餓の撲滅 ゴール:1990年から2015年の間に 飢餓に苦しむ人々の割合を半減さ せる。 指標:栄養不良の子供 (5歳未満)の 目標達成の可能性  割合      きわめて高い       高い       低い       きわめて低い       データなし  IBRD 32598 図3.2 初等学校の修了 目標2: 初等教育の完全普及 ゴール:2015年までにすべての子供 が男女の区別な く、 初等教育の全課 程を修了できるよう にする。 指標:初等学校修了率 (%) 目標達成の可能性       きわめて高い       高い       低い       きわめて低い       データなし  IBRD 32595 48 世界銀行 年次報告 2003 図3.3 教育におけるジェンダーの平等 目標3: ジェンダーの平等と女性の エンパワーメント ゴール:2005年をめどに初等・中等 教育におけるジェンダー格差を解 消する。2015年までにすべての教 目標達成の可能性  育レベルにおいてジェンダー格差      きわめて高い  を解消する。      高い  指標:初等・中等教育における男児      低い       きわめて低い  に対する女児の割合      データなし  IBRD 32596 図3.4 子供の死亡率 目標4: 子供の死亡率の削減 ゴール:1990年から2015年の間に5 歳未満の子供の死亡率を3分の2削 減する。 指標:5歳未満の子供の死亡率(出 目標達成の可能性  生1000件当たり)      きわめて高い       高い       低い       きわめて低い       データなし  IBRD 32599 ジェンダーの平等 入ると、ほぼすべての地域で減少の速度は鈍化しまし ジェンダー格差は世界中に存在します。女性の意見 た。ラテンアメリカ・カリブ海地域には若干の希望が は地域や国家の意思決定に十分に反映されていませ 残されているものの、その他の地域については現在 ん。女性は男性に比べて所得が低く、有給職に従事 の状況が改善されない限り、目標の達成は危ぶまれ している割合も劣っています。多くの低所得国では女 ています(図3.4参照)。特にサハラ以南のアフリカの 児の就学率が男児の就学率を下回っています。ラテ 状況は深刻で、内戦やHIV/エイズの影響により、いく ンアメリカ・カリブ海地域を除くと、どの地域も2005年 つかの国では子供の死亡率が上昇しています。2001 の目標達成は難しい状況です(図3.3参照)。初等教育 年の5歳未満の子供の平均死亡率は、低所得国では 修了率と平均所得が低い地域では、就学児童の男女 1000人に対し121人、低〜中所得国では41人、中所得 比にも大きな差が見られます。サハラ以南のアフリカ 国のうち上位国では27人でした。高所得国では1000 では、初等・中等学校における男児と女児の比率は 人に対し7人未満でした。低所得国における乳幼児 1990年以来ほとんど改善されていません。男児に対 死亡率の改善はなかなか進んでおらず、1990年以降 する女児の割合は1998年は80%でした。南アジアで の減少率は12%にとどまっています。最も著しい改善 は比較的大きな改善が見られたものの、1998年の女 が見られたのは中所得国の上位国で、乳幼児死亡率 児の就学率は男児の78%にとどまっています。 は平均36%削減されました。しかし、それでも目標の 達成に必要なペースには達していません。 子供の死亡率の削減 MDGsは25年間で5歳未満の子供の死亡率を3分の 妊産婦の健康の改善 2削減するという目標を掲げています。1990年までは 妊産婦の死亡率を削減するためには、現代的な医 子供の死亡率が急速に下がっていたため、この目標 療サービスを整備する必要があります。熟練医療ス は達成可能と思われていました。しかし1990年代に タッフが立ち会った出産の割合が、改善が必要な地 第3章 開発の有効性 49 図3.5 妊産婦の死亡率 目標5: 妊産婦の健康の改善 ゴ ー ル:1990年から2015年の間 に妊産婦の死亡率を4分の3削減 する。 指標:医療スタッフが立ち会った出 目標達成の可能性  産(全体に占める割合)      きわめて高い       高い       低い       きわめて低い       データなし  IBRD 32594 図3.6 HIV/エイズの蔓延 目標6: HIV/エイズ、マラリアなどの疾病の 蔓延防止 ゴール:2015年までにHIV/エイズの 蔓延を食い止め、減少方向に転じ させる。 8.00%以上  指標:HIV感染率(15〜49歳の人口 5.00−7.99%  に占める割合) 1.00−4.99%  0.50−0.99%  0.50%未満  データなし  IBRD 32593 域をみきわめるためのよい指標となります。途上国で のHIV/エイズ感染者数は700万人を超えました。国際 は熟練した出産介護者・医師の介助を得て出産する 社会がHIV/エイズの蔓延を食い止める効果的な施策 女性の割合は58%にすぎません。これに対し、この をとらない限り、低・中所得国では2010年までに新た 種の介助が提供される確率の高いラテンアメリカ地域 に4500万人がHIV/エイズに感染すると見込まれてい では、妊産婦の死亡率は比較的低くなっています。 ます(図3.6参照)。 ヨーロッパ・中央アジア地域と中東・北アフリカ地域 の多くの国では、目標の達成に十分な速度で妊産婦 持続可能な環境作り の死亡率が低下しています。しかし、熟練介護者や医 浄化水源とは、水を常時利用できるようにするため 療施設を利用できる確率が低いアフリカ地域では、 の、あらゆる形態の蓄水・給水設備を指します。これ 妊産婦の死亡率はきわめて高く、目標の達成に向け は「安全な水」と同義ではありませんが、給水の安全 た歩みは遅々としています(図3.5参照)。 性を判断する実際的な方法はありません。ある定度 の汚染防止措置を施した水をすべての世帯が安定し HIV/エイズなど疾病の蔓延防止 て利用できるようにすることは、健康を改善し、水の アフリカにおけるHIV/エイズの蔓延は、数十年を 確保に費やす時間を短縮するための重要な一歩とな かけて達成された平均寿命の伸びを無に帰し、数百 ります。いまだ浄化水源を利用することのできない 万人の子供たちを孤児にしてしまいました。HIV/エイ 人々の数は2000年に12億人でした。このうちの40% ズの拡大によって教師が不足し、教育の質が低下し は東アジア・大洋州地域、25%はサハラ以南のアフ ています。2002年のHIV感染者数は4200万人(このう リカの人々でした。MDGsを達成するためには、2000 ち320万人が子供)ですが、その95%以上は途上国、 年から2015年の間に約15億人が安全な水を利用でき 70%はサハラ以南のアフリカの人々でした。南アジ るようにする必要があります。南アジア地域の多くの アと東アジアでは新たに100万人が感染し、この地域 国々はこの目標に向かって着実な進歩を遂げている 50 世界銀行 年次報告 2003 図3.7 浄化水源 目標7: 持続可能な環境作り ゴール:2015年までに安全な飲料 水を安定して利用することのできな い人々の割合を半減させる。 指標:浄化水源(利用できない人々 目標達成の可能性  の割合)      きわめて高い       高い       低い       きわめて低い       データなし  IBRD 32597 図3.8 政府開発援助の純額 目標8: 国民  グローバルな開発パートナーシップ 総所得に  占める割合  の構築 0.7 ゴール:ルールに基づいた、開放的 で公正かつ予測可能な貿易・金融 0.6 ドイツ  米国  日本  DAC加盟国平均  制度を構築する。 0.5 指標:OECD/DACドナーのODA純 英国  国連目標= 0.7%  0.4 額が国民総所得に占める割合 0.3 0.2 0.1 0.0 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001   注:2001年のデータは暫定値。 出典:OECD開発援助委員会  ものの、水が稀少な資源である中東・北アフリカ地域 活動の質的評価 にとっては困難な道のりとなるでしょう(図3.7参照)。 世銀の質保証グループ(QAG)の任務は、世銀のプ グローバルな開発パートナーシップの構築 ロジェクトと分析業務の「現時点での」質をモニタリン 8つ目の目標はこれまでの7つの目標を補完するもの グすることです。QAGは世銀上層部の直轄部署です であり、富裕国が途上国と協力して、持続可能な開発 が、評価結果をまとめた報告書は理事会にも提出さ を迅速に実現するための環境を整えることを提唱して れます(これらの報告書はwww.worldbank.orgで公開 います。ルールに基づいた開放的な貿易・金融制度 されています)。評価には専門家パネルが参加してお の構築を促進し、貧困削減を目指す国に惜しみない り、このパネルには毎年、数百人にのぼる世銀上級 援助を与え、途上国を債務問題から救済することが求 職員と外部の経験豊富な専門家が参加しています。 められています。貧困削減を効果的に進めるために 専門家パネルを設置することにより、評価の信頼性が は、適切な経済政策と健全なガバナンスを持つ国に 確保されるだけでなく、現場でプロジェクトを進めて 援助を行う必要があります。現在、援助額はドナー国 いる職員に専門家の意見を迅速に伝えることができ の経済規模に占める割合においても、額面において ます。QAGは新規プロジェクトの質を「リアルタイム」 も減少傾向にあります(図3.8参照)。最貧国がMDGs に評価します。つまり、プロジェクトが承認された時 を達成するためには、政府開発援助を現在の水準(年 点 とプロジェク (承認時の質) トの実施中(監督の質) 間520億ドル)の2倍に増額する必要があります。 に、担当チームとそのマネージャーにフィードバックが 第3章 開発の有効性 51 即時に返されます。QAGは経済・セク (ESW) 図3.9 ター調査 地域別の実施中プロジェクト 2003年6月 と呼ばれる世銀の分析・助言サービスの評価も行っ 30日現在 融資総額968億ドルに占める割合 ており、これは調査結果がクライアントに提出された 直後に行われます。QAGの主要報告書である「ポー 南アジア地域  アフリカ地域 16% トフォリオの成果に関する年次報告」は、実施中のプ 18% ロジェクトの規模、構造、成果、および質を分析した 中東・   ものです。このほか、QAGは世銀が直面している主 北アフリ カ  東アジア・   地域 5% 大洋州地域   要な業務課題を1つないし2つ選び、分析報告書を作 25% 成しています。2003年度はMDGsと結果重視アプ ラテンアメリカ・  ローチへの移行がとり上げられました。 カリブ海地域 20% QAGの3つの質指標をまとめた総合評価によると、 ヨーロッパ・   中央アジア地域 16% 2002年度においては世銀業務の90%が満足できるレ ベルにあると評価されました。1998年に実施された 「モニタリ があります。このほか、 ングと評価の調整」、 第1回評価の結果が79%だったことを考えると、業務 「リスク評価」「報告の現実性と率直さ」 、 でも問題点 の質は確実に改善されています。2003年度において が指摘されました。 は、主要指数の1つである「承認時の質」がやや低下 プロジェクトが開発目標を達成する見込みがあるか し、86%となりました。評価が最も下がったのは「プ どうかを示す尺度となるのが「リスク度」で、世銀プ ロジェクト実施のための調整の質」でした。これはプ ロジェクトのポートフォリオを評価する際の重要な指標 ロジェクトの目標達成率に大きな影響を及ぼす可能性 となっています。リスク度を考える上で重要なのは、 ケーススタディ:万人のための教育(EFA) 現在、就学年齢に達していながら、 童の割合を10〜15%程度に抑え 質の高い教育を受ける機会が ケース 小学校に通うことのできない子供 られることを実証しています。イン 少ない。 スタディ の数は1億1500万人に上っていま ドの例は初等教育の普及が膨大 す。教育は社会の基盤であり、経 な人口を抱える国でも可能である ■ 教育変革の必須要素として、学 2003年度、世銀 済力の礎となるものです。途上国 ことを示すと共に、借入国の状況 校施設と教室に重点を置くこ は3つの重要な が初等教育の完全普及を達成し、 に合わせたソリューション、柔軟な と。教育制度の中間管理職に イニシアティ ブ 2015年までに万人のための教育 ドナー援助、および借入国の主体 もっと着目すること。 (万人のための という国際目標を達成する (EFA) 的行動がきわめて重要であると浮 教育、HIV/エイ ためにはどうすればよいのでしょ き彫りにしています。 2002年、国際社会はEFA達成に ズ対策、農村地 うか。 向けて加速するためにEFAファー 域の給水) の進 国別ケーススタディの結果、EFA スト・トラック・イニシアティ (FTI) ブ 捗状況を分析す ブラジル、ギニア、 インド、および を達成するためには4つの要素が を 承 認しました 。こ の イニシ ア るために、 さまざ ウガンダで実施された20件のケー 必要であることが分かりました。 ティ ブのもとで、すでにいくつもの まな国でケース ススタディから、EFA達成を加速 前向きな変化が生まれています。 スタディ を実施 するための重要なヒントを得るこ ■ 政府の強力な関与、健全な政 たとえば、世銀とさまざまな国連 しました。調査 とができます。ギニアの例は、た 策、および効果的な戦略。 機関との連携がいっそう強化され 結果の概要は右 とえ不利な状況であっても、開発 たほか、世界中のNGOやシビルソ の通りです。 の結果に継続的かつ長期的に着 ■ 国内資源を動員し、有効利用 サエティの間で、初等教育の完全 目することでEFAを達成しうること するための協調的努力。 普及に対する関心があらためて喚 を示しています。ウガンダの例は 起されました。また、FTI対象国の 政府の関与とドナーの柔軟な援助 ■ 結果の重視。この場合は教育 開発課題や政策議論に注目が集ま の重要性に光をあてるものでした。 機会の不均等の是正。特に貧 るようになりました。 ブラジルの例は資本と質を重視す しい人々、農村部住民、女児、 ることで、教育を受けられない児 先住グループ、および障害者は 52 世界銀行 年次報告 2003 理事会も合意した通り、リスク度には最適水準がある ことになります。 ということです。リスク度をこの水準に収めることで、 開発プロセスには高いリスクが伴います。これは、 世銀はプロジェクトの革新性を損なうことなく、ポート 世銀の借入国も含めて世界や地域の経済状況がしば フォリオのリスクを緻密に管理し、受託者としての責 しば危機的な状況に陥るためです。ここ何年かは危 任を果たすことができます。つま 「バランスのとれ り、 機関連の融資が増加しており、世銀は(多くの場合 た」世銀のポート 「リスク度が フォリオには必然的に、 さまざまな国際援助活動に参加してきま IMFと共に) し 高い」と見なされるプロジェクトがある程度含まれる た。構造調整融資全体の予測リスク度も上昇してい ことになります。新しい主要指標群(ここ数年の懸念 ますが、これはプロジェクトの準備や監督に問題が を用い であった過大評価傾向を吸収するためのもの) あったためというより、世界情勢との関連性や、各国 て2002年度のプロジェクト・ポートフォリオを評価した の個別の状況を反映したものと考えられています。 ところ、実施中のプロジェクトに占めるリスク度の高 プロジェクトの監督状況は85%が満足できるレベル いプロジェクトの割合は19%に上昇しましたが、最適 「監督の質」 と評価されたものの、 報告書では、職員 水準 に十分に収ま (15%〜20%) りました。リスク度の がプロジェクトの高リスク部分に十分な注意を払って 高いプロジェクトの比率が高まったのは、報告がこれ いないことがあり、その結果、プロジェクトの実施中 までよりも率直になされるようになったことが一因と考 に問題点を修復することが難しくなっている場合があ えられています。しかし、QAGは今後も評価はより現 ると指摘されました。同報告書はさらに、経験豊かな 実的に行われるべきだと指摘しています。この10年 マネージャーや職員がリスクの高いプロジェクト(特に 間でプロジェクトの質を示す指標は上昇しており、約 より弱い立場の国におけるもの)に参加するインセン 100億ドル相当のプロジェクトが目標を達成している ティブを強化する必要があると提言しています。 ケーススタディ:HIV/エイズ、結核、マラリアの撲滅 HIV/エイズ、結核、およびマラリア 万人に減少しました。 を達成し、何百万人もの命を救う は途上国に深刻な課題をつきつけ ためには、国際社会は今後も十分 ています。2001年のマラリアによ 途 上 国 が これら の 疾 病 に 立 ち 向 な資源を投入していく必要があり る死者は100万人、結核による死 かうには 4 つ の 要 素 が 必 要となり ます。 者は200万人、エイズによる死者は ます。 300万人でした。このうち220万人 はサハラ以南のアフリカの人々で 1. 健全な公共政策 した。これらの致死的な疾病は経 2. 高い医療キャパシティ 済と社会のあらゆる側面に影響を 3. 十分な資金 及ぼしており、子供たちから親を奪 4. 効果的なモニタリングと結果 い、途上国から最も生産的な労働 の評価 者を奪っています。国際社会はこ うした 疾 病 の 撲 滅 を 急 務としてい この4つの要素実現には、政府の強 ます。 いリーダーシップ が 必 要 で す。ド ナーの援助は政策の強化、国レベ ブラジル、中国、 タンザニア、およ ルのキャパシティ ・ビルディング、援 びウガンダの例は、 こうした一見す 助額の増額、および結果重視の強 ると 解 決 困 難と 思 われ る 疾 病 に 、 化によって、4つの要素の実現に重 途上国が効果的に立ち向かいうる 要な役割を果たすことになります。 ことを実証するものでした。たとえ ば、ブラジルでは成人のHIV/エイズ 開発援助はすでに多くの成果をあ 感染率は1%未満に抑えられていま げてきました。途上国が2015年ま す。中国のマラリア感染者は1950 でにエイズ、結核、マラリアの感染 年の3000万人から、2000年には2 率を減少に転じさせるというMDGs 第3章 開発の有効性 53 この2年間でQAGの活動はさらに包括的で、借入 業務をプロジェクト、国、セクター、グローバルの各 国に重点を置いたものとなりました。現在、QAGは レベルで評価した結果をもとに理事会に助言を行っ 2002年に実施されたパイロット・プログラムに基づい ています。 て、各セクター・ボードが世銀の業務に提供している 支援の質のベースライン評価に取り組んでいます。ま 開発効果の評価 た、先頃にはCASの全サイクルにわたって世銀が借入 OEDの評価は「開発効果に関する年次レビュー 国に提供している分析支援と政策助言の質を評価す (ARDE)」の基礎となるものです。2002年度のARDE るパイロット・プログラムが完了しました。次回の ではMDGs達成に向けた世銀の取り組みに関して、3 「ポートフォリオの成果に関する年次報告」には、ポー つの重要なポイントが指摘されました。 トフォリオ全体の評価に「結果」面からのアプローチ も加えられる予定です。 1. MDGsの採択に伴い、世銀は世銀グループの活 動をMDGsと一致させ、MDGsを達成するための 包括的なフレームワークを提供するという組織戦 独立評価 略を打ち出しました。しかし、世銀は自らの貢献 範囲を、特に融資と管理リソースの側面から、さ 業務評価局(OED)は世銀理事会に直接報告を行 らに徹底的に評価・分析する必要があります。 う世銀の独立評価部門です。OEDは世銀の開発パ 2.  世銀の国別、セクター別プログラムとグローバ フォーマンスを追跡し、世銀のプロジェクト、プログ ル・プログラムはMDGsのテーマと一致しており、 ラム、およびプロセスの有効性を分析し、今後のプ 貧困削減にさらなる重点が置かれるようになって ロジェクトへの教訓を引き出します。OEDは世銀の います。貧困削減やその関連結果に関するター ケーススタディ:農村地域への給水 農村地域では10億人が清潔な飲料 1. 借 入 国 の 政 府 と 地 域 社 会 グ 8. す べ て の 関 係 者 の キャ パ シ 水を利用できず、およそ20億人が不 ル ープ が 主 体 的 に 参 加 す る ティ ・ビルディングを心がける 衛生な環境での生活を余儀なく され こと。 こと。 ています。その結果、毎年500万人 2. 国際的に一般化されたモデル 9. 長期的な視点から計画を立て 以上が水関連の疾病で命を落として を適用するのではなく、地域の ること。 います。貧しい農村部の人々にとっ 状況に合わせてプログラムを設 10. 世銀、 ドナー、およびシビルソ て経済活動の中心である農業も、新 計すること。 サエティ組織のアプローチを調 鮮な水を大量に必要とします。水管 3. トップダウン方式ではなく、地 和させること。 理が改善されれば、農村部の人々の 域の需要を取り入れたアプ 健康が改善され、所得が向上する可 ローチを採用すること。 能性があります。 4. プログラムとサービスの管理 に幅広い関係者を関与させる アルバニア、ブラジル、ガーナ、イン こと。 ド、ナイル川流域、およびトルコで 5. 地域への給水を可能にする政 実施されたケーススタディは、水資 策環境を促進すること。 源開発を地域社会主導で進めること 6. 水とその管理のあり方を行政の によって、水資源の持続可能性を高 枠組みに組み込むこと。たとえ め、料金の徴収を実現し、公正で効 ば、水利用者団体が地域の送 率のよい水資源管理が達成できるこ 水ポンプを管理し、地方政府が とを実証しています。地域社会主導 料金を徴収し、中央政府が水資 の水プログラムを成功させるために 源政策を決定するなど。 は、プログラムを次の10の指針に 7. モニタリング・評価を管理と学 従って推進する必要があります。 習のツールと捉えること。 54 世界銀行 年次報告 2003 図3.10 プロジェクト結果の満足度 1974 – 2002年度 よるプログラム結果重視の志向を高め、結果を左右 (満足できる成果を上げたプロジェ クトの割合) するセクター横断的な問題に取り組み、結果の測定・ 100 モニタリングを強化する機会となるものです。また、 ベースラインと達成状況に関する正確なデータが集ま 80 るようになれば、評価も促進されるはずです。 しかし、MDGsは世銀にリスクと課題をつきつける 60 ものでもあります。現在のままの進歩速度では、途上 国の多くが2015年までにMDGsを達成することはでき 40 ず、落胆と冷笑を招きかねません。一方、MDGsが世 銀につきつけている課題は、MDGsを途上国の固有 20 の状況に合わせること、特に明確な目標を定めず各 セクターの貢献を利用すること、世界全体よりも貧困 0 国や貧困層にとっての結果に重点を置くこと、そして 74年度  78年度  82年度  86年度  90年度  94年度  98年度  02a年度  行動と結果の関連性を見つけ、適切な中間指標をモ 注:融資案件のみ。   a. 2002年度については通年ではなく、一部期間の案件しか含ま   れていない。 ニタリングしていくことです。世銀がMDGsの達成を効 出典:OEDによる計算。   果的に促進できるかどうかは、こうしたリスクや課題 に適切に対応できるかどうかにかかっています。 ゲット(期日 を国ごとに定め、 と数値目標) その目 標を達成するための戦略構築を支援することで、 評価結果 世銀はMDGsの達成をさらに促進することができ 2002年度のARDEでは、世銀の国別、セクター別プ ます。 ログラムとグローバル・プログラムはMDGsのテーマ 3.  世銀が融資するプロジェクトの成果は、ストラテ と合致していること、これらのテーマを世銀が一貫し ジック・コンパクトに定められた「プロジェクトの て支持してきたことが指摘されました。個々のプロ 75%で満足できる成果を上げる」という目標を上 ジェクトの結果にも改善傾向が見られました。今後の 回る水準を維持しています(図3.10参照)。次の 課題は、開発の有効性を国レベルで高めることです。 課題は経済の繁栄、人的開発、および持続可能 CASはこれまで以上に貧困削減に重点を置くように な環境作りの面で、国レベルの改善結果を出す なっているものの、CASの目標は具体的なターゲット ことです。そのためには、結果重視のクロスセク を達成するというより、変化の方向性という形で示さ ター戦略を立て、パートナーの比較優位を活用 れる傾向があります。CASに比べると、貧困削減戦略 することが必要です。途上国やドナーが「いつも 文書(PRSP)の目標設定は明確ですが、現実性や達 通り」の努力を続けるだけでは、MDGsを達成す 成可能性の面でまだ改善の余地があります。国別プ ることはできません。 ログラムの目的や目標は、MDGsに沿って借入国自身 が定めた目標に基づいて、また場合によってはPRSP 機会、 リスク、および課題 を利用して、より具体的に定義される必要があります。 2000年のミレニアム宣言の中で、国連の全189加盟 そのためには貧困分析をはじめ、分析業務全般を改 国が支持を表明したミ レニアム開発目標(MDGs)は、 善することが不可欠です。 開発コミ ュニテ ィがかつてない規模で主要な開発目標 世銀のセクター戦略は貧困との関連性が強まって に合意したものです。MDGsに盛り込まれたテーマは きています。また、プロジェクトの効果を高めるため 世銀にとって新しいものではありません。第1の目標 にはセクターの枠を超えた活動が必要であることも理 である貧困削減は、世銀が1990年以来掲げてきた目 解されるようになりました。しかし、クロスセクター戦 標でもあります。MDGsの大きな特徴は、開発の結果 略を各国の固有の状況に合わせてカスタマイズする を重視していること、測定可能な開発目標とその達成 ための指針はまだありません。クロスセクター戦略の 期限を定めていること、 そしてグローバルな開発パー 設計と実施を促すような、より効果的なメカニズムの トナーシップへの参加を先進国に義務づけているこ 開発が待たれています。 とです。こう したMDGsの特徴は、途上国と ドナーに 世銀が支援するグローバル・プログラムはいずれも 第3章 開発の有効性 55 MDGsを幅広く支援しています。しかし、ガバナンス 囲み3.1 援助の有効性とキャパシティ・ビルディング や管理に途上国が参加している例はまれであり、先 進国の政策を取り入れたグローバルな社会政策の形 2 0 0 3 年 、世 界 銀 行 研 究 所(WBI)は複数の外部 成に重点を置いているものもほとんどありません。プ パートナーと共に、能力の拡大が開発結果にどのよう ログラムを補完するものとして、国レベルの投資を行 な影響を及ぼすのか、またそれが世界の研修機関に うことの重要性も十分に検討されているとはいえませ どのような意味を持つのかを議論しました。国連開発 ん。活動のモニタリングと評価という点ではグローバ 計画、日本の国際協力事業団、およびカナダ国際開 ル・プログラムもその他の開発プロジェクトと大差は 発庁がフィリピンのマニラで開催したシンポジウムで なく、資金提供までの過程はモニタリングしても、結 は、キャパシティ・ビルディングには個人、制度、およ 果のモニタリングは行わないのが普通です。 び組織の3つのレベルがあることが指摘されました。 プロジェクト結果と、MDGsに対する世銀プログラ シンポジウムでの議論を受けて、WBIはドイツのキャ ムの有効性はどちらも、モニタリングを強化していく パシティ・ビルディング機関InWEntと共同でワーク 必要があります。世銀は借入国がMDGsの達成状況 ショップを開催しました。ワークショップでは結果志 を分析し、進歩を加速することができるように、統計 向のキャパシティ・ビルディングが各研修機関に与え データの質と量の改善をさらに支援していく必要があ るインパクトが議論されると共に、研修機関が世界、 ります。 地域、国の各レベルで協同と協調を強化するための 施策が論じられ、教育用ソフトウェアの合理化、知的 国別プログラムの評価結果 所 有 権 問 題 、合 同 職 員 研 修 などが 議 論 され ました OEDの国別援助評価(CAE)は、各国における世銀 ( www.worldbank.org/wbi/RCET/berlin_workshop の援助プログラムの有効性を総合的に評価するもの 参照)。 です。 (CAS) 融資・助言サービスの質は国別援助戦略 の枠組みの中で評価されます。2003年度には7件の 国別援助評価(CAE)が実施されました。 戦略文書(SSP)の見直しや作成に利用されています。 こうした評価により、世銀の国別プログラムは各国 OED、IFCの業務評価グループ、およびMIGAの業 の貧困削減、初等教育、および基本医療サービスに 務評価ユニットが実施した「民営電力の開発(PSDE)」 高い比重を置いていることが確認されました。貧困 の合同レビューによると、IFCとMIGAの結果は好まし 問題への配慮が高まったことも、数多くのCAEで指摘 いものだったのに対し、PSDEに関する世銀プロジェ されました。また、貧困レベルが低い国に対するプロ クト・レベルでの結果は期待を裏切るものだったこと グラムでも貧困削減が大きな焦点となっていることが が分かりました。また、電力セクター改革とPSDE戦略 指摘されました。しかし、移行経済国におけるプログ に貧困削減と環境問題を組み込むためには、数多く ラムでは、その他の国に比べて貧困削減目標が十分 の課題が残されていることも指摘されました。 に取り入れられていないことが分かりました。 コーポレート・プログラムの評価結果 セクター、テーマ別プログラムの評価結果 OEDが実施した「最貧国の債務救済:OEDによる OEDのセクター別、テーマ別評価では世銀の業務 HIPCイニシアティブのレビュー」は、HIPCイニシア 全般に関わる問題が評価されます。世銀が借入国政 ティブの中核目標(重債務を抱えている適格国の債 府と進めている政策対話やその他の対話(プロジェ 務水準を引き下げること)が、政治経済と援助の有 クトの選定、設計、および実施に関するもの)の有効 効性のどちらの側面から見ても、きわめて的を射た 性もその1つです。評価はポートフォリオ全体の評価、 ものであると指摘しています。先進国の開発援助額 国別ケーススタディ、 (経済・セ および非融資サービス が減少方向にある中で、HIPC諸国に対する援助の クター調査など)の評価などを通して実施されます。 割合は全体として上昇しています。つまり、その他の また、外部の諮問機関が招かれ、公開討論、ワーク (重債務ではない)貧困国が受け取る援助の割合は ショップ、インターネットのディスカッショングループ、お 減っていることになります。しかし絶対額で見ると、 よび各種の広報活動を通して参加型の協議が行われ HIPCに対する援助は1995年の水準を下回っていま ます。セクター別、テーマ別評価の結果はセクター別 す。HIPCイニシアティブが社会サービスへの支出に 56 世界銀行 年次報告 2003 焦点をあてるようになったことで、対象国の国家予算 が世銀の業務評価と自己評価が十分かつ効率的に行 に占める保健・医療および教育関連支出の割合は高 われていることを示すために作成した主要な報告書 まっていますが、経済成長を加速するようなプログラ を検討します。また、主要なプロジェクトに対する評 ムにも、さらなる重点が置かれることが期待されてい 価結果と開発効果に関する優先課題を理事会に提出 ます。 し 、理 事 会 の 検 討と意 思 決 定 を 待 ちます。また 、 CODEは貧困削減という世銀の使命が追求されてい グローバル・プログラムの評価結果 るかどうかを確認するために、理事会の決定事項の 世銀は約70のグローバル・プログラムを支援してお 実施状況をモニタリングしています。 り、2003年度の出資総額は1億5000万ドルを超えまし た。2001年、OEDは理事会の要請を受けて、拡大傾 向にある世銀のグローバル・プログラムの開発効果 リスク管理 (組織と を3つのレベル しての戦略、プログラム的管理、 個別プログラム)で分析する独立レビューを開始しま 世銀が直面しているリスクは幅広く、また複雑化の した。レビューの結果は2つの報告書にまとめられま 一途をたどっています。世銀はこうしたリスクを慎重 した。1つ目の「グローバル・プログラムに対する世銀 に、かつその使命を損なわない形で管理しなければ のアプローチ:独立評価」は、グローバル・プログラ なりません。リスクを適切に管理するためには、的確 ム全体に対する世銀の戦略的、プログラム的管理に な財政判断と受託者責任の遵守を常に心がける必要 焦点をあてたものです。この報告書を受けて、世銀 があります。しかし、機会を確実に捉え、リスクのあ マネジメントはすでにグローバル・プログラムの管理 らゆる側面を考慮するためには、リスク管理を包括的 を強化し、世銀全体の戦略および優先項目を強化す な視点から捉えることも必要です。 るよう提議しています。 2003年度に採択された「統合リスク管理フレーム 2つ目の報告書「創立31周年を迎えるCGIAR: ワーク」は、世銀が蓄積しているリスク管理慣行を総 CGIARの独立メタ評価(近刊予定)」は、国際農業研 括したものであり、リスクを個別ではなく、包括的な 究協議グループ を分析したものです。本報 (CGIAR) 視点で管理することで、より高い価値を生みだすこと 告書は、農業の生産性に関するCGIARの研究が、雇 を目的としています。このフレームワークは戦略の有 用創出、所得の向上、食糧価格の引き下げ、および 効性、業務の効率性、関係者のサポート、および財政 土地の開放を通して貧困の削減に大きく寄与してきた の健全性に重点を置いています。この4つは基本原理 ことを認めつつも、CGIARが以前ほど農業生産性の であると同時に、全体の一部でもあります。潜在リス 向上に重点を置いていないこと、バイオテクノロジー クが存在する分野を精査することにより、専務理事で 分野の急成長、知的所有権の重要性の高まり、民間 構成されるマネジメント委員会はあらゆるレベルのリ セクターの研究の拡大といった変化に、組織として十 スク管理を監督し、必要な政策指針を提供すること 分に対応できていないことを指摘しています。 ができるようになります。その目的はリスクを避けるこ とではなく、よりよいリスク負担を促進すること、そし 開発効果委員会 て利用可能なあらゆる資源を使って開発効果を高め 開発効果委員会(CODE)の役割は、貧困削減とい ることです。世銀の財務リスク管理プロセスについて う使命に照らして、世銀グループの有効性をモニタリ は、本年次報告第2巻の「マネジメントの議論と分析」 ング・評価することです。CODEはOEDの評価結果、 に詳述されています。 それに対するマネジメントの対応、およびマネジメント 第3章 開発の有効性 57 第4章 テーマ別展望 貧困削減と経済運営 60 人々への投資 65 環境責任と社会的公正を取り入れた 成長に向けて 69 民間セクター開発とインフラ支援 73 健全な金融システムの構築 78 法制度の整備 81 貧困削減と経済運営 世銀の「貧困削減・経済運営ネットワーク」は、知 識基盤を拡大し、貧しい人々に配慮した経済成長を 促す政策の形成を支援し、途上国がこうした政策を 長期にわたって実行することのできる国際環境を醸 成することを目指しています。 貧困削減戦略文書(PRSP)と関連活動 低所得国には世界の最貧困層の大半が暮らして います。世銀は2003年度においても、貧困削減戦略 文書(PRSP)アプローチをもとに低所得国の貧困削 減に取り組みました。PRSPは借入国が主体的に作 成する戦略文書です。2003年度には21件のPRSPと (I‑PRSP) 2件の暫定PRSP が理事会で検討されまし 経済の統合が進んだ現代の世界では、貿易がかつてないほど重要な役 た。これにより、PRSPの総数は28件、I‑PRSPの総数 割を果たすようになっています。世界経済との結びつきが強まると、 経済は急速に、かつ持続的に成長する傾向があります。こうした成長 は46件となりました。関係者がPRSPプロセスに効果 は貧困削減に大きく貢献することになります。 的に参画することができるように、世銀はNGOを対 象に「開発の民主化」会議を開催し、PRSP諸国では 国会議員を対象としたプログラムを実施しました。 めの重要なイニシアティブが始まりました。その1つ 地域レベルでは、アフリカ地域の労働組合を対象と が、貧困層に配慮した成長に焦点をあてたワークプ したイニシアティブを導入したほか、独立国家共同 ログラムです。このプログラムの目的は、成長と貧困 体7ヶ国 とバルカン半島諸国では貧困に関 (CIS‑7) はどう関連しているのか、貧困層が成長から取り残 する地域フォーラムを開催しました。また、PRSPア されないようにするためにはどのような援助が効果的 「PRSPソー プローチに関する指針を広めるために、 なのかを学ぶことです。2003年3月のワークショップ スブック」の改訂版である小冊子「PRSPグッド・プラ では今後の活動計画が議論され、6件から9件の国別 クティス」を広く配布しました。世銀内では職員教育 研究と、分野横断的な分析調査が行われることにな プログラムに「貧困削減コース」が加えられました りました。 (www.worldbank.org/poverty/strategies参照)。 2003年度は「貧困・社会影響分析(PSIA)」の面で 世銀の大きな課題は、世銀の援助戦略と借入国の も前進がありました。PSIAは改革が貧しく弱い立場 貧困削減戦略(PRS)の整合性を高めること、戦略の の人々に与える影響や、さまざまな政策間のトレード 実行を支える知識基盤とスキルの構築を支援するこ オフを分析し、借入国が取りうる政策の選択肢を明 とです。両者の整合性を高めるために、世銀とIMF らかにするものです。2003年度、世銀とその他のド はその他のドナーと協議の上、財政支援を借入国の ナーは20ヶ国のPRSPプロセスにおいて、PSIAの実 PRS実施状況に合わせるフレームワークを構築しまし 施 を 支 援しました 。世 銀自身 の 業 務 にも、まず は た。また、世銀は知識の格差を特定し、是正するた P R S C を中 心 に P S I A が 取り入 れ られて います めに、IMFおよび英国と共同で貧困削減戦略に起因 (www.worldbank.org/psia参照)。 するマクロ経済問題を分析するワークショップを開催 2003年度にはエンパワーメントに関する取り組みも しました。 強化されました。2002年7月に世銀職員を対象とした 2003年度には借入国のPRS作成と実行を支援し、 「エンパワーメント・ソースブック」が発行されたほか、 世銀の貧困削減活動をより結果重視のものにするた エンパワーメントの達成状況を測定したり、エンパ 60 世界銀行 年次報告 2003 ワーメント関連の業務に携わる世銀職員が組織横断 囲み4.1 貿易のための統合フレームワーク 的なコミュニティを形成したり、エチオピア政府が進 めているシビルソサエティのキャパシティ・ビルディン 「後発開発途上国のための貿易関連技術支援に関 グとエンパワーメントを支援したりなど、1年を通して する統合フレームワーク」は、後発開発途上国が世界 革新的な活動が行われました( www.worldbank.org/ 経済に参加する機会を拡大することを目指しています。 poverty/empowerment参照)。 このフレ ームワークには I M F 、国 際 貿 易 センター 、 UNCTAD、国連開発計画、世銀、およびWTOが参加 しています。世銀と途上国は、特に現状分析の段階で 貿易 中心的な役割を果たしています。現状分析では世界経 済との統合を阻んでいる各国の固有の要因が分析さ 貿易分野における世銀の第1の目的は、経済発展 れ、必要な技術支援の特定と優先項目の設定が行わ を促すような貿易システムを構築し、途上国が国際 れます。分析の際には国内外の投資環境要因だけで 貿易に効果的に参加できるようにすることです。これ なく、貿易政策の形成、戦略、および開発に関する制 までの経験から、貿易が盛んになると生産性が向上 度能力も吟味されます。 し、貧困削減の条件である成長が促されることが分 2 0 0 3 年 度 、統 合 フレームワーク 運 営 委 員 会 はフ かっています。2003年度には世銀に貿易局が設置さ レームワークの対象にブルンジ、ジブチ、エチオピア、 れました。これにより、貿易分野における世銀のキャ ギニア、レソト、マリ、ネパール、セネガル、およびイ パシティ、活動、および関与が大幅に強化され、他の エメン共和国を加えました。また、すでに対象となっ 国際機関とのパートナーシップが深まりました。また、 ているカンボジア、レソトなどの国々はドナーとプログ 開発と関係の深い貿易課題についての研究報告が ラム的な議論を重ねました。エチオピア、マラウイ、 増え、貿易をPRSPなどの国別・地域別戦略に統合 および ネ パ ール は I F 分 析 の 結 果 を 確 認 するワーク する試みが強化されました。 ショップを全国で開催する予定です。ブルンジとマリ 世銀は世界貿易機関(WTO)や国連貿易開発会議 は現在、貿易統合を阻んでいる主要な要因の特定に と並ぶ、統合フレームワーク (UNCTAD) (IF)イニシ 取り組んでいます。 アティブの主要な調整・実施機関であり、同イニシア ティブの推進に大きな役割を果たしています(囲み 4.1参照)。世銀が2003年に貿易分野で行った国際活 て、国境および「国境内」貿易課題(つまり国内の阻 動の大半は、貿易関連交渉の次の山場である2003 に関する現状分析調査が行われま 害要因) した。 年9月のWTOカンクン閣僚会議に照準をあてたもの 世銀は国境内貿易課題の中でも、特に貿易円滑化 でした。カンクン会議では2001年にドーハ閣僚会議 と国際規格への準拠に焦点をあてるようになってい で合意された開発アジェンダの進捗状況が審議され ます。貿易円滑化に対する支援は、分析活動と融資 る予定です。 業務の両面から行われています。この分野の融資は 世銀は国際貿易システムの担い手となる国々に支 世銀の貿易関連融資の大半を占めており、過去2会 援を提供しました。具体的には、貿易とサービスの 計年度にわたって、貿易関連融資全体の86%を占め 自由化がブラジルの所得配分に及ぼす影響の研究、 ています(制度構築、物的インフラの整備、貿易金融 WTO加盟がロシアにもたらす影響の分析、インドが に対する融資など)。また、世銀は借入国が標準規 WTO関連問題(特にサービス貿易)に対処するため 格を策定・導入するためのキャパシティ・ビルディン の協調プログラムの設計支援などです。また、自国 グも強化しています。こうした支援は国レベルでは融 の貿易政策や規制フレームワークが経済に与える影 資業務を通じて、グローバル・レベルではWTO、世 響を途上国自身が分析できるように、また政策決定 界保健機関、および国連食糧農業機関と共同で設置 者が国内貿易の改革計画を作成し、国際交渉に向 した「規格・貿易開発ファシリティ」などを通して提供 けた戦略を構築できるように、 (WBI) されています。 世界銀行研究所 を通して途上国のキャパシティ・ビルディングに取り カンクン閣僚会議に先立って、世銀は「世界経済 組みました。世銀はIFの対象とならない低所得国に 見通し2004」を発表しました。これは世銀が毎年発 も援助の範囲を広げつつあります。その手始めとし 表している報告書であり、世銀が貿易関連課題につ 第4章 テーマ別展望 61 いて分析や提言を行う際の主要なツールとなってい 囲み4.2 研究、政策、および学習 ます。2003年度に発行された、その他の貿易関連の 主要報告書と 「農業、貿易、 しては、 「国 およびWTO」 世界銀行研究所(WBI)は世銀の開発経済研究グ 際貿易改革の選択肢:アジア・大洋州地域の視点」 ループ(DEC)および貧困削減・経済運営(PREM) 「地域統合と開発」などがあります。 ネットワークと密接に連携し、WBIのキャパシティと知 識関連プログラムを世銀の優先項目や国別ニーズと一 貿易関連法 致させる取り組みを進めています。 2003年度は、貿易関連の国際法や国際政策の実 WBI、DEC、およびPREMは借入国に対し、さまざ 務を学ぶ研修プログラムへの需要が高まりました。 まな援助ツールをパッケージとして提供しています(研 特に関心の高かったテーマは、市場アクセス、反ダ 究成果、政策提言、借入国のニーズに合ったキャパシ 「サービスの貿易に関する一般 ンピング、相殺措置、 ティ・ビルディング・サービスなど)。たとえば、3者合 協定」、知的所有権の貿易側面、地域統合、環境、 同の「合同国際貿易局」は借入国が貿易交渉に参加し、 労働基準、そしてWTOにおける紛争解決手続です。 世界貿易機関(WTO)の規制に準拠することができる 世銀は貿易関連のさまざまなセミナーのスポンサー ように、借入国のキャパシティ・ビルディングに取り組 を務めました。2002年12月に開催された「貿易関連 んでいます。 法と政策に関するアフロ・ラテンセミナー」はその1つ 世銀は貧困削減とガバナンスにおいても、同様の組 です。このセミナーはWBI、国際司法研究所、ウガン 織内パートナーシップを構築する予定です。 ダ司法アフリカンセンター、およびブラジルのジェッ トゥーリオ・バルガス財団とのパートナーシップのも とで遠隔研修の形で実施されました。オンラインセミ なテーマとしては、貿易関連の国境内政策・制度(特 ナーにはカンパラ、パリ、サンパウロ、ウィーン、およ に貿易コストに直接影響を与えるもの)、貿易自由化 びワシントンD.C.から約90名が参加し、貿易関連法 が貧困に及ぼす影響(特に貿易自由化による物価の の専門家の指導のもとで、貿易関連法や貿易政策に 変動が貧困層の福祉に与える直接的な影響)、多国 関する知識を共有し、司法改革など、世銀が取り組 間・地域貿易協定が開発の促進に果たす役割、成長 んでいる新しいテーマについて議論を行いました。 の源泉とそれが貧困削減、経済構造、および貿易に このほか、世銀はWTO加盟国に対しては通信関 及ぼす影響(特に貿易政策と開発政策の関連を強化 連協定の履行を支援するために、また加盟候補国に する方法)、国際商品規格が貿易の量とパターンに 対しては加盟目標の達成を支援するために、法律・ 及ぼす影響、知的所有権の利用料支払いの現状お 規制分野の活動を支援しました(本章の「法制度の整 よび所有権法の施行が徹底された場合に途上国が 備」参照)。 こうむる影響の予測、貿易自由化がサービスのパ (特に通信) フォーマンス やその他のインフラ・サービ 運輸と貿易 (港湾施設や国際輸送) ス に及ぼす影響の分析、およ 運輸は貿易競争力の要となるものです。2003年3 び貿易と貿易政策に関する研究データの蓄積とその 月、世銀の運輸セクターと貧困削減・経済運営ネット 公開などがあります(囲み4.2参照)。 「運輸・貿易円滑化タスク ワークの貿易グループは、 フォース」を共同で設立することを決定しました。こ れはWTOのドーハ開発アジェンダで定められた優先 ジェンダーと開発 項目への対応を強化することを目的としたものです。 タスクフォースは今後、借入国が貿易拡大と経済成 2003年は「ジェンダーの主流化戦略」が実行に移さ 長の阻害要因を特定・緩和するプロセスを支援する れた最初の年であり、この分野で大きな進捗が見ら ことになります。 れました。たとえば、ジェンダーの平等をほとんどの 国別援助戦略と貧困削減支援戦略に組み込んだほ 貿易関連の研究 か、世銀が支援するプロジェクト(特に教育、保健・ 新設された世銀の貿易局はいくつかの研究分野を 医療、および社会的保護に関するプロジェクト)にお 特定し、すでにその多くに着手しています。具体的 いてジェンダー関連部分をさらに重視するようになり 62 世界銀行 年次報告 2003 ました。 支出問題に関する報告書および重債務貧困国(HIPC) ジェンダー評価も20ヶ国を超える借入国で実施さ に対する行動計画の進捗報告書を作成、公共サービ れました。すでにジェンダー問題の分析を完了して スの改革についても取り上げました。現在、世銀は いる国やセクターでは、ジェンダーの主流化は着実に 第2世代のガバナンス指標と、ガバナンス・プロジェ 進みました。この事実は、重大な開発課題や優先項 クトの進捗状況を測定する中間指標の開発に取り組 目に取り組む際に、ジェンダー評価が重要な役割を んでいます。2003年度には「ガバナンスと汚職防止 果たすことを裏づけるものです。 に関するコアコース」と題された大規模なプログラム 現在、ジェンダーの平等を達成するために世銀が も始まりました。また、トランスパレンシー・インター 支援しているプロジェクトには、ザンビアのHIV/エイ ナショナルと共同で会議を開催し、汚職防止やガバ ズ・プロジェクト、インド南部の地域社会密着型エン ナンス分野における世銀の取り組みを、さらに効果 パワーメント・プロジェクト、ホンジュラスの観光・地 的なものにするための施策が丸一日をかけて議論さ 域開発プロジェクトなどがあります。ジェンダー関連 れました。 の革新的な開発プロジェクトにも、引き続き資金と技 術支援が提供されています(ペルーの農村道路プロ ジェクト、バングラデシュの女性のエンパワーメントと 経済政策 農村電化プロジェクト、ガーナの水・衛生プロジェク トなど)。また、新たにジェンダーと経済政策に関す 経済成長、債務管理・財政の持続可能性・ボラ る研究が始まり、貿易と競争力、公共セクターの合 ティリティ管理、地方自治体の経済運営、統合政策分 理化といった分野の政策の基盤となる分析データが 析、国別戦略の構築―こうした分野のプロジェクトや 大量に蓄積されるようになっています。世銀は他の 政策関連活動を遂行するためには適切なマクロ経済 国際開発機関と共に、女性のエンパワーメントの達 分析が不可欠です。 成状況を測定する研究も推進しました。この研究に 2003年度にはさまざまなテーマ別ハンドブックの より、ジェンダーの平等はどのMDGsにとっても重要 作成が進められました。これは開発の現場で政策の な意味を持っていることが実証されました。2003年 立案や実施に取り組んでいる人々に指針を提供する 度に世銀が用意した投資環境評価には、ジェンダー ことを目的としたものです。また、世銀は「開発政策 格差を捉えるための質問も盛り込まれています。 レビュー」や「カントリー・エコノミック・メモランダム」 といった現状分析報告書を発行して、地域レベルの ガバナンスと公共セクター改革 多くの研究や事例から、優れたガバナンス、開発、 および貧困削減の3者は分かちがたく結びついてい ることが分かっています。世銀もガバナンスの向上と 公共セクター開発に力を入れるようになっており、こ の分野のプロジェクトに対する2003年度の融資承認 総額は約25億ドルにのぼりました。世銀のガバナン ス・公共セクター改革戦略は、硬直した制度を改革 するためには組織的なアプローチが有効だとしてい ます。具体的には、制度のルールやプロセスを変更 すること、市民の参加、透明性、説明責任、および パートナーシップを通して、改革の圧力を高めること などが考えられます。改革を成功させるためには、 その国の制度環境に配慮し、制度、インセンティブ、 ガーナの地域社会には自己組織・自己統治の伝統と地域開発の実績 および影響を慎重に分析する必要があります。 があります。地域社会の参加は、ガーナの開発を促進するものとな 2003年度においては、世銀はIMFと共同で、公共 ります。 第4章 テーマ別展望 63 囲み4.3 開発政策レビュー−途上国の開発政策アジェンダと優先項目に対する新しい統合された視点 開発政策レビュー(DPR)は全セクターの分析結果を通 ワークになります。DPRを利用することで、開発アジェン 覧することで、借入国の開発優先項目や各セクターの関連 ダを広範かつ長期的な視点から捉えることができます。借 性を包括的に評価します。2003年度はDPRの2年目の年 入国、特に民間セクターにはきわめて好評です。また、簡 でした。2003年には全部で9件のDPRが実施される予定 明で読みやすい文章のおかげで、インドネシアの開発課題 です(バングラデシュ、コロンビア、ガンビア、ガイアナ、 が国際社会で広く理解されるようになりました」 インド、インドネシア、ロシア、スロバキア共和国、および DPRはCAS、政策対話、そしてプログラム的性格を強 トーゴ)。 めている世銀の国別援助活動において、重要な役割を果 DPR初の対象国となったインドネシアでレビューの責任 たしています。今後、DPRはCASサイクルと平行して、す 者を務めるマーク・ベアードは次のように述べています。 べての借入国について定期的に作成される予定です。 「(DPRは)政策優先項目を考える際の体系的なフレーム 開発努力を積極的に支援しています。こうした報告 対話を進め、国別援助戦略(CAS)を作成し、政策 書には国別の開発優先項目や、セクターと貧困削減 ベース融資を行う上での重要な基盤となっています の関連性が包括的にまとめられており、世銀が政策 (囲み4.3参照)。 64 世界銀行 年次報告 2003 人々への投資 世界の貧困を削減し、何百万人もの貧しい人々の暮 らしを向上させるという目標は、かつてないほど厳しい 局面を迎えています。2002年には1100万人近くの子供 たちが5歳の誕生日を迎える前に死亡しました。そのほ とんどは途上国の子供たちで、サハラ以南のアフリカ だけで450万人を数えた他、南アジアでの状況も深刻 でした。世界を豊かさで4分すると、最も豊かな4分の1 と最も貧しい4分の1では妊産婦の死亡率に20倍の開 きがあります。2002年には310万人がHIV/エイズで命を 落としました。感染率の最も高い国々では平均寿命が 20年も縮み、ようやく下がりつつあった子供の死亡率は ふたたび上昇に転じました。途上国では約1億1500万人 の初等教育を受けるべき年齢の子供たちが学校に行っ ておらず、そのうちの6400万人を女児が占めています。 世銀は途上国が初等教育の完全普及を達成し、伝 染病と闘い、子供の死亡率を削減し、妊産婦の健康を 改善し、弱い立場の人々を危機から守るために、今後 もさらなる努力を続けていきます。 教育 2003年度、世銀はミレニアム開発目標 の1つ (MDGs) 「万人のための教育 である (EFA)」の達成を加速する ために、また途上国が知識主導型のダイナミックな世界 世銀の「人的開発ネットワーク」は世界中の知識と経験を用いて、教育、 保健・医療、栄養、人口、および社会的保護の分野における世銀の援助 で市場競争力を持つことができるように、教育分野に 活動を支えています。 おける支援活動を強化しました。この2つのポイントは どちらも、人々のエンパワーメント、経済成長の促進、 その結果としての貧困削減を達成するために、きわめて が高まり、政府の関与が強化されたほか、結果(初等教 重要です。 に重点が置かれる 育の修了率など) ようになりました。ド 「初等教育の完全普及」はMDGsの中で達成の可能 ナーの調和化も目に見えて進み、足並みを揃えた政策対 性が最も高いとみられているだけでなく、2015年までの 話や初等教育に対する柔軟性の高い支援が増え、コス 達成をめざして設定されたその他の目標に向けての牽 ト効率を考慮した学校建設が行われるようになりました。 引役として期待されるようになっています。世銀は途上 グローバル・レベルでは、高等教育の果たす役割や、 国、ドナー、その他の開発機関、およびシビルソサエ 知識主導型のダイナミックな世界市場がもたらす「生涯 ティ 「EFAファース と連携して、 ト・トラック・イニシアティブ という新たな課題について重要な分析が行われ 学習」 (FTI)を推進しています 」 (囲み4.4参照)。ドナーからの ました。2002年10月9〜10日にドイツのシュトゥットガルト 追加的資金と技術支援により、FTIはこの1年で大幅に で開催された「生涯学習と知識経済に関する会合」で 拡充されました。また、これまでの取り組みを通して、 は、知識経済に対応するために必要な教育・研修政策 今後の活動に活かしうる教訓も蓄積されています。 が議論されました。同様のテーマは「教育と技術の格 FTIが導入されたことにより、教育問題に対する関心 と題された報告書でも取り上げられ 差解消に向けて」 第4章 テーマ別展望 65 囲み4.4 万人のための教育(EFA)とファースト・トラック・イニシアティブ(FTI) ■ 「万人のための教育(EFA)」は、1990年にタイのジョ − 借入国のニーズに合わせて、成人に対する基礎 ムティエンで開催された国際会議で、2000年までに初 教育の提供を支援しました。また、識字能力に関 等教育を完全普及させるという目標が掲げられたこと する新しい国際指標を開発しました。 に始まります。2000年にダカールで開かれた会議では、 国際社会があらためてEFAを支持する立場を表明し、 ■ ファースト・トラック・イニシアティブ(FTI)は、教 6つの具体的な目標を設定しました。その年の9月にこ 育関連MDGsの達成加速を目的とした、教育ドナーと のうちの2つ(初等教育の完全普及と教育におけるジェ 低所得国のパートナーシップです。FTIドナーには政策、 ンダーの平等)がミレニアム開発目標(MDGs)に盛り 情報、キャパシティ・ビルディング、および資金の面で 込まれ、189ヶ国がこの目標を2015年までに達成する 途上国への支援を強化することが求められ、途上国に ことを誓ったことで、EFAはさらなる勢いを得ました。 は必要な政策を推進し、その結果に責任を負うことが 強く求められます。まずは、すでにPRSPを持ち、ド ■ 国際社会が支援を誓い、多くの途上国が懸命な努力を ナーが合意した教育セクター計画を有している18ヶ国 続けているものの、このままでは70以上の途上国が (うち11はアフリカ諸国)がFTIの対象国となりました。 2015年までに初等教育の完全普及を達成することは このほかの5つの人口過密国に対しても、政策やキャ できないと予測されています。 パシティを強化するための技術支援が検討されていま す。最終的にはEFAへの投資を拡大させることが目標 ■ 2003年度、世銀はEFAに関して、次のような広範な取 となっています。 り組みを行いました。 − 基礎教育の支援に力を入れました。例年、世銀 ■ 2002年11月、FTIドナーは最初の対象国となった7ヶ国 の教育関連融資に占める基礎教育融資の割合は (ブルキナファソ、ギニア、ガイアナ、ホンジュラス、 5割程度ですが、2003年度はそれが約70%増加 モーリタニア、ニカラグア、およびニジェール)の初等 しました。 教育に対して、2003年〜2005年の間に合計2億ドル以 − 国連合同エイズ計画 とアフリカ教育開 (UNAIDS) 上の追加支援を行うことを決定しました。この金額は 発連合 と協力して、孤児や弱い立場の子 (ADEA) 初等教育に対する政府開発援助(ODA)の約40%に相 供たちの就学を支援し、HIV/エイズの予防を強化 当し、教師の採用、学校の建設、教育の質と学習効果 しました。 を高めるための図書や教材の調達、およびエイズで親 − 女児の教育に重点を置きました。最新の投資収 をなくした子供やその他弱い立場の子供たちが学校に 益分析により、女児が現在よりも1年長く学校に 通い続けることができるようにするための補助金にあ 通うようになると、児童労働は1.4〜3.8%削減さ てられます。これにより、新たに約400万人の子供に教 れ、子供のワクチン摂取率は3.5%上昇すること 育の機会が開かれると見込まれています。 が分かりました(www.girlseducation.org参照)。 − 障害児に対する取り組みを強化しました。留年 ■ 2003年3月、FTIドナーはパリに集まり、FTIプロセス 者や中退者の大部分は障害児だと考えられてい に関するフレームワーク文書に合意すると共に、新た ます。 に3つの国(ガンビア、モザンビーク、およびイエメン − 幼少期教育に対する融資を1億200万ドルに増額 を支援することを約束しました。また、調査の 共和国) しました(2000年度のほぼ2倍)。これは借入国に とれた形で対象国に援助を届け、取引コストを削減す おいて、幼少期の教育が生涯にわたって重要な影 ることを再確認しました。具体的な措置としては、セク 響を持つことが理解されるようになったことを受 ター視察ミッションの計画や報告フレームワークの統 けたものです。 一などが考えられます。 66 世界銀行 年次報告 2003 ています。この報告書ではラテンアメリカ・カリブ海地域 の生産性格差の解消にスキルと技術が果たす役割が 包括的に論じられています。 国レベルでは教育への支援に弾みがつきました。 2003年度の教育融資は23億ドルに達し、3年連続の伸 びとなりました。その他のプロジェクトの教育関連部分 への支援も、2002年度の4億3500万ドルから、2003年 度には5億7700万ドルに増加しました。 最も多くの融資を得たのはラテンアメリカ・カリブ海地 域で、融資総額は7億8500万ドルでした 。 (表6.12参照) アフリカ地域に対しては、教育セクター改革と基礎 教育のプロジェクトに総額4億2400万ドル(すべてIDA から) 「開発学習セン の融資が行われたほか、 ター」に 対する支援が行われました。このセンターでは開発関 連の広範なテーマについて世界中の知識が利用できる ようになっており、途上国が貧困削減戦略を作成する際 今年、世銀の教育セクターは40周年を迎えました。2003年度の教育 の一助となることが期待されています。 関連融資は過去4年で最大となりました。教育融資の開始以来、 世銀 は700件以上の教育プロジェクトを支援してきました。プロジェクト 政策支援や分析活動も強化されました。国・地域 の内容は基礎教育から高等教育、 生涯教育まで多岐にわたっています。 (東アジア、アフリ レベルで政策ノー カ) トや報告書、対 話が活発に交わされたほか、生涯学習、女子教育、お ジェクトに対し、総額16億ドルの融資が承認されました。 よび公共サービスに関する詳細な分析報告書も作成さ MDGsを達成するためには、基本的サービスを拡大 れました(「世界開発報告2004:貧しい人々のための し、受益者を増やす必要があります。そのためには正 サービスの向上」 。 など) しく機能する保健・医療制度を整備しなければなりま 世銀の業務評価局(OED)が実施した最新の評価で せん。2003年度の保健・医療制度アジェンダでは、制 は、2002年度 に実施され (ただし一部期間は含まない) 度・構造改革、持続可能な資金調達、および政府の監 た教育プロジェクトの95%は満足できるレベルの成果 督責任の強化に重点が置かれま (政策立案、 した 規制、 に達していると評価されています。2001年度の評価は モニタリング・評価、需要側重視のインセンティブの創 83%、5年前の評価は74%でした。 出とサービス提供者の説明責任の強化など)。保健・ 医療制度に対する新規融資承認額は5億500万ドル近 くにのぼりました。 保健・医療、栄養、および人口 HIV/エイズなどの伝染病はこの1年も中心的なテー マとなり、新たに総額4億4200万ドルの融資が承認され 伝染病、妊産婦と子供への保健・医療が行き届いてい ました。人口、性と生殖に関する健康、および子供の ないこと、および栄養不良は、貧しい人々にとって疾病の 健康に対する新規融資額は4億700万ドルに達しまし 最大の原因であると同時に、死因の多くを占めています。 た。栄養分野に対する支援も大幅に増強され、1億 毎年、50万人以上の女性が妊娠に伴う合併症で死亡し 9900万ドル以上となりました。 ています。5歳未満の子供のうち推定1億4000万人が標準 MDGsを達成するためには、革新的なアプローチの 体重を下回り、そのほぼ半数を南アジアの子供たちが占 導入が鍵となります。今年、世銀はナイジェリアとパキス めています。5歳未満で死亡した1100万人近くの子供の タンからポリオを撲滅するためのグローバル・プロジェ 死因は、半数以上が予防も治療も可能な疾病でした。 クトを承認しました。その1つであるIDAの「バイダウン」 2003年度においては、世銀はパートナーや各国と協 メカニズムを利用したプロジェクトは、事前に合意され 力して、保健・医療、栄養、および人口関連のMDGsの た成果基準が達成された時点でIDAの融資がグラント 達成加速に取り組みました。世銀の活動がこれまで以 に転換されるというものです。このプロジェクトは国際 上にMDGsに沿ったものになったことで、保健・医療セ ロータリー、国連基金、およびビル&メリンダ・ゲイツ財 クターの活動が拡充され、2003年度は63件の新規プロ 団の資金で運用されています。 第4章 テーマ別展望 67 また、世銀は伝染病以外の疾病や障害の拡大防止 囲み4.5 途上国における障害者 にも引き続き取り組みま 「タバコ規制枠組み条約 した。 (FCTC)」の交渉においては、世銀が作成したタバコに 現在、世界には約5億人の障害者がいます。その 関する報告書「タバコ流行の抑制」が、タバコが経済に 80%は途上国の人々です。障害者は概して敬遠され、 与える影響を分析した信頼性の高い文献として頻繁に 隔離され、社会の偏見にさらされています。就学や就労 引用されました。水、衛生、屋内汚染物質、および道路 から排除されているため、障害者(特に女性や子供)は の安全性に関する問題については、リスク要因の監視 貧困国の中でも最も貧しいグループに属する傾向があ と外部パートナーとの協調が引き続き強化されました。 ります。 世銀のジェームズ・D・ウォルフェンソン総裁は「障害 のある人々が普通の人生を送ることができるように支 最も弱い立場にある人々の保護 援すること、働き、自立し、地域社会に貢献する機会を 提供することが必要です。こうした取り組みは障害者本 2003年度の社会的保護およびリスク管理(自然災害 人のみならず、その家族、地域、社会、そして国家にも に対する融資は23億ドルにのぼり 管理を含む) ました。 利益をもたらすものとなるでしょう」と述べています。 このうち11億ドルはラテンアメリカ・カリブ海地域に対す 障害者に配慮したインフラの整備は、障害者に教育 るものでした。 や雇用の機会を与え、障害者を社会の主流に統合する 弱い立場の人々を守るためにはリスクの削減・緩和な 一助となります。 どの対策措置と社会的保護の両方が必要です。2003 世銀は障害者支援の分野で先導的な役割を果たして 年、借入国はこのような仕組みを用いて、高齢の貧困層 います。その一環として、借入国との対話や国別分析活 を対象とした実現可能な所得保障制度の構築、失業者 動に障害者の問題を盛り込み、障害者に十分に配慮し への援助、公平な労働市場の育成、児童労働の根絶、 た政策、プログラム、およびプロジェクトを支援してい および弱い立場の人々に対するソーシャル・セーフティ ます。 ネットと社会基金の提供に取り組みました。さらに、世銀 2002年12月に世銀は障害と開発に関する会議を開 は社会セクターにおける介入の有効性、また国家介入の 催しました。この会議では、貧困と闘うためには障害を 適性バランスに関する分析調査を行いました。 防ぐと共に、すでに障害を抱えている人々を社会の主 2003年、世銀は各国のPRSPに社会的保護を組み込 流に統合することが重要であることが強調されました。 むために精力的に活動しました。2002年3月から4月にか けて実施された遠隔研修イベン(21ヶ国から170名が参 ト を皮切り 加) に、6月28日から7月17日にかけて5回の品質 みも勢いを得ました。 (15ヶ国が参加) 改善レビュー 、 それに続いて3回のワー 2003年にはグローバル・国レベルのプログラムと介 クショップが開催されました。3回の内訳は2002年4月の 入に関する総括的な報告書と、グアテマラ、モロッコ、 パリ・ワークショップ 、 (17ヶ国から101名が参加) 2002年11 およびイエメン共和国の児童労働に関する詳細な調査 月のアジスアベバ・ワークショップ(12ヶ国から145名が参 報告書が完成する予定です。児童と若年層に関する活 、 加) 2002年7月のパリ・ワークショップ です (100名が参加) 。 動の合理化計画もまもなく完了する予定です。5月には また、2000年9月に採択された社会的保護戦略も実 孤児と弱い立場の子供たちに関する第2回ワークショッ 行に移されました。その一環として、ラテンアメリカ・カ プが開催されました。 「障害と開発に関する会議」 また、 リブ海、南アジア、ヨーロッパ・中央アジア、および東ア も開催されました(囲み4.5参照)。同会議には世銀職 ジア・大洋州の4地域を対象に、リスク・脆弱性評価と 員、二国間開発機関、およびNGOが参加し、貧困削減 ソーシャル・セーフティネット評価が行われました。この における世銀の役割が議論されました。障害と開発に 結果をもとに、貧困層が直面しているリスク、それを管 関する地域別の作業部会が設置され、現在、万人のた 理するために貧困層に与えられている手段、および貧 めの教育(EFA)、HIV/エイズ対策、および情報アクセ 困層の脆弱性を緩和するための施策をまとめた2つの スと障害の関係をさらに掘り下げる研究が進められて 地域報告書が作成されました。新たに2名のアドバイ 「ノルウ います。 ェー障害・開発信託基金」は引き続き、 ザーを迎えたことにより、児童、若年層、孤児やその他 この分野の活動(現地プロジェクト に対する重 を含む) の弱い立場の子供たち、および障害者に対する取り組 要な援助資金源となっています。 68 世界銀行 年次報告 2003 環境責任と社会的公正を取り入れた成長に向けて 「世界開発報告2003」 世銀はこの1年間、 で提起さ れ、2002年8月に南アフリカのヨハネスブルグで開催 され た「 持 続 可 能 な 開 発 に 関 する 世 界 サミット (WSSD)」で確認された「責任ある成長」のビジョン を提唱してきました。 ヨハネスブルグ・サミットでは、富裕国と貧困国の 両方で、環境責任と社会的公正を取り入れた成長と いう新しい開発アプローチへの移行について、合意 が行われました。またサミットでは、貧困削減は開発 援助の枠にとどまらない、世界の安定に関わる問題 であることも強調されました。 ヨハネスブルグ・サミットと世銀のこれまでの経験 からは、ある明快で重要なメッセージを導き出すこと ができます。すなわち、サミットで合意された目標と MDGsを2015年までに達成するためには、賢明な公 共政策、責任・説明能力を備えた民間セクター、そし 途上国では早急な貧困削減がますます求められるようになっており、 て活発なシビルソサエティ組織が不可欠だということ 国際社会はこの目標に新たな意気込みで取り組んでいます。世銀は未 来を見据え、今日の行動の指針とすることで、持続可能な開発の実現 です。ヨハネスブルグの地で関係者の間に協調と建 を推進しています。 設的関与の精神が芽生えたことで、先行きに期待が もてるスタートとなりました(www.johannesburgsummit. org参照) 。 1. 貧困と環境の関連性:貧困削減戦略文書 (PRSP) に具体的な環境目標を盛り込むと共に、PRSPを 環境の側面から分析し、 「ベストプラクテ ィス」を 環境戦略 抽出しました (例:イエメン共和国のPRSP) 。ま た、環境政策・制度を強化する手段と して、 プロ 2003年度、世銀の理事会は一連のセクター戦略を グラム的アプローチや融資手段が利用される 「農村部の貧困層への支援」 承認しました。 「水資源 、 ケースが増えました (例:メキシコの環境構造調 セクター戦略:世銀関与の戦略的方向性」、そして世 整融資) 。 銀の新しい森林政策を盛り込んだ「世銀グループの 2. 戦略的分析:世銀は開発効果を高めるために、 新森林戦略」です。2年目を迎えた世銀の新しい環境 国別環境分析 (例:インド、チュニジア) 、戦略的 戦略と共に、この3つの文書は世銀が天然資源の持 環境評価 (例:ナイル川流域イニシアテ ィブ) 、貧 続可能な利用に向けて、着々と歩みを進めているこ 困・環境分析 (例:東アジアの貧困・環境ネクサ とを示しています。世銀の環境戦略はMDGsに沿っ ス)、および経済指標を用いています。2003年度 たものであり、ヨハネスブルグ・サミットで合意され は環境関連融資を含む新規プロジェク トが52件 た開発優先項目とも一致しています。 承認されました (総額11億ドル)。これは2003年 世銀はこの環境戦略を通して、環境と貧困と開発 度の新規融資総額の6%に相当します。 の関連性、そして環境が貧困層の健康、暮らし、お 3. インセンテ ィブと資源の強化:借入国での融資・ よび脆弱性に及ぼす影響に特別な注意を払っていま 分析業務の変化を補完するものとして、世銀は す( www.worldbank.org/environmentstrategy 参照)。 インセンテ ィブ構造と組織資源の強化にも取り組 2003年度は、特に次の分野で大きな進捗が見られ んでいます。たとえば、 「グリーン・アワード (緑 ました。 の賞) 」は環境保護が社会的に主流の概念とな 第4章 テーマ別展望 69 セーフガード・ポリシー 2003年度、世銀の理事会と上層部はセーフガー ド・ポリシーの遵守を重んじる立場をあらためて確 認しました。これに伴い、世銀はセーフガード・ポリ シーの開発効果をさらに高めるためのフレームワー ク作りに取り組んでいます。現在、世銀はフレーム ワークの草案をウェブサイトに掲載し、借入国や関 係 者 か ら 広 く 意 見 を 募 集 して い ま す(www. worldbank.org/safeguards 参照)。この草案は世銀が 新しい手法を取り入れる場合、まずはパイロット・プ ログラムを用いてセーフガード・ポリシーとの整合性 を確認することを定めています。具体的には、国家 の手続の調和化、新しい融資手段の評価、借入国の セーフガード制度利用状況のチェック、革新的なアプ ローチの分析といった側面でパイロット・プログラム を実施することが提言されています。また、世銀は 「国際金融機関環境ワーキンググループ」のメンバー と密接に連携して、2003年2月にローマで開催された ( www1.worldbank. 「調和化ハイレベルフォーラム」 org/harmonization/romehlf )で提言された、共通の 環境影響評価手法の開発にも取り組みました。2002 年11月には森林に関する新しい活動方針が採択され ました。セーフガードの問題はここでも取り上げられ 2002年にモンテレー会議とヨハネスブルグ地球サミットで合意され、 ミレニアム開発目標に盛り込まれた貧困削減目標を達成するためには ています。また、世銀の本部や現地事務所では職員、 成長を加速させる必要があります。しかし、この成長は社会的公正と 借入国、およびその他の関係者を対象に、セーフ 環境責任に立脚したものでなければなりません。 ガードに関するキャパシティ・ビルディングや研修が数 多く実施されました。こうしたプログラムではプロ るのを促進する一助となっています。環境問題 ジェクトの発掘、準備、審査、および監視に重点が置 とセーフガードに関する研修プログラムも、世銀 かれました。 職員を対象としたものと、借入国を対象としたも のの両方で大幅に拡充されました。世銀は「環 境主流化基金」を用いて、戦略の実施とクロスセ 農業、農村開発、および森林 クター分析を支援しています。また、新たにデー タベースが導入され、環境に関する最新の指標 2003年度は農村開発分野に19億ドルの融資が行 や動向を関係者に提供できるようになりました。 われました。世銀の新しい農村戦略は農村地域の成 長を包括的に捉えたものであり、貧しい人々に重点 ( w w w. この ほ か 、世 銀 は 地 球 環 境 ファシリティ を置き、農村地域全体に目を向け、関係者間に協力 gefweb.org )や「モントリオール議定書多国間基金」 関係を育み、保護貿易主義や気候変動といったグ を通して、途 (www.worldbank.org/montrealprotocol) ローバルな開発課題が及ぼす影響を特定すること 上国が生物多様性、土壌劣化、オゾン層破壊、難分 で、農業の生産性を高めることを目指しています(囲 解性有機汚染物質、および気候変動に関する国際環 み4.6、4.7、および www.worldbank.org/ruralstrategy 境協定上の義務を遂行できるよう支援しています。 参照)。 70 世界銀行 年次報告 2003 囲み4.6 農業科学技術の国際評価 することが期待されています。気候変動に対する防 衛手段を強化するために、世銀は適切な水力インフ 「持続可能な開発に関する世界サミット」において、 ラの構築と保守、政策改革の継続、および公的資金 世銀は9ヶ月に及ぶ協議プロセスを開始しました。これ と民間資金の動員に支援を行う予定です。また、水 は農業科学技術が飢餓の緩和、農村地域の暮らしの向 関連のインフラ・プロジェクトに支援を決定する際に 上、および環境に配慮した持続可能な経済成長の促進 は、そのプロジェクトが高い社会・環境基準を満たし に果たす役割に関し、幅広い関係者の意見を聞くのを ているかどうかだけでなく、迅速で一貫した意思決 目的としたものです(www.agassessment.org参照)。 定 を 行 う仕 組 み が あるかど うかも吟 味 され ます 協議には農民やその他の生産者、NGO、研究者、民間 (www.worldbank.org/water参照)。 セクター、政府、消費者、および世界各国の関係者が 世銀は国際農業研究協議グループ(CGIAR)にも 参加しています。このプロセスは2003年半ばまで続け 支援を行っています。2003年度は新たに3ヶ国(イス られる予定です。農業科学技術が飢餓の緩和や農村の ラエル、マレーシア、 と1つの民間財 およびモロッコ) 貧困削減に果たす役割について、関係者間で意見が交 団(シンジェンタ財団)がCGIARに参加し、CGIARの 換されたのち、すべての利害集団の代表が参加する運 パートナーシップはさらに強固なものとなりました。カ 営委員会が世銀に対し、国際評価の価値、こうした評価 ナダ、スペイン、米国などの主要メンバーもCGIARへ の理想的な範囲と評価の管理体制について助言を行う の支援を強化することを発表しています。CGIARは 予定です。 改革プログラムの一環として、CGIARでの研究の質 と適切性を確保することを目的とした科学委員会を 設置しました。また、微量栄養素の欠乏や水不足と 世銀は保護森林に対する世界最大の資金援助機 いった地球規模の重要課題に取り組むために、革新 関です。この重大な責任を果たすために、世銀はす 的なチャレンジ・プログラムを開始しました。 べての森林を対象とする、新しい森林戦略を構築し ました。新戦略は次の3つの分野に重点を置いてい ます。 社会開発 1. 森林が地域および地球環境に提供している重要 世銀のすべてのプロジェクトとプログラムに社会的 な働きと価値を保護すること。 持続可能性の原則を取り入れるために、世銀は開発 2. 森林の潜在能力を貧困削減に活かすこと。 アプローチと社会開発の統合を進めています。その 3. 森林を持続可能な経済開発に統合すること。 一環として、世銀は現状のプロジェクトを見直すと共 に、外部のパートナーと幅広い協議を進めています 新方針は途上国の森林地帯で現在8%を占める保 (www.worldbank.org/sdstrategy参照)。 護区域を拡大し、こうした危機的な状態にある森林 また 、世 銀 は 借 入 国 政 府 が 社 会 的 説 明 責 任 を の伐採を引き続き厳重に禁止することを定めていま 持って、予算管理、公共サービス、貧困削減戦略の す。保護区域以外の森林の開発を進めることで、貧 策定といった公共プログラムに取り組むことを支援 しい人々の生活を向上させることも可能です。今回 しています。市民参加の環境が整っているかどうか の見直しにより、方針の対象が熱帯雨林だけでなく、 を評価するための枠組みと手段も開発され、試行が 「危機的ではな すべての森林に拡大されたことで、 始まりました( www.wor ldbank.org/par ticipation い」とされている森林で行われる持続可能な伐採事 参照)。 業を支援することが可能となりました。ただし、世銀 地域社会主導型開発に対する世銀の融資は約20 の支援の対象となるのは、独立の認証基準を満たし 億ドルを維持しています。現在は地方政府と地域社 ているプロジェクトのみです。 会組織のパートナーシップに重点が置かれています。 農業と農村開発にとって、真水へのアクセスは必 世銀は地域社会主導型開発の効果向上や、その他 須条件です。世銀の新しい水資源戦略は、インフラ の分野(地方分権化、紛争、社会的資本、コミュニ 開発に水資源管理を含めることで、2015年までに貧 テ との関連性分析にも取り組んでいます ィ財団など) 困を半減するというミレニアム開発目標の達成に寄与 (www.worldbank.org/cdd参照)。 第4章 テーマ別展望 71 世銀は社会分析の重要性を認識しており、社会 org/psia参照)。 分析をプロジェクトや政策に適用するための指針作 「紛争後復興支援基金」は紛争の影響を受けてい りに 取り組 んで いま す( w w w. w o r l d b a n k . o r g / る国、特に弱い立場の低所得国への支援も続けられ socialanalysisisourcebook参照)。また、貧困・社会影 ており、2003年度は910万ドル以上のグラントを承認 響分析(PSIA)を利用して、政策改革が個別の社会 しました。世銀は紛争と天然資源管理の関連性分析 集団に及ぼす影響を分析しています。その一環とし にも取り組んでいます( www.worldbank.org/conflict て、世銀は初の「貧困と社会的影響の分析に関する 参照)。 ユーザーガイド」を発行しました( www.worldbank. 72 世界銀行 年次報告 2003 民間セクター開発とインフラ支援 世銀の「民間セクター開発・インフラ・ネットワーク」 の任務は、民間イニシアティブを貧困削減に活用し、 貧困国のインフラ整備を支援することです。2003年 度は民間セクター開発・インフラ担当副総裁の職が 廃止され、新たに2人の副総裁制となりました。その 1つである「インフラ担当副総裁」が世銀のインフラ部 門とインフラ関連のグローバル・プログラムを統括 し、2003年5月から独立したネットワークとして活動を 開始しました。もう1つの「民間セクター担当副総裁」 も同時に業務を開始し、民間セクター開発、投資環 境問題、およびIFCの長期戦略の面で、世銀とIFCの 戦略的統合を統括しています。ただし、本章の内容 は主に両副総裁とそのネットワークがまだ1つのネッ トワークとして活動していた時期を対象としています。 カンボジアの道路建設の様子。 民間イニシアティブの活用 準援助に関するグローバル・パートナーシップ」が設 2002年度に承認された世銀グループの民間セク 置されました(図4.1参照)。パートナーシップの初期 ター開発戦略では、途上国の成長を促進し、貧困を 資金は世銀と英国海外援助庁から提供されました。 削減するために民間イニシアティブが大きな役割を 世銀、IFC、およびMIGAの融資を効果的に組み合 担っているとされています。2003年度には企業を対 わ せ 、相 乗 効 果 を 引き出 す 試 みも進 んで います。 象に22件の投資環境分析調査が実施され、企業の 2002年6月に承認されたタジキスタンの「パミール民 生産性向上と収益改善の阻害要因が特定されまし 間電力プロジェクト」はそのよい例です。このプロ た。このほか、個別国のビジネス環境を詳細に分析 ジェクトは電力サービスの価格上の懸念を解消する した7つの国別投資環境分析報告書も作成されまし ために、市場ルールに基づいたIFCの融資を民間セ 「事業環境分析プロジェク た。また、 ト」も始まりまし クターに投入しつつ、IDA資金をもとに貧困層に補助 た。これは専門家へのアンケートをもとに5つの指標 金を提供することを目指しています。IDAとMIGAの 群(契約の履行、金融市場、参入規制、労働法規、 間でも、共同保証プログラムを導入する動きが進ん を割り出し、130ヶ国 倒産) (うち55ヶ国はIDA国)の でいます。これは西アフリカ経済通貨同盟の適格国 投資環境を概観したものです。世銀グループは2003 が実施する中小規模のインフラ・民営化プロジェクト 「外国投資助言サービス」 年度においても、 などを通 に民間資本を誘致することを目的としたものです。 して、加盟国に投資環境の整備に関する助言を提供 世銀グループは、特にIFCを通して中小企業への しました。 支援を拡大しています。また、企業単位の資金援助 世銀の民間セクター開発戦略は、成果基準援助 や助言を、中間業者の育成や中小企業のための事業 を取り入れたパイロッ (OBA) ト・プログラムを実施し、 開発サービス市場の創造につなげることも課題の1 基本的サービス(インフラ、保健・医療、教育など) つとなっています。 の民営化を促進することを提案しています。2003年 度は幅広いセクターと地域を対象に、25件のパイ ロット・プロジェクトが実施されました。こうしたプロ ジェクトを支援するものとして、2003年には「成果基 第4章 テーマ別展望 73 インフラ 給水・衛生 ミレニアム開発目標(MDG)の登場を機に、給水・ 非効率で不十分なインフラが成長促進と貧困削減 衛生は世界の貧困削減アジェンダの中心を占めるよ の大きな障害になっているという認識に基づいて、 うになりました。世銀は2003年度もさまざまな国際会 2003年度はインフラ分野に大規模な投資が行われま 合に積極的に参加し、国際的な水アジェンダの形成 した。貧困削減を効果的に進めるためには、水・衛 を支援しました。メキシコのモンテレーで開催され 生セクターへの公的・民間投資を大幅に増額する必 た「開発資金国際会議」、ヨハネスブルグで開催され 要があります。また、世銀は引き続き、水・衛生サー た「持続可能な開発に関する世界サミット」、日本で開 ビス分野の法律・規制環境の整備に取り組んでいる 催された「第3回世界水フォーラム」、およびフランス 借入国を支援しました(アルメニア、ヨルダン、ナイ のエビアン・レ・バンで開催された「G8首脳会議」は ジェリア、スリランカ、セントルシアなど)。 その代表的なものです。ミシェル・カムドシュが議長 世銀はどのインフラ・プロジェクトにおいても、適 をつとめた「水施設への資金調達に関する世界パネ 切な規制フレームワークの導入に重点を置いていま ル」の報告書は、水セクターのあらゆる側面(水資源、 す。複数のセクターを1つの規制フレームワークで管 サービス提供、および貧困をターゲットとした広範な 理することが適切でない場合もあるにせよ、水、衛生、 介入)で行動が求められていることを強調し、国際社 電力、ガス、情報通信技術(ICT)、および運輸といっ 会が取り組みを加速することを呼びかけるものでし た公共サービスを民営化する場合、法律・規制の面 た。世銀の新規プロジェクトの質と既存プロジェクト では多分に共通する問題が発生します。銀行制度や の成果は大幅に向上しました。しかし、給水・衛生 企業活動と同様に、適切で、透明で、予測可能な運 分野に対するIBRD/IDAの年間融資承認総額はここ 営を実現するためには、明確な法律・規制フレーム 数年減少傾向にあり、1994〜1997年度の17億ドルか ワークの整備は欠かせません(本章の「法制度の整 ら、2002年度は4億9300万ドルに落ち込みました。 備」参照)。 2003年度の承認額は13億ドルに上昇し、今後3年間 は上昇傾向が続くと予測されています。 給水・衛生関連のプログラムは、社会的保護、保 健・医療と教育、農村開発、都市運営、スラムの改 図4.1 途上国への長期資金流入額(純額) 善をはじめ、世銀のさまざまなプロジェクトで大きな 1993–2002年度 割合を占めるようになっています。国別の水プロジェ (単位:10億ドル) ク 「包括的な開発」 トでは、 という時代の流れに沿い、 200 水利用のあらゆる側面で借入国やパートナーとの連 携が重視されるようになっています。研究調査活動 150 においては、衛生と衛生学、給水・衛生の国別プロ グラムへの統合、セクター改革、および新しい融資手 100 段(成果基準援助、地方政府による資金調達、リスク に重点が置かれま 軽減措置など) した。 50 エネルギー 0 2003年度には、貧困世帯に現代的な電力サービス を供給し、経済成長と強固な財政の基盤となる、効 –50 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001a 2002b 率的で安定したエネルギー・セクターの実現を目指 す戦略が実行され、ひとまずの成功を収めました。 政府開発援助  外国からの直接投資  資本市場  2003年度に承認されたアフリカ地域に対する融資プ ロジェクトの約40%には、アクセスの拡大に関するプ a.  速報値。長期資金流入額 (純額)は1年を超える債務の純発生額、 あるいは債務の当 初の満期が1年を超える ものと定義されている。  「ウガンダ農村変革のた ログラムが含まれています。 b. 推定値  出典:世銀、 2003年、 「世界開発金融2003」、 ワシントンDC。  めのエネルギー・プロジェクト」およびタンザニアの 「ソンゴソンゴ・ガス開発プロジェクト」の村落電化計 74 世界銀行 年次報告 2003 画はその一例です。バングラデシュとフィリピンは 首都のカブールやその他の地域では通信サービスが IBRDの援助をもとに、再生可能エネルギーの供給を 急速に普及しました。世銀は急速なサービス拡大を 含む積極的な農村電化プロジェクトに着手しました。 支える規制・法的基盤の整備を支援しています。世 東 ヨーロッパ など の プ ロジェクトで は 、エ ネル 銀はアフガン復興信託基金の下で投資支援も管理し ギー・セクターの準財政赤字を大幅に削減すること ています。今年承認されたサモアのプロジェクトは、 が、融資を行う際の重要な条件となっています。た 「持たざる側」 通信サービスの拡大と改革を通して、 とえば、ブルガリアとルーマニアの構造調整融資に にいるサモアの人々にアクセスを提供することを目指 はエネルギー関連の主要な条件が盛り込まれていま しています。 す。中国においては、世銀は法的フレームワークの GICTは、ICTを利用して途上国の生活改善を目指 改革を通して、電力・ガス産業を再編し、健全な規 すためにドナーの拠出金をグラントとして供与する 制制度を導入するための大規模なプロジェクトを支 イニシアティブ「InfoDev」の管理も行っています。 援しています。 現在InfoDevは約40件のパイロット・プロジェクトと 再生可能エネルギーや温室ガス削減に関するプロ I C T 開 発 の た め の 技 術 支 援 活 動 を 行 って います。 ジェクトも承認され、多数の国で実施されています。 今年、InfoDevは途上国における中小ICT企業の起業 コロンビアの「ジェピラチ炭素削減プロジェクト」は、 と成長を促進するイニシアティブを開始し、その一環 風力を用いて19.5メガワットの電力を生産することを としてインキュベーター・ネットワークの構築に着手し 目指しています。ラトビアの「リエパヤ地域・都市固 ました。 形廃棄物管理プロジェクト」は、エネルギー・セルを 利用して生物分解の容易なごみの処理を促進し、埋 運輸 立地ガスを発電に利用することを目指しています。 運輸はどのMDGsを達成するためにも欠かすこと 2003年度は借入国のエネルギー・インフラや関連 のできない重要な仲介役を果たします。2003年度、 サービスの開発に対して、合計14件、総額10億ドル 運輸セクターに対する融資は27億ドルに上昇しまし の融資が承認されました。プロジェクト融資のほか た(本章の「貧困削減と経済運営」セクションの「運輸 にも、世銀はエネルギー・セクターに関する幅広い分 と貿易」を参照)。 析・政策活動も支援しており、2003年度は総額250万 運輸と保健・医療の両セクターに密接なつながり ドルがこの分野に投じられました。 があることも理解されるようになりました。この2つの セクターに関わっている世銀職員は、世界保健機関 デジタルディバイドの克服支援 (WHO) 「道路交通死傷防 の担当者と密接に連携し、 世銀とIFCの合同部局である「グローバル情報通 止に関する世界報告」の作成に取り組んでいます。 信技術(GICT)局」は、情報通信技術を利用して、開 この報告書は2004年4月7日の世界健康デーに発表さ 発プロジェクトの効果を最大限に高めることを目指し れることになっています。世界健康デーは、特定の ています。2003年度、GICTの政策部門は世界中で テーマを選んで毎年開催され、2004年のテーマは グラント・プロジェクトに取り組んだほか、2件の融資 「安全な道路」の予定です。 プロジェクトにも参加しました。 「道路交通死傷防止に関する世界報告」は、世銀 今年承認された3つのプロジェクトは、成果基準援 とWHOのどちらにとっても重要な報告書となります。 助の手法を用いて、後発開発途上国の貧困地域や 報告書は道路交通事故が公衆衛生と開発を脅かす 農村部に通信サービスを供給することを目指していま 大きな要因でありながら、しかるべき注目を得てい す。過去の経験から、電話がなかった地域でサービ ないこと、効果的で持続可能な防止策に協調的に取 スが始まると、公共サービスの提供状況が改善され、 り組む必要があることを強く訴えるものになる予定 中小企業が活性化し、所得が向上することが分かっ です。2020年には、途上国住民が生涯にわたる障害 ています。 をこうむる要因の9位から3位に道路交通事故が浮上 世銀のアプローチは複雑な環境にも、経済規模の すると予測されています。交通事故はそれでなくて 小さな国にも適用することができます。アフガニスタ も過度の負担を強いられている途上国の医療施設に ンでは2つ目の移動体通信企業が営業許可を得たこ さらなる負担をかけるものです。また、道路事故から とにより、このセクターに多額の外国直接投資が入り、 最もダメージを受けるのは社会の貧困層だと考えら 第4章 テーマ別展望 75 れています。家族の誰かが入院したり、障害が残っ 囲み4.7 都市・農村部における融資 たりしたために、家族全体が貧困に陥る例はめずら しくありません。これは家族の中に仕事を持つ者が 途上国では都市化によって、人口の大規模な移動が いて、地域の水準に照らして妥当な収入を得ている 起こり、定住の規模と性質が変化しています。政治・財 場合でも同様です。 政面での分権化が進みつつあることも、地方政府機能 の重要性を高める1つの原因となっています。世銀は融 資情報を地方レベルで分析・蓄積することが重要だと 都市開発 考えています。 2003年度、世銀の農村・都市開発局は今年度に承 2003年度は15件の都市開発関連プロジェクトが理 認されたすべての融資プロジェクトを農村と都市とい 事会に提出されました。各プロジェクトのテーマは う視 点 から 詳 細 に 分 析・評 価しました 。その 結 果 、 メキシコの国家事業のように従来型の問題(都市整 IBRD/IDAの融資承認額の約40%が農村部に、約30% を扱ったものから、 備など) サンクト・ペテルブルグの が都市部に対するものであることが分かりました。投資 経済開発、ジブチの社会開発、イランの災害管理、 融資と構造調整融資の合計では、約30%が農村部ある モロッコの資産管理、レバノンの文化開発、ウルグア いは都市部に間接的な影響を与えていました。都市融 イの構造調整まで多岐にわたっています。2003年度 資と農村融資の比率は、地域によっても差が見られまし の都市開発関連融資の総額は16億ドルでした(囲み た。人口動学や貧困発生率、あるいは国別の貧困削減 4.7参照)。 戦略アプローチとの整合性を高めるためには、地域内 このほかにも、世銀はリマとラゴスの政府と共に、 のバランスにさらに注意を払う必要があります。現在、 都市貧困に関する分析調査と戦略立案を進めていま 農村局と都市開発局は世銀のすべての融資プロジェク す。また、バルト諸国とバルカン諸国では25の町や トを対象に、農村・都市比率の分析を進めています。 都市がパイロット・ケースとなり、地方経済開発戦略 の作成に取り組んでいます。こうした参加型の戦略 は、地方都市の投資環境を改善し、地域経済を強化 (ProVention Consortium)」を通して、民間・公共セク するための施策を公共・民間セクターが特定し、優 ターやシビルソサエティのパートナーと共に、災害の 先順位を割り振る一助となっています。また、世銀 影響を軽減し、持続可能な開発を促進するための実 は地方インフラへの投資を促進するために、IFCと共 際的な学習プログラムの構築を進めています。 に地方政府に融資や保証を提供する新しいパイロッ ト・プログラムの構築を進めています。 世銀の都市開発グループとグローバルHIV/エイ 資金調達と保証 ズ・ユニットは、地方政府のエイズ対策を支援するイ ニシアティブの立ち上げを共同で進めています。こ ここ数年の世界不況により、民間セクターではフロ れはエイズが都市部の所得向上と公共サービスの提 ンティア市場への投資を忌避する傾向が強まってい 供において深刻な阻害要因となっていることをふま ます。ソブリンリスクの影響を受ける基本インフラ・ えたものです。 プロジェクトに新規投資を誘致するためには保証が 重要となります。世銀はこの1年を通して数多くの革 新的な保証手法を導入してきました。現在、世銀の 災害対策ファシリティ 保証はプロジェクトの規制リスクを低減し、国有企業 の民営化を促進するために行われています。こうし 貧しい人々にとって自然災害は主要なリスク要因 た保証は中小規模のインフラ・プロジェクトを対象と 「災害対策ファシリテ の1つです。 ィ」は技術支援、政 する保証ファシリティからも提供されています。また、 策ガイダンス、知識創出、およびキャパシティ・ビル 成果基準援助の手法を取り入れ、現地通貨による融 ディングの中心的存在として、世銀やパートナーのプ 資を可能にすることで、為替リスクの緩和を実現す ロジェクトに伴う災害関連リスクの低減に貢献してい る保証構造も開発されつつあります。現在、世銀は ます。災害対策ファシリティは「防災コンソーシアム 水、石油、ガス、および運輸セクターの多数のプロ 76 世界銀行 年次報告 2003 ジェクトを保証しています。 織(銀行、信用金庫、ネッ とパー トワークなど) トナー 2003年度、IDAはベトナムの「フーミー第2火力発 シップを構築し、貯蓄、保険、送金、信用といった多 電所第2期プロジェクト」に部分リスク保証(7500万ド 彩な金融サービスを提供しています。 を提供しました。これにより投資コス ル) トの一部が 2003年度のCGAPの主な活動の1つは、ドナーによ 民間セクターに移管され、政府の財政負担が軽減さ るピア・レビューの開始です。これは援助の有効性 れました。IDAの保証はベトナムにとって、民間資本 を高めることを目的としたもので、主要な開発機関が の呼び水になると期待されています。また、2003年 提供する小口融資関連の政策や業務が評価の対象 度には2001年度に理事会が承認したロシア石炭・森 となりました。2003年には10の国際機関がピア・レ 林セクター保証ファシリティもスタートしました。 ビューを実施し、その一部はレビューの結果を基に 政策や業務を大幅に見直しました。また、CGAPは 一部のドナーの要望に応えて、有望な小口融資機関 小口融資による貧困削減 を対象とした審査・モニタリングサービスを開始しま した。 世銀に設置されている「最も貧しい層を支援する 2001年に設置された「小口融資ゲートウェイ」は、 協議グループ(CGAP)」は、30のドナーで構成された インターネットにおける小口融資関連の最も包括的な 多国間組織です。CGAPの目的は貧しい人々を対象 情報源となっており、毎月の利用者は1万1000人、 とした金融システムを構築することです。小口融資を ヒット数は約40万件にのぼっています。 拡大する取り組みの一環として、CGAPは幅広い組 第4章 テーマ別展望 77 健全な金融システムの構築 世銀は長年にわたり、国家が貧困削減と経済成長 を達成するためには、有効で健全な金融システムが 不可欠だと考えてきました。確固とした開発計画を 持たず、透明性に欠け、適切な規制の存在しない金 融システムは、金融危機の影響を受けやすいだけで なく、容易に疲弊する傾向があります。世銀の広範 な調査の結果、こうしたショックや危機の影響は貧し い人々に集中する傾向があることが分かりました。ま た、途上国では金融システムが脆弱なため、経済成 長 の 担 い 手となる 個 人 や 中 小 企 業 が 資 本 や 金 融 サービスを十分に利用することができず、貧困をさら に悪化させてしまっています。世銀はこうした金融セ クターの優先課題に3つの方法(知識の普及、融資と 技術支援、およびパートナーシップ)で取り組んでい ます。 2002年、 アフガニスタンの両替市場にて。世銀は代替的送金システ ム(IFTs)に関する研究を行いました。 知識:研究、学習、および普及 なる専門チーム「金融セクター知識・情報サービス」 は、世銀の職員、借入国の専門家、およびNGOが金 世銀は外部の組織と協力して、金融セクターに関 融セクターについての情報を照会・収集する際の情 する最先端の研究を行い、現場の開発実践者や政府 報拠点となっています。 の政策決定者を支援しています。研究成果(報告書 また、世界銀行研究所(WBI)が実施している「金 とデータ)の大半は世銀のウェブサイトからダウン 融セクター学習プログラム」は、政策対話と参加者に ロードすることが可能です( www.wor ldbank.org/ よる協調的な問題解決に重点を置いた学習プログ finance)。 ラムです。具体的には、会議、地域・国際レベルの 2003年度においては、世銀は新たに浮上しつつあ ワークショップ、テレビ会議やインターネットを利用し る問題、つまり電子金融と電子セキュリティの分析に た遠隔研修といった形で実施されています。このプ 取り組みました。金融インフラの要になりつつある電 ログラムは実践的な学習と最新の情報ツールを活用 子金融は、金融取引や商取引のコストを削減するま した好例であり、世銀とIMFの合同報告書「国債市 たとない機会とになります。しかしその一方で、セ 場の構築:ハンドブック」のフォローアップとして、国 キュリティの面ではこれまでにない電子的なリスクを 債市場の構築を担当する政府高官と国債市場の運 抱えています。電子金融やそれに付随する業務リス 営を担う民間の関係者を対象に、各地で実践セミ クを管理するためには、金融セクターの情報技術イン ナー・シリーズを開催しています。地域ワークショッ フラを厳密に設計することがこれまで以上に求めら プはこれまでブラジル、中国、チュニジア、およびト れます。世銀の論文「Eセキュリティ:金融取引にお ルコで開催され、金融システムの構築を担う借入国 けるリスク緩和」ではこの問題が詳細に取り上げられ 政府の担当者に研究の成果や政策助言を提供しまし ており、ほかの有益な文書と共に www.worldbank. た(詳細はwww.worldbank.org/wbi/banking参照)。 org/finance で公開されています(「 E-Security 」をク リック)。 世銀はさまざまな手段を使って、研究成果と知識 の普及につとめています。たとえば、アナリストから 78 世界銀行 年次報告 2003 融資と技術支援 現在、世界レベルで懸念が高まっているマネーロ ンダリングとテロ資金供与は、世銀にとっても重大な 問題です。特に途上国のように金融システムがもろ い国では、こうした問題が経済や社会に及ぼす影響 は破壊的なものになるからです。こうした事態を避け るために、世銀はこの分野の活動を強化し、借入国 の制度能力の構築を支援する強力で体系的なプロ グラムを構築しました。2001年9月の同時多発テロ以 降、世銀とIMFは40ヶ国、12地域において、52件の 技術支援プログラムを完了、開始、あるいは承認し ました。こうした国別技術支援プロジェクトの半数以 上に、法案の作成に関する助言あるいは援助が含ま れています。この中には少数ですが、テロ資金供与 の防止を目的とした法律もあり、その割合は徐々に 金融インフラの整備により、アフリカでは銀行サービスがより身近な 増えています。さらに、世銀はIMFと共に「マネーロ ものとなりました。 ンダリング防止/テロ資金対策(AML/CFT)のため のグローバル援助調整データベース」を構築しました。 から1440万ドルの融資を受けています(プロジェクト このデータベースには、各国がAML/CFT制度を導入 の総コストは約2200万ドル)。世銀は国・地域レベル するために必要としている技術支援ニーズと実際の の決済インフラを効率化し、個人や中小企業が利用 提供状況がまとめられており、技術支援サービスの することのできる決済手段やサービスを増やすこと 現状に関する包括的な情報センターとして、国際機 で、中央アフリカ諸国(または同様のプロジェクトが 関の情報交換に貢献しています。この取り組みを補 進行中のすべての地域)における金融サービスの利 完するものとして、世銀とIMFは2002年9月に両機関 用状況を改善しています。 の理事会が合意した手法を用いて、AML/CFT制度 の導入状況を審査するプログラムを試験的に開始し ました。 「金融セクター審査プログラム (FSAP)」には 金融セクターに関する政策助言 この審査手法が試験的に盛り込まれる予定です。 世銀の借入国の多くは金融サービスへのアクセス 金融セクターに関する政策助言を行う際には、他 を持っておらず、これはきわめて重大な問題です。カ 機関とのパートナーシップが不可欠です。1999年に メルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ共和 設置された「世銀・IMF合同金融セクター審査プログ 国 、赤 道 ギ ニア、および ガボンで は 、銀 行 や 決 済 (FSAP) ラム 」は、金融システムの健全性と脆弱性を サービスを毎日利用することのできる住民は総人口 特定し、潜在リスクを低減する一助となっています。 (6ヶ国で3000万人以上)の3%にも達しません(先進 2003年度は20件のFSAPが実施されました。2003年 国では90%以上が利用可)。決済サービスについて 度は技術支援業務のフォローアップに重点が置かれ いえば、上記の中央アフリカ諸国では銀行間取引の ました。世銀は複数のドナーと共に、技術支援の 住民一人当たりの年間平均件数は0.05を下回ってい フォローアップを行う新しい仕組みとして「金融セク ます。これに対し、西アフリカ諸国では約0.10、チュ ター改革強化イニシアティブ(FIRST)」を立ち上げま ニジアでは3.0、ヨーロッパでは200.0に達します。 した(囲み4.8参照)。 こう (上 した問題に対処するために、世銀はBEAC 国際機関やバーゼル委員会、証券監督者国際機 と共に、大 述した中央アフリカ諸国の地域中央銀行) 構、保険監督者国際機構 といった標準策定機 (IAIS) 規模な決済インフラ改革の枠組み作りに取り組みま 関との連携も引き続き密なものとなりました。借入国 した。世銀はあらゆる関係者を巻き込んだ参加型の の中間監督者に対する研修というIAISからの直接の プロジェクトを支援しました。このプロジェクトはIDA 要請を受け、世銀の保険専門家はテレビ会議、イン 第4章 テーマ別展望 79 囲み4.8 金融セクター改革強化イニシアティブ(FIRST) 基準・規定遵守報告書(ROSC)で指摘された問題点の ■ 2002年12月にロシアで開催されたマネーロンダリング 解決を支援することです。FIRSTは5300万ドルの資金を有 防止・テロ資金対策(AML/CFT)に関する地域ワーク する世界基金であり、世銀、IMF、カナダ、オランダ、ス ショップでは、AML/CFT制度を構築するための具体的 ウェーデン、スイス、および英国によって設立されました。 な情報やベストプラクティスが提供されました。 FIRSTは技術支援とキャパシティ・ビルディングを低・中所 ■ 西アフリカ通貨機関に対し、西アフリカ通貨圏に共 得国に提供すると共に、国際ドナー・コミュニティが金融セ 通の銀行監督局を設立する方法を助言しました。 クターで協調・共同融資を行うためのフレームワークを提 供しています。下記は2003年度の活動の一部です。 ターネット、ビデオ、およびチャットを利用して、この2 います。国際標準を学び、スキルを身につける機会 年間で23ヶ国250人の監督者に研修を行いました。 を借入国の監督者に提供することは、借入国の金融 研修ではリスク・ベースの監督技法、早期警戒制度 セクター強化につながります。 の利用、規制手段といったテーマが取り上げられて 80 世界銀行 年次報告 2003 法制度の整備 強力で効果的な開発には、健全な法律・司法シス は開発の構造的、制度的側面の中でも、世銀が比較 テムの整備が不可欠です。しかし、世銀の借入国の 優位を持つ分野となっています。法律・司法セクター 多くは依然として、立法プロセス、法執行、および契 での世銀の活動は、借入国の投資環境の改善に役 約の履行の面で、予測可能で透明とはいえない状況 立っています(www.worldbank.org/legal参照)。 にあります。 予測可能性、透明性、有効性、および司法機関の 世銀の重要な任務の一つは、借入国の貧困削減 定めた法手続原則の遵守は、どれも安定した投資環 戦略(PRSP)や国別援助戦略(CAS)に従って、法 境の構築には欠かせないものです。2003年度、世銀 律・司法関連の分析調査や援助を行い、ミレニアム開 は判事を対象とした研修を実施しました。エクアド 発目標の達成を促進することです。世銀は公共・民 ルとスリランカの研修では商法、クロアチアの研修で 間セクターのパートナーと協力しながら、体系的で一 は破産、エルサルバドルとモンゴルの研修では効果 貫したアプローチのもとで、積極的かつ戦略的に法 的で効率的な裁判所運営が取り上げられました。世 律・司法改革に取り組んでいます( www.worldbank. 銀はアルバニアとスリランカの商業調停のような代替 org/legal参照)。 紛争解決手段の推進にも取り組んでいます。 法律・司法セクターにおける世銀の活動の一つに、 世銀は判事にとどまらず、さまざまな法執行機関、 国やセクターの現状分析があります。ここには立法制 司法改革委員会、弁護士連盟、司法教育機関、シビ 度や関連制度の分析も含まれます。世銀は現状分析 報告書の作成、政策改革に対する助言、借入国の政 策文書や法案のレビュー、公共セクター組織のキャ パシティ・ビルディングなどを通して、契約上の義務 囲み4.9 法律・司法・開発に関する全アフリカ会議 の履行、法律/規制の執行を促進しています(囲み 2003年2月4〜7日 4.9参照)。 2003年度は投資環境と金融、環境保全、ジェン 2000年半ば、法治と司法の促進を通してアフリカ ダーの平等の促進(囲み4.10参照)、 (74頁参 インフラ の持続可能な開発を促進するために、アフリカの法学 照)、および貿易(62頁参照)の法的側面に重点が置 者たちが同盟を結成しました。ナイジェリアの最高裁 かれました。 判事のリーダーシップのもとで、この同盟は2003年2 月にナイジェリアのアブジャで「法律・司法・開発に関 する全アフリカ会議」を開催しました。会議の開催に 投資環境と金融 あたっては、世銀と二国間ドナー(フランス、ドイツ、 イタリア、ナイジェリア、英国、アフリカ開発銀行、国 世銀は法律・司法改革と金融システムの強化を支 際フランス語圏機関など)が支援を行いました。熱気 援することで、投資・金融環境の改善に積極的に取 に満ちた会場では、英語・フランス語圏の41ヶ国から り組んでいます。 集まった高官レベルの代表者たちがそれぞれの懸念 投資環境改善の第1歩となるのは現状分析です。 を自由に表明し、法律、司法、開発に関する経験を共 各地域局が作成した国別の投資環境評価は、法律ア 有しました。会議に集まった大勢の主席判事、裁判官、 ドバイザーによって審査されます。その後、アドバイ 法務大臣、司法長官、財務大臣、法曹界や学会の代 ザーは優先項目の設定、主流化、および必要な法 表者、そして人権活動家や民間の法律関係者は、自分 律・司法改革の実行の側面から、担当チームと各国 たちの直面している問題は使用言語や法律の種類で の対話を支援します。 分断されるものではなく、全アフリカが成功と失敗の この1年で、世銀はこれまでよりも効果的に法律・ 教訓を共有することがきわめて重要であることを確認 司法制度の弱点を分析し、法制度の整備により貢献 しました。 できるようになりました。この結果、法律・司法改革 第4章 テーマ別展望 81 囲み4.10 ジェンダーと法律 世銀は開発の進捗を阻んでいるジェンダーの格差や 不平等の問題に取り組むと同時に、ジェンダーと開発 に関する借入国の目標設定と実施を支援しています。 世銀のジェンダー主流化戦略は、借入国がジェン ダー評価を実施することを求めています。この評価で はジェンダー・開発関連の目標を推進する法律・規制 「女子に対するあらゆる形態 フレームワークがあるか、 の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」など の国際条約に加盟しているか、ジェンダーの平等を促 進し、女性差別を撤廃するための国家計画があるかな 「全アフリカ会議」の個別会合で発言するケニア控訴裁判所のエフィー・ どが分析されます。 オウール判事。写真はナイジェリアのカメラマンによるもの。 2003年3月、世銀は「第5回ジェンダーと法律に関す る年次会議」を開催しました。今回のテーマは「法律、 ンダリング対策を支援すると共に、マネーロンダリン 制度、およびジェンダーの平等」でした。会議では国連 グやテロを防止するための法律・規制環境の審査に の「女性に対する暴力に関する特別報告者」が、女性 精力的に取り組んでいます。 に対する暴力の原因を分析した研究結果と、暴力の経 債務超過や債権者の権利の分野で基準の確立が 済・社会的コストについて発表を行いました。会議で 求められていることを受けて、世銀はアフリカ開発銀 は多様な法律(慣習法、宗教法、制定法)、公民権と女 行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行、米州開発 性の国家や労働市場との関係、ジェンダーに基づく暴 銀行、IFC、IMF、OECD、国連国際商取引法委員会、 力といったテーマが取り上げられました。会議にはブ INSOLインターナショナル(倒産実務家国際協会)、 ラジルとグアテマラの最高裁判事、女性に対する戦争 「債務超過と債権者の および国際法曹協会と共に、 犯罪を調査しているシエラレオネ特別法廷のメンバー、 権利に関する効果的なシステム構築のための原則と および国連人権高等弁務官事務所のメンバーも参加し ガイドライン」を作成しました。この原則は世銀が ました。 IMFと共同で作成している「基準・規定遵守報告書 (ROSC)」において、世銀が債務超過と債権者の権 利に関するシステムの評価を実施する際の基盤と ルソサエティ、およびマスコミにも支援を提供してい なっています。今日までに14件の債務超過ROSCが ます。司法改革についていえば、世銀の借入国の多 作成され、現在7件が作成中です。こうしたROSCは くは依然として透明な法的枠組みを確立していませ 世銀の分析調査や戦略立案を支え、政策対話や融 ん。しかし、こうした枠組みがなければ、適切な市場 資業務の根拠になると同時に、技術支援やキャパシ インセンティブが働くことも、安全な投資環境の条件 ティ・ビルディングを行う際のヒントとなっています(ア である救済制度が手の届くコストで提供されることも ルゼンチン、ボリビア、クロアチア、チェコ共和国、ス ありません。 ロバキア、トルコなど)。また、この原則は借入国が 正しく機能する金融システムがなければ、民間セ 法律改革の進捗状況を評価する際にも利用されてい クター主導の成長は不可能です。そして民間セク ます。これはコソボ、ポーランド、セルビアのように、 ター主導の成長は、貧困緩和の絶対条件にほかなり ROSCが作成されたことのない国でも同様です。世 ません。健全な金融システムは金融危機の予防や緩 銀が推進しているスロバキア共和国の金融セクター 和にも効果を発揮します。こうした金融危機は国々 強化プロジェクトでは、債務超過改革がプロジェクト に莫大なコスト負担を強い、貧困をさらに悪化させ の要となっています。 る可能性があります。世銀は金融システムの改革や、 また、世銀はIMF、国際決済銀行、および主要な 個々の金融機関、市場の強化も後押ししています。 専門家諮問委員会と共に、金融機関の債務超過に その一環として、世銀は他の国際組織と共に、それ 関する原則作りにも取り組んでいます。 ぞれの使命や比較優位に応じて、借入国のマネーロ 2003年1月、世銀は「債務超過リスク管理に関する 82 世界銀行 年次報告 2003 を開催し、 国際会議」 今後10年に求められる基準と戦 極的に参加する一助となっています。 略を議論しま (www.worldbank.org/firm参照) した 。 こ 研究論文シリーズ「法律、司法、および開発」では、 の会議の大きな目的の1つは、途上国の投資制度の信 新たに「環境影響評価の法律・規制フレームワーク」 頼性を高めるためには、制度・規制のキャパシティ・ビ 「南アジアの国際河川における紛争と協調」などが ルディングをどのように進めるべきかを議論することでし 発表されました。国民参加、土地の所有権、および た。会議の結果、債務超過規制機関協会と連携して、 京都議定書の柔軟なメカニズムに関する法律論文も 立法者や政策決定者が参照できるような形で、規制慣 まもなく発表される予定です。 行と経験をまとめていくことが決定されました。また、 環境、社会、および法律に関する「10のセーフガー 世銀は2003年5月に開催された「債務超過に関する世 ド・ポリシー」は、世銀の日々の業務に欠かせないも 界判事会議」のスポンサーを務めました。この会合に のであり、持続可能な開発の原則をプロジェクトレ は約90ヶ国の判事が参加し、遠隔研修ツールや世銀 ベルで推進するための指針となっています( www. の「債務超過に関する世界の法律のデータベース」を worldbank.org/safeguards参照)。 使って、債務超過問題に関する知識を広める方法を議 持続可能な開発を達成するために、世銀はさまざ 論しま (www.worldbank.org/gild参照) した 。 まな政策の見直しを進めています。土地に関する政 策はその1つです。世銀の資金を土地の購入に利用 することは禁止されていますが、これは、この政策が 持続可能な開発 定められた当時、ほとんどの借入国の不動産市場が 深刻な歪みを抱えており、土地の購入には頻繁に法 2002年9月に開催された「持続可能な開発に関す 的不確実要素が伴ったためです。しかし、今では多 る世界サミット」では、持続可能な開発の達成に法律 くの国の土地市場がより安定した、信頼性の高いも が重要な役割を果たすことが確認されました。この1 のになっています。これをふまえ、世銀は2003年度 年、世銀は法律・制度改革やその他の法的措置(世 に大規模な土地改革モデル(特に貧困国を対象とし 銀が開発した温室ガスの国別削減率の購入プログラ たもの)の試行を開始しました。これまでにインドに を通して地球環境の保護に力を入れてきま ムなど) し おける土地プロジェクトが1件理事会で承認されてい た。また、ワークショップやフェローシップ・プログラ て、このプロジェクトはセクター横断的に設置された ムを実施し、途上国や移行経済国の法律面でのキャ 「地域社会土地購入委員会」が監督することになりま パシティ・ビルディングに取り組みました。こうした活 す。今後、マラウイのプロジェクトも理事会に提出さ 動は今後成長が見込まれる炭素市場に途上国が積 れる予定です。 第4章 テーマ別展望 83 第5章 一人当たり国内総生産(GDP)指標 1992–2002年 地域別展望 アフリカ地域  東アジア・大洋州地域  世界銀行の地域区分、現地事務所、 200 200 177 および融資適格国 86 150 150 100 105 100 アフリカ地域 88 100 100 東アジア・大洋州地域 94 50 50 0 0 南アジア地域 99 1992 2002 1992 2002 ヨーロッパ・中央アジア地域 104 南アジア地域  ヨーロッパ・中央アジア地域  ラテンアメリカ・カリブ海地域 109 200 200 141 中東・北アフリカ地域 114 150 150 100 106 100 100 100 50 50 0 0 1992 2002 1992 2002 ラテンアメリカ・カリブ海地域  中東・北アフリカ地域  200 200 150 150 109 108 100 100 100 100 この章の 「ファクト・シート」に示されているエイズ感染者 50 50 の数字は、世銀が定義する地域区分に基づいて、地域内 0 0 の国々の状況を示したものです。数字は2002年12月現 1992 2002 1992 2002 在のUNAIDSの推定値、およびヨーロッパ・中央アジア 地域については 「東ヨーロッパ・中央アジア地域におけ 「世界開発指標」 出典: データベース  るエイズ危機回避:地域支援戦略」 (ワシントンD.C. 世銀、 2003年)に基づいています。 世界銀行の地域区分、 現地事務所、および 融資適格国 現在、世界銀行は世界 100ヶ所以上に設置され た現地事務所を通して活 動しています。借入国に メキシコ メキシコ  事務所を開設することで、 ジャマイ ベリーズ ベリーズ  ジャマイ カ  カ  ハイチ  ハイチ  グアテマラ  ホンジュラス  グアテマラ  ホンジュラス  借入国に対する理解が深 (東アジア・ (東アジア・     エルサルバ エルサルバ ドル  ドル  ニカラグア  ニカラグア  コスタリカ  コスタリ パナマ  パナマ  カ  大洋州地域の一部) 大洋州地域の一部)    ベネズエラ・ボリバ ベネズエラ・ボリバ ル共和国  ル共和国  ガイアナ  ガイアナ  スリナム スリナム  ラテンアメリカ・ ラテンアメリカ・     まるだけでなく、借入国 カリブ海地域  カリブ海地域  コロンビア  コロンビア  エクア エクア ドル  ドル  2003年度 新規融資承認額  2003年度 新規融資承認額  との協力関係が密にな キリバス キリバス  IBRD:56億6780万 IBRD:56億6780万 ドル ドル  IDA:1億5270万 IDA:1億5270万 ドル ドル  サモア  サモア  プロジェ プロジェ ク クトのポー トのポー トフォ トフォリ オ: リ オ:  ペルー  ペルー  ブラジル  ブラジル  り、これまで以上に迅速 198億 198億ドル ドル  トンガ  トンガ  ボリビア ボリビア  フィジー フィジー  にサービスを提供するこ パラグアイ  パラグアイ  とができるようになって ドミニカ ドミニカ  共和国  共和国  ウルグアイ  ウルグアイ  アンティアンティグア・バーブーダ  チリ  グア・バーブーダ  チリ  います。世銀の貸付残高 この地図は世銀の地図設計部門が作成 この地図は世銀の地図設計部門が作成 セントク セン リス トク リス トファー・   トファー・   アルゼンチン  アルゼンチン  したものです。 したものです。    ネーヴィ ネーヴィ ス  ス  この地図に示されている国境、 この地図に示されている国境、 色、名称色、 名称 ドミ ドミ ニカ国  ニカ国  などの情報は、 などの情報は、 それぞれの地域の法的地 それぞれの地域の法的地 の4分の3はワシントンDC 位に対する世銀グループの意見や、 位に対する世銀グループの意見や、 た国境に対する支持あるいは承認を示す た国境に対する支持あるいは承認を示す こうし こうし セン トルシア  セントルシア  セン セントビンセン トビンセン トおよび  トおよび  ものではあり ものではありません。   ません。   グレナディーン諸島  グレナディーン諸島  グレナダ グレナダ  の本部ではなく、現地の ト ト リニダード・ リニダード・ トバゴ  トバゴ  ベネズエラ・ボリバル共和国  ベネズエラ・ボリバル共和国  国別担当局長が管理して IBRD融資のみの適格国  IBRD融資のみの適格国  います。現在は職員の約 IBRDとIDA融資の適格国 IBRDとIDA融資の適格国 (ブレン (ブレン ド国) ド国)    IDA融資のみの適格国  IDA融資のみの適格国  30%が現地事務所で活 融資が行われたこ 融資が行われたこ とのないIDA融資適格国  とのないIDA融資適格国  動しています。 世銀現地事務所  世銀現地事務所  国別担当局長が駐在する現地事務所  国別担当局長が駐在する現地事務所  IBRD 32613  中東・北アフリカ地域  ヨーロッパ・中央アジア地域  JULY 2003 2003年度 新規融資承認額  2003年度 新規融資承認額  IBRD:8億5560万 ドル  IBRD:20億8920万 ドル  IDA:2億40万ドル  IDA:5億8080万 ドル  プロジェ クトのポー トフォ リオ:  プロジェ クトのポー トフォ リオ:   48億ドル  151億ドル  エストニア  ロシア  ラトビア  ロシア連邦  連邦  リトアニア  ポーラン ド  ベラルーシ  ウクライナ  モルドバ  カザフスタン  モンゴル  ルーマニア  ブルガリア  グルジア  アゼルバイジャン  ウズベキスタン  キルギス共 アルメ ニア  トルクメニスタン  和国  トルコ  タジキスタン  シリア・アラブ イラン・イスラ 中国  大韓民国  チュニジア  レバノン  共和国  ム共和国  アフガニスタン  東アジア・大洋州地域  ヨルダン川西岸・ガザ地区  モロッコ  ヨルダン  イラク  アルジェリア  パキスタン  ネパール  ブータン  2003年度 新規融資承認額  エジプト・  IBRD:17億6710万 ドル  アラブ共和国  バングラデシュ  ラオス人 IDA:5億4370万 ドル  インド  ミャンマー  民民主 プロジェ クトのポー トフォ リオ:   共和国  カーボヴェルデ  モーリタニア  234億ドル  マリ  ニジェール    エリトリア  セネガル  チャド  イエメン共和国  タイ  ベトナム  ブルキナ スーダン  ガンビア  ファソ  カンボジア  ギニアビサウ  ナイジェリア  ジブチ  フィリピン  ギニア  ミクロネシア連邦  ベナン  マーシャル諸島  コート  ガーナ  スリランカ  シエラレオネ  ジボワール  エチオピア  中央アフリカ  リベリア  カメルーン  共和国  マレーシア  パラオ  トーゴ  ソマリア  赤道ギニア  ウガンダ  モルディブ  コンゴ ケニア  キリバス  サントメ・プリンシペ  ルワンダ  ガボン  コンゴ民主共和国  ブルンジ  セーシェル    ソロモン諸島  タンザニア  コモロ  インドネシア  パプアニューギニア  東ティモール  アンゴラ  マラウイ  ザンビア  バヌアツ  フィジー  ジンバブエ  モザンビーク  南アジア地域  マダガスカル  モーリシャス  ナミビア  ボツワナ  2003年度 新規融資承認額  IBRD:8億3600万 ドル  スワジランド  IDA:20億8270万 ドル  ポーランド  南アフリカ  レソト  プロジェ クトのポー トフォ リオ:  チェコ共和国  ウクライナ  178億ドル  スロバキア共和国  ハンガリー  スロベニア  アフリカ地域  クロアチア  ルーマニア  ボスニア・  セルビア・  2003年度 新規融資承認額  ヘルツェゴビナ  モンテネグロ  IBRD:1500万ドル  ブルガリア  IDA:37億2220万 ドル  アルバニア  マケドニア旧 プロジェ クトのポー トフォリ オ:  ユーゴスラビ 159億ドル  ア共和国  この地図には2002年度以降の次の変更が反映されています:東ティモールが IDA融資の適格国になりま   した。 世銀事務所および世銀融資適格国の一覧は第6章に掲載   しています。 第5章 地域別展望 87 世銀融資適格国 アンゴラ ウガンダ エチオピア エリトリア アフリカ地域 た。これは人口の増加率とほぼ一致しています。 ガーナ こうした課題に立ち向かうためには十分な資源 カーボヴェルデ アフリカ地域はさまざまな分野で進歩を続けて が必要であり、開発パートナーはその提供を約束 ガボン カメルーン おり、この10年で16ヶ国が平均4%以上の成長率 しています。2002年に開催されたモンテレー・サ ガンビア を達成しました。投資と貿易の動向も安定してい ミットの合意内容が実現するなら、政府開発援助 ギニア ギニアビサウ ます。2001年には外国直接投資の純額も68億ドル (ODA)は年間約120億ドル増える予定です。増加 ケニア に達しましたが、そのほとんどは石油輸出国と南 分の半分がアフリカに向けられた場合、ODA資金 コモロ コンゴ共和国 アフリカに対するものでした。アフリカ地域に対す は約50%増えることになり、1990年代初頭の水準 コンゴ民主共和国 る海外直接投資は世界のどの地域よりも高い収益 を取り戻すことになります。 サントメ・ 率を記録しました。労働者からの本国送金額もわ プリンシペ ザンビア ずか2年で倍増し、2002年には40億ドルに達しまし シエラレオネ た。現代的な情報技術へのアクセスは年間約10% 世銀の援助 ジンバブエ スーダン で拡大しており、特にインターネットの利用率は急 スワジラン ド 速に伸びています。空輸セクターも高成長を続け アフリカ地域に対する最大の開発援助機関であ セーシェル 赤道ギニア ており、利用者数は3180万人に達しました。2001 る世銀は、同地域におけるミレニアム開発目標 セネガル 年9月11日の同時多発テロ以前は、利用者数が毎 (MDGs)達成への歩みを加速することを目指してい ソマリア タンザニア 年9%のペースで伸びていました。非識字率は下 ます。この戦略目標は世銀の報告書「アフリカは21 チャド がり続けており、1990年の50%から2001年には 世紀に生き残れるか」の分析結果に基づいて策定 中央アフリカ 共和国 37%になりました。また、アフリカ大陸の指導者た (アフリカ開発のため されたものであり、NEPAD トーゴ ちはこの地域の主立った紛争の解決に取り組み、 の新パートナーシップ)に参加するアフリカ諸国の ナイジェリア 成果をあげました(アンゴラ、コンゴ民主共和国、 元首が掲げた目標とも一致しています。世銀は ナミビア ニジェール コンゴ共和国、およびシエラレオネ)。その他の国 NEPADの要請に応えて、アフリカ全土を対象とす ブルキナファソ でも平和的な政権交代が進んでいます(ガーナ、 る同イニシアティブの活動をさまざまな分野で支援 ブルンジ ベナン ケニア、マリ、 。 およびセネガル) することを約束しています。具体的な分野としては、 ボツワナ しかし、アフリカ地域は引き続き数多くの開発 インフラ、農業、地域貿易の円滑化、保健・医療、 マダガスカル マラウイ 課題に直面しています。人口の半数は1日1ドル未 栄養、人口、教育、地域社会主導の開発、および マリ 満で生活しており、安全な水を利用できない人々 資本移動があります。 南アフリカ モーリシャス も全人口の半数を占めています。貧しい農村地域 IBRDは2003年度に1件の新規プロジェクトを承 モーリタニア では初等学校就学年齢の女児のうち、実際に学校 認しました(融資承認額は1500万ドル)。IDAは60 モザンビーク に通っているのは約4人に1人にすぎません。主に 件のプロジェクトと10件の追加融資を承認し、新 リベリア ルワンダ HIV/エイズの流行により(アフリカの感染者数は約 規融資承認総額は37億ドルとなりました。IDA資源 レソト 3000万人)、保健・医療および栄養に関する指標 の50%をアフリカに向けるという目標が設定されて は悪化傾向にあります。政治的に不安定な国々で いるため、近年の上昇傾向は今後も数年にわたっ は、紛争が今も重い負担となっています。アフリカ て続く予定です。 地域の国内総生産(GDP)の伸びはわずか3%でし 88 世界銀行 年次報告 2003 アフリカ地域のファクト・シート 総人口:7億人 人口増加率:2.2% ガバナンスの強化と紛争の解決 平均寿命:46歳 乳幼児死亡率 :105 (出生1000件当たり) 世銀は紛争後復興に焦点をあてた業務政策を策定 若い女性の非識字率:27% 2002年の一人当たり国民総所得 :450ドル (GNI) し、この地域の紛争後諸国への援助を強化しました。 エイズ感染者数:2850万人 現在、アフリカ地域では紛争の影響を受けている 注:平均寿命、乳幼児死亡率 (出生1000件当たり)、および若い女性の非識字率は2001 国々を対象に95件のプロジェクトが進んでいます。コ 年の「世界開発指標」データベース、 その他の指標は2002年の同データベースの数字。 ンゴ民主共和国はIDAから初のグラント(5000万ドル) 現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得 (GNI)が使用されています。 を受け取り、経済の安定化とHIV/エイズなどの緊急 課題に取り組んでいます。世銀はアフリカの大湖地域 2003年度の 2003年度の を対象とした「動員解除・社会復帰のための複数ド 新規融資承認額 融資実行額 ナー信託基金」を管理しています。この基金はこの地 IBRD:1500万ドル IBRD:5480万ドル 域の武装解除、動員解除、および社会復帰を促進す IDA:37億2220万ドル IDA:32億2620万ドル るための包括的フレームワークとして設置されたもの 2003年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート です。 フォ リオ:159億ドル 世銀は天然資源収入の管理にも注意を払っていま (こう す した収入は紛争資金として利用されています)。 世銀は新たなイニシアティブを開始し、産品輸出(石 油とガス)収入の透明性を高めるような国際的な政策 措置を促すと共に、紛争の資金源となる違法取引収 入(ダイヤモンド、貴金属、木材)の削減を目指してい ます。 世銀は借入国が汚職問題を理解し、貧困緩和戦略 に汚職対策を組み入れることができるように、キャパ シティ・ビルディング、ガバナンス強化、および公的セ クター管理に関する活動を強化しました。この戦略に ついては「公的機関の改革とガバナンスの強化」に詳 述されています。 人的資源の開発 貧困を削減するためには人的資源の開発が不可欠 です。そのためには教育や保健・医療サービスへの アクセスを改善し、社会的介入を通して弱い立場の 人々を保護することが必要です。2003年度、アフリカ 地域に対する世銀の新規融資承認額の21%以上(8億 は人的開発に関するものでした。伝染病、 1100万ドル) 特にHIV/エイズはアフリカの開発に深刻な課題を投 げかけています。アフリカからHIV/エイズを撲滅する ために世銀が承認した融資は累計10億ドルに達して おり、世銀はアフリカ地域のHIV/エイズ対策プログラ 「ア ムに対する最大の資金提供機関となっています。 (MAP) フリカに対する多国間エイズ・プログラム 」で 道路網は今やアフリカ地域の輸送の要であり、 総距離は約200万km に達しています。IDAは「タンザニア社会行動基金 」 (TASAF) を通し は、すでに20ヶ国が6億ドルの拠出を約束しています。 て、タンザニアの道路プロジェクトを支援しています。 MAPはこれまでに18件のプロジェクトを承認してお 第5章 地域別展望 89 囲み5.1 アフリカのHIV/エイズ り、このうち15件はすでに実施されています。このほ かにも、保健・医療、栄養、および人口の分野で30ヶ ■ アフリカ地域のHIV/エイズ感染者数は累計で5000 国を対象とした47件のプロジェクトが承認されました 万人を超えています。 (囲み5.1参照)。 ■ アフリカ地域の9ヶ国では100万人以上がエイズに感染 世銀は41件の教育プロジェクトを通してアフリカの しています。エイズ感染率の上位21ヶ国はすべてサハラ 教育問題にも積極的に関与しています。世銀は特に 以南のアフリカの国々です。特に懸念されるのは15〜 初等教育の普及と就学率の低い国々に重点を置いて 24歳の女性の9%、男性の4.3%がエイズに感染してい います。2003年度の融資承認総額は4億2360万ドルで ることです。この数字は感染率に深刻なジェンダー格差 「万人のための教育 した。また、 (EFA)」、特に女児 が存在することを示すと共に、次の世代においてもエイ に対する教育にも高い優先順位が置かれるように ズが拡大を続ける可能性があることを示唆しています。 なっています。これは女子教育が生産性の向上だけ ■ 人口統計への影響:多くの国では平均寿命が10年 でなく、妊産婦と子供の死亡率の削減といった社会 以上も縮まり、状況が最も深刻な国では40歳を下 的目標の達成にも密接に関わっているためです。 回っていると予測されています。労働年齢人口の死 現在、アフリカ諸国では経済成長に備えて高等教 亡率は多くの国で倍になり、今後も上昇を続けると 育制度を強化することが急務となっています。世銀は 見込まれています。 この取り組みを積極的に支援しており、アフリカ地域 ■ 開発への影響:教師の死亡者数はザンビアでは2 の約20ヶ国で高等教育関連のプロジェクトを財政面 倍、ケニアでは3倍になりました。アフリカでは昨年、 で支援しています(囲み5.2)。 エイズの流行によっておよそ100万人の生徒が教師 もう一つの重点分野はHIV/エイズと教育の関係で を失いました。また、エイズは今年の干ばつの被害 す。HIV/エイズは、特に感染率が高い国々において、 を格段に悪化させる原因となりました。エイズの影 教育制度に破壊的な影響を及ぼしています。たとえ 響により、南アフリカの経済は2010年までに17%縮 ば、教師の死亡率や欠勤率が急激に上昇しているか 小し、貿易相手であるアフリカ諸国に甚大な影響を らです。しかし、こうした影響は十分に理解されてお 及ぼすことが懸念されています。エイズがアフリカに らず、一般的には何の措置もとられていません。また、 及ぼしている影響は、アフリカの一人当たり年間成 ほとんどの国ではHIV/エイズの感染を防止するため 長率の1%に相当すると予測されています。2010年 に教育が果たすべき役割、つまり行動の変化の促進 の孤児人口は2000万人を超えると推定されていま が十分に進んでいません。残念なことに、エイズの蔓 す。これが現実のものとなれば、各国の社会福祉制 延によって孤児の数が著しく増えており、その総数は 度は未曾有の課題をつきつけられることになります。 現在の約1300万人から2010年には3500万人に達する エイズによって何百万人もの人々が貧困に陥る一方 と予測されています。現在、アフリカ地域では「グッド で、貧しい人々は感染リスクの高い仕事や環境に押 プラクティス」を抽出する大規模な研究が進んでおり、 しやられる傾向があり、悪循環が生まれています。 (a) 次の3点に関する指針がまとめられる予定です。 教 ■ MDGsへの課題:HIV/エイズが克服されない限り、 育がHIV/エイズ予防に果たす役割を最大化する。 アフリカはミレニアム開発目標 の大半を達 (MDGs) (b)HIV/エイズが教育制度に与えている影響に対処 成できない見込みです。一部の目標に関しては、エ (c) する。 孤児が基礎教育を修了できるようにする。こ イズの蔓延によって状況はむしろ後退しており、その のほかにも、世銀は国連合同エイズ計画(UNAIDS) 他の目標についても歩みは鈍化しています。 の合同教育タスクチームと協力して、アフリカ諸国が ■ パートナーシップの強化:この3年間でHIV/エイズ分 こうした問題に取り組むためのキャパシティ・ビルディ 野におけるドナー協調は国レベルでも、グローバ ングを実施すると共に、IDAが資金を提供している多 ル・レベルでも著しい進歩を遂げました。最近、政 国間エイズ・プログラムの支援対象となるような介入 府主導で実施された全ドナーの合同レビューは、借 プログラムの構築に取り組んでいます。 入国主導の調和のとれたプログラム支援の有望な 社会的保護、つまり人的資本を改善・保護するため モデルとなるものです。 の活動(労働市場への介入、所得の補助、年金改革 注:本囲み欄内のデータは2002年12月31日現在のものです。 など)は注目が高まっている分野の1つです。この分 野 に 対 する融 資 は 、2 0 0 3 年 度 の 融 資 承 認 総 額 の 90 世界銀行 年次報告 2003 囲み5.2 アフリカ・バーチャル大学 アフリカ・バーチャル大学 はアフリカ諸国を対象 (AVU) ■ アフリカ諸国(フランス語圏、英語圏、およびポル とした、初の双方向型の教育通信ネットワークです。世銀は トガル語圏)のパートナー機関を結ぶネットワーク AVUの最大の支援機関であり、3年間で1300万ドルの融資 を構築しました。学習センターは主に公立大学に設 を約束しています。AVUは最新の通信技術を用いて、世界 置されています。 品質の教育・研修プログラムをアフリカの学生および専門 ■ コンピュータ科学の学位課程を設置しました。 家に提供しています。アフリカ地域では総人口7億人の ■ 学期単位のコースに2万3000人以上の学生を受け入 50%以上を20歳以下の若者が占めており、次のような理由 れました。 から高等教育の整備が急がれています。 ■ 約2500人の専門家を対象にビジネスセミナーを実施 しました。 ■ 高校卒業生の数に比べて、大学の受入可能人数が少 ■ 合計3000時間を超える授業を実施しました。授業に ない。 はアフリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、および ■ 政府予算はすでに限界状態にある。 北米の一流大学の教材が利用されました。 ■ 民間の高等教育機関は学費が高く、すでに定員を超え ■ 学習センターに1000台のコンピュータを設置しま る入学希望者がいる。 した。 ■ スキルの向上を必要とする労働人口が多い。 ■ 4万5000のEメールアカウントを擁するネットワーク ■ 知識面でアフリカの孤立が進んでいる を構築しました。1000冊以上の定期刊行物を閲覧で きるデジタル図書館を設置しました。 AVUは世銀のあるプロジェクトが、アフリカ諸国の政府 ■ 主要な学習センターではAVUの入学準備コース受講 が参加する独立組織に成長したもので、本部はケニアの首 者の4割以上が女性となりました。 都ナイロビにあり、このほか17のアフリカ諸国に34の学習 センターが設置されています。これまでのAVUの活動は次 AVUは今後5年間でアフリカ全土に活動を広げ、NEPAD の通りです。 と協力して持続可能な開発に向けた人的資本の強化に取 り組んでいく予定です。 14.6%にあたる5億4370万ドルでした。アフリカ地域 では社会的保護ポートフォリオの60%を社会基金が占 めており、特に一部の地域社会密着型プロジェクトは きわめて高い成果をあげています。 成長の加速 アフリカが成長を遂げるためには、健全な政策と 制度環境を構築し、国内外の投資を促進する必要が あります。また、インフラ整備などによる企業の事業 コスト低減も欠かせません。アフリカ地域のインフ ラ・プロジェクトに対する世銀の融資は、2001年度か ら2003年度にかけて2倍以上に増えました。アフリカ ウガンダのカンパラにあるインターネット・カフェの様子。情報通信 地域に対する世銀のインフラ戦略は次の3点に重点を 技術と遠隔教育は途上国が主要な教育課題(教育の質、アクセス、およ び管理)に取り組む助けとなります。 (a) 置いています。 基本的サービスをすべての国民に (b) 提供すること、 必要最低限のインフラ基盤を整備 し、民間事業、投資、および富の創造を可能にするこ 第5章 地域別展望 91 図5.1 アフリカ地域:IBRDとIDAのテーマ別融資 図5.2 アフリカ地域 :IBRD とIDAのセクター別融資 2003年度 2003年度 総融資額37億ドルに占める割合 総融資額37億ドルに占める割合 環境・  経済政策管理 1% 給水・衛生・治水  農業・漁業・林業 8% 天然資源管理 6% 8% 公共セクター運営 12% 農村開発  10% 法規 1% 法律・司法・行政  運輸 18% 19% 金融・民間  都市開発  セクター開発 10% 11% 貿易・統合  1% 情報・通信  エネルギー・鉱業  1% 9% 社会的保護・   教育 11% 産業・貿易  リスク管理 15% 2% 金融 2% 人的開発  22% 社会開発・   保健・  ジェンダー・参加 11% その他の社会サービス 22% (c) と、 アフリカを「ビジネス活動に適した場」とする HIPCイニシアティブではすでに22のアフリカ諸国が こと。 決定時点(債務削減額が決定され、救済プロセスが 地域統合は市場を拡大し、規模の経済を達成する に到達し、5ヶ国が完了時点 はじまった時点) (債務救 ためにも、競争環境を作るためにも、また外国投資を 済が確定された時点)に到達しました。2003年6月30 誘致するためにもきわめて重要です。世銀はすでに 日現在、HIPCイニシアティブによって削減された対世 西・中央アフリカに対する地域統合支援戦略を定めて 銀債務は23億1000万ドルとなっています。このうちの おり、東・南アフリカについても同様の戦略を策定す 21億3000万ドルはアフリカ諸国の債務でした。世銀 る予定です。これらの統合戦略はマクロ経済政策の に対する債務返済額は60%以上削減されました。救 調和化、地域間貿易の自由化、および地方への投資 済対象となった国々では政府収入に対する社会支出 を促進するだけでなく、インフラ関連の地域プロジェ の割合が着実に上昇しており、1999年の33%から クトの開発や、地域組織の能力強化にも貢献するもの 2002年には54%を記録しました。 となります。また、世銀は地域全体が共通の問題に協 アフリカ地域への資金流入を増やすためには、援 調的に対応するためのイニシアティブ(例:ナイル川流 助の量と質の両方を高める必要があります。タンザニ 域イニシアティブ)や、域内交易ルートを経由したエイ アなどの一部の国では、ドナーや政府の援助とその ズ感染を防ぐ措置に対しても支援を行っています。 結果と比較する独立評価がはじまるなど、新たなパー トナーシップ・モデルへの移行がはじまっています。 また、対アフリカ援助の代表的な調整機関である「ア 債務削減と開発援助 フリカとの戦略的パートナーシップ(SPA)」は、2003年 度に採択したアジェンダの中心に、借入国による国別 世銀は重債務貧困国 イニシアテ (HIPC) ィブを通し 援助戦略(CAS)の作成を据えています。IDAはプロ アフリカ諸国が債務削減を確実に達成すると共に、 グラム融資を通してこう て、 した戦略を支援するように 救済されて利用可能となった資源が貧困の緩和に有 なっています。 効 に 活 用 され るよう十 分 な 注 意 を 払 って います。 92 世界銀行 年次報告 2003 表5.1 アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資 1994–2003年度 (単位:100万ドル) 1994–97 1998–99 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 テーマ別 経済政策管理 160.7 165.0 78.2 138.5 138.7 37.8 公共セクター運営 317.4 291.7 495.3 429.6 851.9 432.4 法規 38.2 21.0 26.7 34.0 22.5 34.5 金融・民間セクター開発 570.6 509.0 466.7 625.8 780.7 383.6 貿易・統合 146.3 120.5 53.7 261.5 46.4 37.2 社会的保護・リスク管理 78.5 117.2 140.5 376.4 98.3 543.7 社会開発・ジェンダー・参加 140.0 167.6 210.5 491.8 347.4 420.0 人的開発 244.3 267.7 208.5 399.4 739.0 811.4 都市開発 262.7 253.8 154.9 206.1 279.6 425.5 農村開発 203.9 393.6 151.8 296.3 329.2 384.1 環境・天然資源管理 227.9 156.0 172.4 110.0 159.9 227.0 テーマ別総額 2,390.6 2,463.2 2,159.1 3,369.6 3,793.5 3,737.2 セクター別 農業・漁業・林業 156.8 170.0 111.5 212.0 210.4 303.4 法律・司法・行政 532.7 610.9 834.9 880.8 906.9 721.8 情報・通信 5.8 36.7 17.3 21.1 33.8 41.4 教育 188.3 304.4 189.8 209.5 472.6 423.6 金融 158.8 53.7 121.7 200.1 192.8 67.2 保健・その他の社会サービス 265.8 273.6 183.1 889.9 616.6 775.9 産業・貿易 326.8 94.3 104.7 170.6 266.7 92.7 エネルギー ・鉱業 243.3 244.0 176.3 198.0 490.3 324.4 運輸 352.6 533.5 263.9 229.8 491.1 690.5 給水・衛生・治水 159.8 142.0 155.9 357.8 112.2 296.3 セクター別総額 2,390.6 2,463.2 2,159.1 3,369.6 3,793.5 3,737.2 うち、IBRD融資額 66.1 31.2 97.7 0.0 41.8 15.0 IDA融資額 2,324.5 2,432.0 2,061.4 3,369.6 3,751.6 3,722.2 注:新たなテーマ・セクター分類システム (68テーマ、57セクター)に従って、融資を11の主要テーマと10の主要セクターに分けて示した。35頁の表 2.2を参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。2003年度は 「アフリカ地域に対する複数国エイズ・プログラム (MAP)」の フェーズI、IIのもとで、5件のプロジェクト(ギニア、モザンビーク、 ニジェール、ルワンダ、 およびザンビア)が承認された。IDAの新規融資承認額のう ち、1億7280万ドルはこの5件のプロジェク トに対するもの。 第5章 地域別展望 93 世銀融資適格国 イン ドネシア カンボジア キリバス サモア 東アジア・大洋州地域 世銀の援助 ソロモン諸島 タイ 金融危機から5年を経て、東アジア地域はふた 2003年度は政策助言と技術支援に加えて、23億 大韓民国 中国 たび世界一の急成長地域の座を取り戻しました。 ドルの新規融資が行われました。世銀は引き続き トンガ 2002年の成長率は前年よりも2ポイント高い6.7%と 下記の点に重点を置いています。 バヌアツ パプアニュ ーギニア なりました。世界経済の回復が遅れ、不確実性が パラオ 増していることを考えると、これはきわめて力強い ■ 投資環境の改善とビジネスセクターの活性化 東ティモール フィ ジー 数字です。中国は8%の成長率を達成し、引き続 (公共セクターの活動支援、ガバナンス、透明 フィリピン き地域経済の重要な牽引役となりました。対中輸 性、および説明責任の向上など) ベトナム 出は東アジア諸国の輸出の伸びの40%近くを占め ■ 貧しい人々のエンパワーメントと社会の安定化 マーシャル諸島 マレーシア ました。 ■ 国際優先項目への対応(環境、貿易、ミレニア ミクロネシア連邦 この地域では1日2ドル未満で生活する貧しい ム開発目標 など) (MDGs) ミャンマー モンゴル 人々の割合が、過去最低の水準である約40%に下 ラオス人民民主 がったと予測されています。東アジア・大洋州地 共和国 域ではほとんどの国が貧困の削減に成功しまし 投資環境の構築 た。インドネシア、フィリピン、タイといった国々では 1997〜98年の金融危機の後で貧困率が上昇した 世銀は多彩な支援活動を通して、持続可能な ものの、現在は危機以前の水準に回復しているか、 成長と貧困削減に必要な環境作りに取り組んで 回復基調にあります。 います。 2003年は重症急性呼吸器症候群(SARS)の流 現在、カンボジア、中国、インドネシア、マレー 行、イラク戦争に伴う不確実性の高まり、石油価格 シア、モンゴル、フィリピン、およびタイで実施され の上昇、先進国の回復の失速など、予期せぬ危機 ている「投資環境評価」の目的は、民間投資を促 が次々とこの地域を襲いました。しかし、SARSの すような制度環境を構築すること、そして生産性の 流行が沈静化し、第2四半期には新たな感染例の 向上、ビジネスの効率化、および雇用の創出を達 報告も徐々に減少したことなどから、この地域の 成するための改革分野を特定することです。モン 2003年の成長率は堅調といえる5%、またはそれ ゴルの司法改革プロジェクトは、行政裁判所制度 以上になると予測されています。地域全体の長期 の確立、法律・司法情報に関するキャパシティ・ビ 的な見通しは依然として明るいものの、この見通 ルディング、および司法教育を推進しています。中 しを現実のものとするためには、各国が引き続き 国では世銀の専門家チームが金融セクター改革 治安と法治の強化につとめ、健全なマクロ経済運 (銀行の改革、資本市場の構築、小規模企業への 営を維持し、ガバナンスを強化する必要がありま 融資、農村金融など)について中国政府の高官に す。また、金融危機によって後回しとなっていた構 助言を行っています。また、東アジア・大洋州地 造改革を完了し、金融セクターの監督と規制を改 域の経済見通し、景気動向、および経済課題を半 善し、広範な改革を実行して投資環境の整備を進 年ごとに見直すことで、地域の政策議論に貢献し めることも必要です。 ています。 94 世界銀行 年次報告 2003 東アジア・大洋州地域のファクト・シート 総人口:18億人 人口増加率:0.9% 世銀は東アジア諸国がイノベーションに取り組むこ 平均寿命:69歳 とが重要だと考えています。世界市場の競争がさら 乳幼児死亡率 :34 (出生1000件当たり) 若い女性の非識字率:3% に激しさを増し、ハイテクの重要性が高まっているこ 2002年の一人当たり国民総所得 :950ドル (GNI) とをふまえて、世銀は最新の研究報告書「イノベー エイズ感染者数:200万人 ションと東アジア:今後の成長の行方」の中で、東ア 注:平均寿命、乳幼児死亡率 (出生1000件当たり)、および若い女性の非識字率は2001 ジア諸国のイノベーション能力を開発・強化するため 年の「世界開発指標」データベース、 その他の指標は2002年の同データベースの数字。 の政策措置を提案しま 「グローバル・デ した。 ィベロッ 現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得 が使用されています。 (GNI) プメント・ラーニング・ネッ (GDLN) トワーク 」はアジア 全土に設置された14の学習センターを通して、各国や 2003年度の 2003年度の 地域のニーズに応じた知識プログラムを提供してい 新規融資承認額 融資実行額 ます。また、新たな取り組みである「インフォシティ IBRD:17億6710万ドル IBRD:23億350万ドル (InfoCity)」は、フィリピンの地方自治体を電子ネット IDA:5億4370万ドル IDA:7億7430万ドル ワークで結ぶことで、各自治体が協調関係を育み、都 2003年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート 市運営に関する最新の慣行とイノベーションを共有す フォ リオ:234億ドル る場を提供しています(このネットワークは中国とイン ドネシアにも拡張されつつあり 。 ます) 世銀はガバナンスの問題にも取り組んでおり、地方 分権や行政能力の構築を目的としたプログラムを支 援しています。また、公共セクターの透明性を高め、 関係者の参加を促すようなプログラムにも支援を行っ ています。現在、世銀は電子政府の研究に取り組ん でおり、電子政府が透明性の向上による汚職の削減、 あるいは市民の行政参加に与える効果を分析してい ます。カンボジアとラオス人民民主共和国で実施され ている2件のキャパシティ・ビルディング・プロジェクト は、管理慣行、政策の立案と実施、公的支出管理、 人的資源管理、ガバナンス、および行政の分野で政府 の能力向上に取り組んでいます。インドネシアの「ガ バナンス改革のためのパートナーシップ」は、同国の 汚職防止、行政改革、および法律・司法セクター改革 に引き続き貢献するものとなっています。 貧しい人々のエンパワーメント 世銀は住民の社会的リスクを低減し、社会政策の 有効なフレームワークとなり、貧しい人々が経済成長 に参加することを可能にするような政策および制度に 重点を置いています。低所得国に対する世銀の戦略 の中心を占めているのは、貧困削減戦略文書(PRSP) の作成支援です。PRSPは成長促進と貧困削減に必 要なマクロ経済、構造、および社会政策・プログラム のフレームワークであり、借入国自身が主体性を持っ この10年でベトナムの貧困発生率は大幅に削減されました。この変化 て作成するものです。また、東アジアでは貧困層のゆ は一人当たり支出の上昇や、国民生活の改善を示すさまざまな報告に うに4分の3以上が農村部に暮らしていることから、世 表れています。 第5章 地域別展望 95 銀は農村部の住民の所得を高め、機会を拡大する 囲み5.3 東アジアにおける貿易 ような農村開発イニシアティブにも重点を置いてい ます。 貿易面での地域統合は、この地域に莫大な利益(具 社会的プログラムでは、開発の効率性、透明性、 をもたら 体的には輸出牽引型の成長) しました。しかし、 および有効性を高めるために、地域社会のエンパ 東アジアの金融危機はこの地域が抱えている脆弱性を ワーメントと需要主導のアプローチをこれまで以上に 浮き彫りにしました。特に低所得国の状況は深刻であ 重視するようになっています。東ティモールの「第1次 り、その多くは未だに地域統合の利益を享受していま 農業再建プロジェクト」では、地域社会に家畜や農具 せん。 が提供され、小規模灌漑設備や用水路が修復された この事実をふまえて、世銀は各国が自国の競争優位 ほか、農業関係者を対象とした研修が実施されまし を理解し、貿易がもたらす利益を享受することができる た。一方、インドネシアの「第2次ケカマタン開発プロ ように、貿易が東アジア諸国にもたらす影響や地域統 ジェクト」は支線道路、排水路、市場、給水管、小口 合を強化する方法を研究しています。研究では特に、 融資制度といった基本的インフラの整備を支援するこ 地域や世界との統合が貧困国、貧困世帯、および衰退 とで、住民自身が地域社会の開発に参画する機会を セクターに及ぼす影響の分析に重点が置かれています。 提供しています。このプロジェクトにより、2500万人か このほか、技術障壁と商品規格、ロジスティクス、サー ら3000万人の農村部住民に便益が提供されました。 ビス・セクター、知的所有権、環境・労働基準といった フィリピンの「平和と開発のための社会基金プロ 国内政策課題も取り上げられています。 ジェクト」は、地域社会のプロジェクトを支援し、紛争 世銀はこの研究を補完するものとして、主要な関係 の影響をもっとも受けている人々を開発プロセスに統 者と協議を行い、アジアの各都市でワークショップを 合することで、ミンダナオの持続可能な開発を進めて 開催しました。また、世界銀行研究所と協力してGDLN います。 「持続可能な生計プロジェク モンゴルの は、 ト」 貿易対話の構築に取り組んでいます。 モンゴル人口の41%を占める農村部の遊牧民が貧困 から脱却することができるように、金融サービスの提 供状況を改善し、小規模なインフラ・プロジェクトを援 助し、牧畜に伴うリスクの管理を支援しています。ま た、中国では結核が伝染病による死亡の最大の原因 となっていることを受けて、感染の被害がもっとも深 刻な貧困層にも政府の結核管理プログラムが行き渡 るように、プログラムの拡大を財政面から支援してい ます。 国際優先項目 世銀の東アジア・大洋州地域局は、下記の国際優 先項目に重点を置いています。 環境の改善 農林、都市、水、エネルギーの各セクターでは、世 銀が融資するプロジェクトのほとんどに環境関連のプ ログラムが盛り込まれています。世銀はカンボジア、 中国、パプアニューギニア、およびソロモン諸島で森 林管理プログラムを実施し、インドネシアに対しては 政策助言を行っています。中国では政府の水管理計 画を支援しています(洪水管理、灌漑システム開発、 96 世界銀行 年次報告 2003 図5.3 東アジア・大洋州地域:IBRDとIDAのテーマ 図5.4 東アジア・大洋州地域:IBRDとIDAのセクター 別融資 2003年度 別融資 2003年度 総融資額23億ドルに占める割合 総融資額23億ドルに占める割合 環境・天然資源管理 10% 経済政策管理 1% 給水・衛生・治水  農業・漁業・林業 5% 18% 公共セクター運営 15% 法律・司法・行政  17% 法規 <1% 農村開発  18% 情報・通信 <1% 金融・民間  セクター開発 20% 教育 10% 都市開発  10% 運輸  金融 1% 29% 保健・   人的開発  貿易・統合  その他の社会サービス 8% 7% 6% エネルギー・鉱業 11% 産業・貿易 1% 社会開発・   社会的保護・リスク管理  ジェンダー・参加 6% 7% 包括的な河川流域管理、水不足が深刻な北部の農地 統合の影響を分析し、貧しい人々に配慮した貿易政 における節水措置など)。また、東アジアのほとんど 策を導入できるようにキャパシティ・ビルディングを の国について「環境モニター」を発行し、政策決定者 行っています。ベトナムではWTO加盟に関する助言 と市民の双方に環境問題への配慮を呼びかけていま を行い、加盟を実現するための改革を支援していま 「環境モニター」 す。 はその国に関連の深い環境問題 す(囲み5.3参照)。 を分析した世銀の国別年次環境報告書です。 ミレニアム開発目標の達成支援 貿易の促進 世銀はミレニアム開発目標(MDGs)を達成するた 世銀は各国の成長と貧困削減を支援するために、 めの政策支援や融資のほかに、カンボジア、ラオス 貿易の影響力や地域統合を強化する方法を研究し、 人民民主共和国、モンゴル、タイ、東ティモール、ベ その結果をもとに国や地域に助言を行っています。た トナムといった国々では、データの収集・分析能力の 中国とは貿易問題に協調的に取り組んでおり、 強化、貧困動向や社会指標のモニタリングを支援し とえば、 カンボジアとラオス人民民主共和国では両国が貿易 ています。 第5章 地域別展望 97 表5.2 東アジア・大洋州地域に対するテーマ別、セクター別融資 1994–2003年度 (単位:100万ドル) 1994–97 1998–99 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 テーマ別 経済政策管理 36.5 280.0 0.0 0.0 4.8 29.7 公共セクター運営 215.8 543.1 556.2 65.1 127.4 341.5 法規 73.4 19.2 9.3 3.8 20.3 7.3 金融・民間セクター開発 1,393.3 4,441.8 627.6 310.9 512.8 458.8 貿易・統合 161.1 333.2 36.2 40.0 43.3 138.0 社会的保護・リスク管理 179.3 708.4 55.2 239.4 138.7 161.5 社会開発・ジェンダー・参加 181.6 273.5 72.1 248.0 173.0 143.7 人的開発 411.4 406.1 81.1 52.6 226.4 152.7 都市開発 734.3 900.8 230.6 433.1 63.6 233.6 農村開発 913.2 855.6 430.3 341.6 360.9 411.7 環境・天然資源管理 1,203.7 932.4 880.4 399.3 102.3 232.3 テーマ別総額 5,503.6 9,694.2 2,979.1 2,133.8 1,773.6 2,310.8 セクター別 農業・漁業・林業 464.0 803.8 118.4 109.7 151.2 106.7 法律・司法・行政 425.8 1,066.5 590.3 255.3 115.2 385.1 情報・通信 206.9 51.9 20.0 12.5 11.1 6.6 教育 417.7 411.6 84.4 14.8 134.6 225.7 金融 207.4 3,180.8 36.3 89.6 219.2 22.7 保健・その他の社会サービス 253.5 581.6 118.4 217.3 243.8 184.1 産業・貿易 242.7 1,569.8 28.8 151.8 9.4 32.5 エネルギー ・鉱業 1,623.6 517.0 640.5 142.2 314.5 254.3 運輸 1,121.7 1,133.3 584.4 729.7 540.2 684.3 給水・衛生・治水 592.0 377.9 757.7 410.8 34.4 408.7 セクター別総額 5,503.6 9,694.2 2,979.1 2,133.8 1,773.6 2,310.8 うち、IBRD融資額 4,385.8 8,800.9 2,495.3 1,136.1 982.4 1,767.1 IDA融資額 1,117.8 893.3 483.8 997.7 791.2 543.7 注:新たなテーマ・セクター分類システム (68テーマ、57セクター) に従って、融資を11の主要テーマと10の主要セクターに分けて示した。35頁の表 2.2参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。本表の2003年度融資額には次の数字は含まれていない:東ティモールに対する 650万ドルの特別融資、ベトナムに対する7500万ドルのIDA保証。 98 世界銀行 年次報告 2003 世銀融資適格国 アフガニスタン インド 南アジア地域 り、スリランカ北部・東部の戦災地で急務となって スリランカ ネパール いた改革に着手できるようになりました。 パキスタン バングラデシュ 南アジア地域にはさまざまな政治、宗教、民族、 南アジア地域の貧困率を測定するための確立 ブータン および言語が存在し、この地域の持つ多様性を示 された手法はないものの、世銀の支援のもとでバ モルディブ す1つの証となっています。しかし、豊かな多様性 ングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、およ をそなえたこの地域は、依然として世界で最も貧 びスリランカで進んでいる分析活動は、この地域 しい地域の1つでもあります。総人口14億人の3分 の貧困動向を把握する有益な資料となっています。 の1以上は1日1ドル未満で生活しており、世界の貧 バングラデシュでは最新の貧困状況調査と政府が 困人口の約40%を形成しています。成人の識字率 作成した暫定貧困削減戦略文書(I‑PRSP)により、 は55%にとどまり、成人女性については44%にす 1990年代に貧困の削減が大幅に進んだことが明ら ぎません。ミレニアム開発目標 を達成する (MDGs) かになりました。1990年代にはインドも相当の貧困 ためには、膨大な人口を抱えるこの地域での成果 削減を達成したとされるようになっています。しか がきわめて重要となります。 し、インドがMDGsを達成するためには、今後も引 2003年度においても南アジア地域は好調な成 き続き格差 に注意を払っていく必 (特に州間格差) 長を続け、近年の世界不況、天候不順、および域 要があります。パキスタンでも広範なデータをもと 内の政情不安にも関わらず、2002年1月から12月の に貧困状況調査が行われ、長期的な成長を達成 国内総生産(GDP)成長率は平均4.2%を達成しま するためには、国内の社会的格差を解消する必要 した。地域全体の数字は好ましいものの、地域を があることが明らかになりました。 構成する8ヶ国の状況にはばらつきが見られます。 2003年度の南アジア地域をふりかえると、ネ パールとスリランカでは和平プロセスが進展し、ア 世銀の援助 フガニスタンには引き続き国際社会の支援が提供 されました。バングラデシュでは2001年の総選挙 南アジア地域における世銀の活動は、世銀の使 以来、ガバナンス改革が確実に進展しています。 命を支えている5つの相互に関連した戦略目標(貧 パキスタンの軍事政府は1999年以来初となる選挙 困削減、財政安定、ガバナンス、HIV/エイズと関 を実施し、連立政権が発足しました。 連疾患、および水問題)に立脚しています。この5 アフガニスタンでは復興と開発に向けた取り組 大目標を支える中間目標として、マクロ経済運営の みが進んでいますが、一部の地域や主要都市にお 改善、ガバナンスの強化、民間セクター投資環境 ける治安の不安が依然として障害となっています。 の強化、農村と都市の貧困層に対する基本的サー ネパールでは2003年1月に政府と反政府組織マオ ビスの提供、人的開発の促進、環境保護の徹底、 イストの間で停戦合意が結ばれましたが、2002年 および貧困層のリスクと脆弱性の低減などが設定 10月の内閣解散とそれに続く2度の閣僚交代など、 されています。世銀の融資はこれらの主要な戦略 政治情勢は依然としてきわめて流動的です。スリ 目標を指針とし、かつ報告書、ワークショップ、政 「タ ランカでは政府と ミル・イーラム解放の虎」の間 策ノート、および継続的な政策対話の形で提供さ で和平に向けた動きが進展しています。これによ れる広範な分析プログラムに基づいて行われてい 第5章 地域別展望 99 南アジア地域のファクト・シート 総人口:14億人 人口増加率:1.7% 平均寿命:63歳 び政策対話を通して、良好かつ持続可能な投資環境 乳幼児死亡率 :71 (出生1000件当たり) の構築に取り組んでいます。 若い女性の非識字率:40% 2003年1月に発表された世銀の報告書「バングラデ 2002年の一人当たり国民総所得 :460ドル (GNI) シュ:貧困削減に向けたガバナンスの改善」は、ガバ エイズ感染者数:410万人 ナンス改革に優先的に取り組むことの重要性を提起 注:平均寿命、乳幼児死亡率 (出生1000件当たり)、および若い女性の非識字率は2001 するものでした。 年の「世界開発指標」データベース、 その他の指標は2002年の同データベースの数字。 現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得 が使用されています。 (GNI) 世銀の理事会はネパールの国別援助戦略(CAS)の 進捗報告書を審議しました。これはネパールの改革 2003年度の 2003年度の のペースに合わせて、世銀の利用可能な資源を提供 新規融資承認額 融資実行額 することを目的としたものです。2003年度は同国の老 IBRD:8億3600万ドル IBRD:7億30万ドル 朽化した銀行システムを現代化するために、1600万ド IDA:20億8270万ドル IDA:19億5360万ドル ルの財政・技術支援プログラムが承認されました。 平和の維持を目指すスリランカに対しては「経済改 2003年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート 革・技術支援プロジェク (1500万ドル) ト」 が承認され フォ リオ:178億ドル ました。スリランカ政府はこのプロジェクトを通して、 経済の活性化と、民間セクターの役割強化に取り組 む予定です。スリランカにはこのほかにも、投資環境 全般の改善と、民間セクター主導の成長を促進する ために、 「貧困削減支援融資 1億2500万ドルの (PRSC)」 が提供されています。一方、バングラデシュには3億 ドルの「開発支援融資」が行われ、同国の投資環境の 改善や、民間セクター投資に対する規制緩和に利用 されています。 南アジアにおいては、世銀は道路をはじめとした 移動手段の改善に重点を置いています。これは移動 手段の整備が貧困削減にきわめて効果的であること をふまえたものです(輸送コストが削減され、市場、 教育、および保健・医療へのアクセスが改善されるた アフガニスタンでは「緊急公共事業・地域社会エンパワーメント・プロ ジェクト」を通して、サラング・トンネルの再建工事が始まりました。 め)。現在、アフガニスタン、バングラデシュ、インド、 このトンネルはカブール市にとって、 人道援助やその他の物資、およ およびネパールで進んでいるインフラ・プロジェクト び北部からの帰還難民の唯一の受入口となっています。 は、輸送コストを下げ、貧しい人々が基本的な医療・ 教育サービスを利用できるようにすることを目指したも ます。南アジア地域に対する2003年度の融資総額は のです。インドでは「ウッタル・プラデシュ州道路プロ 29億ドルでした。重点分野はインフラ改革と投資、農 ジェク (4億8800万ドル) ト」 を通して、合計3500kmの既 業、保健・医療、教育、および農村開発でした。アフ 存道路網が補強される予定です。 ガニスタンとスリランカの紛争後復興および緊急ニー アフガニスタンに対する「緊急輸送再建プロジェク ズに対する支援も継続されました(囲み5.4参照)。 (1億800万ドル) ト」 は、輸送のボトルネックを排除し、 高速道路と空路の再建を促進することを目指したもの です。アフガニスタンに対するその他のプロジェクト 投資環境の構築 「緊急公共事業・地域社会エンパワーメン としては、 ト・プロジェク (4200万ドル) ト」 があります。このプロ 強力で健全な投資環境は南アジア地域に共通する ジェクトではカブール市と8つの州を結ぶ高速道路の 優先項目です。ガバナンスの改善はその絶対条件で 要所であるサラング・トンネルの再建が行われました。 あり、民間セクターが経済発展に貢献できるようにす このトンネルはカブール市にとって、人道援助やその ることも重要です。世銀は分析活動、融資業務、およ 他の物資、および北部からの帰還難民の唯一の受入 100 世界銀行 年次報告 2003 囲み5.4 紛争解決、和平、和解、および復興 2003年度、世銀は各国が参加した「アフガニスタン復 債務が清算されたことを受けたものです。この措置によっ 興信託基金」の管理母体として、アフガニスタン政府を支 てアフガニスタンは緊急状態を脱し、融資適格国として、 援しました。この信託基金は政府の行政経費や給与支払 長期的な開発に取り組むことが可能となりました。 いにあてられています。 世銀は2003年度に対スリランカ・ポートフォリオの再構 新たに策定された世銀の「移行支援戦略(TSS)」は、ア 築を行い、北東部の復興を支援する4600万ドルの緊急 フガニスタンのニーズが緊急復興から長期的な開発に移 パッケージを承認しました。また、世銀は「スリランカ北東 りつつあることをふまえて、向こう2年間に世銀が同国に提 復興信託基金」の管理母体でもあります。この信託基金は 供する支援の枠組みを示したものです。世銀の移行支援 先の紛争がもたらした緊急ニーズに応えると共に、ドナー 戦略はアフガニスタン政府が策定した「国家開発フレーム 資金の迅速な投入を目指すものです。今年、世銀の理事 ワーク」を支えるものであり、4つの分野、すなわち生計の 会はスリランカに対する新しい国別援助戦略 を審 (CAS) 改善、財政戦略・制度・管理の支援、ガバナンスと行政改 議し、保健・医療、農村部への給水、および金融セクター 革の支援、および民間セクター開発支援に重点を置いて 改革に関するプロジェクトが新たに承認されました。 います。 WBIは「アフガニスタン移行支援戦略」と「スリランカ アフガニスタンに対する世銀の融資プログラムは2003 CAS」に示された優先項目に基づいて、学習プログラムを 年度に再開されました。その第1号として「アフガニスタン 開発しました。WBIは2003年度にアフガニスタンとスリラ 緊急輸送再建プロジェク (IDA:1億800万ドル) ト」 が承認 ンカに遠隔研修センターを設置しました。これらのセン されました。これとは別に、世銀は2002年度にアフガニス ターには最新の遠隔研修ツールとテクノロジーが導入され タンの緊急復興のために1億ドルのグラントを承認してい ています。 ます。今回の融資再開は、世銀に対するアフガニスタンの 口となっています。パキスタンでは州政府を対象とし す。農村開発の分野では、インドのアンドラ・プラデ た第2次構造調整融資が承認されました。この中には シュ州を対象とした「地区貧困イニシアティブ・プロ シンドの経済改革プログラムを支援する「シンド州構 ジェクト」が第2段階に入ろうとしています。第2段階で (1億ドル) 造調整融資」 、北西国境州の経済・社会改 はプロジェクトの範囲が当初の6地区から州全体に拡 革プログラムを支援する「北西国境州に対する貧困削 大され、最も貧しく、脆弱な地域社会にさらなる重点 (9000万ドル) 減・経済運営融資」 などがあります。 「アンドラ・プラデ が置かれるようになる予定です。 シュ州農村貧困削減プロジェク (1億500万ドル) ト」 に は地域の学校を増やし、女児の就学率を高めるプロ 貧しい人々のエンパワーメント グラムが含まれています。また、バングラデシュを対 象とした (1820万ドル) 「社会投資プログラム」 も承認 貧困削減戦略は南アジア地域における世銀の活動 されました。これはシビルソサエティとNPOの協力を の中心を占めています。世銀の貧困削減戦略の目的 得て、地方自治体や村組織の能力を高めることで、 は、生計を改善する機会をすべての住民に提供する 社会から排除されている弱い立場の集団(特に最貧 こと、そして住民が開発に参加し、成長の利益を享受 困層と女性)に手を差し伸べることを目指したもので することを妨げている要因を排除することです。世銀 「バングラデシュ開発支援融資」 す。 は、財務管理全般 は分析・助言サービスと融資の両方を通して、貧しい と調達機能を改善し、公共セクターの説明責任を強 人々のエンパワーメントに取り組んでいます。重点分 化することで、公共セクター支出の管理を改善するこ 野は万人のための教育と健康、そして貧しい人々に とを目指しています。スリランカに対しては「貧困削減 配慮した農村開発の2つです。 支援融資(PRSC)」が提供されました。この融資をも 世銀は社会セクターに力を入れていますが、その とに、スリランカは公共セクターのガバナンスを改善 中でも特にジェンダーの平等の促進を重視していま し、農村開発を加速し、福祉制度を整備する予定で 第5章 地域別展望 101 す。ネパールでは投資プロジェクトを実施し、教育、 保健・医療、灌漑、および給水施設の管理を地域社 会に移管する政府の取り組みを支援しています。 国際優先項目:HIV/エイズ 現在、南アジアには約410万人のHIV/エイズ感染 者がいます。インドでは総人口に対する感染者の割合 は依然として低いものの、感染者の絶対数でいえば、 世界有数のエイズ感染国となっています。インド以外 の南アジア諸国でも、総人口に対する感染者の割合 は低いものの、ハイリスク集団における感染率はきわ めて高くなっています。 スリランカとパキスタンについては、全国規模の感 染防止策を講じる手段が限られているという理由か ら、2003年度に2件のエイズ対策プロジェクトが承認 されました。これは同様のプログラムがその他の南 アジア諸国で高い成果をあげていることをふまえた ものです。スリランカの「全国HIV/エイズ予防プロ ジェク (1260万ドル) ト」 は、感染予防と感染者に対す る偏見の解消に重点を置いています。パキスタンの 「全国HIV/エイズ予防プロジェク (3710万ドル) ト」 は HIVが弱い立場の集団に蔓延し、一般成人人口に拡 大するのを防ぐと共に、スリランカのプロジェクトと同 様に、感染者に対する偏見を解消することを目指して います。 世銀は融資業務に加えて、南アジア地域内の交流 南アジアの多くの人々にとって、水の確保は今も時間のかかる重労働 です。写真は公共の井戸から水を運ぶカブールの女性です。 を促進し、各国が教訓、有効な予防方法、また研究 図5.5 南アジア地域:IBRD とIDAのテーマ別融資 図5.6 南アジア地域:IBRD とIDAのセクター別融資 2003年度 2003年度 総額29億ドルに占める割合 総額29億ドルに占める割合 環境・天然資源管理  経済政策管理  給水・衛生・治水  農業・漁業・林業 7% 3% 4% 1% 農村開発  公共セクター運営 16% 法律・司法・行政  14% 13% 都市開発   <1% 法規 <1% 情報・通信  運輸  <1% 38% 人的開発  19% 金融・民間セクター  教育 12% 開発 24% 社会開発・   エネルギー・鉱業  金融 6% ジェンダー・参加 7% 5% 社会的保護・   貿易・統合  産業・貿易  保健・   リスク管理 6% 7% 5% その他の社会サービス 13% 102 世界銀行 年次報告 2003 表5.3 南アジア地域に対するテーマ別、セクター別融資 1994–2003年度 (単位:100万ドル) 1994–97 1998–99 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 テーマ別 経済政策管理 40.1 85.3 35.2 47.4 232.5 123.5 公共セクター運営 37.3 254.9 212.7 261.0 678.0 467.3 法規 41.9 89.1 56.5 36.1 59.3 12.5 金融・民間セクター開発 682.2 639.2 265.4 865.9 381.6 689.1 貿易・統合 0.0 84.5 29.4 398.3 70.0 197.3 社会的保護・リスク管理 137.4 162.8 168.0 118.4 164.0 184.4 社会開発・ジェンダー・参加 361.8 328.9 261.5 240.5 414.2 197.3 人的開発 308.1 627.5 276.2 124.8 30.2 546.9 都市開発 210.6 297.1 300.7 186.8 766.2 2.6 農村開発 353.0 377.0 426.1 379.5 417.2 403.7 環境・天然資源管理 407.5 266.8 80.8 587.8 295.2 94.2 テーマ別総額 2,580.0 3,213.2 2,112.4 3,246.6 3,508.4 2,918.7 セクター別 農業・漁業・林業 298.0 534.4 65.0 116.1 328.1 212.6 法律・司法・行政 269.4 436.3 407.0 377.4 632.5 372.3 情報・通信 11.8 35.3 54.6 17.7 12.4 11.5 教育 324.2 385.1 171.4 206.4 95.9 364.6 金融 239.9 168.2 46.0 209.7 310.0 185.8 保健・その他の社会サービス 439.2 589.3 393.3 188.1 278.7 369.0 産業・貿易 121.4 68.3 85.3 34.0 443.1 144.9 エネルギー ・鉱業 360.6 545.9 277.8 746.2 504.8 150.6 運輸 297.6 354.1 590.6 1,294.3 758.1 1,067.6 給水・衛生・治水 304.9 96.4 21.4 56.8 144.9 40.0 セクター別総額 2,580.0 3,213.2 2,112.4 3,246.6 3,508.4 2,918.7 うち、IBRD融資額 961.7 1,034.0 934.3 2,035.0 893.0 836.0 IDA融資額 1,618.2 2,179.2 1,178.1 1,211.6 2,615.4 2,082.7 注:新たなテーマ・セクター分類システム (68テーマ、57セクター)に従って、融資を11の主要テーマと10の主要セクターに分けて示した。35頁の表 2.2参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 戦略を共有できるよう支援しています。また、移住や 習プログラムが実施されました。たとえば、南アジア 人身売買の問題に対処するための国家間協調も支援 地域のHIV/エイズ問題を扱うジャーナリストを対象に しています。世界銀行研究所(WBI)は対面式のプロ 「エイズと戦略的コミュニケーショ と題された研修 ン」 グラムや遠隔研修プログラムを使って、南アジア地域 コースが実施されたほか、財政分散と地方政府、農 のキャパシティ・ビルディングに取り組んでいます。 業 貿 易と世 界 貿 易 機 関(WTO)に 関 するキャパシ 2003年度にはさまざまなテーマについて、多彩な学 ティ・ビルディングも行われました。 第5章 地域別展望 103 世銀融資適格国 アゼルバイジャン アルバニア アルメニア ウクライナ ヨーロッパ・中央アジア 盟準備国やその他の中所得国に対しては、知識 ウズベキスタン エス トニア 地域 サービスや知識経済開発関連のプログラムの比率 が高まっています。また、金融危機の発生以降、 カザフスタン キルギス共和国 2002年のヨーロッパ・中央アジア地域は4.6%と 著しい進歩を遂げたトルコでは、持続可能な成長 グルジア いう堅実な経済成長率を達成しました。ただし、 とマクロ経済の安定に必要な構造改革に重点が置 クロアチア スロバキア共和国 域内の準地域レベルでは成長率に差が見られ、中 かれています。 スロベニア 央・東ヨーロッパ諸国は平均2.9%、独立国家共同 セルビア・ モンテネグロ 体(CIS)諸国は平均4.7%でした。トルコ経済は タジキスタン 2001年の急激な景気後退から立ち直り、2002年は チェコ共和国 7.8%の成長を記録しました。ヨーロッパ・中央アジ トルクメニスタン トルコ ア地域では8ヶ国が5%を超える高成長率を達成 囲み5.5 成果と課題 ハンガリー しています。キルギス共和国は唯一のマイナス成 ブルガリア ベラルーシ 長国となりました(GDPでマイナス0.5%)。これは 最近発表された2つの研究報告は、ヨーロッパ・ ボスニア・ 金と電力生産が一時的に落ち込んだことによるも 中央アジア(ECA)諸国が成し遂げた進歩と、依然 ヘルツェゴビナ ポーラン ド のです。 として残されている深刻な開発課題の両方を浮き彫 マケ ドニア旧ユーゴ 近年、ヨーロッパ・中央アジア地域ではCIS諸国 りにするものでした。 スラビア共和国 モルドバ と東南ヨーロッパの貧困国の方が、中央・東ヨー その1つは2002年に実施された「企業環境・企業 ラトビア ロッパ諸国よりも高い成長率を達成する傾向にあ 業績調査(BEEPS)」です。この調査は1999年以来、 リトアニア ルーマニア ります。しかし、貧困や人的開発の水準、持続可 投資環境が全般に大きく改善されたことを示してい ロシア連邦 能な成長の条件といった面では、依然として大き ます。収益に対する「賄賂税」の比率も縮小傾向に な格差が存在します。国民一人当たり所得はスロ あり、汚職もそれほどの負担にはなっていないと見 ※この項ではコソ ボ、セルビア、モン ベニアの1万70ドルからタジキスタンの200ドルまで 込まれています。CIS諸国や東南ヨーロッパの貧困 テネグロについても 幅広く、貧困率も域内の貧しい国々では50%以上 国では、基本的なインフラ・サービスが十分に提供 報告する。 に達しているのに対し、中央・東ヨーロッパのほと されていません。また、中小企業の成長率はCIS・ んどの国では一桁にすぎません。 東南ヨーロッパより、中央・東ヨーロッパの方が こうした多様性をふまえて、世銀は国別援助プ 勝っていることが分かりました。 ログラムを準地域ごとに調整しています。また、セ もう1つの研究はヨーロッパ・中央アジア地域の クター戦略は隣接国が共通の問題に対処すること 20ヶ国を対象に行われた「ECAにおける人的開発 ができるように、準地域レベルの協調を促進するよ MDGsの達成」です。この研究により、この地域の多 うに配慮されています。貧困削減の課題が最も深 くの国、特にIDA諸国は人的開発に関するMDGsを 刻なのはCIS諸国と東南ヨーロッパ諸国です。世 少なくとも1つは達成できない可能性があり、保健・ 銀はヨーロッパ・中央アジア地域の中でも、これら (子供の死亡率、 医療関係のMDGs 妊産婦の死亡率、 の国々での活動に力を入れるようになっており、特 およびHIV/エイズ)については、特に達成が危ぶま に貿易・輸送、インフラ、および環境分野の制度構 れていることが分かりました。 築と準地域間協力に重点を置いています。EU加 104 世界銀行 年次報告 2003 ヨーロッパ・中央アジア地域のファクト・シート 総人口:5億人 人口増加率:0.1% 世銀の援助 平均寿命:69歳 乳幼児死亡率 :31 (出生1000件当たり) 若い女性の非識字率:1% ヨーロッパ・ 世銀は政策改革、 中央アジア地域では、 2002年の一人当たり国民総所得 :2,160ドル (GNI) 制度構築、および成長と貧困削減を持続させるため エイズ感染者数:120万人 の投資に力を入れています。2003年度の融資総額は 注:平均寿命、乳幼児死亡率 (出生1000件当たり)、および若い女性の非識字率は2001 27億ドルでした(IDA融資が6億ドル、IBRD融資が21 年の「世界開発指標」データベース、 その他の指標は2002年の同データベースの数字。 億ドル)。地球環境ファシリティの融資承認総額は 現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得 (GNI)が使用されています。 2730万ドルでした。助言サービスの分野では81件の 分析報告書が作成され、地域全体で63件の技術支援 2003年度の 2003年度の 契約が結ばれました。また、世銀はコソボとセルビ 新規融資承認額 融資実行額 ア・モンテネグロ に対 (旧ユーゴスラビア連邦共和国) IBRD:20億8920万ドル IBRD:18億9300万ドル する技術支援戦略、ボスニアに対する国別援助戦略 IDA:5億8080万ドル IDA:5億9030万ドル (CAS)の進捗報告、アゼルバイジャン、キルギス共和 2003年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート 国、ポーランド、タジキスタン、およびトルコに対する フォ リオ:151億ドル 国別援助戦略 を理事会に提出しました。アゼ (CAS) ルバイジャン、キルギス共和国、およびタジキスタン のCASは、各国が作成した貧困削減戦略文書(PRSP) に沿って作成されたものです。 投資環境の構築 近年の高成長はこの地域の投資環境が大幅に改善 されたことを示しています。最近行われたビジネス環 境調査の結果は、投資環境の変化を企業の視点から 裏づけるものでした(囲み5.5参照)。しかし、この調査 はまだ広い範囲で改善の余地が残されていることを 明らかにするものでもありました。世銀は政策改革と 制度構築を通して、マクロ経済の安定維持、貿易の 「アルメニア社会投資基金 現在、 」 (ASIF) のもとで約268件の小規模 促進、公共・民間セクターのガバナンス強化、汚職の プロジェクトが進んでいます。1996年以来、 学校の修復、 病院・診療 所に対する財政支援、および給水システムの再建を通して、 低所得地 削減、金融システムの強化、および経済活動を支える 域に暮らす60万人以上の人々に便益がもたらされました。 物的インフラの整備に取り組んでいます。 世銀は投資環境問題の根本原因となっている歪ん だインセンティブの是正と、脆弱な制度能力の強化に 貧しい人々のエンパワーメント 取り組んでいます。また、複数関税率、複雑な税関手 続といった「投資を遠ざける」政策の特定とその改革 ヨーロッパ・中央アジア地域全体としては、人的開 を支援すると共に、独立規制機関の設置を通して、制 発に関する指標は高い水準を維持しています。しか 度構造と執行状況の改善を支援しています。また、 し、より体系的な手法を用いて詳細な分析を実施し 公共セクターの効率を高めるために、市民参加、透明 たところ、この地域の貧しいIDA諸国については、 性、説明責任を促進し、関税、税務、財務といった主 MDGsの主要な人的開発目標を達成する可能性は低 要行政機能の強化を支援しています。 いことが分かりました(囲み5.5参照)。これは人的開 発や社会福祉に関するプログラムの質が、ずさんな 計画と資金不足が原因で低下していることによるもの です。 人的開発の分野では、世銀は保健・医療や教育 第5章 地域別展望 105 重点を置き、政府が初等、中等、高等教育の提供と 資金調達、サービスの現代化、職員配置の合理化、 行政管理の改善といった役割をバランスよく果たすこ とができるよう支援しています。社会的保護の分野で は、政府の予算規模に応じた社会事業の整理統合、 公共・民間セクターの役割分担の整理(年金の資金供 給と給付の切り分けなど)、貧困層に対する注目の喚 起、および労働意欲の改善を支援しています。 国際優先項目 ヨーロッパ・中央アジア地域においては、世銀は次 のような国際優先項目に重点を置いています。 万人のための教育(EFA) この地域では現在、EFAのファースト・トラック・イニ シアティブ(FTI)の適格国となっているのはアルバニ アのみです。しかし、世銀は分析調査の結果、さらに 8ヶ国が「万人のための教育」を達成するために支援 を必要としていると考えています。現在、世銀はその うちの最も貧しい2国 をFTI (モルドバとタジキスタン) の対象国とするための取り組みに力を入れています。 HIV/エイズ 人口に対するエイズ感染者の割合でいうと、ヨー ロッパ・中央アジアは世界で最も急速にHIV/エイズの 感染が進んでいる地域です。2002年には新たに25万 ボスニア・ヘルツェゴビナでは 「文化遺産のためのパイロット・プロ 人がエイズに感染し、地域全体の感染者は120万人 (1350万ドル) ジェクト」 の一環として、16世紀に建てられたスタ に達したと見られています。この地域の13ヶ国につ リ・モスト(「古い橋」)が再建されています。橋の再建作業は世銀のほ か、多数の政府・国際組織の財政・技術支援を基に行われています。 いては、優先的な配慮がなされない限り、MDGsを達 成することはできないと予測されています。HIV/エイ ズ関連では新たにロシアとウクライナに対するプロ サービスのアクセスと質を改善するためのインセン ジェクトが承認されました。ベラルーシのプロジェク ティブに注目しています。エンパワーメントによって受 トは着実に進展しています。モルドバにはIDAグラン 益者の発言権が拡大すれば、サービスの提供範囲を トが供与されました。世銀はウェブサイトにこの地域 広げ、質の改善を求めることが可能となります。世銀 のHIV/エイズ問題に特化したページを開設しました。 は受益者の要請に応えるサービス提供業者の取り組 この特別サイトではエイズがロシアに及ぼす経済的影 みも支援しています。また、エンパワーメントを補完す 響が、統計・経済モデルを用いて分析されています。 るものとして、世銀は地方分権化を進めるプロジェク トを支援し、サービスの提供状況に基づいて資金を 妊産婦と子供の健康 割り振るような融資手法を取り入れているほか、開発 ヨーロッパ・中央アジア地域の一部の国は、妊産婦 計画の策定に関係者を参加させ、サービスの提供に と子供の健康に関するMDGsを達成するために優先 地域社会主導の開発アプローチを取り入れています。 的な配慮を必要と (アルバニア、 しています アルメニア、 一方、サービスの提供面では公共セクターの改革に コソボ、モルドバ、カザフスタン、キルギス共和国、タ 106 世界銀行 年次報告 2003 図5.7 ヨーロッパ・中央アジア地域:IBRDとIDAの 図5.8 ヨーロッパ・中央アジア地域:IBRDとIDAのセ テーマ別融資 2003年度 クター別融資 2003年度 総額27億ドルに占める割合 総額27億ドルに占める割合 環境・天然資源管理 5% 経済政策管理 1% 運輸  給水・衛生・治水 2% 1% 農村開発  公共セクター運営 12% エネルギー・鉱業  農業・漁業・林業  7% 10% 13% 都市開発  法規  産業・貿易  8% 10% 10% 法律・司法・   行政 26% 人的開発  20% 金融・民間  保健・ その他の  セクター開発 19% 社会サービス  16% 情報・通信  社会開発・   金融 7% <1% ジェンダー・参加 2% 社会的保護・   貿易・統合 5% 教育 15% リスク管理 11% ジキスタン、およびトルコ)。これは国内の政策や制度 グルジア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーラン が十分ではないことによるものです。世銀はこれらの ド、スロバキア、およびスロベニアでは「金融セクター 借入国と連携して、妊産婦と子供を対象とした保健・ (FSAP) 審査プログラム 」が完了しました。このうちの 医療プログラムの強化に取り組んでいます。 数ヶ国ではフォローアップの技術支援プログラムが進 行中です。世銀は新たにキルギス共和国、ロシア連 給水と衛生 邦、およびウクライナの審査を開始しました。2002年 世銀のヨーロッパ・中央アジア地域局は、給水・衛 末、世銀はマネーロンダリング防止に関する地域会議 生関連のMDGs達成に向けて、重点支援の対象とな を開催しました。 る8ヶ国を選定しました。これらの国が選ばれたのは、 今後3〜5年で大幅な進歩を遂げ、MDGsを達成する 環境保護 見込みが高いためです。 世銀はキエフで開催された地域の「環境閣僚会議」 を支援しました。会議では世銀の水資源、生物多様 貿易 性、持続可能な開発、およびMDGsの達成に関する地 アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア、キルギス 域戦略が取り上げられました。世銀は各国のPRSPプ 共和国、モルドバ、ロシア、およびウクライナでは国別 ロセスを支援し、環境と貧困の関連性を分析しまし の分析調査が完了、または実施中です。CIS諸国のう た。また、環境管理費や国別開発戦略と環境の関連 ちIDA適格国と東南ヨーロッパ諸国については地域 性を分析するパイロット・プログラムを完了しました。 研究が完了しました。アルメニアと東南ヨーロッパで 世銀の地球環境ファシリティ(GEF)ポートフォリオには は貿易管理を強化し、貿易を促進するための融資活 新たにバルト海地域、リトアニア、カザフスタン、およ 動が進んでいます。 び ル ー マ ニ ア の プ ロ ジェクト が 加 わりまし た 。 IBRD/IDAのポートフォリオにはクロアチア、グルジア、 投資環境と金融 カザフスタン、およびルーマニアの環境関連プロジェ ブルガリア、クロアチア、チェコ共和国、エストニア、 クトが加わりました。 第5章 地域別展望 107 表5.4 ヨーロッパ・中央アジア地域に対するテーマ別、セクター別融資 1994–2003年度 (単位:100万ドル) 1994–97 1998–99 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 テーマ別 経済政策管理 386.2 723.2 98.6 127.4 636.1 19.5 公共セクター運営 400.3 547.7 227.8 95.6 1,313.7 319.2 法規 79.2 80.1 160.2 77.4 106.6 265.5 金融・民間セクター開発 1,826.3 1,908.0 890.7 1,074.0 2,210.8 512.9 貿易・統合 259.3 91.6 143.5 138.4 32.5 120.2 社会的保護・リスク管理 248.9 575.6 530.1 381.2 363.9 288.8 社会開発・ジェンダー・参加 48.1 126.9 43.6 65.1 188.8 55.9 人的開発 211.0 217.6 278.9 51.1 138.3 553.7 都市開発 301.7 248.9 153.6 383.9 65.4 216.7 農村開発 231.1 331.5 213.4 137.6 309.9 194.9 環境・天然資源管理 384.5 404.3 301.7 161.3 157.5 122.7 テーマ別総額 4,376.7 5,255.1 3,042.2 2,693.1 5,523.6 2,670.0 セクター別 農業・漁業・林業 197.7 114.5 317.8 139.0 470.4 335.4 法律・司法・行政 863.8 1,568.5 796.4 445.2 2,170.9 697.8 情報・通信 69.9 4.5 151.9 8.7 9.6 1.0 教育 86.0 299.2 22.7 62.5 83.2 395.0 金融 525.6 484.0 176.6 803.6 1,295.9 196.8 保健・その他の社会サービス 304.8 359.7 277.8 281.9 524.7 415.3 産業・貿易 792.9 817.4 604.7 296.5 552.1 269.0 エネルギー・鉱業 915.2 849.2 398.6 336.6 218.0 262.9 運輸 518.4 533.1 207.1 118.3 67.1 30.6 給水・衛生・治水 137.3 225.0 88.5 200.7 131.7 66.3 セクター別総額 4,376.7 5,255.1 3,042.2 2,693.1 5,523.6 2,670.0 うち、 IBRD融資額 3,949.6 4,406.3 2,733.1 2,154.0 4,894.7 2,089.2 IDA融資額 427.1 848.8 309.1 539.0 628.9 580.8 注:新たなテーマ・セクター分類システム (68テーマ、57セクター)に従って、融資を11の主要テーマと10の主要セクターに分けて示した。35頁の表 2.2参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 108 世界銀行 年次報告 2003 世銀融資適格国 アルゼンチン アンティグア・ ラテンアメリカ・カリブ海 カ・カリブ海地域からの輸出品に対する需要を抑 バーブーダ ウルグアイ 地域 制し、輸出成長率は2000年の11.9%から2002年は 1.2%に落ち込みました。観光収入と出稼ぎ労働者 エクアドル エルサルバドル ガイアナ ラテンアメリカ・カリブ 海 地 域 の 国 内 総 生 産 からの送金も芳しくない結果となりました。 グアテマラ (GDP)成長率は2001年の0.4%から、2002年には ブラジルでは経済の基礎的条件が整っていたに グレナダ コスタリカ さらに0.8%収縮しました。これは主にアルゼンチ も関わらず、大統領選挙に伴う不確実性、債務問 コロンビア ン、ベネズエラ・ボリバル共和国、およびウルグア 題に対する懸念、および地域内外の金融情勢の影 ジャマイカ スリナム イの深刻な不況によるものです。この3国を除いた 響によって投資家の信頼が弱まり、資本流入額の セン トクリス トファ ー・ ラテンアメリカ・カリブ海地域のGDP成長率は2001 伸びと景気回復を減速させることになりました。し ネーヴ ィス セン トビンセン ト 年の1.1%からわずかに持ち直し、2002年は1.6% かし、チリ、コロンビア、エクアドル、メキシコ、ペ およびグレナ となりました。 ルー、そしてほとんどの中央アメリカ・カリブ海諸国 ディーン諸島 セン トルシア アルゼンチンの2002年のGDP成長率はマイナス は、商品価格の低下と借入コストの上昇という不 チリ 10.9%となりました。この背景には兌換制の放棄、 利な条件があったにも関わらず、すばらしい回復 ドミニカ共和国 大幅な通貨切り下げ、対外債務不履行、深刻な銀 力をみせました。 ドミニカ国 トリニダー ド・トバゴ 行・金融危機、およびマクロ経済政策に対する合 ニカラグア 意の欠如などがあります。2002年下半期には回復 ハイチ パナマ の兆しが見られたものの、アルゼンチンの危機は 世銀の援助 パラグアイ 隣接するボリビア、パラグアイ、およびウルグアイの ブラジル ベネズエラ ・ 輸出と観光産業に影響を及ぼすと共に、出稼ぎ労 貧困率の上昇は、経済危機がこの地域にもたら ボリバル共和国 働者によるボリビアとパラグアイへの送金額を減少 した最も破壊的な結果となりました。ブラジルでは ベリーズ ペルー させました。アルゼンチンが預金を凍結したこと この10年間、ソブリン債に対する利払いがピーク ボリビア により、ウルグアイの銀行に預金引出が殺到し、ウ に 達したことが 貧 困 の 悪 化と重 なって います。 ホンジュラス メキシコ ルグアイの状況はさらに悪化しました。全体として、 2002年における地域全体での景気後退が貧困に アルゼンチンの危機はウルグアイ経済を11%近く縮 及ぼした影響を測る指標はないものの、アルゼン 小させることになりました。一方、ベネズエラでは内 チンのアナリストは国民の半数以上が貧困に陥っ 政の混乱により投資が大幅に落ち込み、大量の資 たと予測しています(1990年代半ばに、アルゼンチ 本が流出した上に、2002年末には全国ストライキが ンの全人口に占めた貧困層の割合は約3分の1)。 発生し、結果としてGDPは8.9%収縮しました。 社会福祉と金融セクター支援に対するニーズが急 また、世界経済はすべてのラテンアメリカ・カリ 速に高まったことを受けて、世銀はアルゼンチン ブ海諸国に深刻なダメージをもたらしました。先進 の貧困世帯を対象とする所得移転プログラムに6 国は低金利だったにも関わらず、この地域への民 億ドルの支援を行ったほか、隣接するウルグアイが 間資本の流入額は前年よりも310億ドル(率にして この危機に対処できるように2件の構造調整融資 40%) を承認しました。この緊急援 減少しました。外国直接投資の純額も2001 (総額3億300万ドル) 年の620億ドルから2002年には460億ドルに減少し 助の結果、2003年度のラテンアメリカ・カリブ海地 ました。米国とヨーロッパの低成長もラテンアメリ 域に対する融資総額は58億ドルにのぼりました。 第5章 地域別展望 109 ラテンアメリカ・カリブ海地域のファクト・シート 総人口:5億人 人口増加率:1.5% 平均寿命:71歳 投資環境の構築 乳幼児死亡率 :28 (出生1000件当たり) 若い女性の非識字率:5% グアテマラでは現在、世銀の金融セクター構造調 2002年の一人当たり国民総所得 :3,280ドル (GNI) 整融資(1億5000万ドル)のもとで、大規模な金融シス エイズ感染者数:170万人 テムの改革が進んでいます。この改革には銀行関連 注:平均寿命、乳幼児死亡率 (出生1000件当たり)、および若い女性の非識字率は2001 法の整備、マネーロンダリング対策、農村・都市部の 年の「世界開発指標」データベース、 その他の指標は2002年の同データベースの数字。 現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得 (GNI)が使用されています。 貧困層に対する融資・金融サービスの提供などが含 まれています。エルサルバドル、グアテマラ、および 2003年度の 2003年度の ニカラグアに対しては、競争力の改善を目指すプロ 新規融資承認額 融資実行額 ジェクトに4130万ドルの融資が行われました。また、 IBRD:56億6780万ドル IBRD:64億5620万ドル 米国との自由貿易協定交渉に備えて、これらの国とコ IDA:1億5270万ドル IDA:3億2220万ドル スタリカおよびホンジュラスに分析・助言サービスが 提供されました。 2003年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート 健全な投資環境を育成できるかどうかは、その国 フォ リオ:198億ドル にスキル、技術、およびイノベーションを用いて生産 性を高める能力があるかどうかにも関わっています。 今年発表された世銀の研究報告書「教育と技術の格 差解消に向けて」は、教育への投資と共に、研究開 発分野への民間投資を促進するインセンティブを設け ることを政府に提言するものでした。ラテンアメリカ・ カリブ海地域では、中等学校への入学者数は1970年 の2倍に増えたものの、修了率はその他の地域よりも 「知識と技術の格差」 劣っている場合が多く、 を生み だしています。世銀はブラジル、コロンビア、ドミニカ 共和国、ジャマイカ、メキシコ、ニカラグア、およびウ ルグア 「知識と技術の イの就学率と教育の質を高め、 格差」を解消するためのプロジェクトに融資を行って エクアドルのエスメラルダで行われた会合で、シビルソサエティの代 います。 表者が世銀の支援する「先住民族・アフリカ系住民開発プロジェクト」 投資家を引きつけ、継続的な資金流入を確保する について発言しています。 ためにはガバナンスの強化が不可欠です。もちろん、 良好なガバナンスが堅実な経済運営と公共サービス の提供を促進することはいうまでもありません。世銀 融資業務以外では、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、 はこの分野のさまざまなイニシアティブを支援してい ホンジュラス、ニカラグア、ペルー、およびベネズエ ます(例:エルサルバドルとホンジュラスの司法制度 ラ・ボリバル共和国に対する援助戦略を改訂したほ の現代化、ガイアナの公共セクターを対象とした技術 か、ジャマイカとウルグアイに関する進捗報告書とハ 支援、ボリビアの地方分権化促進、ブラジル、メキシ イチに関する国別再介入ノートを作成しました。また、 コ、およびニカラグアの地方行政管理の改善など)。 ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、および パラグアイの新政府に対して時宜を得た政策ノートを 作成しました。これらの戦略は投資環境を整備するこ ミレニアム開発目標の達成に向けて と、そして水、保健・医療、教育、電力、および運輸 といった分野に投資を行うことで、貧困層の状況を 世銀はミレニアム開発目標(MDGs)、特に子供の死 改善することに重点を置いています(囲み5.6参照)。 亡率の削減を達成するために、各国の政府と協力し て貧しい人々に対する水・衛生サービスの提供に取 り組んでいます。清潔な水は子供の健康にとっても、 110 世界銀行 年次報告 2003 囲み5.6 効果的な貧困削減戦略のための統計 貧困削減戦略が効果をあげるためには、貧困層の生活条 ビルディングに取り組んでいます。MECOVIは各国の統計 件に関する正確なデータが必要です。人口のどの部分が貧 機関に技術支援を行うことで、各機関が貧困に関する世帯 困にあえいでいるのか、貧困層はどこに住み、どのような生 調査を実施し、所得、消費、およびサービスの提供状況に 活を営み、何を必要としているのか。こうした問いへの詳細 ついての情報を収集できるよう支援しています。このプロ な答えがなければ、資源をプロジェクトの質に合わせて適 グラムはすでにグアテマラ、パラグアイ、およびペルーで 切に配分することも、的を射た参加型の政策やプログラム 完了し、新たに7ヶ国で実施中です。MECOVIは統計に対 を構築することもできません。 する意識を高めるイベントや、地域のすべての国を対象と ラテンアメ 「生活条件 リカ・カリブ海地域の10ヶ国では、 した貧困評価と調査手法に関する研修も実施しています。 調査改善プログラム(MECOVI)」を通して、統計データの精 過去の研修では、先住民族やアフリカ系住民の意見を政策 度を高める取り組みが進んでいます。MECOVIは世銀、米 立案に反映させるために、統計データに人種や民族を統合 州開発銀行、および国連のラテンアメリカ・カリブ海経済委 する方法などが取り上げられました。 員会が支援するプログラムで、途上国の統計キャパシティ・ 大人の健康にとっても不可欠です。ラテンアメリカ・カ リブ海地域では、2000年に浄化水源を利用できる 人々の割合が85%に達しましたが、80%を下回って いる国もまだ存在します。世銀の水セクターへの財 政・技術支援では、水・衛生サービスを貧困層に拡 大するため、公的資金と民間資本の両方を動員した さまざまなアプローチが用いられています。たとえば、 130万人の農村部住民に水サービスを提供することを 目指すペルーのプロジェクト(5000万ドル)には、給 水・衛生設備と井戸の再建コストの支援、節水の促 進、リマの公共水利施設の効率化とサービスの改善 などが含まれています。このプロジェクトの結果、60 万人のスラム居住者に初めて水関連のサービスが提 供されました。 ラテンアメリカ・カリブ海地域では、保健・医療、基 礎教育、およびインフラの分野に追加支援が投入され ホンジュラスのパラシオスの公立病院で健康診断を受ける子供。世銀 はホンジュラスの保健・医療制度改革を支援しています。保健・医療 ない限り、多くの国が2015年までにMDGsを達成する サービスがよりよく管理され、 貧しい人々にサービスが提供されるよ ことはできないと考えられています。2003年度におい うになれば、妊産婦、乳幼児、および子供の死亡率は下がり、HIV/エ イズの蔓延を防ぐことが可能になります。 ても、世銀は引き続きメキシコの保健・医療サービス の拡大に取り組みました。これは1996年に始まったプ ロジェクトで900万人以上の遠隔地住民と先住民族を 対象とする基本的サービス拡大の成功を受けたもの ジェクトが進行中です。 です。対象者の多くはそれまで保健・医療サービスを 現在、世銀はラテンアメリカ・カリブ海地域で80件 受けたことのない人々でした。HIV/エイズ予防の分 の環境保護プロジェクト を支援してい (合計23億ドル) 野でも政府とのパートナーシップは深まり、グレナダ ます。2002年11月にはジェームズ・D・ウォルフェンソ とセントクリストファー・ネーヴィスでは新しいプロジェ ン総裁がブラジルのベレンでアマゾンの指導者と会 クトが始まりました。バルバドス、ブラジル、ドミニカ 合を持ち、アマゾン地域を持続可能な形で管理する 共和国、およびジャマイカでも世銀の支援するプロ ためのブラジルの戦略を議論しました。世銀は「ブラ 第5章 地域別展望 111 図5.9 ラテンアメリカ ・カリブ海地域:IBRDとIDAの 図5.10 ラテンアメリカ ・カリブ海地域:IBRDとIDAの テーマ別融資 2003年度 セクター別融資 2003年度 総額58億ドルに占める割合 総額58億ドルに占める割合 農村開発  環境・天然資源管理 4% 給水・衛生・治水  農業・漁業・林業 1% 7% 7% 経済政策管理 10% 運輸 3% 法律・司法・行政  エネルギー ・  26% 都市開発  公共セクター  鉱業 2% 7% 運営 14% 産業・   情報・通信  法規  人的開発  貿易 3% 1% 2% 20% 金融・民間  教育 13% セクター開発 15% 保健・その他の  社会サービス 27% 金融 17% 社会開発・   貿易・統合  ジェンダー・参加 2% 1% 社会的保護・リスク管理  18% ジル熱帯雨林保護パイロット・プログラム」の調整役と メソアメリカ生物回廊は自然地域、緩衝帯、およびそ して、この戦略を支援しました。このパイロット・プロ の連結部分からなる地域の生態系であり、約2万4000 グラムはブラジル、EU、G7、およびオランダが拠出し 種の植物と、500種以上の哺乳動物が暮らしています。 た3億4000万ドルをもとに運営されています。 2002年12月 ドナー、 にはこの回廊に参加する各国政府、 現在、メキシコと中央アメリカでも同様の生物多様 およびパートナーの間で新たな事業計画が合意され、 性保護プロジェクトが進んでおり、世銀は7ヶ国と共 すでに決定している4億ドルのプロジェクトに、新たに 「メソア に メ の保護に取り組んでいます。 7000万ドルのプロジェク リカ生物回廊」 トが加わりました。 112 世界銀行 年次報告 2003 表5.5 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対するテーマ別、セクター別融資 1994–2003年度 (単位:100万ドル) 1994–97 1998–99 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 テーマ別 経済政策管理 359.9 694.0 587.6 570.1 391.0 567.2 公共セクター運営 516.1 825.2 519.9 1,099.7 1,182.8 798.6 法規 70.1 94.1 111.7 202.2 15.5 88.8 金融・民間セクター開発 1,115.0 1,626.9 1,056.1 985.4 965.4 864.8 貿易・統合 119.2 144.6 160.7 218.3 83.9 64.6 社会的保護・リスク管理 453.3 1,002.4 901.2 530.0 310.4 1,071.3 社会開発・ジェンダー・参加 259.8 359.1 141.5 371.7 248.9 123.1 人的開発 617.9 786.9 157.7 471.2 560.4 1,150.7 都市開発 507.6 576.9 53.3 202.0 251.9 435.2 農村開発 442.4 613.3 103.0 580.8 168.3 415.9 環境・天然資源管理 490.7 164.8 270.8 68.8 187.4 240.3 テーマ別総額 4,951.8 6,888.3 4,063.5 5,300.1 4,365.8 5,820.5 セクター別 農業・漁業・林業 253.0 326.4 104.1 72.3 85.0 58.4 法律・司法・行政 1,018.3 2,208.9 1,787.8 1,722.9 1,299.5 1,556.9 情報・通信 16.9 17.2 28.7 97.8 16.5 52.4 教育 631.8 659.8 62.8 529.1 560.4 785.5 金融 747.7 1,089.5 1,195.1 950.5 734.1 981.0 保健・その他の社会サービス 550.9 1,150.5 360.2 904.7 660.5 1,574.1 産業・貿易 83.7 204.2 165.3 38.3 51.4 183.4 エネルギー ・鉱業 184.9 98.1 79.3 107.6 445.6 96.2 運輸 872.9 875.6 11.6 650.3 463.1 146.4 給水・衛生・治水 595.9 258.0 268.7 226.6 49.8 386.2 セクター別総額 4,951.8 6,888.3 4,063.5 5,300.1 4,365.8 5,820.5 うち、IBRD融資額 4,658.6 6,406.4 3,898.1 4,806.7 4,188.1 5,667.8 IDA融資額 293.2 481.9 165.4 493.4 177.8 152.7 注:新たなテーマ・セクター分類システム (68テーマ、57セクター)に従って、融資を11の主要テーマと10の主要セクターに分けて示した。35頁の表 2.2参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。2003年度、世銀はカリブ海地域を対象とした多数国エイズ予防・管理対応プロ グラム融資 (APL)の下で、3つのプロジェクトを承認した (グレナダ、 セントクリストファー・ネーヴィス、およびトリニダード・トバゴを対象と 。 したもの) 3つのプロジェク トに対する新規融資承認総額は合計3010万ドルとなった。 第5章 地域別展望 113 世銀融資適格国 アルジェ リア イエメ ン共和国 イ イ ラク ラン ・ イスラム 中東・北アフリカ地域 世銀の援助 共和国 エジプ ト・アラブ 2002年、中東・北アフリカ地域ではイラク戦争と 2003年度においても、中東・北アフリカ地域に 共和国 シリ ア・アラ ブ共和国 継続中のイスラエル・パレスチナ危機がもたらす不 おける世銀の最大の目標は、良好な投資環境を構 ジブチ 確実性によって、経済状況はさらに悪化しました。 築すること、そしてこの地域の信頼性を回復するこ チュニジア モロッ コ 経済成長率は2001年の3.2%から2002年は3.1%に とでした。この2つが実現すれば、雇用が創出され、 ヨルダン 下がりました。これは投資家の信頼と輸出市場の 貧困層は知識とスキルを基に持続可能な生活を営 レバノ ン 成長率が低下し、観光産業が冷え込み続けたこと むことができる可能性があります。この目標を達成 ※この項ではヨル によるものです。 するために、世銀はこの地域の国々が直面してい ダン川西岸・ガザ 一部の国々では経済・社会改革が実行されたに る5つの共通課題、つまり公的セクターの効率とガ 地区についても報 告する。 も関わらず、中東・北アフリカ地域は今もなお、 バナンス、民間セクター開発と雇用創出、グローバ 1980年代からこの地域の成長を阻んできた問題に ル経済での競争力を育む教育、水不足地域にお 苦しめられています。雇用創出の鍵となる民間セ ける水管理、およびジェンダーの平等に焦点をあて クターは依然として初期状態にあり、地域の成長の て、地域戦略を構築しました。2003年度は9ヶ国 原動力となるにはいたっていません。不十分な金 の19件のプロジェクトに対し、総額11億ドルの融資 融システムとガバナンス構造は引き続き民間セク が行われました。これらのプロジェクトは公共・民 ター拡大のボトルネックとなり、民間企業が経済活 間セクター、教育、給水・天然資源管理、農業、お 動に参加する機会を限られたものにしています。 よびインフラの改革・投資を支援するものです。 地域全体を覆っている紛争の後遺症は結果的に 各国が政策改革の継続に意欲を見せていること 資金流出を生み、外国投資家を遠ざける一因と を受けて、世銀はプログラム的な経済・セクター なっています。 調査を実施し、各国に知識と助言を提供しました。 現在、この地域の大半の国が直面している最大 その一環として、一連の分析・助言サービスや教 の経済・社会問題は失業です。失業率は湾岸協力 育活動が実施されました。たとえば、モロッコ政府 会議諸国では5%未満ですが、アルジェリアやイエ と共 同 で 支 出と成 果 を 対 比 させる公 共 支 出レ メンでは約30%に達しています。ヨルダン川西 ビューを、まずは保健・医療セクターで実施しまし 岸・ガザ地区の失業率は50%を超えています。地 た。エジプト、イラン、ヨルダン、レバノン、および 域全体の平均失業率は15%、一部の国では若年 ヨルダン川西岸・ガザ地区に対しては、年金改革 層の失業率がこの2倍に達しています。労働人口 に対する助言を行っています。地域レベルではア は増加傾向にあり、労働市場が新たな労働者を吸 ンマンで開催された「地中海開発フォーラム」、マ 収するためには、年間約400万人分の雇用を創出 ルセイユで開催された「開発のための知識会議」 する必要があります。 のスポンサーを務めました。これらの会議はシビ ルソサエティの参加や対話の糸口となったほか、 政府の注目をジェンダー、HIV/エイズ、ガバナンス といった問題に向けるきっかけとなりま 「地域 した。 水イニシアティブ」は水管理の改善を目指して、引 114 世界銀行 年次報告 2003 中東・北アフリカ地域のファクト・シート 総人口:3億人 人口増加率:2.0% き続き政府レベルの対話を促進しました。中東・北 平均寿命:68歳 アフリカのように水が稀少な資源である地域にとって 乳幼児死亡率 :44 (出生1000件当たり) 若い女性の非識字率:26% は、水管理はきわめて重要な問題です。 2002年の一人当たり国民総所得 :2,070ドル (GNI) 湾岸諸国に対する開発援助の中でも、知識共有は エイズ感染者数:7万人 長年にわたって世銀の活動の中心となっています。 注:平均寿命、乳幼児死亡率 (出生1000件当たり)、および若い女性の非識字率は2001 世銀は「有償技術支援プログラム」を通して、国民総 年の「世界開発指標」データベース、 その他の指標は2002年の同データベースの数字。 所得が基準値を超えているために世銀の融資適格国 現在は国民総生産(GNP)の代わりに国民総所得 (GNI)が使用されています。 と見なされていない国々に対し、有償で技術支援や 政策助言を行っています。中でも、20年以上にわ 2003年度の 2003年度の たって続いているサウジアラビアとの技術協力プログ 新規融資承認額 融資実行額 ラムは最大のもので、現在は民間セクター投資、イン IBRD:8億5560万ドル IBRD:5億1360万ドル フラ改革、水戦略、および長期的な経済計画に重点 IDA:2億40万ドル IDA:1億5270万ドル が置かれています。クウェートでは政府の改革(民間 2003年6月30日現在において実施中のプロジェクトのポート セクターの参加、投資、インフラ、財政政策、および人 フォ リオ:48億ドル を支援するプログラムが実施されま 的開発) した。今 年、世銀とクウェートは初の複数年技術支援プログラ ム契約を結びました。このプログラムは2004年から 2005年にかけて実施されることになり、その一環とし てクウェートの財務省を担当する長期アドバイザーが 任命される予定です。 ヨルダン川西岸・ガザ地区の紛争が続き、社会・経 済状況が悪化していることを受けて、世銀はパレスチ ナの社会・行政に対する緊急支援を強化することを 決定しました。これを受けて、保健・医療セクターと 教育セクターの緊急課題に対応する2件の緊急行政支 援プロジェクトが承認されました。また、世銀はパレ スチナ暫定自治政府に対する二国間・多国間援助の 調 整 役としても重 要 な 役 割 を 果 たして います。ド ナー・コミュニティの要請を受けて、世銀はパレスチ モロッコの農村地域では、給水・衛生プロジェクトによって飲料水を確 ナの経済危機に関する2度目の緊急報告書を作成し 保できるようになり、家事の負担が軽減されました。 ました。また、現地で困難な状況が続く中、対応が急 務となっている社会関連サービスに対しても、信託基 金から5500万ドルを提供しました。 おり、現在は国連、イスラム開発銀行、EUをはじめと イラン政府の求めに応じて、世銀は7年間中断され する多数の二国間・多国間組織と連携して、ニーズ・ ていたイランの暫定援助戦略を作成しました。この戦 アセスメントを進めています。世銀と各国の専門家か 略は政策対話、融資と非融資両方のサービスを通し らなるチームは、イラクの復興において最も急がれて た改革支援、および重点セクターに対する融資活動 特に保健・医療、 いるニーズの特定に取り組んでおり、 (水、下水設備、低所得者向け住居、環境など)に焦 教育、電力、農業、水、および経済運営が重点分野と 点をあてています。2003年度は2件のプロジェクトが なっています。 承認されました。1つは主要都市の水質・大気汚染が もたらす影響の緩和を目指すもの、もう1つは昨年の2 度の大地震が社会と経済に与えたダメージの軽減を 投資環境の構築 目指すものです。 世銀は国連安全保障理事会決議に従い、イラクの 企業活動に適した環境を構築することは、引き続 復興と長期的開発に向けた幅広い支援活動を行って き、この地域における世銀の重点項目となっています。 第5章 地域別展望 115 囲み5.7 詩を利用した識字教育 インフラ整備の面で大きな負担がかかるようになって います。世銀は研修、税金業務のコンピュータ化、お あるイエメンの女性が歌っています― 座っていて よび業務手続改革を通して、自治体が行政サービスを も富はやってこない。商店のあるじか、勉強中の生徒 スムーズに遂行・管理できるよう支援しています。ヨ でない限り 。この女性はイエメン共和国の豊かな口語 ルダンでは政策ベースの融資を通して、2年目を迎え 文化を識字教育に利用した、画期的なパイロット・プロ た政府の広範な改革を支えています。この改革は公 ジェクトを通して詩を書くことを学びました。 共セクターのサービス改善、予算・財務管理の強化、 イエメンでは成人女性の識字率が4分の1と低く、教 および司法改革の推進を目指すものです。 育のジェンダー格差を縮め、ミレニアム開発目標に掲げ られたジェンダーの平等を2015年までに達成すること がきわめて難しい状況にあります。 貧しい人々のエンパワーメント 世銀はイエメンの教育省と連携して、女性を対象と した識字教育プロジェクトを進めています。このプロ 中東・北アフリカ地域では総人口3億人の約23%が ジェクトは簡単な手紙や文書を書きたい、短いコーラン 1日2ドル未満で暮らしており、貧しい人々のエンパ の言葉、道路標識、食品や殺虫剤容器の説明書きを読 ワーメントが引き続き、貧困削減戦略の要となってい みたいと願う女性たちのニーズに応えたものです。 ます。世銀は分析・助言サービスと融資業務を組み これまでに約100人の農村部の女性たちが、地域の 合わせて、貧しい人々が自らの生活を向上させるた 女性同士で詩を作ったり、交換したりすることで読む力 めに必要なスキル、資源、およびインフラの提供を進 を身につけました。このプロジェクトはさまざまなド めています。アルジェリアの農村地域雇用創出プロ ナーの関心を集め、 「イエメン開発社会基金」の支援を ジェクトでは、森林再生や治水事業といった労働集約 もとに、今後も継続・拡大されることになっています。 的なプロジェクトを通して貧しい人々に雇用の機会を 提供したほか、農民の参加を得て果樹園やぶどう園 に融資を行いました。プロジェクトの成果を見て、ア この地域では地政学的要素も投資を阻む一因となっ ルジェリア政府も農村開発プログラムに同様のアプ ています。 「投資環境調査」 ローチを導入するよう アルジェリアとモロッコでは になっています。 が実施され、投資家が直面している障害が明らかに モロッコでは農村地域の給水・衛生プロジェクトに されました。中でも行政のボトルネック、限られた融 よって、農村部で暮らす30万人の住民が、安全な飲 資と工業用地しか利用できないこと、人的資源の制 料水を地域社会の中で利用できるようになりました。 約が重大な阻害要因となっていることが分かりまし これにより、下痢になる子供はそれまでの4分の1に た。こうした問題は民間セクターの競争力を弱める一 削減されました。また、水を汲むために遠くまで行く 因ともなっています。世銀は同様の評価をイラン、オ 必要がなくなったため、子供たちはこれまでよりも長 マーン、およびシリアでも開始しました。今年、世銀 い時間を学校で過ごすことができるようになりました。 グループはヨルダン、レバノン、およびシリアを連続し 初等学校の就学率は女児が70%、男児が40%上昇し て訪れ、現地の企業と貿易の新興や投資の促進につ ました。 いて活発な協議を行いました。北アフリカで実施され 中東・北アフリカ地域ではシビルソサエティの活動 ている「中小企業(SME)交流プログラム」は、地中海 はまだ初期の状態にあります。世銀はイエメン共和国 両岸の民間企業の協調関係を促進するものとなって のPRSP作成プロセスに草の根組織を巻き込み、貧し います。同プログラムを補完するものとして、世銀は い人々の意見がPRSPに反映されるよう配慮しました。 IFCと共同で企業サービスの改善プログラムに取り組 シビルソサエティ組織との広範な協議を経て、イエメ んでおり、新しい融資手段の提供、登録・認可手続の 人的資源開発、 ンが作成した初のPRSPには経済成長、 合理化、商業組合が会員企業に提供するサービスの インフラ整備、社会サービスの提供範囲の拡大、およ 向上などの面で支援などを行っています。 びソーシャル・セーフティネットの強化を基盤とする長 健全な投資環境を構築するためには、公共セク 期的な貧困対策フレームワークの構築が提言されて ターの効率を高めることが重要です。チュニジアで います(囲み5.7参照)。 は都市化が進んだ結果、自治体に基本的サービスや 116 世界銀行 年次報告 2003 国際優先項目 2003年度においては、世銀の中東・北アフリカ地 域局は次のような国際優先項目に重点を置きました。 妊産婦と子供の健康 中東・北アフリカ地域では人口の半分以上を子供 と若者が占めています。経済が逼迫し、政治状況が 混乱している時期は、こうした若年層が社会で最も弱 い立場に置かれることになります。世銀は国連児童基 金 をはじめとするパー (UNICEF) トナーと連携し、現 状分析調査を実施したり、子供たちに便益を供する ような地域社会のプロジェクトを支援したりしていま す。ヨルダンでは切迫した状況にある子供たちを地 域社会に統合するメンター・プログラムを支援してい ます。エジプトでは地域の組織と共に、未成年労働 イエメンの農民がサヌア/タイズ間を結ぶ高速道路の脇にある農園で 者の保護と児童労働の問題解消に取り組んでいます。 用水路の様子を見ています。イエメンの貧困は農村部に集中しており、 都市と農村の格差を解消することが大きな課題となっています。貴重 その一環として、子供たちを学校教育に参加させた な水資源を効率よく、かつ持続可能な形で管理することにより、農業 り、通常の学校に通えない子供のために、非公式の の生産性を高め、貧しい人々の生活を改善することができます。 教育手段を用意したりしています。2002年11月に開催 された「子供と都市」会議には、アラブ世界から約80 名の市長が集まり、都市の急速な発展と人口過密地 ります。2003年にドバイで開かれる世銀・IMF合同年 区に暮らす子供の窮状が議論されました。 次会合に備えて、また経済・セクター調査の一環とし て、世銀はこの地域の貿易・投資環境に関する報告 貿易と統合の促進 書を作成しました。この報告書には貿易と統合に 中東・北アフリカ地域は輸出と外国直接投資が比 よって成長の加速、雇用創出、生産性向上、および 較的低い水準にあるため、市場開放と世界経済への 貧困削減を達成するための政策助言が盛り込まれて 統合が進めば、成長が大幅に促進される見込みがあ います。 図5.11 中東・北アフリカ地域:IBRDとIDAのテーマ 図5.12 中東・北アフリカ地域:IBRDとIDAのセクター 別融資 2003年度 別融資 2003年度 総額11億ドルに占める割合 総額11億ドルに占める割合 環境・天然資源管理 18% 経済政策管理 0% 給水・衛生・治水  農業・漁業・林業 19% 17% 公共セクター運営 10% 法規  運輸 10% 農村開発 10% 5% 金融・民間  セクター開発 5% 法律・司法・   エネルギー ・  行政 20% 鉱業 0% 都市開発  貿易・統合  24% <1% 産業・貿易  7% 社会的保護・   情報・通信  保健・その他の  リスク管理 9% <1% 社会サービス 12% 人的開発  社会開発・   金融 <1% 教育 15% 13% ジェンダー・参加 6% 第5章 地域別展望 117 表5.6 中東・北アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資 1994–2003年度 (単位:100万ドル) 1994–97 1998–99 (年平均) (年平均) 2000 2001 2002 2003 テーマ別 経済政策管理 50.5 5.2 0.0 11.9 5.0 0.0 公共セクター運営 95.6 89.8 130.6 102.6 93.3 106.6 法規 40.3 59.5 9.3 56.5 49.1 48.0 金融・民間セクター開発 345.8 361.1 61.8 78.8 204.1 48.3 貿易・統合 34.6 38.8 3.0 3.4 24.8 3.6 社会的保護・リスク管理 65.3 87.4 100.0 5.6 11.0 96.1 社会開発・ジェンダー・参加 69.9 64.5 71.6 52.5 13.4 63.1 人的開発 76.3 179.0 187.9 35.7 61.9 140.9 都市開発 82.5 125.9 143.5 46.7 55.8 262.7 農村開発 183.9 175.3 89.2 86.4 14.5 100.6 環境・天然資源管理 145.4 94.2 123.3 27.5 21.7 186.0 テーマ別総額 1,161.5 1,280.8 920.0 507.5 554.5 1,056.0 セクター別 農業・漁業・林業 203.4 147.9 120.6 46.5 2.9 196.7 法律・司法・行政 131.7 236.0 108.9 161.5 74.7 213.6 情報・通信 11.9 33.8 1.3 59.2 69.9 2.3 教育 94.6 94.2 197.1 72.3 38.0 154.3 金融 181.5 190.8 5.3 0.0 110.5 1.9 保健・その他の社会サービス 77.1 159.8 158.9 39.3 41.7 124.2 産業・貿易 146.5 168.6 47.9 27.0 71.7 74.3 エネルギー・鉱業 45.9 56.8 0.0 0.0 1.3 0.0 運輸 117.7 81.7 59.6 82.8 70.9 107.9 給水・衛生・治水 168.6 110.9 220.5 19.0 73.1 180.9 セクター別総額 1,161.5 1,280.8 920.0 507.5 554.5 1,056.0 うち、IBRD融資額 1,005.6 955.5 760.2 355.2 451.8 855.6 IDA融資額 155.9 325.3 159.8 152.3 102.7 200.4 注:新たなテーマ・セクター分類システム (68テーマ、57セクター)に従って、融資を11の主要テーマと10の主要セクターに分けて示した。35頁の表 2.2参照。端数を四捨五入したため、合計額が合わないことがある。 本表の2003年度の数字には、 ヨルダン川西岸・ガザ地区の2つのプロジェク ト に対する総額4500万ドルの特別融資は含まれていない。 118 世界銀行 年次報告 2003 第6章 表 世界銀行について 表6.1 世銀融資適格国 136 組織に関する情報 表6.2 アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、 総務および総務代理 120 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 138 理事・理事代理および議決権 124 表6.3 東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認額、 幹部職員 126 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 138 現地事務所の所在地 127 表6.4 南アジア地域に対する世銀の融資承認額、 世銀職員について 135 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 139 表6.5 ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融資承認額、 融資実行額、 および純移転額 2002–2003年度 139 表6.6 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融資承認額、 融資実行額、 および純移転額 2002–2003年度 140 表6.7 中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 140 表6.8 2003年度に承認された融資  アフリカ地域 141 表6.9 2003年度に承認された融資  東アジア・大洋州地域 150 表6.10 2003年度に承認された融資  南アジア地域 154 表6.11 2003年度に承認された融資  ヨーロッパ・中央アジア地域 159 表6.12 2003年度に承認された融資  ラテンアメリカ・カリブ海地域 168 表6.13 2003年度に承認された融資  中東・北アフリカ地域 175 表6.14 構造調整融資 2003年度 178 組織に関する情報 総務および総務代理 2003年6月30日 加盟国 総務 総務代理 アイスランド Halldor Asgrimsson Geir Hilmar Haarde アイルランド Charlie McCreevy Tom Considine アゼルバイジャン Elman Siradjogly Rustamov Farhad Aliyev アフガニスタン Ashraf Ghani Anwar Ul-Haq Ahady アラブ首長国連邦 Hamdan bin Rashid Al-Maktoum Mohammed Khalfan Bin Khirbash アルジェリア Abdellatif Benachenhou Abdelhak Bedjaoui アルゼンチン Roberto Lavagna Alfonso de Prat-Gay アルバニア Kastriot Islami Fatos Ibrahimi アルメニア Vahram Nercissiantz Karen Chshmarityan アンゴラ Ana Dias Lourenco Job Graca アンテ ィグア・バーブーダ+ Lester B. Bird Asot A. Michael イエメ ン共和国 Ahmed Mohamed Sofan Anwar Rizq Al-Harazi イスラエル David Klein Ohad Marani イタリア Antonio Fazio Lorenzo Bini Smaghi イラク Issam Rashid Hwaish Hashim Ali Obaid イラン・ イスラム共和国 Thamaseb Mazaheri-Khorzani Mohammad Khazaee Torshizi インド Jaswant Singh Subbaraman Narayan インドネシア Boediono Hartadi A. Sarwono ウガン ダ Gerald M. Ssendaula C. M. Kassami ウクライナ+ Mykola Azarov Valeriy Khoroshkovskiy ウズベキスタン Rustam S. Azimov (空席) ウルグア イ+ Ariel Davrieux Isaac Alfie 英国 Valerie Amos Gordon Brown エクア ドル Mauricio Pozo Crespo Gilberto Pazmino Arias エジプト ・アラブ共和国 Medhat Hassanein Faiza Abulnaga エストニア+ Tonis Palts Renaldo Mandmets エチオピア Sufian Ahmed Mekonnen Manyazewal エリトリア Berhane Abrehe Martha Woldegiorghis エルサルバドル Juan Jose Daboub Luz Maria Serpas de Portillo オース トラリア Peter Costello Chris Gallus オーストリア Karl-Heinz Grasser Thomas Wieser オマーン Ahmed Bin Abdulnabi Macki Mohammed bin Nasser Al-Khasibi オランダ Hans Hoogervorst Agnes Van Ardenne ガーナ Yaw Osafo-Maafo Grace Coleman カーボヴェルデ Carlos Augusto Duarte Burgo Victor A.G. Fidalgo ガイアナ Bharrat Jagdeo Saisnarine Kowlessar カザフスタン Alexander Sergeyevich Pavlov Kayrat N. Kelimbetov カタール+ Yousef Hussain Kamal Abdullah Bin Khalid Al-Attiyah カナダ John Manley Leonard M. Good ガボン Casimir Oye-Mba Christian Bongo カメルーン Martin Okouda Daniel Njankouo Lamere ガンビア Famara L. Jatta Dodou B. Jagne カンボジア Keat Chhon Ouk Rabun ギニア Cheick Ahmadou Camara Cellou Dalein Diallo ギニアビサウ Rui Duarte Barros Verissimo Paulino Nancassa キプロス Markos Kyprianou Christos Patsalides ギリシャ Nikolaos Christodoulakis Vasilis Rapanos キリバス Beniamina Tinga Tebwe Ietaake キルギス共和国 Bolot Abildaev Kubat Abduldaevich Kanimetov グアテマラ Eduardo Humberto Weymann Fuentes Lizardo Arturo Sosa Lopez 120 世界銀行 年次報告 2003 加盟国 総務 総務代理 クウェート Mohammad Sabah AlSalem AlSabah Bader Meshari Al-Humaidhi グルジア Mirian Gogiashvili Giorgi Gachechiladze グレナダ Anthony Boatswain Timothy Antoine クロアチア Mato Crkvenac Josip Kulisic ケニア David Mwiraria Joseph Mbui Magari コートジボワール Bohoun Bouabre Boniface Britto コスタリカ Alberto Dent Zeledon Francisco de Paula Gutierrez コモロ Younoussa Imani Moindjie Saadi コロンビア Alberto Carrasquilla Santiago Montenegro Trujillo コンゴ共和国 Rigobert Roger Andely Pierre Moussa コンゴ民主共和国 Andre-Philippe Futa Jean-Claude Masangu Mulongo サウジアラビア Ibrahim A. Al-Assaf Hamad Al-Sayari サモア Misa Telefoni Retzlaff Hinauri Petana サントメ・プリ ンシペ Maria dos Santos Tebus Torres Genoveva Costa ザンビア David S. Diangamo Mukuka L.N. Zimba サンマリ ノ+ Maurizio Rattini Loris Francini シエラレオネ Joseph B. Dauda Samura Kamara ジブチ Yacin Elmi Bouh Simon Mibrathu ジャマイカ+ Omar Lloyd Davies Wesley George Hughes シリア・アラブ共和国 Ghassan El-Rifai Mohamad Bittar シンガポール Lee Hsien Loong Lim Siong Guan ジンバブエ Herbert M. Murerwa Leonard Ladislas Tsumba スイス Joseph Deiss Micheline Calmy-Rey スウェーデン Gunnar Lund Jan O. Karlsson スーダン El Zubair Ahmed El Hassan Sabana Ibrahim Jambo スペイン Rodrigo de Rato Figaredo Juan Costa Climent スリナム+ Humphrey S. Hildenberg Stanley B. Ramsaran スリランカ Kairshasp Nariman Choksy Charitha Ratwatte スロバキア共和国 Ivan Miklos Elena Kohutikova スロベニア Dusan Mramor Irena Sodin スワジラン ド Guduza Dlamini Musa D. Fakudze セーシェル+ Jeremie Bonnelame Alain Butler-Payette 赤道ギニア Antonio Nve Nseng Miguel Edjang Angue セネガル Abdoulaye Diop Cheikh Hadjibou Soumare セルビア ・モンテネグロ Miroslav Ivanisevic Bozidar Djelic セントクリス トファー・ネーヴィス Denzil Douglas Wendell Everton Lawrence セントビンセン トおよび グレナデ ィーン諸島 Ralph E. Gonsalves Laura Anthony-Browne セントルシア Kenny D. Anthony Trevor Brathwaite ソマリア (空席) (空席) ソロモン諸島 Snyder Rini Shadrach Fanega タイ Suchart Jaovisidha Somchainuk Engtrakul 大韓民国 Jin-Pyo Kim Seung Park タジキスタン Safarali Najmuddinov Akram Suleymanov タンザニア Abdallah Omar Kigoda Gray S. Mgonja チェコ共和国 Bohuslav Sobotka Oldrich Dedek チャド Djimrangar Dadnadji Mahamat Ali Hassan 中央アフリカ共和国 Alexis Ngomba Clement Eregani 中国 Jin Renqing Jin Liqun チュニジア Mohamed Nouri Jouini Abdelhamid Triki (次頁に続く) 第6章 世界銀行について 121 総務および総務代理(続き) 加盟国 総務 総務代理 チリ Nicolas Eyzaguirre Mario Marcel デンマーク Per Stig Moller Carsten Staur ドイツ Heidemarie Wieczorek-Zeul Caio K. Koch-Weser トーゴ M’Ba Legzim Mewunesso Baliki Pini ドミニカ共和国 Jose Lois Malkun Felix Calvo ドミニカ国 Swinburne Lestrade Ambrose M.J. Sylvester トリニダード・トバゴ Patrick Manning Conrad Enill トルクメニスタン+ Ymamdurdy Gandymov (空席) トルコ Ibrahim H. Canakci Aydin Karaoz トンガ Siosiua T.T.’Utoikamanu ’Aisake V. Eke ナイジェリア Adamu Ciroma Thelma Amata Iremiren ナミビア+ Immanuel Ngatjizeko Carl-Hermann G. Schlettwein ニカラグア Eduardo Montealegre Rivas Mario Alonso Icabalceta ニジェール Ali Badjo Gamatie Maliki Barhouni 日本 塩川 正十郎 福井 俊彦 ニュージーランド Michael Cullen John Whitehead ネパール Prakash Chandra Lohani Bhanu Prasad Acharya ノルウェー Hilde Frafjord Johnson Olav Kjorven バーレーン+ Abdulla Hassan Saif Zakaria Ahmed Hejres ハイチ Faubert Gustave Venel Joseph パキスタン Shaukat Aziz Waqar Masood Khan パナマ Norberto Delgado Duran Domingo Latorraca バヌアツ Sela Molisa Jeffery Wilfred バハマ+ James H. Smith Ruth R. Millar パプアニューギニア Bart Philemon Koiari Tarata パラオ Casmir Remengesau Lawrence Alan Goddard パラグアイ Alcides Jimenez Q. Jose Ernesto Buttner バルバドス Owen S. Arthur Grantley W. Smith ハンガリー Csaba Laszlo Jozsef Thuma バングラデシュ M. Saifur Rahman Mirza Tasadduq Hussain Beg 東テ ィモール Maria Madalena Brites Boavida Aicha Bassarewan フィジー Jone Yavala Kubuabola Tevita Banuve フィリ ピン Jose Isidro N. Camacho Rafael B. Buenaventura フィンラン ド Antti Kalliomaki Paula Lehtomaki ブータン Yeshey Zimba (空席) ブラジル Antonio Palocci Filho Henrique de Campos Meirelles フランス Francis Mer Jean-Pierre Jouyet ブルガリア+ Milen Veltchev Bojidar Lubenov Kabaktchiev ブルキナファソ Jean Baptiste Compaore Etienne Yameogo ブルネイ ・ ダルサラーム+ Haji Hassanal Bolkiah Yakub Abu Bakar ブルンジ Athanase Gahungu Dieudonne Nintunze 米国 John W. Snow Alan P. Larson ベトナム Le Duc Thuy Phung Khac Ke ベナン Bruno Amoussou Lazare Sehoueto ベネズエラ ・ボリバル共和国+ Jorge Giordani Tobias Nobrega Suarez ベラルーシ+ Andrei V. Kobyakov Anatoly I. Sverzh ベリーズ Said W. Musa Sydney J. Campbell ペルー Javier Silva Ruete Richard Webb ベルギー Didier Reynders Guy Quaden ポーランド Leszek Balcerowicz Andrzej S. Bratkowski 122 世界銀行 年次報告 2003 加盟国 総務 総務代理 ボスニア ・ヘルツェゴビナ Adnan Terzic Mila Gadzic ボツワナ Baledzi Gaolathe Serwalo S.G. Tumelo ボリビア Javier Comboni Salinas Roberto Camacho ポルトガル Manuela Ferreira Leite Francisco Esteves de Carvalho ホンジュラス Arturo Alvarado Maria Elena Mondragon de Villar マーシャル諸島 Brenson S. Wase Smith Michael マケドニア旧ユーゴスラビア共和国 Petar Gosev Dimko Kokaroski マダガスカル Zaza Manitranja Ramandimbiarison Davida Rajaon マラウイ Friday Jumbe Bingu wa Mutharika マリ Bassary Toure Marimantia Diarra マルタ+ John Dalli Joseph Scicluna マレーシア Mahathir Mohamad Samsudin Hitam ミクロネシア連邦 John Ehsa Sebastian L. Anefal 南アフリカ Trevor Andrew Manuel Mandisi Bongani Mpahlwa ミャンマー Hla Tun Than Nwe メキシコ Francisco Gil Diaz Agustin Carstens モーリシャス Khushhal Chand Khushiram Ayub Hussein Nakhuda モーリタニア Abdellahi Ould Cheikh-Sidia Mohamed Ould El Abed モザンビーク Adriano Afonso Maleiane Manuel Chang モルディブ Fathulla Jameel Adam Maniku モルドバ Zinaida Grecianii Dumitru Ursu モロッコ Fathallah Oualalou Abderrazak El Mossadeq モンゴル Chultem Ulaan Ochirbat Chuluunbat ヨルダン Bassem I. Awadallah Hala Bsaiso Lattouf ラオス人民民主共和国 Chansy Phosikham Phouphet Khamphounvong ラトビア Valdis Dombrovskis Aigars Kalvitis リトアニア+ Dalia Grybauskaite Arvydas Kregzde リビア Alojeli Abdel Salam Breeni Ali Ramadan Shnebsh リベリア Roland Massaquoi Charles R. Bright ルーマニア+ Mihai Nicolae Tanasescu Emil Iota Ghizari ルクセンブルク Luc Frieden Jean Guill ルワンダ Donald Kaberuka Celestin Kabanda レソト M.C. Mphutlane T.J. Ramotsoari レバノ ン Fuad A.B. Siniora Marwan Hemadeh ロシア連邦 Victor Khristenko German O. Gref (+印)IDA非加盟国 第6章 世界銀行について 123 組織に関する情報 理事・理事代理および議決権 2003年6月30日 IBRD IDA 全体に 全体に 議決 占める 議決 占める 理事 理事代理 国名 権数 割合(%) 権数 割合(%) 任命理事 Carole Brookins Robert B. Holland, III 米国 265,219 16.41 1,913,640 13.91 原田 有造 吉田 正紀b 日本 127,250 7.87 1,502,886 10.92 Eckhard Deutscher Eckhardt Biskup ドイツ 72,649 4.49 966,302 7.02 Tom Scholar Rosemary B. Stevenson 英国 69,647 4.31 688,291 5.00 Pierre Duquesne  Emmanuel Moulinc フランス 69,647 4.31 596,483 4.34 選任理事 Kurt Bayer Gino Alzetta オーストリア、ベラルーシa、 ベルギー、 77,669 4.80 611,808 4.45 (オーストリア) (ベルギー) チェコ共和国、 ハンガリー、カザフスタン、 ルクセンブルク 、スロバキア共和国、 スロベニア、トルコ Per Kurowski Maria Jesus Fernandez コスタリカ、エルサ ルバドル、グアテマラ、 72,786 4.50 297,725 2.16 (ベネズエラ ・ (スペイン) ホンジュラス、メ キシコ、ニカラグア、 ボリバル共和国) スペイン、ベネズエラ (ベネズエラ・ボリ バル共和国) a Ad Melkert Tamara Solyanyk アルメニア、ボスニア ・ヘルツ ェ ゴビナ、 72,208 4.47 500,327 3.64 (オラン ダ) (ウクラ イナ) ブルガリアa、 クロアチア、 キプロス、 グルジア、 イスラエル、 マケ ドニア旧 ユーゴスラビア共和国、 モル ドバ、 オランダ、ルーマニアa、 ウクラ イナa Marcel Masse Sharon Weber アンティ グア ・バーブーダa、 バハマa、 62,217 3.85 583,649 4.24 (カナダ) (ジャマイカ) バルバド ス、ベリ ーズ、カ ナダ、ド ミニカ国、 グレナ ダ、ガイ アナ、 アイルラ ンド、 ジャマイ カa、セン トクリス トフ ァー ・ ネーヴィス、セ ントルシア 、セ ントビ ンセ ント およびグレナデ ィー ン諸島 Amaury Bier Gil S. Beltran ブラジル、コロ ンビア、ドミニカ共和国、 58,124 3.60 412,848 3.00 (ブラジル) (フ ィ リ ピン) エクアドル、 ハイチ、パナマ、フィリピン、 スリナムa、 ト リニダード・トバゴ Franco Passacantando Helena Cordeiro アルバニア、 ギリシャ、イタリア、 56,705 3.51 502,901 3.66 (イ タリア) (ポルトガル) マルタa、ポルトガル、サンマリ ノa、 東ティモール Neil F. Hydend Dong‑Soo Chine オーストラリア、カンボジア、キリバス、 55,800 3.45 420,963 3.06 (オース トラリア) (大韓民国) 大韓民国、 マーシャル諸島、ミクロ ネシア 連邦、モンゴル、 ニュージーラ ンド、 パラオ、パプアニューギニア 、サモア 、 ソロモン諸島、 バヌアツ Louis K. Kasekende J. Mills Jones アンゴラ、ボツ ワナ、ブルンジ、 エリトリ ア、 55,190 3.41 547,488 3.98 (ウガン ダ) (リベリア) エチオピア、 ガンビア、 ケニア、レソ ト、 リベリア、マラウ イ、 モザンビーク 、 ナミビアa、ナイジ ェリア、 セーシェルa、 シエラレオネ、 南アフ リカ、スーダン、 スワジランド、 タンザニア、 ウガンダ、 ザンビア、ジンバブエ Chander Mohan  Akbar Ali Khan バングラデシュ、ブータン、インド、 54,945 3.40 596,440 4.34 Vasudev (バングラデシュ) スリランカ (イン ド) 124 世界銀行 年次報告 2003 IBRD IDA 全体に 全体に 議決 占める 議決 占める 理事 理事代理 国名 権数 割合(%) 権数 割合(%) Tanwir Ali Agha Sid Ahmed Dib アフガニスタ ン、アルジェリア、ガーナ、 54,602 3.38 272,525 1.98 (パキスタン) (アルジェリア) イラン・イスラム共和国、 イラク、 モロッコ、 パキスタン、チュニジア Finn Jønck Inkeri Hirvensalo デンマーク 、エス トニアa、フィンランド、 54,039 3.34 683,380 4.97 (デンマーク) (フ ィンラン ド) アイスランド、ラトビア、リト アニアa、 ノルウェー、 スウェーデン Pietro Veglio Jakub Karnowski アゼルバイ ジャン、キルギス共和国、 47,943 2.97 519,793 3.78 (スイス) (ポーラン ド) ポーランド、セルビア ・モンテネグロ、 スイス、タジキスタン、トルクメニスタンa、 ウズベキスタ ン Zhu Guangyao Wu Jinkang 中国 45,049 2.79 273,252 1.99 (中国) (中国) Yahya Abdulla  Abdulrahman  サウジアラビア 45,045 2.79 488,093 3.55 M. Alyahya M. Almofadhi (サウジアラビア) (サウジアラビア) Alexey G. Kvasov Eugene Miagkov ロシア連邦 45,045 2.79 39,082 .28 (ロシア連邦) (ロシア連邦) Mahdy Ismail Aljazzaf Mohamed Kamel Amr バーレー ンa、エジプト・アラブ共和国、 43,984 2.72 296,822 2.16 (クウェー ト) (エジプ ト・ アラブ共和国) ヨルダン、 クウェート、レバノン、リビア、 モルジブ、 オマーン、 カタールa、 シリア・ アラブ共和国、 アラブ首長国 連邦、 イエメ ン共和国 Rapee Asumpinpong Hadiyanto ブルネイ・ダルサラーム国a、 フィジー、 41,096 2.54 387,404 2.82 (タ イ) (イン ドネシア) インドネシア、ラオス人民民主共和国、 マレーシア、ミャンマー、 ネパール、 シンガポール、 タ ト イ、 ンガ、ベトナム Alieto Guadagni Alfonso C. Revollo アルゼンチン、ボリビア、チリ、 37,499 2.32 243,375 1.77 (アルゼンチン) (ボリ ビア) パラグアイ、ペルー、ウルグアイa Paulo F. Gomes Louis Philippe Ong Seng ベナン、 ブルキナフ ァ ソ、カメ ルーン、 32,252 2.00 411,957 2.99 (ギニアビサウ) (モーリシャス) カーボヴ ェルデ、 中央アフ リカ共和国、 チャド、 コモロ、 コンゴ民主共和国、 コンゴ共和国、 コート ジボワ ール、ジブチ 、 赤道ギニア、 ガボン、 ギニア、 ギニア ビサウ 、マ ダガス カル、 マリ、モー リタニア、 モー リシャ ス、 ニジ ェール、 ルワ ンダ、 サント メ・プリ ンシペ、 セネガル、 ト ーゴ 上記リストの理事および理事代理に加えて、2002年10月31日以降に下記の人物も理事代理を務めた。 理事代理 任期終了日 (フ Maria Teresa S. Habitan ィリピン) 2003年1月30日 Nguyen Doan Hung (ベトナム) 2003年2月14日 (ポーラン Jerzy Hylewski ド) 2003年5月14日 Ahmed Sadoudi (アルジェリア) 2003年1月24日 注:ソマリア (IBRD−802票、 IDA−10,506票) は2002年の定期理事選挙に参加しなかったため、上記の表には含まれていない。 a. IBRDのみに加盟 b. 2003年7月7日より、 大矢 俊雄 (日本) が着任。 c. 2003年7月8日より、 Anthony Requin (フランス)が着任。 d. 2003年8月1日より、 John Austin(ニュージーランド) が着任。 e. 2003年7月23日より、 (オーストラリア) Terry O'Brien が着任。 第6章 世界銀行について 125 組織に関する情報 幹部職員 2003年6月30日 総裁 James D.Wolfensohn 専務理事 Shengman Zhang 専務理事 Jeffrey A. Goldstein 専務理事 Mamphela Ramphele 専務理事 Peter Woicke 上級副総裁、兼最高財務責任者 Gary Perlin 上級副総裁、開発経済担当、 チーフ ・エコノミスト Nicholas H. Stern 副総裁、兼ネ ットワーク統括責任者、業務ポリシー ・対借入国サービス James W. Adams 副総裁、金融セク ター Cesare Calari 副総裁、兼経理担当 Fayezul H. Choudhury 副総裁、ラテンア メリカ ・カリブ海地域 David de Ferranti 副総裁、対外関係および国連担当 Ian A. Goldin 副総裁、兼ネ ットワーク統括責任者、環境・社会・持続可能な開発 Ian Johnson 副総裁、東アジア ・大洋州地域 Jemal-ud-din Kassum 副総裁、ネットワーク統括責任者、民間セク ター開発 Michael U. Klein 副総裁、資源動員・協調融資 Geoffrey B. Lamb 副総裁、世界銀行研究所 Frannie Leautier 副総裁、ヨーロッパ・ 中央アジア地域 Johannes Linn 副総裁、アフリカ地域 Callisto Madavo 副総裁、兼主席情報担当官 Mohamed Muhsin 副総裁、兼ネ ットワーク統括責任者、貧困削減・経済政策 Gobind Nankani 副総裁、南アジア地域 西水 美恵子 副総裁、コーポレー ト・セク レタリー Ngozi N. Okonjo-Iweala 副総裁、対外関係 (ヨーロッパ地域担当) Jean-François Rischard 副総裁、中東・北アフリカ地域 Jean-Louis Sarbib 副総裁、ネットワーク統括責任者、 インフラ Nemat Shafik 副総裁、人的資源 Katherine Sierra 副総裁、戦略・資源管理 Anil Sood 副総裁、兼駐日特別代表 吉村 幸雄 副総裁、兼トレジャラー Graeme Wheeler 総局長、業務評価 Gregory Ingram 副総裁、兼ネ ットワーク統括責任者、人的開発 空席 副総裁、兼最高法律顧問 空席 注:世銀の組織に関するさらに詳しい情報については、世銀ウェブサイト(www.worldbank.org)の「About Us」セクションをご覧ください。 126 世界銀行 年次報告 2003 組織に関する情報 現地事務所の所在地 2003年6月30日 本部 ジュネーブ アフガニスタン 1818 H Street N.W. The World Bank Mr. William Byrd Washington, D.C. 20433, U.S.A. 3, chemin Louis-Dunant The World Bank Tel: (202) 473-1000 Case Postale 66 Street No. 15, House No. 19 Fax: (202) 477-6391 1211 Geneva 20, Switzerland opposite Palace #8 E-mail: Feedback@worldbank.org Tel: (41-22) 748 1000 Wazir Akbar Khan Web: www.worldbank.org Fax: (41-22) 748 1030 Kabul, Afghanistan Tel: (0097) 7027 6002 ニューヨーク事務所 ロンドン E-mail: Wbyrd@worldbank.org Mr. Eduardo A. Doryan The World Bank Web: www.worldbank.org/sar The World Bank, Office of the Special New Zealand House Representative to the U.N. 15th Floor, Haymarket アルジェリア 1 Dag Hammarskjold Plaza London SW1 Y4TE, England Mr. Djamal Mostefai 885 2nd Avenue, 26th Floor Tel: (44-20) 7930-8511 Banque Mondiale New York, N.Y. 10017, U.S.A. Fax: (44-20) 7930-8515 19, rue Emile Marquis—Djennane Tel: (212) 355-5112 El Malik—Hydra 16035 Fax: (212) 355-4523 ローマ Algiers, Algeria E-mail: Edoryan@worldbank.org The World Bank Tel: (213-21) 54.66.66 Via Labicana 110 Fax: (213-21) 54.93.52 ヨーロッパ 00184 Rome, Italy E-mail: Dmostefai@worldbank.org Mr. Jean-François Rischard Tel: (39-06) 77 7101 Vice President Fax: (39-06) 70 96 046 *アルゼンチン Banque Mondiale Web: www.worldbank.org/europe Mr. Axel van Trotsenburg 66 avenue d’Iena Banco Mundial 75116 Paris, France 東京 Edificio Bouchard Tel: (33-1) 40 69 30 00 〒100-0011 Bouchard 547, 27 & 28 Floor Fax: (33-1) 40 69 30 64 東京都千代田区内幸町2-2-2 C1106ABG Buenos Aires, Argentina E-mail: jrischard@worldbank.org 富国生命ビル10階 Tel: (54-11) 4316-9700 Web: www.worldbank.org/europe 世界銀行東京事務所 Fax: (54-11) 4313-1233 副総裁 E-mail: Avantrotsenburg@worldbank.org ブリュッセル 吉村 幸雄 Web: www.worldbank.org/lac Ms. Haleh Bridi Tel: (81-3) 3597-6650 Special Representative to the Fax: (81-3) 3597-6695 アルバニア European Union E-mail: Yyoshimura1@worldbank.org Mr. Eugen Scanteie World Bank Web: www.worldbank.or.jp/ The World Bank 10 rue Montoyer Deshmoret e 4 Shkurtit, No. 34 B-1000 Brussels, Belgium アゼルバイジャン Tirana, Albania Tel: (32-2) 552 00 52 Mr. Akbar Noman Tel: (355-4) 230 017 Fax: (32-2) 552 00 25 The World Bank Fax: (355-4) 240 590 E-mail: Hbridi@worldbank.org 91-95 Mirza Mansur Street E-mail: Escanteie@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eu Icheri Sheher Web: www.worldbank.org/eca Baku, 370004, Azerbaijan フランクフルト Tel: (994-12) 922586 アルメニア Mr. Oltmann G. Siemens Fax: (994-12) 921479 Mr. Roger Robinson The World Bank E-mail: Anoman@worldbank.org The World Bank Bockenheimer Landstrasse 109 Web: www.worldbank.org/eca Republic Square 60325 Frankfurt am Main, Germany 9 V. Sargsyan Street Tel: (49-69) 743-48230 Yerevan 375010, Armenia Fax: (49-69) 743-48239 Tel: (374-1) 527888 Fax: (374-1) 521787 E-mail: Rrobinson@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eca (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 第6章 世界銀行について 127 アンゴラ ウガンダ *エチオピア Mr. Laurence C. Clarke The World Bank Mr. Ishac Diwan The World Bank Liaison Office 1 Lumumba Avenue The World Bank Rua Alfredo Troni (Edificio BPC) Rwenzori House, 4th Floor Africa Avenue No. 15, 14 Andar (14th Floor) Kampala, Uganda Bole Road Luanda, Angola (postal address: P.O. Box 4463) Addis Ababa, Ethiopia (postal address: Caixa Postal 1331) Tel: (256-41) 230-094 (postal address: P.O. Box 5515) Tel: (244-2) 394-877 Fax: (256-41) 230-092 Tel: (251-1) 62 77 00 Fax: (244-2) 394-784 Web: www.worldbank.org/afr Fax: (251-1) 62 77 17 E-mail: Lclarke@worldbank.org E-mail: Idiwan@worldbank.org Web: www.worldbank.org/afr ウクライナ Web: www.worldbank.org/afr Mr. Dusan Vujovic イエメン共和国 The World Bank エリトリア Mr. Robert E. Hindle 2 Lysenko Street Mr. Florian Fichtl The World Bank, Hadda Street No. 40 Kyiv 01034, Ukraine The World Bank off Damascus Road Tel: (380-44) 490 6671 15/17, Tsegai Adig Street Sana’a, Republic of Yemen Fax: (380-44) 490 6670 Zone 03, Subzone 01 (postal address: P.O. Box 18152) E-mail: Dvujovic@worldbank.org Asmara, Eritrea Tel: (967-1) 413 708 Web: www.worldbank.org.ua/ Tel: (291-1) 12 43 02 Fax: (967-1) 413 709 Fax: (291-1) 12 43 09 E-mail: Rhindle@worldbank.org ウズベキスタン E-mail: Ffichtl@worldbank.org Web: www.worldbank.org/mena Mr. David Pearce Web: www.worldbank.org/afr The World Bank *インド 15th Floor of International *オーストラリア Mr. Michael F. Carter Business Center Mr. Xian Zhu The World Bank 107 B, Amir Timur Str. The World Bank 70 Lodi Estate 700084, Tashkent, Uzbekistan Level 19, 14 Martin Place New Delhi 110 003, India Tel: (998-71) 1385950 CML Building (postal address: P.O. Box 416, Fax: (998-71) 1385951 Sydney NSW 2000, Australia New Delhi 110 001) E-mail: Dpearce@worldbank.org Tel: (61-2) 9235-6522 Tel: (91-11) 2461 7241 Web: www.worldbank.org/eca Fax: (61-2) 9223-9903 Fax: (91-11) 2461 9393 E-mail: Xzhu1@worldbank.org E-mail:Mcarter1@worldbank.org エクアドル Web: www.worldbank.org/eap Web: www.worldbank.org.in/ Mr. McDonald P. Benjamin Banco Mundial *ガーナ *インドネシア Calle 12 de Octubre 1830 y Cordero Mr. Mats Karlsson Mr. Andrew Steer World Trade Center The World Bank The World Bank Torre B, Piso 13 69 Dr. Isert Road Jakarta Stock Exchange Building Quito, Ecuador North Ridge Residential Area Tower 2, 12th Floor Tel: (593-2) 222 0204 Accra, Ghana Sudirman Central Business Fax: (593-2) 222 0205 (postal address: P.O. Box M. 27) District (SCBD) E-mail: Mbenjamin1@worldbank.org Tel: (233-21) 229681 Jl. Jendral Sudirman Kav. 52-53 Web: www.worldbank.org/lac Fax: (233-21) 227887 Jakarta 12190, Indonesia E-mail: Mkarlsson@worldbank.org (postal address: P.O. Box 324/JKT) *エジプト・アラブ共和国 Web: www.worldbank.org/afr Tel: (62-21) 5299-3000 Mr. Mahmood A. Ayub Fax: (62-21) 5299-3111 The World Bank ガイアナ E-mail: Asteer@worldbank.org World Trade Center The World Bank Liaison Office Web: www.worldbank.or.id 1191 Corniche El-Nil, 15th Floor UNDP Building Boulaq 42 Brickdam and U.N. Place Cairo, Arab Republic of Egypt, 11221 Stabroek Tel: (20-2) 574-1670 Georgetown, Guyana Fax: (20-2) 574-1676 Tel: (592) 223 5036 E-mail:Mayub@worldbank.org Fax: (592) 225 1384 Web: www.worldbank.org/mena Web: www.worldbank.org/lac (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 128 世界銀行 年次報告 2003 *カザフスタン ギニア *ケニア Mr. Dennis N. de Tray Mr. Jan Weetjens Mr. Makhtar Diop The World Bank Almaty Office Banque Mondiale The World Bank 41/A Kazybek bi Street, 4th Floor Immeuble de l’Archeveche Hill Park Building 480100 Almaty, Republic of Kazakhstan Face Baie des Anges Upper Hill Tel: (7-3272) 980-580 Conakry, Guinée Nairobi, Kenya Fax: (7-3272) 980-581 (postal address: B.P. 1420) (postal address: P. O. Box 30577) E-mail: Ddetray@worldbank.org Tel: (224) 412-770 Tel: (254-2) 260 300 Web: www.worldbank.org.kz/ Fax: (224) 415-094 Fax: (254-2) 260 380 E-mail: Jweetjens@worldbank.org E-mail:Mdiop2@worldbank.org Mr. Roman Solodchenko Web: www.worldbank.org/afr Web: www.worldbank.org/afr The World Bank Astana Office Samal Microdistrit, 14th Floor キルギス共和国 *コートジボワール Astana Towers Mr. James Christopher Lovelace Mr. Mamadou Dia 473000 Astana, Republic of Kazakhstan The World Bank Banque Mondiale Tel: (7-3172) 580-555 214 Moskovskaya Str. Corner of Booker Washington and Fax: (7-3172) 580-342 Bishkek 720010, Kyrgyz Republic Jacques Aka Streets, Cocody, Abidjan 01, E-mail: Sroman@worldbank.org Tel: (996-312) 61 06 50 Côte d’Ivoire Fax: (996-312) 61 03 56 (postal address: B.P. 1850) ガボン E-mail: Jlovelace@worldbank.org Tel: (225) 22 40 04 00 Ms. Mehrnaz Teymourian Web: www.worldbank.org.kg Fax: (225) 22 40 04 61 Banque Mondiale E-mail:Mdia@worldbank.org Quartier Palais de Justice グアテマラ Web: www.worldbank.org/afr Section RG—Parcelle No. 222 Mr. Eduardo Somensatto P.O. Box 2183 Banco Mundial コソボ Libreville, Gabon 13 Calle 3-40 Mr. Sidi Boubacar Tel: (241) 73 81 71 Zona 10, Edificio Atlantis, Piso 14 The World Bank Liaison Office Fax: (241) 73 81 69 Guatemala City, Guatemala Rruga Tirana No. 35 E-mail: Mteymourian@worldbank.org Tel: (502) 366-2044 Pristina, Kosovo Web: www.worldbank.org/afr Fax: (502) 366-1936 Serbia and Montenegro E-mail: Esomensatto@worldbank.org Tel: (381-38) 249 459 カメルーン Web: www.worldbank.org/lac Fax: (381-38) 249 780 Mr. Madani M. Tall E-mail: Sboubacar@worldbank.org Banque Mondiale グルジア Web: www.worldbank.org/eca rue 1. 792, No. 186 The World Bank Yaounde, Cameroon 5A, 1st Drive, Chavchavadze Avenue コロンビア (postal address: B.P. 1128) Tbilisi, 380079 Georgia Mr. Alberto Chueca Mora Tel: (237) 221 68 75 Tel: (995-32) 99-04-48 Banco Mundial Fax: (237) 221 07 22 Fax: (995-32) 99-52-88 Carrera 7 No. 71-21 E-mail: Mtall@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eca Torre A, piso 16 Web: www.worldbank.org/afr Apartado 10229 *クロアチア Bogota, Colombia カンボジア Mr. Andrew Vorkink, Country Director Tel: (57-1) 326-3600 Ms. Nisha Agrawal Ms. Indira Konjhodzic, Country Fax: (57-1) 326-3480 The World Bank Manager E-mail: Achuecamora@worldbank.org 113 Norodom Boulevard The World Bank Web: www.worldbank.org/lac Phnom Penh, Cambodia Trg J.F. Kennedya 6b/lll (postal address: P.O. Box 877) HR-10000 Zagreb, Croatia Tel: (855-23) 213538, 213639 Tel: (385-1) 2357-222 Fax: (855-23) 210504, 210373 Fax: (385-1) 2357-200 E-mail: Nagrawal@worldbank.org E-mail: Avorkink@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eap E-mail: Ikonjhodzic@worldbank.org Web: www.worldbank.hr/ (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 第6章 世界銀行について 129 コンゴ共和国 シエラレオネ *セネガル Mr. Alassane Diawara Mr. Richard Lynn Ground Mr. John McIntire The World Bank The World Bank Banque Mondiale Immeuble BDEAC, 2è étage Africanus House 3, place de l’indépendance Boulevard de la Révolution 13A Howe Street Immeuble SDIH 5ème étage P.O. Box 14536 Freetown, Sierra Leone Dakar, Sénégal Brazzaville, Republic of Congo Tel: (232-22) 227555 (postal address: B. P. 3296) Tel: (242) 81 33 30 Fax: (232-22) 228555 Tel: (221) 849-50-00 Fax: (242) 81 53 16 E-mail: Rground@worldbank.org Fax: (221) 849-50-27 E-mail: Adiawara@worldbank.org Web: www.worldbank.org/afr E-mail: Jmcintire@worldbank.org Web: www.worldbank.org/afr Web: www.worldbank.org/afr ジャマイカ コンゴ民主共和国 Mr. Errol G. Graham セルビア・モンテネグロ Mr. Onno Ruhl The World Bank Liaison Office Mr. Rory O’Sullivan The World Bank Island Life Center The World Bank avenue Wagenia, no. 4847 6 St. Lucia Avenue Bulevar Kralja Aleksandra 86-90 Kinshasa-Gombe Third Floor Belgrade, Serbia and Montenegro Democratic Republic of the Congo Kingston 5, Jamaica Tel: (381-11) 3023-700 Tel: (243) 994-9015 Tel: (876) 960-0459 Fax: (381-11) 3023-732 Fax: (243) 880-7817 Fax: (876) 960-0463 E-mail: Rosullivan@worldbank.org E-mail: Oruhl@worldbank.org E-mail: Egraham@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eca Web: www.worldbank.org/afr Web: www.worldbank.org/lac *タイ サウジアラビア シンガポール Mr. Ian C. Porter Mr. Edgar Saravia Mr. Peter L. Stephens The World Bank The World Bank The World Bank Liaison Office Diethelm Towers, Tower A UNDP Building, Diplomatic Quarter #15-08, MAS Building 14th Floor, 93/1 Wireless Road (ア メ リカ大使館隣) 10 Shenton Way Lumpini, Pathumwan Riyadh, Saudi Arabia Singapore, 079117 Bangkok 10330, Thailand (postal address: P.O. Box 5900, Tel: (65) 6324-4612 Tel: (66-2) 256-7792 Riyadh 11432, Saudi Arabia) Fax: (65) 6324-4615 Fax: (66-2) 256-7794/5 Tel: (966-1) 483-4956 E-mail: Pstephens1@worldbank.org E-mail: Iporter@worldbank.org Fax: (966-1) 488-5311 Web: www.worldbank.org/eap Web: www.worldbank.or.th E-mail: Esaravia@worldbank.org Web: www.worldbank.org/mena ジンバブエ タジキスタン Mr. Ohene Owusu Nyanin Mr. Cevdet A. Denizer ザンビア The World Bank The World Bank Mr. Ohene Owusu Nyanin Old Lonrho Building Rudaki Avenue 105 The World Bank 88 Nelson Mandela Avenue Dushanbe, Tajikistan Anglo American Building Harare, Zimbabwe Tel: (992-372) 21-07-56 74 Independence Avenue, 3rd Floor (postal address: P.O. Box 2960) Fax: (992-372) 51-00-42 Lusaka, Zambia 10101 Tel: (263-4) 729-611 E-mail: Cdenizer@worldbank.org (postal address: P.O. Box 35410) Fax: (263-4) 708-659 Web: www.worldbank.org/eca Tel: (260-1) 252-811 E-mail: Onyanin@worldbank.org Fax: (260-1) 254-283 Web: www.worldbank.org.zw/ タンザニア E-mail: Onyanin@worldbank.org Mr. Benno J. Ndulu Web: www.worldbank.org/afr *スリランカ The World Bank Mr. Peter C. Harrold 50 Mirambo Street The World Bank Dar-es-Salaam, Tanzania 1st Floor, DFCC Building (postal address: P.O. Box 2054) 73/5, Galle Road Tel: (255-22) 2114575 Colombo 3, Sri Lanka Fax: (255-22) 2113039 (postal address: P.O. Box 1761) E-mail: Bndulu@worldbank.org Tel: (94-1) 448070/1 Web: www.worldbank.org/afr Fax: (94-1) 440357 E-mail: Pharrold@worldbank.org Web: www.worldbank.org/sar (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 130 世界銀行 年次報告 2003 チャド トーゴ *ナイジェリア Mr. Gregor Binkert Mr. Jean-Michel Happi Mr. Mark D. Tomlinson Banque Mondiale Banque Mondiale The World Bank avenue Charles de Gaulle 169 Boulevard du 13 Janvier Plot 433 Yakubu Gowon Crescent et avenue du Commandant Lamy Immeuble BTCI, 8ème étage Opposite ECOWAS Secretariat Quartier Bololo Lomé, Togo Asokoro District N’Djamena, Chad (postal address: Boite Postale 3915) Abuja, Nigeria (postal address: B.P. 146) Tel: (228) 221 57 77 (postal address: P.O. Box 2826, Garki) Tel: (235-52) 3247, 3360 Fax: (228) 221 78 56 Tel: (234-9) 314-5269 Fax: (235-52) 4484 E-mail: Jhappi@worldbank.org Fax: (234-9) 314-5267 E-mail: Gbinkert@worldbank.org Web: www.worldbank.org/afr E-mail: Mtomlinson@worldbank.org Web: www.worldbank.org/afr Web: www.worldbank.org/afr ドミニカ共和国 中央アフリカ共和国 Mr. Marco Mantovanelli ニカラグア Mr. Madani M. Tall Banco Mundial Ms. Amparo Ballivian Banque Mondiale Calle Virgilio Díaz Ordoñez #36 Banco Mundial rue des Missions esq. Gustavo Mejía Ricart De la Rotonda de la Bangui, Republique Centrafricaine Edificio Mezzo Tempo, Suite 401 Centroamerica, 400 mts. abajo (postal address: B.P. 819) 4ta. Planta, Santo Domingo, R.D. Segundo Piso Edificio SYSCOM Tel: (236) 616138 Tel: (809) 566-6815 Managua, Nicaragua Fax: (236) 616087 Fax: (809) 566-7746, 566-7189 Tel: (505) 270-0000 E-mail: Mtall@worldbank.org E-mail: Mmantovanelli@worldbank.org Fax: (505) 270-0077 Web: www.worldbank.org/afr Web: www.worldbank.org/lac E-mail: Aballivian@worldbank.org Web: www.worldbank.org/lac *中国 トルクメニスタン Mr. Yukon Huang Mrs. Guljahan Kurbanova ニジェール The World Bank The World Bank Liaison Office Mr.Vincent Turbat 9th Floor, Building A, Fuhua Mansion United Nations Building Banque Mondiale No. 8, Chaoyangmen Beidajie Atabaev Street, 40 42 rue des Dallols Dongcheng District, Ashgabat 744000 Niamey Plateau Beijing 100027, China Turkmenistan B. P. 12402 (postal address: P.O. Box 100600-9086) Tel: (993-12) 350477 Niamey, Niger Tel: (86-10) 6554-3361 Fax: (993-12) 351693 Tel: (227) 73 59 29 Fax: (86-10) 6554-1686 E-mail: Gkurbanova@worldbank.org Fax: (227) 73 55 06 E-mail: Yhuang2@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eca E-mail: Vturbat@worldbank.org Web: www.worldbank.org.cn/ Web: www.worldbank.org/afr *トルコ チュニジア Mr. Ajay Chhibber *ネパール Ms. Fatma Felah The World Bank Mr. Kenichi Ohashi The World Bank Liaison Office Ugur Mumcu Caddesi 88 The World Bank 61, Boulevard Bab Benat Kat: 2, 06700 Gaziosmanpasa Yak & Yeti Hotel Complex 1035 Tunis, Tunisia Ankara, Turkey Lal Durbar Tel: (216-71) 563-265 Tel: (90-312) 446 38 24 Kathmandu, Nepal Fax: (216-71) 436-475 Fax: (90-312) 446 24 42 (postal address: P.O. Box 798) E-mail: Ffelah@worldbank.org E-mail: Achhibber@worldbank.org Tel: (977-1) 4226793 Web: www.worldbank.org/mena Web: www.worldbank.org.tr/ Fax: (977-1) 4225112 E-mail: Kohashi@worldbank.org Web: www.worldbank.org/sar (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 第6章 世界銀行について 131 ハイチ 東ティモール ブラジル、 レシフェ Mr. Marco Mantovanelli Ms. Elisabeth Huybens Mr. Tulio Barbosa Banque Mondiale The World Bank Banco Mundial c/o IDB, 389 Route de Bourdon Rua Dos Direitos Humanos Edificio SUDENE, Sala 13S-021 Port-au-Prince, Haïti Dili, Timor-Leste Cidade Universitaria Tel: (509) 510-3797 (postal address: World Bank Mission, 50670-900 Recife, PE, Brazil Fax: (509) 512-5895 / (809) 566-7746 Timor-Leste, GPO Box 3548, Darwin Tel: (55-81) 3453-1644 E-mail: Mmantovanelli@worldbank.org NT 0801, Australia) Fax: (55-81) 3453-4624 Web: www.worldbank.org/lac Tel: (670-390) 312-367 / 324-649 E-mail: Tbarbosa@worldbank.org Fax: (670-390) 321-178 (オース トラリアから Web: www.worldbank.org/lac *パキスタン のみ接続可能) Mr. John W.Wall E-mail: Ehuybens@worldbank.org ブルガリア The World Bank Web: www.worldbank.org/eap Mr. Oscar de Bruyn Kops 20 A Shahrah-e-Jamhuriyat, Ramna 5, The World Bank G-5/1, Islamabad, Pakistan *フィリピン World Trade Cente—Interpred (postal address: P.O. Box 1025) Mr. Robert V. Pulley 36 Dragan Tsankov Blvd. Tel: (92-51) 2279641 The World Bank 1040 Sofia, Bulgaria Fax: (92-51) 2279648 23/F, The Taipan Place Building Tel: (359-2) 96 97 229 E-mail: Jwall@worldbank.org Emerald Avenue, Ortigas Center Fax: (359-2) 971 20 45 Web: www.worldbank.org/sar Pasig City, Metro Manila, Philippines E-mail: Odebruynkops@worldbank.org Tel: (63-2) 637-5855 Web: www.worldbank.bg パプアニューギニア Fax: (63-2) 637-5870 Mr. Mahesh Sharma E-mail: Rpulley@worldbank.org ブルキナファソ The World Bank Liaison Office Web: www.worldbank.org/eap Mr. Jean Mazurelle c/o Holiday Inn Banque Mondiale Suite 102 *ブラジル Immeuble BICIA, 3eme etage P.O. Box 1981 Mr. Vinod Thomas Ouagadougou, Burkina Faso Boroko, Port Moresby Banco Mundial (postal address: B.P. 622) Papua New Guinea Setor Comercial Norte Quadra 02 Tel: (226) 306237 Tel: (675) 323-1366 Lote A—Edificio Fax: (226) 308649 Fax: (675) 323-1526 Corporate Financial Center E-mail: Jmazurelle@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eap Conjuntos 204/303/304, 603 Web: www.worldbank.org/afr Brasilia, DF 70712-900, Brazil パラグアイ Tel: (55-61) 329-1000 ブルンジ Mr. Peter M. Hansen Fax: (55-61) 329-1010 Mr. Mathurin Gbetibouo Banco Mundial E-mail: Vthomas@worldbank.org Banque Mondiale Edificio Naciones Unidas Web: www.worldbank.org/lac avenue du 18 septembre Av.Mcal. Lopez y Saravi Bujumbura, Burundi Asuncion, Paraguay ブラジル、 フォルタレザ (postal address: B.P. 2637) Tel: (595-21) 664-000 Mr. Antonio Magalhaes Tel: (257-2) 22443, 23269 Fax: (595-21) 664-002 The World Bank Liaison Office Fax: (257-2) 26005 E-mail: Phansen1@worldbank.org Rua Oswaldo Cruz, No. 01 E-mail: Mgbetibouo@worldbank.org Web: www.worldbank.org/lac Edificio Beira Mar Trade Center, Web: www.worldbank.org/afr Sala 1710 *バングラデシュ 60125-150—Fortaleza, Ceará, Brazil *ベトナム Ms. Christine Wallich Tel: (55-85) 242-7200 Mr. Klaus Rohland The World Bank Fax: (55-85) 242-7177 The World Bank 3A, Paribagh Web: www.worldbank.org/lac 63 Ly Thai To Street, 8th Floor Dhaka 1000, Bangladesh Hanoi, Vietnam (postal address: G.P.O. Box 97) Tel: (84-4) 934-6600 Tel: (880-2) 861-1056, 966-9301-7 Fax: (84-4) 934-6597 Fax: (880-2) 861-3220 対外関係部門の連絡用電子メール E-mail: Cwallich@worldbank.org E-mail: Krohland@worldbank.org Web: www.worldbank.org/sar Web: www.worldbank.org/vn (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 132 世界銀行 年次報告 2003 ベナン *ポーランド マケドニア Ms. Diarietou Gaye Mr. Roger W. Grawe, Country Director Ms. Marie-H. P. Bricknell Banque Mondiale Mr. Christopher L. Hall, Country The World Bank Zone Résidentielle de la Radio Manager 34 Leninova Street Cotonou, Bénin The World Bank 91000 Skopje, Republic of Macedonia (postal address: B.P. 03-2112) 53, Emilii Plater St. Tel: (389-2) 117-159 Tel: (229) 312124 Warsaw Financial Center, 9th Floor Fax: (389-2) 117-627 Fax: (229) 312751, 315839 00-113 Warsaw, Poland E-mail: Mbricknell@worldbank.org E-mail: Dgaye@worldbank.org Tel: (48-22) 520 8000 Web: www.worldbank.org.mk/ Web: www.worldbank.org/afr Fax: (48-22) 520 8001 E-mail: Rgrawe@worldbank.org, *マダガスカル ベネズエラ・ボリバル共和国 chall1@worldbank.org Mr. Hafez Ghanem Bolivariana de Web: http:/www.worldbank.org.pl/ Banque Mondiale Mr. David Varela Rue Andriamifidy L. Banco Mundial ボスニア・ヘルツェゴビナ Razafimanantsoa, Anosy (près du Av. Francisco de Miranda Mr. Joseph K. Ingram Ministère des Affaires Etrangères) con Av. del Parque The World Bank Antananarivo 101,Madagascar Torre Edicampo, Piso 10, Hamdije Kresevljakovica 19/5 (postal address: B. P. 4140) Campo Alegre 71000 Sarajevo Tel: (261-20) 2256000 Caracas, República Bolivariana Bosnia and Herzegovina Fax: (261-20) 2233338 de Venezuela Tel: (387-33) 440 293 E-mail: Hghanem@worldbank.org Tel: (58-212) 267-9943 Fax: (387-33) 440 108 Web: www.worldbank.org/afr Fax: (58-212) 267-9828 E-mail: Jingram@worldbank.org E-mail: Dvarela@worldbank.org Web: www.worldbank.org.ba マラウイ Web: www.worldbank.org/lac Mr. Dunstan M.Wai ボリビア The World Bank ベラルーシ Mr. John Newman Development House Mr. Vadim P.Voronin Banco Mundial Capital City The World Bank Edificio Victor, piso 9 Lilongwe 3, Malawi 2A Gertsen Street, 2nd Floor Calle Fernando Guachalla #342 (postal address: P.O. Box 30557) Minsk, 220030 Sopocachi Tel: (265-1) 770 611 Republic of Belarus La Paz, Bolivia Fax: (265-1) 771 158 / 773 908 Tel: (375-17) 226-5284 (postal address: Casilla 8692) E-mail: Dwai@worldbank.org Fax: (375-17) 211-0314 Tel: (591-2) 244-3555 Web: www.worldbank.org/afr E-mail: Vvoronin@worldbank.org Fax: (591-2) 212-9880 Web: www.worldbank.org/eca E-mail: Jnewman@worldbank.org マリ Web: www.worldbank.org/lac Ms. Judith Press *ペルー Banque Mondiale Mr. Marcelo Giugale ホンジュラス Immeuble SOGEFIH, Banco Mundial Mr. Joseph Owen Centre Commercial Rue 32 Avenida Alvarez Calderon 185 Banco Mundial Quartier du Fleuve Piso 7, San Isidro Centro Financiero BANEXPO, 4to Piso Bamako, Mali Lima, Peru Boulevard San Juan Bosco (postal address: B. P. 1864) Tel: (51-1) 215-0660 Colonia Payaqui Tel: (223) 222 22 83 Fax: (51-1) 421-7241 Apartado Postal 3591, Fax: (223) 222 66 82 E-mail: Mgiugale@worldbank.org Tegucigalpa, Honduras E-mail: Jpress@worldbank.org Web: www.worldbank.org/lac Tel: (504) 239-4551 Web: www.worldbank.org/afr Fax: (504) 239-4555 ベルギー E-mail: Jowen@worldbank.org Ms. Margret C. Thalwitz Web: www.worldbank.org/lac Banque Mondiale 10 rue Montoyer, bte 16 B-1000 Brussels, Belgium Tel: (32-2) 552 00 52 Fax: (32-2) 552 00 25 E-mail: Mthalwitz@worldbank.org Web: www.worldbank.org/eca (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 第6章 世界銀行について 133 *南アフリカ モロッコ リトアニア Mr. Fayez S. Omar Mr. Ferid Belhaj Mr. Mantas Nocius The World Bank The World Bank The World Bank First Floor, Pro Equity Court 7, rue Larbi Ben Abdellah Jogailos Str. 4, 5th Floor 1250 Pretorius Street Rabat-Souissi,Morocco 2001 Vilnius, Lithuania Hatfield, Pretoria 0083 Tel: (212-37) 63.60.50 Tel: (370-5) 210 7680 Republic of South Africa Fax: (212-37) 63.60.51 Fax: (370-5) 210 7681 (postal address: P.O. Box 12629, E-mail: Fbelhaj@worldbank.org E-mail:Mnocius@worldbank.org Hatfield 0028, Pretoria) Web: www.worldbank.org/mena Web: www.worldbank.lt/ Tel: (27-12) 431-3100 Fax: (27-12) 431-3134 モンゴル ルーマニア E-mail: Fomar@worldbank.org Mr. Saha Dhevan Meyanathan The World Bank Web: www.worldbank.org/afr The World Bank Boulevard Dacia 83, Sector 2 11-A Peace Avenue Bucharest, Romania *メキシコ Ulaanbaatar 210648,Mongolia Tel: (40-1) 210-1804 Ms. Isabel M. Guerrero Tel: (976-11) 312-647 Fax: (40-1) 210-2021 Banco Mundial Fax: (976-11) 312-645 Web: www.worldbank.org.ro/ Insurgentes Sur 1605, Piso 24 E-mail: Smeyanathan@worldbank.org San Jose Insurgentes Web: www.worldbank.org.mn ルワンダ 03900 Mexico, D. F.,Mexico The World Bank Tel: (52-5) 5480-4200 *ヨルダン川西岸・ガザ地区 Blvd. de la Revolution Fax: (52-5) 5480-4222 Mr. Nigel Roberts SORAS Building E-mail: Iguerrero@worldbank.org The World Bank Kigali, Rwanda Web: www.worldbank.org/lac P.O. Box 54842 (postal address: P.O. Box 609) Jerusalem Tel: (250) 572204 モーリタニア アルラム Tel: (972-2) 2366500 Fax: (250) 576385 Mr. Yves Duvivier アルラム Fax: (972-2) 2366543 Web: www.worldbank.org/afr Banque Mondiale ガザ Tel: (972-8) 2823422 Villa No. 30, Lot A ガザ Fax: (972-8) 2824296 レソト Quartier Socogim Web: www.worldbank.org/mena The World Bank Liaison Office Nouakchott,Mauritanie U.N. House (postal address: B. P. 667) ラオス人民民主共和国 United Nations Road Tel: (222) 525 10 17 Mr. Enrique O. Crousillat Maseru, Lesotho Fax: (222) 525 13 34 The World Bank Tel: (266) 321-480 E-mail: Yduvivier@worldbank.org Pathou Xay—Nehru Road Fax: (266) 310-619 Web: www.worldbank.org/afr Vientiane, Lao PDR Web: www.worldbank.org/afr (postal address: P.O. Box 345 *モザンビーク code 01004) レバノン Mr. Darius Mans Tel: (856-21) 414-209, 450-010 Mr. Omar Razzaz The World Bank Fax: (856-21) 414-210 The World Bank Avenue Kenneth Kaunda, 1224 E-mail: Ecrousillat@worldbank.org U.N. House Maputo,Mozambique Web: www.worldbank.org/eap 6th Floor (postal address: Caixa Postal 4053) Riad El Solh Tel: (258-1) 49 28 41 ラトビア Beirut 1107 2270, Lebanon Fax: (258-1) 49 28 93 Mrs. Inguna Dobraja (postal address: P.O. Box 11-8577) E-mail: Dmans@worldbank.org The World Bank Tel: (961-1) 987 800 Web: www.worldbank.org/afr Smilsu Street 8, 5th Floor Fax: (961-1) 986 800 Riga, LV 1162, Latvia Web: www.worldbank.org/mena モルドバ Tel: (371-7) 220-744 Mr. Edward K. Brown Fax: (371-7) 814-245 *ロシア連邦 The World Bank E-mail: Idobraja@worldbank.org Mr. Julian F. Schweitzer Sciusev str., 76/6, MD 2012 Web: www.worldbank.org.lv/ The World Bank Chisinau, Republic of Moldova Bolshaya Molchanovka 36/1 Tel: (373-2) 237-065 Moscow 121069, Russian Federation Fax: (373-2) 237-053 Tel: (7-095) 745-7000 E-mail: Ebrown1@worldbank.org Fax: (7-095) 745-7002 Web: www.worldbank.org/eca E-mail: Jschweitzer@worldbank.org Web: www.worldbank.org.ru/eng/ (*印)国別担当局長が配置されている現地事務所。現地事務所の地図および融資適格性に関する情報は第5章をご覧ください。 注:地域別のウェブサイトについては182〜183頁をご覧ください。 134 世界銀行 年次報告 2003 組織に関する情報 世銀職員について 世銀では民族、文化、人種、教育、そして専門性の 地域社会への貢献 面できわめて多彩な職員が働いています。IBRDと IDAの業務はワシントンDC本部と世界各地の100を超 世銀グループの雇用規模は米国ワシントンDC地区 える現地事務所で働く約8800人の職員によって支え で第3位です。この事実をふまえ、世銀は職員の生活 られています。 と仕事の場である地域社会に対し、個別に、また組 織として責任を果たすことがきわめて重要であると考 世銀職員のうち: えています。世銀は貧困削減という使命に従い、この ■ 54%は世銀が定義する6地域で働いています(ア 地区の人々の生活を改善することを目的とした「コ フリカ、東アジア・大洋州、南アジア、ヨーロッ ミュニティ・アウトリーチ・プログラム」を実施していま パ・中央アジア、ラテンアメリカ・カリブ海、および す。世銀は職員のボランティア活動を奨励し、毎年グ 。 中東・北アフリカ) ラント・プログラムを開催しています。また、地区の組 ■ 17%は専門ネットワークやその他の業務ユニット 織と協力して、地域社会の強化に取り組んでいます。 の「アンカー・ユニット」で働いています。 職員の家族や退職者を含めると、ワシントンDCの ■ 29%は財務、管理、およびコーポレート・ユニット 首都エリアには2万5000人以上の世銀関係者が暮らし で働いています。 ています。独立機関の分析によると、世銀が地域にも ■ 75%以上は少なくとも1つの専門ネットワークに所 たらしている経済効果は年間約20億ドルにのぼって 属しています。 『ワシン います。最近、 トン・ビジネスジャーナル』はワ シントンDC地区で2002年に最もフィランソロピー(社 分権化 会貢献活動など)に力を入れた組織の19位に世銀を 現地で働く職員が増えたことによ り、借入国に対す 選びました。世銀はその知識、情報、そして専門能力 る理解が深ま り、借入国との緊密な連携のもとで、よ を地域社会と共有し、世界に対する使命を地域社会 り迅速にサービスを提供できるようになっています。 に適用しています。世銀職員が世界各地で進めてい 国別担当局長の68%と職員の30%は現地事務所で働 る教育、HIV/エイズ、安価な保健・医療サービスと いており、職員の26%は現地事務所が現地で採用し いった取り組みは、ワシントンDC地区の課題を解決 た人々です。 する上でも役立っています。 こうした地域貢献プログラムの一例が、カルドーゾ 多様性 高校とベル多文化高校との教育パートナーシップで 職員の国籍は140ヶ国以上にわたります。パー トII す。このパートナーシップを通して、世銀は両校の教 諸国出身の職員は全体の58%で、管理職・上級技術 育面、技術面でのニーズに応えるだけでなく、夏休み 職の36%を占めています (パートI、II加盟国リストは や放課後に生徒をインターンとして受け入れ、実社会 181頁をご覧ください) 。 で働く機会を提供しています。教育は貧困削減の要 世銀は10年以上前からジェンダーと人種の平等を であるという考えに基づき、世銀はこのほど大手企業 推進してきま した。今日、女性職員は全体の52%、管 「公教育パー 各社と を設立しま トナーシップ基金」 した。 理職・上級技術職の24%を占めています。サハラ以 この基金は今後、ワシントンDCの公立学校制度の戦 南のアフリカ ・カリブ海諸国の出身者は全体の15%、 略的改革を支援していく予定です。 管理職・上級技術職の7%を占めています。 今日、世銀グループの地域貢献プログラムは、さま 31人の世銀幹部(126頁参照)のうち、11人はパー ト ざまなパートナーシップ、スポンサーシップ、グラント、 II諸国出身者、6人は女性、7人はサハラ以南のアフリ およびボランティア活動を通して、この地区の最も恵 カ諸国の出身者です。 まれない人々の支援に役立っています。現在は地区 の貧困緩和に焦点をあて、教育、雇用・研修、保健・ 医療サービス、および地域住民と社会経済の開発に 集中的に取り組んでいます。 第6章 世界銀行について 135 表 表6.1 世銀融資適格国 (2003年7月1日現在) 所得分類 2002年の 所得分類 2002年の および国名 一人当たりGNIa および国名 一人当たりGNIa IBRD融資のみの適格国 一人当たりGNIが5,115ドル超 マーシャル諸島 2,350 大韓民国 9,930 ドミニカ共和国 2,320 スロベニア 9,810 フィジー 2,160 アンティグア ・バーブーダ 9,390 ミクロネシア連邦 2,150 パラオ 7,140 ロシア連邦 2,140 トリニダード・ トバゴ 6,490 エルサルバドル 2,080 セントクリスト ファー・ネーヴィス 6,370 ペルー 2,050 メキシコ 5,910 チュニジア 2,000 チェコ共和国 5,560 タイ 1,980 ハンガリー 5,280 スリナム 1,960 セーシェルd NA ナミビア 1,900 ルーマニア 1,850 一人当たりGNIが2,936〜5,115ドル コロンビア 1,830 クロアチア 4,640 ブルガリア 1,790 ポーラン ド 4,570 ヨルダン 1,760 ウルグア イ 4,370 グアテマラ 1,750 チリ 4,260 アルジェリア 1,720 エス トニア 4,140 イラン ・イスラム共和国 1,710 コスタリカ 4,100 マケ ドニア旧ユーゴスラビア共和国 1,700 ベネズエラ ・ボリバル共和国 4,090 カザフスタン 1,510 アルゼンチン 4,060 エジプト ・アラブ共和国 1,470 パナマ 4,020 エクア ドル 1,450 レバノ ン 3,990 スロバキア共和国 3,950 一人当たりGNIが735〜1,415ドル モーリシャス 3,850 ベラルーシ 1,360 リトアニア 3,660 トルク メニスタン 1,200 マレーシア 3,540 モロッコ 1,190 ラトビア 3,480 スワジラン ド 1,180 ガボン 3,120 パラグア イ 1,170 ボツワナ 2,980 シリア ・アラブ共和国 1,130 ベリーズ 2,960 フィリピン 1,020 中国 940 一人当たりGNIが1,416〜2,935ドル ウクラ イナ 770 ブラジル 2,850 イラクd NA ジャマイカ 2,820 南アフリカ 2,600 一人当たりGNIが735ドル未満 トルコ 2,500 赤道ギニア NA IBRD融資およびIDA融資のブレンド適格国b 一人当たりGNIが2,936〜5,115ドル 一人当たりGNIが735ドル未満 セントルシアc 3,840 アゼルバイジャン 710 グレナダc 3,500 インドネシア 710 ドミニカ国c 3,180 パプアニューギニア 530 インド 480 一人当たりGNIが1,416〜2,935ドル ウズベキスタン 460 セントビンセントおよびグレナデ ィ ーン諸島c 2,820 パキスタン 410 ナイジェリア 290 一人当たりGNIが735〜1,415ドル ジンバブエd NA セルビア・モンテネグロd 1,400 ボスニア・ヘルツ ェゴビナ 1,270 ボリビア 900 136 世界銀行 年次報告 2003 所得分類 2002年の 所得分類 2002年の および国名 一人当たりGNIa および国名 一人当たりGNIa IDA融資のみの適格国b 一人当たりGNIが1,416〜2,935ドル ケニア 360 モルディ ブc 2,090 スーダンd 350 サモアc 1,420 モーリ タニア 340 ザンビア 330 一人当たりGNIが735〜1,415ドル ラオス人民民主共和国 310 トンガc 1,410 キルギス共和国 290 アルバニア 1,380 サントメ ・プリンシペ 290 カーボヴェルデc 1,290 ガンビア 280 バヌアツc 1,080 カンボジア 280 ホンジュラス 920 タンザニア 280 ジブチ 900 ガーナ 270 ガイアナ 840 トーゴd 270 スリランカ 840 中央アフリカ共和国d 260 キリバスc 810 マダガスカル 240 アルメニア 790 マリ 240 ウガン ダ 240 一人当たりGNIが735ドル未満 ネパール 230 グルジア 720 ルワン ダ 230 コンゴ共和国 700 ブルキナファソ 220 アンゴラ 660 チャド 220 コートジボワール 610 モザンビーク 210 ブータン 590 タジキスタン 180 ソロモン諸島 570 ニジェール 170 カメルーン 560 エリトリア 160 イエメ ン共和国 490 マラウイ 160 レソト 470 ギニアビサウ 150 セネガル 470 リベリアd 150 モルドバ 460 シエラレオネ 140 ハイチd 440 ブルンジ 100 モンゴル 440 エチオピア 100 ベトナム 430 コンゴ民主共和国 90 東ティモール 430 アフガニスタン NA ギニア 410 ミャンマーd NA コモロ 390 ニカラグア NA ベナン 380 ソマリアd NA バングラデシュ 360 NA 正確な数値が不明。 a.「世界銀行アトラス」 方式:一人当たりGNI (国民総所得。従来のGNP)の数値は2002年の米ドル建て。 b. IDA融資の適格性は(a)相対的貧困度、 および(b)信用力不足の2点から判断される。2004年度のIDA融資条件は、2002年の一人当たり GNI (世界銀行アトラス方式) が865ドル以下であること。IDA融資を受けるためには、 さらにパフォーマンス・テストに合格する必要がある。た だし、GNIが上限を超えており、大規模な構造調整努力も行われているが、IBRD融資に必要な信用力を備えていない国に対しては、暫定的に IDA融資の適格性が認められている。経済規模の小さい諸島国については、 例外的にIDA融資が認められている 。 (脚注c参照) c. 信用力がないために世銀グループの援助をほとんど、 あるいはまったく受けることのできない経済規模の小さい諸島国は、 IDA融資のための 一人当たりGNI基準 (2004年度は865ドル以下) の適用から除外された。こうした国々に対しては、 信用力を高めるためのプロジェクトおよび 構造調整プログラムにIDA融資を行うかどうかはケース・バイ・ケースで検討される。 d. 2003年6月30日現在、 融資は行われていない。 第6章 世界銀行について 137 表 表6.2 アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 (単位:100万ドル) コンゴ民主共和国 タンザニア ナイジェリア 地域合計 項目 2003 2002 2003 2002 2003 2002 2003 2002 IBRDとIDAの承認額 454 500 230 402 230 427 3,737 3,793  未実行残高 440 478 772 765 948 699 9,611 9,723  実行総額 531 11 26 170 26 26 3,281 2,651  返済額 228 — 17 7 205 196 1,059 606  純実行額 303 11 9 163 (179) (170) 2,222 2,045  金利・諸掛り 143 — 5 16 73 79 523 373  純移転額 160 11 4 147 (252) (249) 1,699 1,672  ― ゼロ 注:本表は過去2年度(2002、2003)において、本地域でもっとも融資承認額の高かった3ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 表6.3 東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、 および純移転額 2002–2003年度 (単位:100万ドル) 中国 ベトナム インドネシア 地域合計 項目 2003 2002 2003 2002 2003 2002 2003 2002 IBRDとIDAの承認額 1,145 563 368 593 584 303 2,311 1,774 未実行残高 5,732 6,794 2,074 2,141 1,889 1,830 11,206 12,594 実行総額 1,780 2,015 458 332 358 507 3,078 3,591 返済額 2,845 1,532 2 2 1,184 956 7,353 3,435 純実行額 (1,065) 483 456 330 (826) (449) (4,275) 156 金利・諸掛り 570 725 12 9 816 911 2,030 2,457 純移転額 (1,635) (242) 444 321 (1,642) (1,360) (6,305) (2,301) 注:本表は過去2年度(2002、2003)において、本地域でもっとも融資承認額の高かった3ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 138 世界銀行 年次報告 2003 表 表6.4 南アジア地域に対する世銀の融資承認額、融資実行額、 および純移転額 2002–2003年度 (HIPCを含むすべての融資) インド パキスタン バングラデシュ 地域合計 項目 2003 2002 2003 2002 2003 2002 2003 2002 IBRDとIDAの承認額 1,523 2,190 295 800 554 321 2,919 3,508 未実行残高 8,142  8,116  433  527  1,335  1,405  10,480  10,445  実行総額 1,465  2,089  356  869  560  321  2,654  3,392  返済額 3,196  1,467  335  310  123  104  3,736  1,934  純実行額 (1,731) 622  21  559  437  217  (1,082) 1,458  金利・諸掛り 470  504  154  170  52  49  705  745  純移転額 (2,201) 118  (133) 389  385  168  (1,787) 713  注:本表は過去2年度(2002、2003)において、本地域でもっとも融資承認額の高かった3ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 表6.5 ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融資承認額、 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 (単位:100万ドル) トルコ ウクライナ ロシア連邦 地域合計 項目 2003 2002 2003 2002 2003 2002 2003 2002 IBRDとIDAの承認額 300 3,550 300 330 581 351 2,670 5,524 未実行残高 2,552 4,002 591 347 1,761 1,519 9,168 9,980 実行総額 788 1,679 27 301 209 376 2,483 3,824 返済額 487 427 125 89 607 448 2,316 1,640 純実行額 301 1,252 (98) 212 (398) (72) 167 2,184 金利・諸掛り 269 290 69 91 204 298 1,129 1,179 純移転額 32 962 (167) 121 (602) (370) (962) 1,005 注:本表は過去2年度(2002、2003)において、本地域でもっとも融資承認額の高かった3ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 第6章 世界銀行について 139 表 表6.6 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融資承認額、 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 (単位:100万ドル) ブラジル アルゼンチン メキシコ 地域合計 項目 2003 2002 2003 2002 2003 2002 2003 2002 IBRDとIDAの承認額 1,237 1,566 1,350 735 1,172 660 5,820 4,366 未実行残高 3,218 3,852 1,630 1,902 2,678 3,133 11,436 12,770 実行総額 1,747 497 1,587 1,190 1,269 813 6,778 3,778 返済額 1,371 807 2,156 1,363 1,344 1,304 6,087 4,582 純実行額 376 (310) (569) (173) (75) (491) 691 (804) 金利・諸掛り 421 489 448 613 676 794 2,128 2,550 純移転額 (45) (799) (1,017) (786) (751) (1,285) (1,437) (3,354) 注:本表は過去2年度(2002、2003)において、本地域でもっとも融資承認額の高かった3ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 表6.7 中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、 融資実行額、および純移転額 2002–2003年度 (単位:100万ドル) チュニジア イエメン共和国 ヨルダン 地域合計 項目 2003 2002 2003 2002 2003 2002 2003 2002 IBRDとIDAの承認額 112 253 177 78 240 5 1,056 554 未実行残高 665 615 539 415 197 127 3,559 3,351 実行総額 142 227 87 69 162 48 666 632 返済額 176 150 21 18 60 58 964 891 純実行額 (34) 77 66 51 102 (10) (298) (259) 金利・諸掛り 82 80 10 9 37 43 452 561 純移転額 (116) (3) 56  42 65 (53) (750) (820) 注:本表は過去2年度(2002、2003)において、本地域でもっとも融資承認額の高かった3ヶ国を示すものである。数字は四捨五入されている。 140 世界銀行 年次報告 2003 表 表6.8 2003年度に承認された融資 アフリカ地域 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ アンゴラ IDA−「緊急動員解除・社会復帰グラント」 HDW 3/27/03 n.a. 24.0  33.0  UNITA兵士 とFAA兵士 (8万5000人) (3万3000人)の動員解 除・社会復帰を支援すると共に、政府支出が軍事セクターか ら社会・経済セクターへ速やかに再分配されるよう支援する もの。 総コス ト:3300万ドル IDA−「経済運営技術支援融資」 PREM 3/27/03 2013/2042 12.3  16.6  政府の分析能力を強化すると共に、重要分野に健全な政策が 導入されるようにすることで、公的資金管理の改善を目指すも の。プロジェクトの一環として、 コンサルテーション、ワーク ショ ップ、設備、 および研修が提供される。 総コス ト:2000万ドル ウガンダ ◇ IDA−「第2次地方政府開発融資/グラント」 PREM 5/29/03 2013/2043 36.7c 50.0  すべての国民と地方自治体に便益を提供するもの。地方政府 55.0g 75.0  の政策予算と活動予算の一部を支援することにより、制度能力 の強化と持続可能で分散されたサービスの提供を目指す。 総コス ト:1億6500万ドル ◇ IDA−「北ウガンダ社会行動基金特別投資融資」 HDN 7/23/02 2012/2042 80.1  100.0  地域社会主導の開発を通して社会経済サービスを改善し、地域 社会の統合を進め、雇用機会を創出することにより、国民の約 30%に便益を提供するもの。 総コス ト:1億3350万ドル IDA−「第2次貧困削減支援融資」 PREM 7/23/02 2012/2042 120.2  150.0  ウガンダの貧困削減戦略の実行を支援するもの。公共資産の 利用を効率化し、公共サービスを改革し、農村開発、農業、農 村部の道路、農村金融、および天然資源の管理を促進する。 総コス ト:1億5000万ドル ◇ IDA−「保護区の管理と持続可能な利用に関する特別投資 ESSD 7/9/02 2012/2042 21.7  27.0  融資」 ウガンダの野生動物と文化遺産に観光客を誘致すると共に、 保護区および周辺地域に利益をもたらすようなコス ト効率の高 い管理戦略の構築を目指すもの。 総コス ト:3800万ドル IDA−「ビクトリア湖環境管理特別投資補完融資」 ESSD 7/9/02 2012/2042 3.6  4.5  ビク トリア湖周辺の地域社会に便益を提供するもの。湿地帯、 漁業、営林、 および産業廃棄物と都市ゴミの管理を改善するこ とにより、雇用機会と所得が増え、安全な水と衛生的な環境が もたらされる。 総コス ト:450万ドル エチオピア ◇ IDA−「第2次道路セクター開発フェーズI 対応プログラ PSI 6/17/03 n.a. 93.0  126.8  ム・グラント」 国有道路の修復・敷設プロジェク トに融資を行い、移動時間と コス トを削減することにより、すべての道路利用者に便益をも たらすもの。輸送インフラと基本的な社会サービスへのアクセ スが改善されることにより、経済成長と貧困緩和も促進される。 総コス ト:2億1930万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 141 表6.8 2003年度に承認された融資 アフリカ地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「牧畜地域開発対応プログラム・グラント」 ESSD 5/20/03 n.a. 22.0  30.0  所得の向上、公共サービスへのアクセス拡大、干ばつ対策の 強化を通して、牧畜地域の生計改善を目指すもの。家畜、農作 物、給水、保健・医療、および教育関連の地域プロジェク トに 財政・技術支援を提供する。 総コス ト:6000万ドル IDA−「緊急干ばつ回復グラント」 ESSD 3/27/03 n.a. 43.5  60.0  干ばつの被害を受けた世帯の支援、製造資産の保護、および 持続可能な生活の確立を目指すもの。地域の労働者を雇用し て公共設備の建設に取り組むと共に、干ばつの被害を受けた 人々に所得補助を提供する。 総コス ト:6000万ドル ◇ IDA−「社会回復・開発基金I 補完融資」 HDN 12/17/02 2013/2042 21.5  28.3  地域の開発プロジェク トを財政・技術面から支援すると共に、 福祉プログラムの評価・モニタリング能力を強化し、貧困の緩 和を図るもの。 総コス ト:3980万ドル IDA−「エネルギー・アクセス特別投資融資」 PSI 9/19/02 2012/2042 104.9  132.7  85万人の住民に電力と質の高い公共サービスを提供すること を目指すもの。長期電力戦略を策定し、民間セクター投資を促 すことで、地域経済を活性化すると共に、環境に配慮したサー ビスを実現する。 総コス ト:1億9910万ドル IDA−「分散的サービス提供のためのキャパシティ ・ビルディ PREM 7/23/02 2013/2042 20.7  26.2  ング・技術支援融資」 公共セクターのキャパシティ ・ビルディングを行い、サービスの 分散的な提供を目指すもの。その一環として、制度改革、構造 改革、 システム開発、国・地域・市町村レベルの研修などを実 施する。 総コス ト:2920万ドル エリ トリア ◇ IDA−「教育セクター融資」 HDN 6/19/03 2013/2043 32.7  45.0  教育セクターの質を改善して就学率を高めると共に、教材の 入手や教師の研修に必要な資金を提供し、初等・中等教育の 質を高めることにより、100万人以上の子供に便益を提供する もの。 総コス ト:5950万ドル ◇ IDA−「緊急復興補完グラント」 HDN 6/19/03 n.a. 10.9  15.0  干ばつの影響を緩和し、長期的な復興・景気回復プログラムを 強化することを目指すもの。その施策として、土地資源、農業 支援サービス、 エネルギー・道路、および公共事業関連の活動 に融資を行うと共に、干ばつの被害がもっとも大きい地域を重 点的に支援する。 総コス ト:1500万ドル ガーナ ◇ IDA−「貧困削減支援融資/グラント」 PREM 6/24/03 2013/2043 63.9c 88.0  成長、所得・雇用、人的資源開発、および公共セクター管理の 26.9g 37.0  強化を目的とした活動に融資を行うことにより、国民生活の向 上を図るもの。 総コス ト:1億2500万ドル 142 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「管轄官庁との協調促進・学習・革新融資」 ESSD 3/10/03 2013/2042 3.7  5.0  開発活動に農村地域を統合することを目的とした2件のパイ ロッ ト・ケースを支援するもの。パイロット・ケースで得られた 知識を基に、標的となるセクターと有望な援助ソースを特定 する。 総コス ト:550万ドル ◇ IDA−「第2次保健・医療プログラム支援特別投資融資/グ HDN 2/6/03 2013/2042 43.5c 57.3  ラント」 24.5g 32.3  保健省の活動計画 (2002〜2006年)の実施を支援し、保健・医 療の不平等の是正を目指すもの。政策立案と計画の一部に融 資を行う。 総コス ト:11億1300万ドル カーボヴェルデ IDA−「成長・競争力融資」 PSI 5/13/03 n.a. 8.5  11.5  地域住民の福祉を向上させることを目指すもの。金融セクター に技術支援を提供することにより、金融サービスが改善され、 企業活動が活発化し、民間セクターの競争力が高まる。この結 果、雇用と年金も改善される。 総コス ト:1350万ドル IDA−「構造調整補完融資」 PREM 12/19/02 2013/2042 3.1  4.0  再構築に必要なコス トを追加支援することを目指すもの。この 資金をもとにマクロ経済の安定性を高めると共に、景気の回復 過程で発生する多額の民間セクター支出をカバーする。 総コス ト:400万ドル カメルーン IDA−「第3次構造調整融資」 PREM 6/6/03 2008/2038 2.5  3.3  IDA融資の継続分 ◇ IDA−「鉄道営業権特別投資融資」 PSI 7/18/02 2012/2042 17.2  21.4  鉄道利用者と、鉄道で輸送される商品の生産者および消費者 に便益を提供するもの。鉄道セクターを民営化することで輸送 コス トが削減され、社会と環境の双方にとって安全な輸送手段 が提供される。 総コス ト:8660万ドル IDA−「ドゥアラ市インフラ特別投資融資」 PSI 7/18/02 2012/2042 45.2  56.4  国民に便益をもたらすことを目指すもの。道路を修復し、イン フラ開発のための技術支援を提供することにより、経済活動が 活性化され、失業率が下がる。 総コス ト:7200万ドル ギニア ◇ IDA−「マルチセクター・エイズ特別投資グラント」 HDN 12/13/02 n.a. 15.4  20.3  新たなHIV感染の防止を目指すもの。そのための施策として、 地域ベースで啓蒙活動や各種サービス (任意検査とカウンセリ ング、STI (性感染症) 診断と治療、血液安全性検査、コンドー ムの利用促進、ARV治療など) を提供している民間イニシア ティ ブに支援を行う。 総コス ト:2230万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 143 表6.8 2003年度に承認された融資 アフリカ地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「遠隔地農村電化・学習・革新融資」 PSI 7/2/02 2012/2042 4.1  5.0  技術支援を通して、2万世帯に電力を供給することを目指すも の。環境に配慮し、再生可能なエネルギーを利用する。民間 セクターの参加を最大限募ることで、農村部や都市周辺地域に もサービスを提供することを目指す。 総コス ト:1700万ドル ケニア ◇ IDA−「乾燥地帯資源管理フェーズII 融資」 ESSD 6/19/03 2013/2043 43.6  60.0  乾燥地帯の住民に便益を提供するもの。 そのための施策と して、 地域社会のエンパワーメン ト、地域プロジェクトの促進、干ばつ 対策と管理システムの強化に取り組むと共に、地域の乾燥地 帯開発プロジェク トに融資を行う。 総コス ト:7790万ドル ◇ IDA−「無償初等教育支援融資」 HDN 6/19/03 n.a. 36.7  50.0  初等学校就学年齢の子供に便益を提供するもの。教科書や教 材の購入、 カリキュラムの改善、および教師向けの研修プログ ラムに融資を行う。 総コス ト:5500万ドル IDA−「経済・公共セクター改革融資」 PREM 6/5/03 2010/2040 0.4  0.5  IDA融資の継続分。 コンゴ共和国 ◇ IDA−「緊急回復・地域社会支援融資/グラント」 PREM 6/24/03 2013/2043 20.3c 28.0  小規模な再建工事に融資を行い、地域組織やNGOの参加を促 9.5g 13.0  進することにより、回復途上にある小規模な市や農村に便益を 提供するもの。特に経済改革に対する支援に重点が置かれる 予定。 総コス ト:4100万ドル コンゴ民主共和国 ◇ IDA−「緊急マルチセクター再建・復興融資/グラント」 PSI 8/6/02 2012/2042 325.6c 410.0  インフラ (輸送、給水、電力供給など)の再建と社会サービス 33.2g 44.0 (教育、保健・医療、地域社会開発など) の提供を通して国民の 健康の増進を図るもの。 総コス ト:4億5400万ドル ザンビア IDA−「第2次経済回復・投資促進技術支援補完融資」 PSI 6/17/03 2013/2043 7.3  10.0  政府によるコンコラ銅山再建を支援すると共に、民営化に必要 な技術支援、設備、 および研修を提供するもの。 総コス ト:1000万ドル ◇ IDA−「コッパーベルト環境特別投資融資/グラント」 ESSD 3/20/03 2013/2043 14.1c 19.0  鉱業セクターの民営化と関連する環境責任に取り組むもの。 15.5g 21.0  その一環として、優先順位の高い環境施策に融資を行い、既存 の規制機関を強化する。 総コス ト:4180万ドル ◇ IDA−「ザンビアHIV/エイズ国家対策(ZANARA)対応プ HDN 12/30/02 n.a. 33.7  42.0  ログラム・グラント」 HIV/エイズの予防、治療、 および影響緩和プログラムへのアク セスと利用を大幅に改善することを目指すもの。ハイリスク集 団に焦点を絞り、教育および地域社会プロジェク トを実施する。 総コス ト:4600万ドル 144 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「緊急干ばつ復興融資/グラント」 ESSD 11/19/02 2013/2042 22.8c 30.0  最近の干ばつがもたら した危機的状況に対処することを目指す 15.2g 20.0  もの。飢餓と栄養不良を予防し、水、輸送、保健・衛生サービ ス、 および重要な物流を確保すると共に、子供の就学継続を支 援し、家畜の全滅を防ぐための施策を提供する。 総コス ト:5000万ドル IDA−「経済復興・投資促進技術支援補完融資」 PSI 9/19/02 2012/2042 5.6  7.5  政府に助言サービスを提供することにより、主要な公共サービ スと準国営組織 (電力、エネルギー、通信セクター)の民営化を 支援する。 総コス ト:750万ドル シエラレオネ ◇ IDA−「第3次経済復興・回復融資」 PREM 5/20/03 n.a. 22.0  30.0  公共資産の分散と管理面の改善を支援すると共に、民間セク ター主導の投資に必要な環境を整備し、経済成長を促進する ことを目指すもの。このプロジェク トにより、再建と復興に必要 な輸入が可能となる。 総コス ト:3000万ドル ◇ IDA−「国家社会行動融資」 HDN 4/24/03 n.a. 25.4  35.0 戦争の影響を受けた地域社会におけるインフラやサービスの 再構築を支援するもの。地域主導の小規模プロジェク トを支援 し、地域住民のキャパシティ ・ビルディングを行うと共に、道路 などのインフラを修復するパイロッ ト・プログラムを実施し、プ ロジェク ト管理に関する技術支援を行う。 総コス ト:4200万ドル ◇ IDA−「保健・医療セクター復興・開発特別投資グラント」 HDN 2/25/03 n.a. 15.1  20.0  保健・医療サービスの提供システムの再建を目指すもの。その 施策として、サービスの提供範囲を拡大し、技術プログラムを 改善し、 シビルソサエティの参加を促進し、保健・医療サービ スへの民間参入を支援する。 総コス ト:2100万ドル ◇ IDA−「基礎教育再建特別投資グラント」 HDN 2/25/03 n.a. 15.1  20.0  学校・教育サービスの再建に必要な資金を提供し、70万人の 子供に便益を提供するもの。教師に対しても研修プログラムや 帰郷支援パッケージなどが提供される。 総コス ト:4210万ドル セネガル ◇ IDA−「民間投資促進融資」 PSI 5/20/03 n.a. 33.8  46.0  農村・都市部に新たに3万人分の雇用を創出すると共に、企業 が経済活動に参加するための素地を整えるもの。そのための 施策として、政策改革、 セクター改革、および公共セクターと民 間セクターを結ぶ規制インターフェースの構築に融資を行う。 総コス ト:5670万ドル タンザニア IDA−「プログラム的構造調整融資」 PREM 6/27/03 2010/2040 0.3  0.4  IDA融資の継続分。 ◇ IDA−「貧困削減支援融資/グラント」 PSI 5/29/03 2013/2043 73.0c 100  タンザニアの 「貧困削減戦略」の実施を支援するもの。その一 23.4g 32  環として、民間セクター開発と公共セクター管理に重点を置い た改革を実施すると共に、持続可能な環境作りを促進する。 総コス ト:1億3200万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 145 表6.8 2003年度に承認された融資 アフリカ地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「参加型農業開発・エンパワーメント融資」 ESSD 5/27/03 2013/2043 41.5  56.6  約840の村において、食糧生産の改善と少人数の家族・集団の 所得向上を目指すもの。地域社会が計画・管理する小規模な 農業開発プロジェク トに融資を行う。プロジェクトのコストは参 加住民、民間セクターと折半する。 総コス ト:7000万ドル ◇ IDA−「ダル・エス・サラーム市給水・衛生融資」 PSI 5/27/03 2013/2043 45.0  61.5  安価で安定した給水サービスを持続可能な形で実現し、下水 道と衛生を改善することを目指すもの。既存の給水設備を修復 し、パイプ管を用いた給水を増やすと共に、民間サービスの質 を業界の標準レベルに引き上げることを目指す。 総コス ト:1億6460万ドル チャ ド ◇ IDA−「教育セクター改革特別投資融資/グラント」 HDN 3/18/03 2013/2042 14.5c 19.1  初等学校就学年齢の子供に便益をもたらすもの。教育へのア 17.5g 23.2  クセスを拡大し、指導と学習の質を高めることにより、質の高 い基礎教育をすべての子供に提供するための政策フレーム ワークを構築する。 総コス ト:1億1970万ドル IDA−「第5次構造調整融資」 PREM 3/18/03 2013/2043 29.6  40.0  貧困層にサービスを拡大するための必要条件として、ガバナン スと公的資金管理の改革を行うもの。綿花セクターの改革によ り、30万世帯が便益を受ける。 総コス ト:4000万ドル ◇ IDA−「主要電力・水サービス再建特別投資融資」 PSI 10/10/02 2013/2042 41.4  54.8  電力・水システムを再建し、1万2000世帯にサービスを拡大す るもの。民間参入を促進し、消費者コス トの削減を目指す。 総コス ト:5570万ドル 中央アフリカ IDA−「BEAC地域決済システム技術支援融資」 FSE 7/30/02 2013/2042 11.7  14.5  中央アフリカの経済・通貨同盟に加盟する6ヶ国に地域決済メ カニズムを導入することで、決済システムの効率化と安全性の 向上を目指すもの。 総コス ト:2260万ドル ナイジェリア ◇ IDA−「ポリオ撲滅パートナーシップ融資」 HDN 4/29/03 n.a. 20.9  28.7  5歳未満のすべての子供を対象とするもの。2005年までにポリ オを撲滅するという政府の取り組みを支援し、貧困層のために ワクチンの追加購入費用を提供する。プロジェク トが成功裡に 完了した場合は、ゲイツ財団と国際ロータリーの信託基金をも とに融資を 「バイ ダウン」 し、グラントに転換する。 総コス ト:1億5710万ドル ◇ IDA−「ラゴス都市輸送特別投資融資」 PSI 11/21/02 2013/2037 75.5  100.0  公共輸送セクター・ネッ トワークの管理を改善することにより、 1280万人の輸送機関利用者に便益を提供するもの。道路網と 交通システムを再建し、規制フレームワークを整備する。 総コス ト:1億3500万ドル 146 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ IDA−「基礎教育完全普及特別投資融資」 HDN 9/12/02 2013/2037 76.3  101.0  学校、教師、 および設備の質を高め、初等学校就学年齢の子供 に便益をもたらすもの。インセンティブを導入して就学率を高 めると共に、地域社会の学校を強化する。 総コス ト:1億2900万ドル ニジェール ◇ IDA−「マルチセクターSTI/HIV/エイズ支援グラント」 HDN 4/4/03 n.a. 18.2  25.0  STI/HIV/エイズの医学、 社会、経済的影響の緩和を目指すもの。 マルチセクター・アプローチを採用し、治療と介護、国民とシ ビルソサエティへの対応、キャパシティ ・ビルディング、プロ ジェク トの調整と円滑化に取り組む。 総コス ト:2750万ドル ◇ IDA−「地域社会行動計画対応グラント」 ESSD 3/20/03 n.a. 25.4  35.0  小規模プロジェク トや地域のキャパシティ・ビルディング活動に 融資を行い、貧しい地域社会に便益を提供すると共に、経済成 長を促進するもの。政府のエコシステム管理を強化することに より、保健・医療、教育、および食糧安全保障の水準を上げる ことができる。 総コス ト:4380万ドル ブルキナファソ ◇ IDA−「運輸セクター投資・維持融資/グラント」 PSI 4/8/03 n.a. 36.0c 49.5  人とモノの移動を持続可能な形で向上させることを目指すも 30.9g 42.6  の。農村部の輸送手段が改善されることで、貧困層にも社会イ ンフラや市場にアクセスする機会が開かれる。 総コス ト:1億4440万ドル ◇ IDA−「競争力・企業育成技術支援融資/グラント」 PSI 3/4/03 2013/2042 18.7c 25.2  公共サービスを改革・民営化し、投資環境を整備し、民間セク 4.1g 5.5  ター開発を促進すると共に、中小企業の発展を阻害している要 因を最小化することにより、国家の経済競争力を高めることを 目指すもの。 総コス ト:3430万ドル ◇ IDA−「ディベロップメント・ラーニング・センター/研修・革新融資」 HDN 7/29/02 2012/2042 1.9  2.3  遠隔研修組織 (GDLNプログラム) の実行可能性を検証し、 PRSPの実施状況の改善とIDA融資プロジェク トの強化を目指 すもの。政府のキャパシティ ・ビルディング政策に従って、研修 機関の調整を行う。 総コス ト:230万ドル ◇ IDA−「第2次貧困削減支援融資」 PREM 7/11/02 2012/2042 28.1  35.0  主要省庁のサービス提供状況を改善すると共に、受託者のフ レームワークを強化し、政府・第三者資金の利用における説明 責任と透明性を高め、政府の公共支出管理を強化することを目 指すもの。 総コス ト:3500万ドル ブルンジ ◇ IDA−「第2次社会行動補完融資」 HDN 4/8/03 n.a. 10.3  14.2  追加融資を行い、地域社会の輸送機能を強化し、小規模なイ ンフラ ・プロジェク トを支援し、就学前児童を対象とした幼少期 教育を整備し、社会経済状況に関する統計調査の早期実施を 目指すもの。 総コス ト:1490万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 147 表6.8 2003年度に承認された融資 アフリカ地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「第2次保健・医療および人口補完グラント」 HDN 1/16/03 n.a. 7.2  9.5  HIV/エイズ融資プロジェク トの前提となる基本的な保健・医療 サービスの整備を目指すもの。保健・医療分野で必要な活動 を割り出し、 その結果に従って政府のキャパシティ・ビルディン グを行う。 総コス ト:3070万ドル ◇ IDA−「経済復興融資」 PREM 8/29/02 2013/2042 40.8  54.0  行政・福祉サービスの向上を目指すもの。そのための施策とし て、支出に対する政府の説明責任と透明性を改善し、持続可 能な景気回復と貧困削減を実現するための改革を実行する。 総コス ト:5400万ドル ベナン IDA−「公共支出改革補完調整融資」 PREM 10/29/02 2013/2042 7.6  10.0  国際綿花価格の予想外の値下がりで悪化したベナン経済の救 済を目指すもの。この融資により、ベナン経済と国民に便益が もたらされる。 総コス ト:1000万ドル マダガスカル ◇ IDA−「鉱物資源ガバナンス融資」 PSI 5/13/03 n.a. 23.2  32.0  鉱物資源管理 (特に職人による小規模な採掘)のガバナンスと 透明性の改善を目指すもの。その施策として、制度改革、パラ レル法の促進、民間投資、およびプロジェク トの調整・管理の 向上に取り組む。 総コス ト:3870万ドル IDA−「緊急経済再建融資」 PREM 11/14/02 2013/2042 38.0  50.0  国民に便益をもたらすもの。この短期復興プログラムは流動資 金を迅速に投入して輸入必要量の達成を支援する共に、社会 機能、経済機能、 および各種設備の再建を目指す。 総コス ト:5000万ドル ◇ IDA−「農村輸送対応プログラム融資」 PSI 11/14/02 2012/2042 60.7  80.0  (市場、学校、診療所な 9000kmの道路を再建し、社会インフラ ど) へのアクセスを改善し、貿易と経済交流を円滑化すること により、600万人の農村部住民に便益を提供するもの。 総コス ト:8000万ドル マラウイ ◇ IDA−「第3次社会行動基金対応プログラム融資/グラント」 HDN 6/10/03 2013/2043 24.1c 32.8  弱い立場の人々を対象とした地域社会ベースのイニシアティ 20.0g 27.2  ブに融資を行うもの。イニシアティブの内容は保健・医療から 教育、衛生、水、 エネルギー、運輸、飢餓リスクまで多岐にわ たる。 総コス ト:7810万ドル ◇ IDA−「財務管理・透明性・説明責任特別投資融資」 PREM 3/6/03 2013/2043 17.6  23.7  会計、財務、人的資源開発システムのキャパシティ ・ビルディン グを実施し、公的支出の有効性、透明性、 および責任ある利用 を促進するもの。 総コス ト:2740万ドル IDA−「緊急干ばつ回復融資/グラント」 ESSD 11/5/02 2013/2042 24.1c 29.0  自然災害管理を支援し、食糧危機によるマクロ経済の悪化を 15.9g 21.0  防ぐもの。その施策として財政支援を提供すると共に、公共事 業の拡大と社会的投資を支援する。 総コス ト:8200万ドル 148 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ IDA−「国家水開発補完融資」 PSI 8/8/02 2005/2035 2.4  3.2  給水サービスを強化し、農村部の地域社会に便益を提供する もの。水道管を利用した給水設備を設置し、500個の地下穴 (手押しポンプ付き) を掘ることにより、35万人以上が水を利用 できるようになる。 総コス ト:320万ドル 南アフリカ IBRD−「地方政府財政管理技術支援融資」 PSI 9/12/02 2007/2011 n.a. 15.0  地方自治体が財政改革を実施し、サービスを確実かつ効率的 に提供できるように、予算・財政管理システムの導入を支援す るもの。 総コス ト:2000万ドル モザンビーク ◇ IDA−「HIV/エイズ対策グラント」 HDN 3/28/03 n.a. 41.6  55.0  予防、介護、教育、治療、および地域社会やシビルソサエティ の活動などを通して、政府のSTD・HIV/エイズ拡大防止策を財 政面で支援するもの。 総コス ト:6400万ドル ◇ IDA−「公共セクター改革変動型プログラム/グラント」 PREM 3/18/03 n.a. 19.4  25.6  政府の 「公共セクター改革」戦略を支援するもの。公共サービ スのコス ト効率を高め、補助金を効果的に配分し、民間セク ター開発を促すような公共政策を導入することにより、国民の 生活水準の向上を目指す。 総コス ト:4500万ドル IDA−「経済運営・民間セクター調整融資」 PREM 8/29/02 2012/2042 96.2  120.0  マクロ経済の安定を回復すると共に、民間セクター主導の成長 を促進し、高成長率を維持し、援助への依存度を減らし、社会 的支出を増やして教育・保健関連の目標の達成を目指すもの。 総コス ト:1億2000万ドル ルワンダ ◇ IDA−「多数国HIV/エイズグラント」 HDN 3/31/03 n.a. 22.2  30.5  予防措置を強化し、HIV/エイズの拡大を抑えると共に、公共・ 民間組織とシビルソサエティを巻き込んだマルチセクター・ア プローチにより、感染者の介護を拡充することを目指す。 総コス ト:3200万ドル IDA−「組織改革融資」 PREM 12/3/02 2013/2042 64.5  85.0  キャパシティ を強化して主要な公共・社会サービスを改善する ことを目指すもの。借地制度に安全保障を導入することで農作 物の生産量を増やす共に、民間セクター活動を促進し、金融・ インフラ ・サービスを改善して雇用を創出することを目指す。 総コス ト:8500万ドル 合計 2825.9 3737.2 n.a. 該当無し。 ◇ シビルソサエティが何らかの形で参加しているプロジェクト。 注:数字は四捨五入されているため、 合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント a. ESSD:環境・社会・持続可能な開発、HDN:人的開発、FSE=金融セクター、PREM=貧困削減・経済運営、PSI=民間セクター・インフラ (特別引出権) b. IDA融資はSDR 建てで表記されている。SDRの価値は 「通貨バスケット」 を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は、 その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 第6章 世界銀行について 149 表 表6.9 2003年度に承認された融資 東アジア・大洋州地域 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ インドネシア ◇ IBRD/IDA−「水資源・灌漑セクター管理対応プログラム ESSD 6/26/03 2009/2023 n.a. 25.0 融資」 c 6/26/03 2013/2038 17.9 45.0 農村地域や農民に便益を提供するもの。既存の灌漑設備の再 建・修復活動に融資を行うと共に、農村部の住民が農業支援 サービスや小口融資サービスを利用できるようにする。 総コス ト :1億1560万ドル ◇ IBRD/IDA−「第3次ケカマタン開発融資」 c ESSD 6/26/03 2009/2023 n.a. 204.3 農村部の自治体のガバナンスを改善することを目指すもの。そ 6/26/03 2013/2038 32.2 45.5 の施策として、参加型プロセスを制度化すると共に、基本的な 社会・経済インフラのコス ト効率を改善し、小口融資機関が資 金を持続的に管理・モニタリングできるようにする。 総コス ト:3億7860万ドル ◇ IBRD−「ジャワ・バリ・電力セクター再建・強化融資」 c PSI 6/26/03 2008/2023 n.a. 141.0 国営電力会社の財政改革や構造改革を支援するもの。改革を 通して電力の供給システムを強化し、 ガスの伝送・供給業務の 再構築に備える。 総コス ト:2億1160万ドル ◇ IBRD/IDA−「保健・医療セクター労働力・サービス融資」c HDN 6/12/03 2008/2023 n.a. 31.1 基本的な保健・医療サービスの整備に融資を行うもの。地区 6/12/03 2013/2038 54.0 74.5 レベルで質の高い介護と保健・医療を提供すると共に、地方 の労働政策、管理、および開発を強化することにより、4省の 住民に便益が提供される。 総コス ト:4億2940万ドル ◇ IBRD−「インフラ・サービス民営化技術支援融資」 PSI 5/22/03 2008/2023 n.a. 17.1 輸送、通信、および都市インフラの利用者に便益を提供する もの。インフラに大規模な民間投資を効率的かつ持続可能な 形で誘致するための政策の導入と規制改革を支援する。 総コス ト:1900万ドル カンボジア ◇ IDA−「州・都市周辺部での水・衛生融資/グラント」 PSI 4/22/03 2013/2042 12.4c 16.9 町や拡大傾向にある都市周辺部に便益を提供するもの。民間 2.3g 3.0 セクター、利用者組織、および地域社会とのパー トナーシップ を通して、持続可能な給水・衛生サービスを提供する。地域社 会がプロジェク トに資金を提供し、運用・保守を担うことによ り、環境管理やインフラが強化される。 総コス ト:2340万ドル ◇ IDA−「農村投資・地方ガバナンス・プロジェクト」 ESSD 4/22/03 2013/2043 16.1 22.0 優先度の高い公共財を提供することにより、1110の生活共同 体で暮らす780万人に便益を提供するもの。地方自治体の計 画や投資に融資を行い、 プロジェクト管理政策を支援すること により、地方自治体のガバナンスを強化することができる。 総コス ト:6210万ドル ◇ IDA−「保健・医療セクター支援・セクター投資・維持融 HDN 12/19/02 2013/2042 13.1c 17.2 資/グラント」 7.6g 9.8 農村地域の貧困層に便益を提供するもの。セクターワイ ドな管 理アプローチを採用することにより、安価で質の高い保健・医 療サービスの提供範囲を広げ、マラリア、デング熱、結核、 HIV/エイズなどの伝染病を抑制する。 総コス ト:3180万ドル 150 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ サモア IDA−「通信・郵便改革技術支援融資」 PSI 12/17/02 2013/2042 3.4 4.5 規制を改革し、プロジェクト管理を支援することにより、通 信・郵便セクターに競争を導入し、民間参入を促進することを 目指すもの。郵便サービスが改善されることで、一般市民や 企業が便益を受ける。 総コス ト:630万ドル 中国 ◇ IBRD−「第2次安徽高速道路特別投資融資」 PSI 6/24/03 2010/2023 n.a. 250.0 効率的で、安全で、 コスト効率の高い高速道路の建設に必要 な投資と援助を提供するもの。輸送網が強化されることによ り、安徽省南東部の低所得地域に便益がもたらされる。 総コス ト:6億3180万ドル IBRD−「上海都市環境対応プログラム融資」 PSI 6/17/03 2009/2023 n.a. 200.0 都市部の住民に便益をもたらすもの。都市部の汚水・廃棄物 管理、都市計画・改修計画、都市環境管理、および制度強化 (環境研究など) に投資を行う。 総コス ト:5億1220万ドル ◇ IBRD−「第2天津都市開発・環境特別投資融資」 PSI 5/20/03 2009/2023 n.a. 150.0 汚水管理と輸送システムを効率化し、不公平を是正することを 目指すもの。その施策として、汚水の再利用、下水管の清掃、 郊外やバス通りの公害対策に融資を行う。 総コス ト:3億3550万ドル ◇ IBRD−「宜興揚水発電融資」 PSI 3/20/03 2008/2023 n.a. 145.0 江蘇省の電力セクターを効率化することにより、7500万人に便 益を提供するもの。電力セクターの再構築、競争の促進、お よび揚水発電所の建設を目指す。 総コス ト:5億8270万ドル IBRD−「湖北省孝感−襄樊高速道路特別投資融資」 PSI 9/17/02 2008/2022 n.a. 250.0 効果的で、安全で、効率よく管理された高速道路を整備するこ とで、湖北省で暮らす2400万人に便益を提供するもの。高速 道路を敷設することで、社会経済的開発、貿易、および地域の 統合が進むと共に、低所得地区の住民が道路を利用できるよ うになる。 総コス ト:6億9090万ドル IBRD−「第3次新彊高速道路プロジェクト」 PSI 9/5/02 2008/2022 n.a. 150.0 移動コス トを削減し、道路の安全性を高めることで、域内貿易 を促進することを目指すもの。社会サービスや市場へのアク セスを改善することで、辺境の新彊地区の貧しい地域に便益 を提供する。 総コス ト:3億3420万ドル フィ リピン ◇ IBRD−「KALAHI‑CIDSS特別投資融資」 ESSD 9/17/02 2010/2022 n.a. 100.0 学校、診療所、給水・衛生施設の建設に地域社会の参加を促 すことにより、 最も貧しい40省の5300村に便益を提供するもの。 総コス ト:1億8200万ドル ◇ IBRD−「第2次農地改革・地域社会開発特別投資融資」 ESSD 11/26/02 2011/2022 n.a. 50.0 7万世帯の農家に便益を提供するもの。地域社会のキャパシ ティ ・ビルディング、地域主導のインフラ投資、最新の農業技 術の導入、金融サービスへのアクセス改善により、農民の所 得と福祉の向上を目指す。 総コス ト:7480万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 151 表6.9 2003年度に承認された融資 東アジア・大洋州地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IBRD−「ARMM社会基金特別投資融資」 HDN 12/5/02 2011/2022 n.a. 33.6 紛争の影響を受けたムスリム・ ミンダナオ自治地域(ARMM) の500村において、貧困層を対象とした地域社会主導のプロ ジェク トを支援するもの。特に社会、保健・医療、教育サービ スへのアクセスの改善、村と市場を結ぶ道路の整備、雇用創 出、 キャパシティ ・ビルディング(制度とガバナンスの強化)に 重点が置かれている。 総コス ト:4060万ドル ベトナム ◇ IDA−「第2次貧困削減支援融資」 PREM 6/24/03 2013/2043 72.6 100.0 構造、社会、ガバナンス分野の政策改革 (銀行、国営企業、 貿易、民間セクターの規制緩和など) に追加支援を投入する ことにより、民間セクターの活動により適した経済環境の形 成を促す。 総コス ト:3370万ドル IDA−「国家財政管理改革融資」 PREM 5/22/03 2013/2043 39.9 54.3 財務・予算管理の改善、投資計画、債務管理により、予算の作 成、実行、および報告能力の強化を目指すもの。サービスの 提供状況と説明責任が改善されることにより、国民に便益がも たらされる。 総コス ト:7150万ドル ◇ IDA−「貧困家庭の児童のための初等教育融資」 HDN 5/6/03 2013/2043 101.4 138.8 ベトナムの38省に技術・財政支援を提供することにより、貧困 家庭の少年少女が質の高い初等教育を受ける機会を拡大する もの。こう した支援は特別な配慮を必要とする子供たちの教 育にも利用される。 総コス ト:2億4370万ドル モンゴル ◇ IDA−「経済キャパシティ・ビルディング技術支援融資」 PREM 6/24/03 2013/2043 5.5 7.5 政府の公共セクター管理改革を支援することで、弱い立場の 人々や貧困層を含む、すべての国民に便益を提供するもの。 技術・財政支援をもとに、制度能力、 システム、および予算・ 行政管理プロセスが強化される。 総コス ト:780万ドル ラオス人民民主共和国 ◇ IDA−「農村開発のための持続可能な森林融資」 ESSD 6/24/03 2013/2043 7.2 9.9 グラン トと技術支援をもとに、約60万ヘクタールの森林を管理 し、森林収益を政府機関と地域社会が共有する仕組みを作り、 4省の地域社会に便益を提供するもの。 総コス ト:1650万ドル ◇ IDA−「第2次土地所有権融資」 ESSD 6/24/03 2013/2043 10.8 14.8 このプロジェク トを通して、20万世帯が土地所有権を取得する ことになる。土地政策を定め、国や地域レベルの土地制度を 強化することにより、借地制度の安全性を高め、土地市場の開 発を促進することを目指す。 総コス ト:2390万ドル 合計 396.4 2310.8 152 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ 特別融資 東ティモールd ◇ IDA−「紛争後移行支援プログラム・グラント」 PSI 7/22/02 n.a. n.a. 5.0 貧困削減計画のフレームワークを構築すると共に、開放的で 民主的なガバナンスの前提となる制度・法律フレームワークを 構築し、企業活動に適した環境を構築するための資金を提供 するもの。 総コス ト:2730万ドル ◇ IDA−「東ティモール石油技術支援グラント」 PSI 12/10/02 n.a. n.a. 0.2 東ティモールの住民に便益を提供するもの。バユ・ ウンダン・ ガス田開発計画に資金を提供すると共に、同計画への投資を 推進する。本グラントはガス・石油セクターの新しい法律・契 約・会計フレームワークの原案となるものでもある。 総コス ト:20万ドル IDA−「東ティモール第2次石油技術支援グラント」 PSI 6/18/03 n.a. n.a. 1.3 石油セクターと石油収入を管理する上での核となる2つの政府 部門を支援するもの。このプロジェク トは東ティモールの住民 に便益を提供し、石油事業の新しい法律・契約・会計フレーム ワークを構築するものとなる。 総コス ト:170万ドル ベトナム IDA−「フーミー第2火力発電所第2期プロジェクト」 PSI 10/15/02 n.a. n.a. 75.0 民間出資のコンソーシアムにより、複合サイクル発電施設の 開発、建設、運用を目指すもの。本プロジェク トはベトナム初 の民間資本による大規模なBOT方式プロジェク トである。世 銀は本プロジェク トに対し、IDAの部分リスク保証を提供して いる。 総コス ト:4億8000万ドル n.a. 該当無し。 ◇ シビルソサエティが何らかの形で参加しているプロジェクト。 注:数字は四捨五入されているため、 合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント a. ESSD:環境・社会・持続可能な開発、 HDN:人的開発、FSE=金融セクター、PREM=貧困削減・経済運営、PSI=民間セクター・インフラ b. IDA融資はSDR(特別引出権) 建てで表記されている。SDRの価値は 「通貨バスケット」 を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は、 その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c.「ブレンド 」 (IBRDとIDA) 融資。 d. 世銀が管理する信託基金による融資。 第6章 世界銀行について 153 表 表6.10 2003年度に承認された融資 南アジア地域 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ アフガニスタン ◇ IDA−「第2次緊急行政グラント」 PREM 6/24/03 n.a. 6.1 8.4 公共資源管理の透明性と説明責任を改善するもの。広範な行 政改革により、基本的サービスの提供状況が改善される。 総コス ト:1090万ドル ◇ IDA−「国家緊急雇用プログラム:農村部道路アクセス融 HDN 6/24/03 2013/2043 14.8c 20.4 資/グラント」 13.6g 18.8 農村部のインフラを再建すると共に、住民に雇用の機会をもた らすことを目指すもの。このプロジェク トにより、未熟練労働者 に約600万日分の雇用機会が提供され、農村部に約2000kmの 道路と2300m分の橋梁が再建される。 総コス ト:5700万ドル ◇ IDA−「保健・医療セクター緊急復興・開発グラント」 HDN 6/5/03 n.a. 43.7 59.6 基本的な保健・医療サービス (特に女性と子供に対するもの) の提供範囲を広げ、 アクセスを確保するもの。本プロジェクト は農村部で急務となっている乳幼児/子供と妊産婦の死亡率、 子供の栄養失調率、および出生率の引き下げに貢献するもの でもある。 総コス ト:5960万ドル ◇ IDA−「緊急輸送再建特別投資融資」 PSI 3/11/03 2013/2043 80.0 108.0 緊急輸送の主要なボ トルネックを排除すると共に、政府の高速 道路・民間航空計画を支援し、経済と社会の復興を促進する もの。 総コス ト:1億2880万ドル イン ド ◇ IBRD−「タミル・ナードゥ州道路セクター特別投資融資」 PSI 6/17/03 2009/2023 n.a. 348.0 750kmの道路の質、 キャパシティ、および安全性を改善するこ とにより、6200万人に便益を提供するもの。約2000kmの道路 を整備し、事故の起きやすい箇所を修復し、道路網の管理を 強化することにより、 インドのインフラと投資環境に便益がもた らされる。 総コス ト:4億5000万ドル ◇ IDA−「食品・医薬品キャパシティ・ビルディング融資」 HDN 6/5/03 2013/2038 39.7 54.0 食品と医薬品の質と安全性に関する規制監督機能の強化を 支援するもの。食品と医薬品の質が向上し、疾病率と早産に よる死亡率が下がることにより、貧しい人々に便益がもたらさ れる。 総コス ト:7290万ドル ◇ IDA−「チャティスガル地区農村貧困融資」 ESSD 4/24/03 2013/2038 82.2 112.6 インフラ整備や所得創出活動を支援し、不利な立場にある 人々のエンパワーメントを行うことにより、農村部の女性や部 族民が社会・経済発展の利益を享受できるようにするもの。ま た、村の自治体を支援することにより、村レベルの行政の質を 高める。 総コス ト:1億2940万ドル 154 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「アンドラ・プラデシュ州農村貧困削減特別投資融資」 ESSD 2/20/03 2013/2038 114.0 150.0 農村部の貧困層が自らの生活や生計に影響を及ぼす意思決定 に参加し、 自らの手で生計と生活水準を向上させることができ るようにすることを目指すもの。このプロジェク トは200万世帯 以上に便益をもたらすと見込まれている。 総コス ト:2億7610万ドル ◇ IBRD−「ウッタル・プラデシュ州国道特別投資融資」 PSI 12/19/02 2008/2023 n.a. 488.0 既存国道網のキャパシティ、質、 および安全性の改善を支援す るもの。 保健・医療および教育サービスへのアクセスが向上し、 モノとサービスを安価に入手できるようになり、市場・取引機 会が増えることにより、地域社会の住民に便益がもたらされる。 総コス ト:6億1480万ドル IDA−「技術/工学教育質向上プログラム融資」 HDN 11/14/02 2013/2037 189.0 250.0 若手の技術者とエンジニアのスキルを高め、 インド経済の競争 力と生産性の向上を支援するもの。本プロジェク トは6州の20 の工業学校で学ぶ10万人の学生に適用される。 総コス ト:3億1400万ドル IDA−「性と生殖に関する権利と子供の健康に関する補完 HDN 6/5/02 2007/2032 10.0 12.0 融資」 「性と生殖に関する権利と子供の健康プロジェクト」のもとで提 供されていた支援を継続するもの。本プロジェク トの目的は妊 産婦と乳幼児の死亡率、疾病率、および望まない妊娠の件数 を削減すること。農村と都市部の貧しい女性や子供たちに質 の高い保健・医療サービスを提供することを目指す。 総コス ト:3億900万ドル ◇ IDA−「アンドラ・プラデシュ州地域社会森林管理融資」 ESSD 7/16/02 2012/2037 85.5 108.0 森林に依存している14の貧しい部族社会の生計を改善するこ とを目指すもの。400万ヘクタールの山林を地域社会の直接管 理下に置き、伐木権などの森林関連権利を定めた法的フレーム ワークを強化する。 総コス ト:1億2710万ドル スリランカ ◇ IDA−「貧困削減支援融資」 PREM 6/17/03 2013/2043 90.7 125.0 経済成長を促進し、貧しい人々の機会を拡大することを目指す もの。そのための施策として、公共セクターのカバナンスを強 化し、安全な投資環境を構築して民間セクターの参入を促し、 人的開発と地域社会のエンパワーメン トに投資を行う。本プロ ジェク トはスリランカ政府の貧困削減戦略「スリランカの回復」 を支えるものである。 総コス ト:1億2500万ドル ◇ IDA−「大学教育の妥当性と質の改善融資」 HDN 6/10/03 2013/2043 29.6 40.3 制度能力を構築し、高等教育制度の妥当性と質を改善するこ とにより、長期的な高等教育改革を支援するもの。本プロジェ クトにより、卒業生の就職率が高まることが期待されている。 総コス ト:5100万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 155 表6.10 2003年度に承認された融資 南アジア地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「第2次地域社会給水・衛生グラント」 PSI 5/6/03 n.a. 28.9 39.8 安全な飲料水と衛生へのアクセスを改善し、農村部の貧困地 域(紛争の影響を受けた地区を含む) で暮らす120万人に便益 を提供するもの。本プロジェク トは2010年までに安全な飲料水 と十分な衛生を全国民に提供することを目指すスリランカの国 家計画を支えるものである。 総コス ト:6240万ドル ◇ IDA−「経済改革技術支援融資」 PSI 12/10/02 2013/2042 11.4 15.0 技術支援を通して経済を近代化・活性化し、民間セクターの役 割を拡大することにより、 政府主導の経済改革を支援するもの。 本プロジェク トは政府の貧困削減戦略「スリランカの回復」を支 えるものである。 総コス ト:1880万ドル ◇ IDA−「国家HIV/エイズ予防グラント」 HDN 12/17/02 n.a. 9.6 12.6 教育とエンパワーメン トを通してHIVと結核の蔓延を抑制するこ とにより、 きわめて弱い立場にある集団と国民全体に便益をも たらすもの。本グラン トはHIV/エイズ感染者への偏見と差別の 解消にも貢献するものとなる。 総コス ト:2090万ドル ネパール IDA−「地域社会学校支援融資」 HDN 6/25/03 2013/2043 3.6 5.0 公立学校の管理母体を国から地域社会に移管するプロセスを 支援するもの。学校を地域社会が管理することにより、就学率、 質、効率、および説明責任が向上する。本プロジェク トは約 1500校にインセンティ ブ・グラントを提供する予定。 総コス ト:520万ドル ◇ IDA−「電力開発融資/グラント」 PSI 5/22/03 2013/2043 36.8c 50.4 農村部の約4万7000世帯に新たに電力を供給することを目指す 18.4g 25.2 もの。ネパールの水力発電能力を開発すると共に、民間参入 を促進し、電力セクターの効率化を推進する。 総コス ト:1億3340万ドル IDA−「金融セクター技術支援融資」 FSE 12/19/02 2013/2042 12.4 16.0 金融セクター改革プログラムを支援することにより、ネパール 経済と国民に便益を提供するもの。現代的で効率的な中央銀 行が監督する商業銀行制度の構築を目指す。 総コス ト:3010万ドル パキスタン ◇ IDA−「HIV/エイズ予防融資/グラント」 HDN 6/5/03 2013/2037 20.2c 27.8 HIV/エイズが弱い立場にある集団に蔓延することを防ぐと共 6.7g 9.3 に、感染者への偏見を解消することを目指すもの。パキスタン 政府は 「HIV/エイズに対する国家戦略フレームワーク」の中で、 早期行動によるエイズの蔓延防止を掲げている。 総コス ト:4780万ドル ◇ IDA−「国家教育評価制度技術支援融資」 HDN 6/3/03 2013/2038 2.7 3.6 教育評価制度の導入を支援するもの。教員にカリキュラム構築 の指針を提供すると同時に、親が子供の受けている教育の価 値をよりよく理解できるようにする。 総コス ト:690万ドル 156 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「ポリオ撲滅パートナーシップ融資」 HDN 5/15/03 2013/2038 14.7 20.0 政府の経口ポリオワクチン購入を支援するもの。プロジェク ト が成功した場合は、世銀、 ビル&メリンダ・ゲイツ財団、国際 ロータリー、国連基金が設立した専用の信託基金が融資をバイ ダウンする。 総コス ト:4080万ドル ◇ IDA−「AJK地域社会インフラ・サービス融資」 ESSD 7/9/02 2012/2037 16.1 20.0 コス ト効率が高く、持続可能な地域社会開発計画と、基本的な インフラやサービスの提供を通して、低所得地域に便益を提供 するもの。プロジェク トを実施する際には、地域社会ベースの 参加型アプローチが用いられる。 総コス ト:2720万ドル IDA−「銀行セクター技術支援融資」 FSE 7/9/02 2012/2037 21.3 26.5 「金融セクター深化・介入プロジェク ト」で実施された広範な金 融改革と金融政策を支えるもの。現在のプロジェク トの目的は パキスタン国立銀行 をより専門的で、効率的かつ現代的 (SBP) な組織に変革すること。 総コス ト:3030万ドル ◇ IDA−「北西辺境州構造調整融資」 PREM 7/9/02 2012/2037 71.2 90.0 行政事務を改革し、公衆衛生・教育サービスの提供システムを 強化し、財務管理改革によってビジネス環境を整備することに より、州政府の強化を支援するもの。 総コス ト:9000万ドル ◇ IDA−「シンド州構造調整融資」 PREM 7/9/02 2012/2037 79.1 100.0 財務再建と財務管理改革を支援すると共に、行政事務、保健・ 医療、教育、飲料水、および都市セクターの改革と規制、民営 化、およびインフラ強化を通して、公共サービスの提供状況の 改善を目指すもの。 総コス ト:1億ドル バングラデシュ ◇ IDA−「通信技術支援融資」 PSI 6/19/03 2013/2043 6.7 9.1 通信インフラとサービスに競争を導入するという政府の計画を 支援するもの。本プロジェク トにより、通信サービスが全国規 模で普及することが期待されている。 総コス ト:1110万ドル IDA−「農村輸送強化融資」 PSI 6/19/03 2013/2043 138.0 190.0 約3000kmの道路と1500mの小規模な橋梁・暗渠を修復するこ とにより、4500万人の農村部住民に便益を提供するもの。この プロジェク トにより、約150の市場が整備され、45の河川浅橋 が建設される予定。市場と橋梁はどちらも農民の移動と農作物 取引には欠かせないもの。 総コス ト:2億5500万ドル ◇ IDA−「開発支援融資」 PREM 6/19/03 2013/2043 217.6 300.0 暫定貧困削減戦略文書 を支援するもの。この融資は (I‑PRSP) 良好なガバナンス、女性の地位向上、人的開発投資、社会的 保護の確保など、投資環境の整備や経済成長の第一歩となる ような活動を支援することに重点を置いている。 総コス ト:3億ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 157 表6.10 2003年度に承認された融資 南アジア地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「中央銀行強化融資」 FSE 6/19/03 2013/2043 27.2 37.0 バングラデシュ銀行が国内の銀行と貨幣政策の規制・監督機 関としての役割を効果的に果たすことができるように、人的資 源開発を実施し、法的フレームワークを強化すると共に、規制、 監督、研究を効率化するためのキャパシティ・ビルディングを行 うもの。 総コス ト:4610万ドル ◇ IDA−「社会投資プログラム特別投資融資」 ESSD 3/18/03 2013/2043 13.5 18.2 通常、意思決定から排除されている人々 (特に最貧困層と女性) を政府やNGOのプロジェク トに参画させることにより、地域の 開発イニシアティ ブに対する地域社会の主体性を高めるもの。 総コス ト:2250万ドル 合計 1555.0 2918.7 n.a. 該当無し。 ◇ シビルソサエティが何らかの形で参加しているプロジェクト。 注:数字は四捨五入されているため、 合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント a. ESSD:環境・社会・持続可能な開発、HDN:人的開発、FSE=金融セクター、PREM=貧困削減・経済運営、PSI=民間セクター・インフラ (特別引出権) b. IDA融資はSDR 建てで表記されている。SDRの価値は 「通貨バスケット」 を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は、 その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 158 世界銀行 年次報告 2003 表 表6.11 2003年度に承認された融資 ヨーロッパ・中央アジア地域 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ アゼルバイジャン ◇ IDA−「灌漑用水配分・管理強化特別投資融資」 ESSD 6/17/03 2013/2038 25.7 35.0 水利用者組織に研修と支援を提供し、灌漑・排水設備の再建 に資金援助を行うことにより、5万6000ヘクタールの土地にお ける灌漑用水の配分と管理を効率化し、財政面での実行可能 性を高めるもの。 総コス ト:3910万ドル IDA−「教育セクター開発対応プログラム融資」 HDN 5/27/03 2013/2038 13.2 18.0 カリキュラムを改善し、優秀な教師を育成し、良質な教材を入 手するための資金を提供することにより、生徒の習熟度を高め、 普通教育の効率化を目指すもの。 総コス ト:2100万ドル IDA−「バクー給水再建融資」 PSI 12/10/02 2013/2037 10.3 12.9 最近の地震で損壊した60kmの配水網の応急修理に必要な用 具を提供すると共に、長期計画と復興の基盤を提供すること により、 アゼルバイジャンの国民に便益を提供するもの。 総コス ト:1420万ドル アルバニア IDA−「道路整備補完融資」 PSI 6/26/03 2013/2023 9.5 13.0 国道網の整備に融資を行うもの。1000km分の道路が整備・ 修復されることにより、重要な幹線道路の輸送コス トと事故の 発生率が下がり、基本的サービスが農村部の住民にも十分に 提供されるようになる。 総コス ト:1620万ドル ◇ IDA−「第2次地域社会事業融資」 ESSD 6/24/03 2013/2023 10.9 15.0 地域社会の小規模プロジェク トを支援し、住民が質の高い社 会・経済インフラと社会サービスにアクセスできるようにする もの。研修や技術支援プログラムを提供することにより、地方 政府と地域社会のキャパシティ を強化する。 総コス ト:2420万ドル ◇ IDA−「市営上下水道特別投資融資」 PSI 1/28/03 2013/2022 11.4 15.0 インセンティブに基づく複数市管理契約方式を導入し、水・衛 生サービスへの民間参入を促進するもの。このプロジェク トに より、4市の住民 (合計35万人)が直接的な便益を受ける。 総コス ト:2190万ドル アルメニア ◇ IDA−「第5次構造調整融資」 PREM 3/13/03 2013/2042 30.2 40.0 国際収支の赤字を補うための外貨と、非インフレ的予算策定 が可能となる融資を提供するもの。この融資は民間セクター 開発の障壁となっている行政のボトルネックを排除し、社会セ クター開発を前進させることにより、景気回復と貧困削減を支 えるものとなる。 総コス ト:4000万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 159 表6.11 2003年度に承認された融資 ヨーロッパ・中央アジア地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ウクライナ ◇ IBRD−「農地所有・土地台帳開発特別投資融資」 ESSD 6/24/03 2009/2023 n.a. 195.1 制度開発、法律改革、研修、土地台帳制度の開発、および意 識喚起を通して、農村・都市の両方において、土地所有権の保 証と譲渡性を高めることを目指すもの。 総コス ト:3億5050万ドル ◇ IBRD−「第1次国家税務近代化対応プログラム融資」 PREM 6/5/03 2009/2023 n.a. 40.0 持続可能な徴税制度の構築を目指すもの。そのための施策と して、納税義務に対する納税者等関係者の意識喚起を行う。 国税局による合法的で正当かつ公正な徴税と、効率的で活発 な企業セクターにより、すべての国民に便益が提供される。 総コス ト:8560万ドル ◇ IBRD−「E開発技術支援融資」 PSI 5/6/03 2008/2023 n.a. 5.0 最新の情報通信技術ソリューションの導入を支援することによ り、公的調達・書類手続における政府の意思決定プロセスを 効率化し、民間セクター開発を促進し、 シビルソサエティを強 化するもの。 総コス ト:600万ドル ◇ IBRD−「結核・HIV/エイズ特別投資融資」 HDN 12/19/02 2008/2023 n.a. 60.0 結核の抑制とハイリスク集団における感染防止を目的としたエ イズ対策プログラムに融資を行うもの。本プロジェク トは感染 率がもっとも高く、社会から阻害されている貧困層を対象に、 貧困の緩和と差別の解消を支援するものである。 総コス ト:7700万ドル ウズベキスタン ◇ IBRD/IDA−「排水、灌漑、湿地帯融資」c ESSD 6/19/03 2008/2023 n.a. 35.0 カラカルパクスタンにおける灌漑農業の生産性、雇用、およ 2013/2038 18.4 25.0 び所得を改善すると共に、安全な排水処理と灌漑の改善に融 資を行い、 アムダリア川の水質改善を目指すもの。 総コス ト:7460万ドル カザフスタン ◇ IBRD−「ヌラ川浄化特別投資融資」 ESSD 5/8/03 2008/2018 n.a. 40.4 水銀汚染を浄化し、安全でコスト効率の高い安定した水源 を確保し、洪水予防と環境保護の観点からヌラ川の流量調 節機能を再建することにより、流域の住民に便益を提供する もの。 総コス ト:6780万ドル 160 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ キルギス共和国 IDA−「ガバナンス構造調整融資」 PREM 5/15/03 2013/2043 14.7 20.0 公共セクターの透明性と即応性を高め、外部関係者の説明責 任を強化する政府のプログラムを支援すると共に、公共セク ターの効率、効果、 および説明責任を向上させる。 総コス ト:2000万ドル ◇ IDA−「ガバナンス技術支援融資」 PREM 5/15/03 2013/2043 5.8 7.8 公共セクターの透明性と即応性を高め、外部関係者の説明責 任を強化すると共に、効率、効果、 および説明責任の向上を目 指すもの。技術支援、財務の近代化、およびプロジェク ト管理 の改善に融資を行う。 総コス ト:1020万ドル グルジア ◇ IDA−「第2次社会投資基金融資」 HDN 5/15/03 2013/2043 11.0 15.0 地方政府の開発計画策定を支援すると共に、貧しい地域社会 が持続可能な形で小規模プロジェク トを管理できるように支援 を行うもの。社会・経済インフラが改善されることにより、地 域社会に便益がもたらされる。 総コス ト:3020万ドル IDA−「社会投資基金補完融資」 HDN 3/13/03 2013/2043 3.7 5.0 学校を再建し、耐震強化策を施すことにより、学童と職員に便 益を提供するもの。学校の再建は2002年4月25日の地震で被 害を受けた首都トビリシの経済力を高めるものとなる。 総コス ト:620万ドル ◇ IDA−「森林開発融資」 ESSD 8/1/02 2012/2042 12.6 15.7 森林収入が増え、薪を容易に入手できるようになることで、7 万人の中央コーカサス住民に便益が提供される。森林管理シ ステムを改善し、環境を傷つけない形で森林を活用すること により、地域の貧困が削減され、農村部の住民に便益がもた らされる。 総コス ト:2130万ドル IDA−「地方都市開発・分散化特別投資融資」 PSI 8/1/02 2012/2042 15.4 19.4 公共サービス (給水、下水処理、固形廃棄物回収、道路補修 など) の提供状況を改善し、研修プログラムに資金を提供し、 地方政府が地域のインフラを再建するための融資プログラム を用意することにより、中央政府と地方政府の両方を支援す るもの。 総コス ト:3090万ドル ◇ IDA−「一次医療開発特別投資融資」 HDN 8/1/02 2012/2042 16.1 20.3 一次医療の質を高め、受益者を増やすと共に、家庭医療/一 般診療モデルに準拠したものにするもの。疾病の予防、初期 発見、 および治療によって、国民の健康に便益がもたらされる。 総コス ト:2480万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 161 表6.11 2003年度に承認された融資 ヨーロッパ・中央アジア地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ クロアチア ◇ IBRD−「年金制度特別投資融資」 HDN 7/18/02 2007/2017 n.a. 27.3 社会負担および個人所得税の有効性と透明性を改善すること により、公共支出の受益者に便益を提供するもの。この融資 では特に新しい年金基金制度における有効性と透明性に重点 が置かれている。 総コス ト:3560万ドル ◇ IBRD−「不動産登記・土地台帳特別投資融資」 ESSD 8/29/02 2008/2017 n.a. 25.7 効率的な土地管理制度の構築を支援するもの。このプロジェ クトにより、 クロアチア初の公的不動産登記システムが構築さ れることになる。対象となる土地は約25万ヘクタール (105万 区画) にのぼり、36万人以上が便益を受ける。 総コス ト:3720万ドル コソボ IDA−「エネルギー・セクター技術支援グラント」 PSI 6/17/03 n.a. 1.1 1.5 商業的に持続可能な地域間電力取引システムの構築に取り組 むと共に、送電を合理化し、現在の発電能力を最大限に利用 することを目指すもの。民間投資のための規制フレームワーク が構築される予定。 総コス ト:150万ドル IDA−「第4次経済援助グラント」 PREM 6/17/03 n.a. 3.7 5.0 構造改革政策を実行するための資金と支援を提供するもの。 この構造改革の目的は中期マクロ財政の持続可能性を高める こと、 ドナー援助が減少するなかで十分な公共サービスを提 供すること、 そして民間セクター主導の成長を促進することで ある。 総コス ト:500万ドル ◇ IDA−「教育パートナーシップ改善グラント」 HDN 5/13/03 n.a. 3.3 4.5 初等・中等学校の50%にグラントを提供し、就学率と習熟度 の改善を支援するもの。グラン ト資金は研修、地域活動、教材 の入手、 および教育管理制度の改善に利用される。 総コス ト:460万ドル スロバキア共和国 ◇ IBRD−「国家財政管理技術支援融資」 PREM 6/10/03 n.a. n.a. 5.5 政府の制度能力を強化し、公的資金が政府の優先順位に従っ て効果的に、効率的に、 かつ透明性を持って使用されるように するもの。このプロジェク トは予算プロセス、マクロ経済分析、 および債務管理能力の改善を支援するものとなる。 総コス ト:650万ドル セルビア・モンテネグロ IDA−「第2次民間・金融セクター調整融資」 FSE 6/10/03 2013/2023 58.7 80.0 セルビア、 モンテネグロ両政府による規制改革、制度改革、お よび構造改革を支援するもの。健全な金融システムを構築す ることにより、民間セクター主導の成長と雇用創出を大幅に加 速することを目指す。 総コス ト:8000万ドル 162 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IDA−「保健・医療融資」 HDN 5/22/03 2013/2023 14.7 20.0 保健・医療サービスの再建に融資を行い、持続可能で成果志 向の保健・医療制度の構築を支援するもの。新しい制度のも とでは、質の高いサービスを効率的に提供した業者が報いら れ、国民は医療保健の適用により安価で有効な治療を受ける ことができるようになる。 総コス ト:2350万ドル ◇ IDA−「雇用促進・学習・革新融資」 HDN 5/5/03 2013/2023 2.0 2.8 コス ト効率の高い労働力再配置プログラムや革新的な失業者 サービスといった新しい手法の試行を行うもの。労働市場の 改革を通して、市場再編が労働者や地域社会にもたらす負の 影響の緩和を目指す。 総コス ト:550万ドル ◇ IDA−「社会セクター調整融資」 HDN 4/22/03 2013/2023 60.4 80.0 社会的保護、労働、および保健・医療分野の改革の実行を支 援するもの。貧困層を中心に便益とサービスを提供するような プロジェク トに融資が行われる。 総コス ト:8000万ドル IDA−「銀行・企業の民営化・再構築技術支援融資」 PSI 12/10/02 2013/2022 8.4 11.0 特に問題を抱えている大規模な国有企業の民営化プロセスを 再構築することにより、民間セクター主導の経済成長を促進す るもの。金融セクターの力を高めるための、包括的な銀行セ クター改革も実施される予定。 総コス ト:1500万ドル IDA−「モンテネグロ共和国における緊急電力供給安定化・ PSI 8/15/02 2012/2022 3.8 5.0 学習・革新融資」 パイロッ ト・プログラムを実行し、電力使用量の遠隔計測、自 動請求、および需要側重視の管理に対する利用者の反応を見 るもの。新しい配電計画が制度に与える影響や、新しいサー ビス形態に対する利用者の反応を評価する。 総コス ト:700万ドル IDA−「構造調整融資 (モンテネグロ共和国)」 PREM 8/8/02 2012/2022 11.9 15.0 政府の改革プログラムに沿って、5つの分野の改革に取り組む もの (公的支出管理、年金制度、 エネルギー・セクター、雇用 市場、およびビジネス環境) 。財政の不均衡が是正され、財政 が中期的に安定することにより、 国民全体に便益が提供される。 総コス ト:1500万ドル IDA−「輸出金融円滑化融資」 PREM 7/18/02 2012/2022 9.1 11.5 輸出融資機関を設立し、貿易・輸出活動の拡大を目指すもの。 国際市場に参入するために必要な資金、安全保障、および技 術支援を提供し、輸出業者に便益を提供する。産業に設備と 原料が供給されることで、経済成長が促進される。 総コス ト:3150万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 163 表6.11 2003年度に承認された融資 ヨーロッパ・中央アジア地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ タジキスタン ◇ IDA−「教育近代化融資/グラント」 HDN 5/15/03 2013/2043 9.5c 13.0 学生、教育関係者、父兄、および地域社会に便益を提供する 5.2g 7.0 もの。教育制度を改善するための資金を提供すると共に、地 域社会主導のイニシアティ ブを通して地域・地区の能力構築を 支援し、教育制度の再建を支援する。 総コス ト:2420万ドル トルコ ◇ IBRD−「第2次基礎教育対応プログラム融資」 HDN 7/16/02 2007/2017 n.a. 300.0 低所得世帯の子供および特別な配慮を必要とする子供が質の 高い教育を受ける機会を拡大するもの。教育機会の面でハン ディのある家庭の子供たちが基礎教育に対応できるよう 「就学 前教育」 の拡大を支援する。 総コス ト:3億5690万ドル ブルガリア ◇ IBRD−「地域暖房特別投資融資」 PSI 6/17/03 2008/2020 n.a. 34.2 ソフィア市とペルニク市の地域暖房サービスを改良するため の資金とノウハウを提供するもの。需要主導のサービス改善 により、両市の市民に便益がもたらされる。エネルギーと水の 無駄が減り、大気環境が改善される。 総コス ト:1億3270万ドル ◇ IBRD−「歳入管理改革特別投資融資」 PREM 6/5/03 2008/2020 n.a. 34.2 経済効率にすぐれた徴収制度の構築を通して、持続可能な資 金収集システムの導入を目指す政府の取り組みを支援するも の。この仕組みは民間セクターの発展を促すと共に、EU加盟 の条件にも適合したものでなければならない。 総コス ト:6300万ドル IBRD−「プログラム的セクター調整融資」 PSI 2/20/03 2009/2018 n.a. 150.0 2005年までとして設定された政府の年間成長率、貧困、失業 率削減目標の達成を支援するもの。このプロジェク トは人的資 源を支援し、社会プログラムを強化し、教育、保健・医療、年 金改革、および社会福祉を強化することにより、 ブルガリアの EU加盟を促進するものでもある。 総コス ト:1億5000万ドル ◇ IBRD−「社会的投資・雇用促進特別投資融資」 HDN 12/17/02 2007/2019 n.a. 50.0 経済と労働市場の状況が変化する中で、長期的に失業状態に ある人々や少数民族の生活水準を高めることを目指すもの。 地域社会ベースのイニシアティブや労働集約的なサービスを 実施することにより、70万日分以上の雇用機会を提供する。 総コス ト:6670万ドル 164 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ボスニア・ヘルツェゴビナ ◇ IDA−「社会保険技術支援融資」 HDN 6/10/03 2013/2023 5.2 7.0 健康保険・年金保険制度の効率と効果を高めるために、質の 高い技術支援と研修を提供し、既存の改革の遂行と、今後の 社会保険改革の立案を支援するもの。 総コス ト:970万ドル ◇ IDA−「森林開発・保全技術支援融資」 ESSD 6/10/03 2013/2023 2.8 3.7 森林組織と森林管理の改革を目指すもの。この改革により、 森林管理を強化し、森林資源からの収入を増やすと共に、パ イロッ ト・プロジェク トを実施し、そこから得られた知識をもと に参加型の森林・保護区利用計画を策定する。 総コス ト:510万ドル ◇ IDA−「小規模商業的農業開発特別投資融資」 ESSD 3/25/03 2013/2023 8.7 12.0 地域社会主導のイニシアティブを支援するもの。生産的かつ 収益性の高い生産システムの開発に取り組むことで、民間セ クター投資と融資を促進し、農作物の輸出を促進し、農村地 域の物的インフラと制度インフラを強化することを目指す。 総コス ト:1410万ドル モルドバ ◇ IDA−「南東ヨーロッパにおける貿易・運輸円滑化」 PSI 6/10/03 2013/2043 5.3 7.2 このプロジェク トはモルドバとその他6ヶ国の地域プログラム の一環として行われるもの。技術・財政支援をもとにシステム のコンピュータ化、業務の効率化、および通関手続の改善を 行い、 7国の税関手続と国境検査機関の強化・近代化を目指す。 総コス ト:970万ドル ◇ IDA−「エイズ抑制グラント」 HDN 6/10/03 n.a. 4.1 5.5 国民の健康状態を改善することを目指すもの。 その施策として、 予防プログラムに資金と支援を提供し、治療、介護、および 支援を強化し、結核の抑制を目的とした戦略を導入し、HIV/エ イズ、 STI、および結核に対処するための制度能力を強化する。 総コス ト:570万ドル ◇ IDA−「試験的給水・衛生融資」 PSI 5/20/03 2013/2043 8.8 12.0 農村部住民の福祉の改善を目指すもの。その施策として、給水 設備を整備し、技術・エンジニアリングサービスを提供すると 共に、給水・衛生サービスの質、効率、 および持続可能性を高 めるような制度を構築する。 総コス ト:1400万ドル ラ トビア IBRD−「第2次プログラム的構造調整融資」 PREM 9/10/02 n.a./2017 n.a. 20.2 公共セクターの信頼性と有効性を高めるような制度の構築に 重点を置く もの。このプロジェクトにより、サービスの提供状 況を改善し、民間セクターの成長を促進し、外的ショックに強 い経済を作り、EU加盟に備えることを目指す。 総コス ト:2020万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 165 表6.11 2003年度に承認された融資 ヨーロッパ・中央アジア地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ルーマニア ◇ IBRD−「電力市場特別投資融資」 PSI 6/12/03 2008/2020 n.a. 82.0 大規模な電力市場の育成を目指すもの。そのための施策とし て、既存の変電所を強化・再建すると共に、電力セクターの再 開発に民間セクターを誘致・維持するための技術支援を提供 する。 総コス ト:1億1360万ドル ◇ IBRD−「農村教育特別投資融資」 HDN 5/6/03 2007/2020 n.a. 60.0 資源や研修の資金を提供することにより、農村地域の子供た ちが質の高い教育、教材、および教師から学ぶ機会を増やす もの。このプロジェク トにより、修了率と進学率が高まること が期待されている。 総コス ト:9100万ドル ◇ IBRD−「森林開発特別投資融資」 ESSD 12/19/02 2008/2020 n.a. 25.0 国有・私有山林の持続可能な管理を促進し、土壌の劣化を抑 制し、林業の生産性と競争力を高めるシステムを構築すること で、森林や土地の新しい所有者に便益をもたらすもの。 総コス ト:3190万ドル IBRD−「民間・公共セクター制度構築技術支援融資」 PSI 9/12/02 2007/2019 n.a. 18.6 民間セクターと市民に便益をもたらすもの。民間セクターには 取り組み完遂のための資金を提供する一方で、資金の大半を エネルギー分野と公共セクターの改革に費やすことにより、マ クロ経済の安定化を促進する。 総コス ト:2230万ドル IBRD−「第2次民間セクター調整融資」 FSE 9/12/02 2007/2019 n.a. 300.0 金融、国有企業、 エネルギー、ビジネス、および社会セクター の改革を支援するもの。社会的保護と貧困削減の面では、構 造調整が社会にもたらす影響の緩和に重点が置かれている。 そのための施策として、弱い立場の集団を効率的かつ効果的 に保護するような社会的保護のメカニズムを構築する予定。 総コス ト:3億ドル ロシア連邦 ◇ IBRD−「サンクトペテルブルグ市経済開発構造調整融資」 PSI 5/15/03 2008/2020 n.a. 161.1 市の財政を支援し、文化遺産の再建コス トを融資するもの。こ の融資は同市の持続可能な経済成長見通しを改善すると同時 に、市が 「西側への窓」 という立場を効果的に利用できるよう にするものである。 総コス ト:2億3980万ドル ◇ IBRD−「税関開発特別投資融資」 PREM 4/22/03 2008/2020 n.a. 140.0 税関手続きを近代化し、国際標準に即した貿易手続を導入す ると共に、関税規定に関する意識を高め、 かつ規定の適用に 当たり一貫性が保たれるようにするもの。このプロジェクトは ロシアのマクロ経済の安定化に貢献し、税関業務の透明性と 効率性を高めるものとなる。 総コス ト:1億8720万ドル 166 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ◇ IBRD−「結核・エイズ抑制特別投資融資」 HDN 4/3/03 2008/2020 n.a. 150.0 結核とHIV/エイズの拡大を抑制することを目指すもの。そのた めの施策として、モニタリングと治療を強化し、HIV/エイズ抑 制計画に資金を提供する。 総コス ト:2億8620万ドル IBRD−「保険・医療改革実施特別投資融資」 HDN 3/18/03 2008/2020 n.a. 30.0 ロシアの保健・医療セクター改革に従って、連邦組織 (特に厚 生省) のキャパシティを強化するもの。保健・医療サービスの 不公平の是正と効率化を目的とした地域レベルのイニシア ティブに支援が行われる (連邦ガイドラインの試行プロジェクト など) 。 総コス ト :4120万ドル IBRD−「第2次租税管理近代化特別投資融資」 PREM 10/24/02 2008/2019 n.a. 100.0 租税管理の体系的な改革と近代化の継続を支援するもの。こ のプロジェク トは管理の効率、課税立法、および新しい連邦税 法の公平な実施に貢献するものとなる。 総コス ト:1億5800万ドル 合計 435.6 2670.0 n.a. 該当無し。 ◇ シビルソサエティが何らかの形で参加しているプロジェクト。 注:数字は四捨五入されているため、 合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント a. ESSD:環境・社会・持続可能な開発、 HDN:人的開発、FSE=金融セクター、PREM=貧困削減・経済運営、PSI=民間セクター・インフラ b. IDA融資はSDR(特別引出権) 建てで表記されている。SDRの価値は 「通貨バスケット」 を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は、 その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c.「ブレンド 」 (IBRDとIDA) 融資。 第6章 世界銀行について 167 表 表6.12 2003年度に承認された融資 ラテンアメリカ・カリブ海地域 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ アルゼンチン IBRD−「経済・社会移行構造調整融資」 PREM 5/22/03 2006/2018 n.a. 500.0 赤字削減、疑似通貨の回収、教師の給与の明確化、保健・医 療とセーフティネッ ト・プログラムに対する予算の増額、および 州レベルの成長回復支援を支援することにより、低所得世帯 に便益をもたらすもの。 総コス ト :5億ドル ◇ IBRD−「世帯主特別投資融資」 HDN 1/28/03 2008/2016 n.a. 600.0 ソーシャル・セーフティネッ トを構築することで、世帯主が失業 している貧困世帯の200万人 (子供を含む)に便益をもたらす もの。月々の支援金を受け取るためには、世帯主は仕事また は研修に従事している必要がある。 総コス ト:19億8700万ドル ウルグアイ IBRD−「公共サービス ・社会セクター特別構造調整融資」 PSI 4/8/03 2006/2007 n.a. 101.0 ウルグアイ経済が危機に陥っている間も保健衛生、教育と いった公共サービスが確実に提供されるようにすることで、国 民に便益を提供するもの。 総コス ト :1億100万ドル IBRD−「公共サービス ・社会セクター構造調整融資」 PSI 4/8/03 2008/2017 n.a. 151.5 公共サービス (電力、天然ガス、炭化水素、通信、郵便、水、 衛生、運輸など) のコス トを削減し、質を高め、提供範囲を拡 大し、効率を上げるための施策を支援することにより、 すべて の国民に便益を提供するもの。 総コス ト :1億5150万ドル ◇ IBRD−「構造調整融資」 PREM 8/8/02 2008/2017 n.a. 151.5 財政・社会政策改革を支援することにより、家族と子供に便益 を提供するもの。本プロジェク トの一環として、社会的保護プ ログラムが確実に貧困者に提供されるような仕組みが構築さ れる。 総コス ト:1億5150万ドル ◇ IBRD−「特別構造調整融資」 PREM 8/8/02 2005/2007 n.a. 151.5 政府の財政・社会的保護政策を支援し、公的銀行システムを 再建することにより、 ウルグアイ経済を強化し、国民に便益を 提供するもの。 総コス ト:1億100万ドル エクアドル ◇ IBRD−「プログラム的人的開発改革融資」 HDN 5/27/03 2009/2025 n.a. 50.0 エクアドルの保健・医療サービスを支援すると共に、小学生の 4分の3に栄養補助食品を供給し、約450万人の貧しい高齢層 の所得を保証することにより、75万人以上の母親に便益を提 供するもの。 総コス ト:5000万ドル ◇ IBRD−「財政再建・競争力/成長拡大調整融資」 PREM 5/27/03 2009/2025 n.a. 50.0 政府の貧困削減活動全般 (税制改革、予算の透明化、行政シス テムの改善、債務管理など) を支援することにより、成長を促す と共に競争力を高め、すべての国民に便益を提供するもの。 総コス ト:5000万ドル 168 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ エルサルバドル ◇ IBRD−「司法近代化融資」 PREM 8/1/02 2008/2018 n.a. 18.2 すべての国民に便益を提供するもの。司法制度を近代化し、 透明性と信頼性を高め、司法サービスへのアクセスを改善す ることにより、犯罪が抑制され、市場競争が促進され、法的保 護が確保される。 総コス ト:2410万ドル ガイアナ ◇ IDA−「貧困削減支援融資」 PREM 12/17/02 2013/2042 9.1 12.0 透明性と説明責任の確保、公共セクターの改革 (租税、金融、 砂糖、水セクターなど) 、教育戦略の刷新、およびHIV/エイズ 対策の強化により、経済成長を促進することを目指すもの。 総コス ト:1200万ドル ◇ IDA−「公共セクター技術支援融資」 PREM 12/17/02 2013/2042 3.6 4.8 すべての国民に便益を提供するもの。受託者管理と制度能力 を強化し、政府が貧困削減戦略の実施状況を管理・モニタリ ングできるようにすると共に、社会サービスを改善する。 総コス ト:530万ドル グアテマラ ◇ IBRD−「西部高原地方天然資源管理融資」 ESSD 5/1/03 n.a. n.a. 32.8 農村部の住民、地域社会グループ、および地方自治体に農村 部の所得を高め、持続可能な生産慣行を定着させるためのイ ンセンティブを提供するもの。そのための施策として、地域社 会のプロジェク トに融資を行い、天然資源管理に関わる社会 資本を増やす。 総コス ト:5560万ドル ◇ IBRD−「第2次幹線道路・農村道路プロジェクト」 PSI 5/6/03 n.a. n.a. 46.7 遠隔地の貧しい農村で暮らす50万人以上の住民が、市場、学 校、診療所などの重要施設に迅速にアクセスできるような環境 を作るもの。そのための施策として、農村部に道路を敷設し、 既存の道路を修復し、地域社会の参加を促進する。 総コス ト:6370万ドル グレナダ IBRD/IDA−「(OECS)教育開発対応プログラム融資」c HDN 6/27/03 2008/2018 n.a 4.0 中等教育への公平なアクセスを提供し、教育の質 (特に識字と 2013/2038 2.9 4.0 計算能力) を高めるプログラムに融資を行うことにより、中学 校就学年齢の子供に便益を提供するもの。 総コス ト :1100万ドル ◇ IBRD/IDA−「HIV/エイズ予防・抑制特別投資融資」c  HDN 7/25/02 2008/2017 n.a. 3.0 新たなHIV感染と死亡率の削減、介護と治療による感染者の 2012/2037 2.4 3.0 生活の改善、行動の変化、予防、抑制の促進、および指導委 員会の設置を目指すもの。 総コス ト:720万ドル コロンビア IBRD−「プログラム的金融セクター調整融資」 FSE 4/24/03 2014/2014 n.a. 150.0 コロンビアの金融システムの強化を目指すもの。そのための 施策として、国有銀行セクターを統合して財政面での潜在リス クを低減し、貸付セクターの多様化を促進するようなフレーム ワークを導入すると共に、小口融資・資本市場セクターに資金 を投入し、外部ショ ックに強い経済を構築する。 総コス ト :1億5000万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 169 表6.12 2003年度に承認された融資 ラテンアメリカ・カリブ海地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ IBRD−「プログラム的財政・制度構造調整融資」 PREM 3/18/03 2010/2016 n.a. 300.0 コロンビアのマクロ経済安定を維持すると共に、公共サービ スの提供を通して平和の達成、雇用創出、教育・社会サービ スの拡大を促進することにより、 貧困層に便益をもたらすもの。 総コス ト :3億ドル ◇ IBRD−「ボゴタ市都市サービス特別投資融資」 PSI 3/13/03 2008/2020 n.a. 100.0 運輸、水、衛生などの基本サービスのアクセスと質を改善す ることにより、ボゴタ市の都市インフラとサービスの向上を支 援するもの。このプロジェク トにより、市の最貧地区で暮らす 60万人の低所得者に便益が提供される。 総コス ト:2億7270万ドル ◇ IBRD−「高等教育資金調達改革融資」 HDN 12/23/02 2010/2015 n.a. 200.0 戦略的なパー トナーシップを構築し、高等教育機関への進学 を促進するような学資ローン制度を導入することにより、経済 的余裕のない大学生・大学院生に便益をもたらすもの。 総コス ト:2億8770万ドル ◇ IBRD−「社会セクター調整融資」 HDN 8/1/02 2007/2017 n.a. 155.0 社会的保護の強化、予防接種率の向上、健康保険への加入促 進、政府の社会福祉プログラムの透明化、市民監視の強化に より、 コロンビアの貧しい人々に便益をもたらすもの。 総コス ト:5億4500万ドル ジャマイカ IBRD−「第2次銀行再建・債務管理プログラム調整融資」 FSE 10/24/02 2009/2018 n.a. 75.0 ナショナル・ コマーシャル・バンクとライフ・オブ・ジャマイカの 政府保有株の売却を支援すると共に、金融セクターに新しい 法律・規制・監督フレームワークを導入することを目指すもの。 総コス ト :7500万ドル ◇ IBRD−「全国地域社会開発融資」 PSI 10/24/02 2008/2019 n.a. 15.0 一時的な雇用を創出し、インフラや社会・経済機能を整備す ることにより、 ジャマイカ国内の貧困層に便益を提供するもの。 地域社会はそれぞれの割り当て分の範囲で、 プロジェクトに参 画することを奨励される。 総コス ト:2980万ドル ◇ IBRD−「中等教育改革融資II」 HDN 10/24/02 2008/2019 n.a. 39.8 すべての中等学校に質の高い指導と十分な設備を提供するこ とにより、生徒の学習を助けると共に、貧困家庭の子供にも 中等教育を受ける機会を提供するもの。 総コス ト:6300万ドル セン トクリス トファー・ネーヴィス IBRD−「HIV/エイズ予防・抑制対応プログラム融資」 HDN 1/10/03 2008/2017 n.a. 4.1 ハイリスク集団と一般国民を対象としたHIV/エイズ予防プログ ラムの実施を支援するもの。治療、介護、感染者のサポー トに 財政支援を行い、国のエイズ対策能力を強化する。 総コス ト :450万ドル チリ IBRD−「知識経済のための科学対応プログラム融資」 HDN 5/22/03 n.a. n.a. 25.3 科学技術分野の研究を強化し、 新しい技術の普及に取り組み、 科学技術研究に資金を提供して競争力を高め、経済成長を促 進することにより、 すべての国民に便益を提供するもの。 総コス ト :5030万ドル 170 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ドミニカ共和国 ◇ IBRD−「保健・医療改革支援対応プログラム融資」 HDN 6/26/03 2008/2020 n.a. 30.0 基本的な保健・医療サービスを230万人 (うち170万人は貧困 層) に拡大することにより、妊産婦と乳幼児の死亡率を削減す ることを目指すもの。保健・医療セクター改革法を施行し、保 健・医療制度に資金を提供する。 総コス ト:4270万ドル ◇ IBRD−「幼少期教育融資」 HDN 9/5/02 2008/2019 n.a. 42.0 約2万人の子供に教育サービスを提供し、2007年までに5歳児 の就学率を71%から86%に引き上げると共に、中退率と留年 率の削減を目指すもの。 総コス ト:6200万ドル トリニダー ド・ トバゴ ◇ IBRD−「HIV/エイズ予防・抑制対応プログラム融資」 HDN 6/27/03 2008/2018 n.a. 20.0 予防、治療、および教育プログラムに融資を行うことにより、 HIV感染の半減 を目指すもの。同時 (100万人当たり450人へ) に、HIV/エイズの発症例を約10%削減し、感染者の寿命を延 ばすことを目指す。 総コス ト:2500万ドル ニカラグア ◇ IDA−「ニカラグア農村電化融資」 PSI 5/15/03 2013/2043 8.8 12.0 電力供給がない地域における発電・配電プロジェク トに融資を 行うもの。これにより、中央・大西洋沿岸地域の孤立した農村 地域の約1万6000世帯には初めて電力が供給される。 総コス ト:2300万ドル ◇ IDA−「プログラム的構造調整融資」 PREM 3/13/03 2013/2042 11.4 15.0 外国資本の誘致、金融システム規制の強化、初等教育と農村 部の保健・医療サービスの拡大と向上、水・衛生サービスの 拡大と向上、および公共セクターの財政管理、行政事務、ド ナー資金管理の改善を目指すもの。 総コス ト:1500万ドル ブラジル ◇ IBRD−「バイア州教育対応プログラム融資:第2期」 HDN 6/27/03 2008/2018 n.a. 60.0 初等・中等学校の質とアクセスを改善し、必要な備品や設備 を供給し、 指導要綱を提示し、教育管理を強化することにより、 200万人以上の子供に便益をもたらすもの。 総コス ト:1億ドル ◇ IBRD−「エイズ&STD管理III融資」 HDN 6/26/03 2008/2018 n.a. 100.0 抗レトロウィルス療法の導入、技術の近代化、感染者の介護、 および人権の保護により、ハイリスク集団、およびHIV/エイズ 感染者を含むすべての国民に便益をもたらすもの。 総コス ト:2億ドル IBRD−「エネルギー ・ セクター技術支援融資」 PSI 6/24/03 2008/2018 n.a. 12.1 市場開発と規制、環境管理、および長期的な成長計画に技術 支援を提供することにより、農村部の250万の貧困世帯に電力 を供給することを目指すもの。このプロジェク トは特に電力・ ガスセクターに重点を置いている。 総コス ト :2010万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 171 表6.12 2003年度に承認された融資 ラテンアメリカ・カリブ海地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ IBRD−「第2次プログラム的財政改革融資」 PREM 6/12/03 2009/2013 n.a. 404.0 財政改革を支援し、 マクロ経済の脆弱性を低減することにより、 すべての国民に便益をもたらすもの。マクロ財政計画、債務管 理、財政の透明性、 キャパシティ・ビルディング、および税務管 理を改善することにより、広範で公正かつ持続可能な成長が 促進される。 総コス ト :4億400万ドル ◇ IBRD−「バイア州保健・医療制度改革対応プログラム融資」 HDN 6/12/03 2009/2013 n.a. 30.0 基本的な保健・医療サービスを貧困層に拡大すると共に、公 共サービスの提供状況を改善し、公的支出の効率化と質的改 善を目指すもの。そのための施策として、技術支援を提供し、 改革に融資を行い、基本医療の提供範囲を拡大する。 総コス ト:5000万ドル ◇ IBRD−「レシフェ市改修融資」 PSI 4/24/03 2008/2017 n.a. 46.0 120万人を超えるスラム居住者の生活向上を目指すもの。市 の公園、道路、排水処理施設、下水道施設、および給水シス テムを改善する小規模プロジェク トに融資を行うと共に、サー ビスの提供範囲を拡大する。 総コス ト:8400万ドル ◇ IBRD−「プログラム的人的開発セクター改革融資」 HDN 2/25/03 2011/2013 n.a. 505.1 何百万人もの貧困層に便益をもたらすもの。教育、保健・医 療、および社会福祉分野の公共支出の質を高め、受益者を拡 大することにより、弱い立場にある貧困層に経済危機が及ぼ す影響を緩和することを目指す。 総コス ト:5億510万ドル ◇ IBRD−「CAIXA水セクター近代化特別投資融資」 PSI 12/12/02 2008/2017 n.a. 75.0 水セクターの効率化を支援するもの。上下水道サービスを北 部・北東部・中西部に拡大し、100万人以上に水関連の便益を 提供する。 総コス ト:1億2500万ドル ◇ IBRD−「地方自治体年金改革特別投資融資」 PREM 7/25/02 2007/2017 n.a. 5.0 26市で重要な年金問題に取り組むと共に、年金管理のモニタ リング・評価や成果の実証を行うことができるようにするため の社会保障庁による技術支援を支援するもの。 総コス ト:1000万ドル ペルー ◇ IBRD−「貿易円滑化・生産性向上技術支援融資」 PSI 6/5/03 2011/2017 n.a. 20.0 中小規模の輸出業者に便益を提供するもの。本プロジェク ト により、雇用が創出されるだけでなく、技術支援を基に民間セ クターのパー トナーシップを促進し、生産性を高めるための新 たな手法を試し、海外市場にアクセスするためのプロセスを 改善することができる。 総コス ト:2400万ドル ◇ IBRD−「農村教育・教師育成対応プログラム融資」 HDN 5/29/03 2011/2017 n.a. 52.5 就学前教育および初等・中等学校へのアクセスの改善を目指 すもの。中等教育に遠隔教育を導入するなど、 コスト効率に配 慮した新しい試みに融資が行われる予定。 総コス ト:9420万ドル 172 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ IBRD−「リマ市水サービス再建・管理補完融資」 PSI 2/25/03 n.a. n.a. 20.0 水・衛生サービスをリマ市の低所得地域で暮らす13万人に拡 大することを目指すもの。 総コス ト :2940万ドル IBRD−「プログラム的社会改革融資II」 HDN 9/17/02 2008/2019 n.a. 100.0 社会プログラムへのアクセスを改善し、保護メカニズムを構 築し、社会支出の透明性を改善し、地域社会が意思決定に参 画できるようにすることにより、貧困層に便益を提供するもの。 総コス ト :1億ドル ◇ IBRD−「全国農村給水・衛生特別投資融資」 PSI 8/29/02 2011/2016 n.a. 50.0 農村部の130万人に水・衛生サービスを提供するもの。その施 策として、関連設備の建設、再建、強化を行うと共に、実施機 関にガイダンスを提供する。 総コス ト:8000万ドル ボリビア ◇ IDA−「農 村 変 革 の ため の 分 散 インフラ 対 応 プ ログラム PSI 6/17/03 2013/2023 15.0 20.0 融資」 電力を利用できるようにすることで、1万5000以上の低所得世 帯に便益を提供するもの。また、 アクセスを改善し、民間セク ターと地域社会の参加を促進するような分散モデルに融資を 行うことにより、新たに2万5000人以上の地方居住者が携帯電 話を利用できるようになる。 総コス ト:3880万ドル ◇ IDA−「ソーシャル・ セーフティネット構造調整融資」 HDN 6/17/03 2013/2023 25.4 35.0 経済的困難が続く中で、保健・医療、教育、およびソーシャ ル・セーフティネッ ト・プログラムへの融資を続けることにより、 何百万人もの低所得者に便益をもたらすもの。 総コス ト:1億700万ドル ◇ IDA−「第2次分散化プログラム的構造調整融資」 PREM 6/17/03 2013/2023 18.0 25.0 すべての国民に便益をもたらすもの。ガバナンスと規制フレー ムワークを強化し、地域社会の参加を促すことで、地方自治体 の効率、透明性、 および説明責任の向上を目指す。 総コス ト:2500万ドル ホンジュラス IDA−「金融セクター技術支援融資」 FSE 6/24/03 2013/2043 7.2 9.9 金融・銀行サービスの利用者に便益を提供するもの。政府の 銀行再編計画の設計・実施を支援すると共に、決済システム を改革し、関連機関を強化することにより、経済・金融ショッ クに強い経済を構築する。 総コス ト:1100万ドル ◇ IDA−「コバン ・バレー地域開発融資」 ESSD 5/20/03 2013/2043 8.8 12.0 投資機会と雇用機会を創出することにより、約14万1000人の 地域住民に便益を提供するもの。そのための施策として、史 跡・遺跡に融資を行い、所得創出効果のあるイニシアティ ブを 実施し、投資環境を整備して文化財の管理・計画への投資を 誘致する。 総コス ト:1340万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 173 表6.12 2003年度に承認された融資 ラテンアメリカ・カリブ海地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ メキシコ IBRD−「農村金融開発構造調整融資」 FSE 6/12/03 2013/2013 n.a. 505.1 メキシコの開発銀行セクターの改革を支援するもの。具体的 には農業開発銀行バンルーラルを清算し、同行に代わる新し い農村金融機関を設置することにより、農民と中小企業に便 益を提供する。 総コス ト :5億510万ドル IBRD−「プログラム的環境構造調整融資」 ESSD 8/6/02 2013/2013 n.a. 202.0 地方自治体レベルで環境保護に取り組むことにより、環境を 損なわない範囲で社会・経済の持続可能な開発を促進し、貧 しい人々に便益を提供するもの。 総コス ト :2億200万ドル ◇ IBRD−「農村地方自治体開発特別投資融資」 ESSD 7/16/02 2008/2017 n.a. 400.0 農村部の市町村に給水、衛生、電化、道路、学校・診療所建 設関連プロジェク トの資金を融資することにより、メキシコの4 州の住民 (580万人) に便益を提供するもの。 総コス ト:6億3340万ドル ◇ IBRD−「貯蓄・信用セクター強化・農村小口融資能力開発 ESSD 7/2/02 2008/2017 n.a. 64.6 技術支援融資」 農村部に金融サービス (信用貸しや国外の親類からの送金の 引き出しなど) を提供している貯蓄・信用機関を強化すること により、農村部の6万世帯に便益を提供するもの。 総コス ト:8540万ドル 合計 112.6 5820.5 n.a. 該当無し。 ◇シビルソサエティが何らかの形で参加しているプロジェクト。 注:数字は四捨五入されているため、 合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント a. ESSD:環境・社会・持続可能な開発、 HDN:人的開発、FSE=金融セクター、PREM=貧困削減・経済運営、PSI=民間セクター・インフラ b. IDA融資はSDR(特別引出権) 建てで表記されている。SDRの価値は 「通貨バスケット」 を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は、 その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c.「ブレンド 」 (IBRDとIDA) 融資。 174 世界銀行 年次報告 2003 表 表6.13 2003年度に承認された融資 中東・北アフリカ地域 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ アルジェリア ◇ IBRD−「第2次農村雇用特別投資融資」 ESSD 4/29/03 2006/2018 n.a. 95.0 天然資源管理を通して、北西部・北中央部の貧しい山岳地帯 の住民に雇用機会を提供するもの。公共事業を実施して雇用 の機会を直接的に創出すると共に、資産創出を行い、雇用の 促進につとめる。 総コス ト:1億4290万ドル IBRD−「都市自然災害脆弱性低減融資」 PSI 8/8/02 2008/2018 n.a. 88.5 洪水対策インフラの整備や住宅の建築・再建を行うプログラ ムを通して、 アルジェ軍管区の災害対策能力を高め、脆弱性を 低減することを目指すもの。 総コス ト :1億2510万ドル イエメン共和国 ◇ IDA−「サヌア盆地水管理対応プログラム融資」 ESSD 6/3/03 2013/2043 17.6 24.0 サヌア盆地帯水層の地下水枯渇阻止を支援するもの。同時に この地域の経済活動を水集約的でない活動に転換すると共 に、別の土地への移住を促進する。 総コス ト:1億2000万ドル ◇ IDA−「港市開発融資」 PSI 1/23/03 2013/2042 17.7 23.4 企業活動の活性化、都市開発計画への融資、および地方の キャパシティ ・ビルディングを通して、港湾都市の投資環境、成 長、 および雇用機会の改善を目指すもの。 総コス ト:2650万ドル ◇ IDA−「都市給水・衛生対応プログラム融資」 PSI 8/1/02 2012/2042 104.2 130.0 効率的な給水・衛生サービスの提供を通して、都市住民に便 益を提供するもの。民間参入を促進すると共に、上下水道の 拡大と再建に取り組む。 総コス ト:1億5000万ドル イラン・イスラム共和国 IBRD−「地震緊急復興プロジェクト」 PSI 6/3/03 2009/2020 n.a. 180.0 2002年の地震に起因する社会経済問題の軽減を目指すもの。 公共・民間セクターの復興を促進し、将来の地震に備えて効 果的なモニタリング・管理システムを構築する。 総コス ト :2億2500万ドル ◇ IBRD−「環境管理支援特別投資融資」 ESSD 4/8/03 2008/2020 n.a. 20.0 政府環境局の大気・水質監視能力を強化することにより、 イラ ンの環境管理を強化するもの。プロジェク トの一環として、テ ヘラン、 イスファハン、ホラーサーン、マルカジ、およびクゼス タンで重点的な介入プログラムが試行される予定。 総コス ト:2300万ドル エジプト ・アラブ共和国 ◇ IBRD−「第2次マ トルーフ資源管理融資」 ESSD 3/6/03 2008/2020 n.a. 12.4 北西沿岸地域の貧しい農村部の住民の生計を改善することを 目指すもの。地域社会開発を通して貧困を削減し、サービス へのアクセスを拡大すると共に、天然資源の保全・回復能力 を強化する。 総コス ト:3980万ドル (次頁へ続く) 第6章 世界銀行について 175 表6.13 2003年度に承認された融資 中東・北アフリカ地域(続き) 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ジブチ IDA−「社会開発・公共事業補完融資」 PSI 6/26/03 2013/2043 3.7 5.0 ジブチの最貧地域で実施されている重要な社会・経済インフ ラ開発プロジェク トの完了を支援するために、追加融資を行う ことを目指すもの。これらの地域は部分的にしかまたはまった く既存の社会開発・公共事業融資の対象となっていない。 総コス ト:520万ドル ◇ IDA−「HIV/エイズ、マラリア、 結核抑制グラント」 HDN 5/29/03 n.a. 8.8 12.0 政府のHIV/エイズ、性感染症、 マラリア、および結核対策に融 資を行うもの。その一環として、 キャパシティ・ビルディングを 行い、予防手段と治療へのアクセスを拡大すると共に、 これら の伝染病が地域社会にもたらす影響を緩和する。 総コス ト:1500万ドル IDA−「国際交通ルー ト再建補完融資」 PSI 5/6/03 2013/2042 4.5 6.0 現在進行中の国際交通ルー ト再建プロジェクトに追加融資を 行うもの。ジブチ港と隣国エチオピアを結ぶ道路を再建する ためには追加融資が不可欠。エチオピアはすべての貿易と食 糧援助へのアクセスをジブチ港に依存している。 総コス ト:600万ドル チュニジア ◇ IBRD−「地方自治体開発III融資」 PSI 12/5/02 2006/2019 n.a. 78.4 都市部の住民に便益をもたらすもの。公共投資の規模拡大並 びに地方および中央政府の予算規模を拡大することにより、 住民が基本的な公共サービスの計画、導入、および提供に参 加する機会を拡大する。 総コス ト:1億9980万ドル ◇ IBRD−「北西山岳地帯・森林地帯開発特別投資融資」 ESSD 10/31/02 2008/2024 n.a. 34.0 農業・牧畜生産システムの多様化と非農業所得創出活動を促 進することにより、世帯収入と生活条件の改善を目指すもの。 総コス ト:4490万ドル モロッコ ◇ IBRD−「湿地農業開発特別投資融資」 ESSD 6/10/03 2009/2023 n.a. 26.8 湿地帯で小規模な農業・牧畜を営む住民の社会経済条件の改 善を目指すもの。そのための施策として、地域の参加型開発プ ロジェク トに融資を行い、住民の所得や基本的な農村インフラ へのアクセスを改善すると共に、持続可能な農業成長を促進 する。 総コス ト:4110万ドル IBRD−「資産管理改革融資」 PSI 6/5/03 2009/2023 n.a. 45.0 公共教育と保健・医療セクターに対する投資、維持、再建支出 を合理化し、 効果的な資産管理システムを構築することにより、 公的支出の効率化を目指すもの。 総コス ト :5000万ドル ◇ IBRD−「アルファ ・マロック学習・革新融資」 HDN 9/26/02 2008/2022 n.a. 4.1 教育の質と成人の識字率を高めるための新しいプログラム管 理手法を試行するもの。パイロッ ト・プロジェクトが成功した場 合、政府は全国でこのプログラムを実施し、成人の識字率向 上に努めることになる。 総コス ト:540万ドル 176 世界銀行 年次報告 2003 元本金額 (100万ドル) 国名/プロジェクト名 主要テーマa 承認日 返済期間 SDRb US$ ヨルダン ◇ IBRD−「知識経済教育改革プログラムIセクター投資・維持 HDN 5/8/03 2008/2020 n.a. 120.0 融資」 幼少期、初等、中等教育制度の革新を支援すると共に、包括 的な教育改革を実施し、知識経済社会に対応しうる人材の育 成を目指すもの。 総コス ト:3億7000万ドル IBRD−「第2次公共セクター改革融資」 PREM 7/2/02 2007/2019 n.a. 120.0 司法の強化、公共サービスの提供範囲の拡大と管理の改善、 および行政改革を通して民間セクター投資を促進し、政府財 政の改善を支援するもの。 総コス ト :1億2000万ドル レバノン ◇ IBRD−「文化遺産・都市開発特別投資融資」 PSI 4/17/03 2010/2018 n.a. 31.5 文化遺産の保全・管理プログラムを支援することにより、史跡 を有する5つの地方都市の経済開発を促進し、住民の生活の 改善を目指すもの。 総コス ト:6190万ドル 合計 156.5 1056.1 特別融資d ヨルダン川西岸・ガザ地区 ◇「第2次緊急公共事業支援グラント」 HDN 12/17/02 n.a. n.a. 25.0 現地の社会福祉、教育、保健・医療、および社会扶助サービス の質を高め、受益者を拡大するもの。プロジェクト管理費、設 備、技術支援、および研修を財政面で支援し、学生および一 般住民に便益を提供する。 総コスト:8400万ドル 「緊急地方都市公共事業再建グラント」 PSI 12/17/02 n.a. n.a. 20.0 地方自治体の公共サービスの質が低下することを防ぐと共に、 一時的な雇用を創出するもの。その施策として、地方政府に技 術・財政支援を行い、 暫定的な小規模プロジェクトを実施する。 また、中央と地方の予算計画プロセスの関連づけを行う。 総コスト:7000万ドル n.a. 該当無し。 ◇ シビルソサエティが何らかの形で参加しているプロジェクト。 注: 数字は四捨五入されているため、 合計が合わないことがある。c=IDA融資、g=IDAグラント a. ESSD:環境・社会・持続可能な開発、 HDN:人的開発、FSE=金融セクター、PREM=貧困削減・経済運営、PSI=民間セクター・インフラ b. IDA融資はSDR(特別引出権) 建てで表記されている。SDRの価値は 「通貨バスケット」 を使って算出される。米ドルに対するSDRの価値は、 その融資またはグラントの交渉が行われた時点の交換レートを反映したもの。 c.「ブレンド 」 (IBRDとIDA) 融資。 d. 世銀が管理する信託基金による融資。 第6章 世界銀行について 177 表 表6.14 構造調整融資 2003年度 (単位:100万ドル) 国名 プロジェクト IBRD IDA 合計 貧困削減支援融資 ウガンダ P073671 第2次貧困削減支援融資 150 150 ガーナ P076808 貧困削減支援融資 125 125 ガイアナ P073851 貧困削減支援融資 12 12 スリランカ P081718 貧困削減支援融資 125 125 タンザニア P074072 貧困削減支援融資 132 132 ブルキナファソ P075378 第2次貧困削減支援融資 35 35 ベトナム P075398 第2次貧困削減支援融資 100 100 プログラム的構造調整融資 エクアドル P082395 プログラム的人的開発改革融資 50 50 エクアドル P082739 プログラム的財政再建・公正成長融資 50 50 コロンビア P078869 プログラム的金融セクター調整融資 150 150 コロンビア P080831 プログラム的財政・制度構造調整融資 300 300 ジャマイカ P073756 第2次銀行再建・債務管理プログラム調整融資 75 75 タンザニア P084984 プログラム的構造調整融資(IDA融資の継続分) + + ニカラグア P074760 プログラム的構造調整融資 15 15 ブラジル P070641 第2次プログラム的財政改革調整融資 404 404 ブラジル P080746 プログラム的人的開発セクター改革融資 505 505 ブルガリア P067051 プログラム的調整融資 150 150 ペルー P073817 第2次プログラム的社会改革融資 100 100 ボリビア P081402 第2次分権化プログラム的構造調整融資 25 25 メキシコ P074539 プログラム的環境構造調整融資 202 202 ラトビア P069890 第2次プログラム的構造調整融資 20 20 セクター構造調整融資 コロンビア P069861 社会セクター調整融資 155 155 セルビア・ モンテネグロ P074868 第2次民間・金融セクター構造調整融資 80 80 メキシコ P074655 農村金融開発構造調整融資 505 505 モロッコ P005516 資産管理改革融資 45 45 ヨルダン P066826 第2次公共セクター改革融資 120 120 + 50万ドル未満の調整融資。 178 世界銀行 年次報告 2003 国名 プロジェクト IBRD IDA 合計 構造調整融資 アルゼンチン P083074 経済・社会移行構造調整融資 500 500 アルメニア P075758 第5次構造調整融資 40 40 ウルグアイ P077172 構造調整融資 152 152 ウルグアイ P078726 公共サービス・社会セクター構造調整融資 152 152 カーボヴェルデ P081548 構造調整融資補助 4 4 カメルーン P084890 第3次構造調整融資(IDA融資の継続分) 3 3 キルギス共和国 P071061 ガバナンス構造調整融資 20 20 ケニア P083594 経済・公共セクター改革融資(IDA融資の継続分) 1 1 コソボ P078380 第4次経済援助グラント 5 5  シエラレオネ P078623 第3次経済復興・回復融資 30 30 セルビア・ モンテネグロ P076764 構造調整融資 15 15 セルビア・ モンテネグロ P078390 社会セクター調整融資 80 80 チャド P077781 第5次構造調整融資 40 40 パキスタン P075810 シンド構造調整融資 100 100 パキスタン P077834 北西辺境州構造調整融資 90 90 バングラデシュ P081845 開発支援融資 300 300 ブルンジ P074602 経済復興融資 54 54 ベナン P077574 公共支出改革調整補完融資 10 10 ボリビア P082700 ソーシャル・セーフティネット構造調整融資 35 35 モザンビーク P049878 経済運営・民間セクター運営融資 120 120 ルーマニア P067575 第2次民間セクター調整融資 300 300 ルワンダ P066385 組織改革融資 85 85 特別構造調整融資 ウルグアイ P080263 特別構造調整融資 152 152 ウルグアイ P081495 公共サービス・社会セクター特別構造調整融資 101 101 合計 4,187 1,831 6,018 第6章 世界銀行について 179 パートI・パートII IDA加盟国リスト パートI IDA加盟国 パートII IDA加盟国 サモア パプアニューギニア アイスラン ド アゼルバイジャン サントメ・プリンシペ パラオ共和国 アイルラン ド アフガニスタン ザンビア パラグアイ アラブ首長国連邦 アルジェリア シエラレオネ バルバドス イタリア アルゼンチン ジブチ ハンガリー 英国 アルバニア シリア・アラブ共和国 バングラデシュ オーストラリア アルメニア シンガポール 東ティモール オーストリア アンゴラ ジンバブエ フィ ジー オランダ イエメン共和国 スーダン フィ リピン カナダ イスラエル スリランカ ブータン ギリシャ イラク スロバキア共和国 ブラジル クウェート イラン・イスラム共和国 スロベニア ブルキナファソ スイス インド スワジラン ド ブルンジ スウェーデン インドネシア 赤道ギニア ベトナム スペイン ウガンダ セネガル ベナン デンマーク ウズベキスタン セルビア・モンテネグロ ベリーズ ドイツ エクアドル セントヴィンセン トおよび ペルー 日本 エジプト・アラブ共和国 グレナディーン諸島 ポーラン ド ニュージーラン ド エチオピア セントクリス トファー・ ボスニア・ヘルツェゴビナ ノルウェー エリトリア ネーヴィス ボツワナ フィンランド エルサルバドル セントルシア ボリビア フランス オマーン ソマリア ホンジュラス 米国 ガーナ ソロモン諸島 マーシャル諸島 ベルギー カーボヴェルデ タイ マケ ドニア旧ユーゴスラビア ポルトガル ガイアナ 大韓民国 共和国 南アフリカ カザフスタン タジキスタン マダガスカル ルクセンブルグ ガボン タンザニア マラウイ ロシア連邦 カメルーン チェコ共和国 マリ ガンビア チャド マレーシア カンボジア 中央アフリカ共和国 ミクロネシア連邦 ギニア 中国 ミャンマー ギニアビサウ チュニジア メキシコ キプロス チリ モーリシャス キリバス トーゴ モーリタニア キルギス共和国 ドミニカ共和国 モザンビーク グアテマラ ドミニカ国 モルディ ブ グルジア トリニダー ド・トバゴ モルドバ グレナダ トルコ モロッコ クロアチア トンガ モンゴル ケニア ナイジェリア ヨルダン コートジボワール ニカラグア ラオス人民民主共和国 コスタリカ ニジェール ラトビア コモロ ネパール リビア コロンビア ハイチ リベリア コンゴ共和国 パキスタン ルワンダ コンゴ民主共和国 パナマ レソ ト サウジアラビア バヌアツ レバノン 注:パートI・パートIIのどちらに属するかは、主に経済状況に基づいて判断される。パートI加盟国のほとんどはIDAドナーであり、 拠出金は兌換 性のある通貨で払い込まれる。パートII加盟国 (一部はIDAドナー)は拠出金のほとんどを現地通貨で支払っている。「IDA加盟国の投票権及び出 資・拠出状況」 及びその他の情報については、 本年次報告の第2巻「財務諸表及び付表」を参照。 パートI・パートII IDA加盟国リスト 181 世界銀行のウェブサイト一覧 B‑Span 開発フォーラム 参加 ―開発に関するウェブキャスティ ング www.worldbank.org/devforum www.worldbank.org/participation www.worldbank.org/wbi/B‑SPAN 学校 ジェンダー Groupe de la Banque Mondiale www.worldbank.org/html/schools www.worldbank.org/gender (世界銀行ホームページのフランス語版) www.banquemondiale.org 環境 資源動員・協調融資 www.worldbank.org/environment www.worldbank.org/rmc Grupo del Banco Mundial (世界銀行ホームページのスペイ ン語版) 教育 持続可能な開発 www.bancomundial.org www.worldbank.org/education www.worldbank.org/ sustainabledevelopment IPAネッ ト 金融 www.ipanet.net www.worldbank.org/finance シビルソサエティ www.worldbank.org/civilsociety アフリカ地域 金融商品・サービス www.worldbank.org/afr www.worldbank.org/fps 社会開発 (社会影響評価) www.worldbank.org/socialdevelopment インフォショ ップ/InfoShop 国別援助戦略 (CAS) (情報公開センター) www.worldbank.org/cas 社会的保護 www.worldbank.org/infoshop www.worldbank.org/sp グローバリゼーション インフォデブ/InfoDev www.worldbank.org/globalization 重債務貧困国イニシアティ ブ (開発プログラム情報) www.worldbank.org/hipc www.worldbank.org/infodev グローバル遠隔教育ネッ ト www.worldbank.org/disted 出版物 運輸 www.worldbank.org/publications www.worldbank.org/transport グローバル・ デ ィベロップメント・ネットワーク www.gdnet.org 情報公開 エイズと世銀 www.worldbank.org/disclosure www.worldbank.org/aids 現地事務所 www.worldbank.org/contacts スプリング・ ミーティ ング エネルギー www.worldbank.org/springmeetings www.worldbank.org/energy 公共セクター www.worldbank.org/publicsector 世界開発金融 汚職防止 www.worldbank.org/prospects/gdf2003 www.worldbank.org/anticorruption 国際開発協会 (IDA) www.worldbank.org/ida 世界開発指標 (WDI) 外国投資助言サービス www.worldbank.org/data/wdi www.fias.net 国際金融公社 (IFC) www.ifc.org 世界開発ソース 開発関連イベン トカレンダー www‑wds.worldbank.org www.worldbank.org/events 国際金融システム www.worldbank.org/ifa 世界開発報告 (WDR) 開発関連ニュース www.worldbank.org/wdr www.worldbank.org/developmentnews 国際復興開発銀行 (IBRD) www.worldbank.org/ibrd 世界銀行研究所 (WBI) 開発グラン ト・ファシリティ www.worldbank.org/wbi www.worldbank.org/dgf 採用・奨学金 www.worldbank.org/careers 世界銀行へのお問い合わせ 開発のためのワールドリンク www.worldbank.org/contacts www.worldbank.org/worldlinks 査閲パネル www.worldbank.org/inspectionpanel 182 世界銀行 年次報告 2003 世界経済見通し 都市開発 法律・司法 www.worldbank.org/prospects/gep2003 www.worldbank.org/urban www.worldbank.org/legal 石油・ガス ・鉱業・化学 図書・資料室 保健・医療、栄養、人口 www.worldbank.org/mining jolis.worldbankimflib.org/external.htm www.worldbank.org/hnp 世銀eライブラリー ニュースレター 貧しい人々の声 www.worldbank.org/elibrary www.worldbank.org/subscriptions www.worldbank.org/poverty/voices 世銀グループについて 年金 水資源管理 www.worldbank.org/about www.worldbank.org/pensions www.worldbank.org/water 世銀債 年次総会とスプリング・ ミーティ ング 南アジア地域 www.worldbank.org/debtsecurities www.worldbank.org/annualmeetings www.worldbank.org/sar 世銀支援プロジェク トにおける調達 農村開発・農業 ミレニアム開発目標 (MDGs) www.worldbank.org/html/opr/procure www.worldbank.org/rural www.developmentgoals.org 世銀年次報告 東アジア・大洋州地域 民営化リンク (PrivatizationLink) www.worldbank.org/annualreport www.worldbank.org/eap privatizationlink.ipanet.net 多数国間投資保証機関 (MIGA) 評価 民間セクター開発 www.miga.org www.worldbank.org/oed www.worldbank.org/privatesector 地域パー トナー ・ フォーラム 貧困削減/貧困ネッ ト 幼少期教育 www.worldbank.org/communitypartners www.worldbank.org/poverty www.worldbank.org/children 知識の共有 貧困削減戦略文書 (PRSP) ヨーロッパ・中央アジア地域 www.worldbank.org/ks www.worldbank.org/poverty/strategies www.worldbank.org/eca 中東・北アフリカ地域 プロジェク ト ・データベース ラテンアメ リカ ・ カリブ海地域 www.worldbank.org/mena www.worldbank.org/projects www.worldbank.org/lac 通信・情報科学 ヘルプ/FAQ ラピッ ド・ レスポンス www.worldbank.org/ict www.worldbank.org/help rru.worldbank.org データと統計 包括的な開発フレームワーク リサーチ www.worldbank.org/data www.worldbank.org/cdf www.worldbank.org/research 投資紛争解決国際センター (ICSID) www.worldbank.org/icsid 世界銀行のウェブサイト一覧 183 囲み、図および表のリスト 囲み 図2.10 借入金および投資額 39 図2.11 2003年度の純営業利益30億5000万ドルの 囲み1.1 調和 17 配分案 39 囲み1.2 ディベロップメント・ゲートウェイ財団 19 図2.12 IDAの地域別融資承認額 2003年度 40 囲み1.3 スイスと世界銀行研究所 : (WBI) キャパシティ・ 図2.13 IDAのテーマ別融資承認額 2003年度 40 ビルディングにおけるパートナーシップ 23 図2.14 IDAのセクター別融資承認額 2003年度 40 囲み1.4 (CDF) 包括的な開発フレームワーク 図2.15 IDAの資金源 40 ―世銀グループの活動基盤 24 図2.16 社会セクターに対するIDA援助の増大 40 囲み2.1 グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ 図2.17 信託基金に対する拠出額と融資実行額 ネッ (GDLN) 32 トワーク 1999–2003年度 42 囲み3.1 援助の有効性とキャパシティ・ビルディング 56 図2.18 地域別の協調融資 2000–2003年度 43 囲み4.1 貿易のための統合フレームワーク 61 図2.19 世銀融資に占める協調融資の割合  囲み4.2 研究、政策、および学習 62 2000–2003年度 43 囲み4.3 開発政策レビュー―途上国の開発政策アジェン 図2.20 重債務貧困国(HIPC)に対する債務救済 ダと優先項目に対する新しい統合された視点 64 ―債務額の削減と債務返済比率の割合 44 囲み4.4 万人のための教育 とファース (EFA) ト・トラック・ 図2.21 重債務貧困国イニシアティブの実施前と実施後 イニシアティブ(FTI) 66 の社会支出の推移 44 囲み4.5 途上国における障害者 68 図3.1 子供の栄養不良 48 囲み4.6 農業科学技術の国際評価 71 図3.2 初等学校の修了 48 囲み4.7 都市・農村部における融資 76 図3.3 教育におけるジェンダーの平等 49 囲み4.8 金融セクター改革強化イニシアティブ 図3.4 子供の死亡率 49 (FIRST) 80 図3.5 妊産婦の死亡率 50 囲み4.9 法律・司法・開発に関する全アフリカ会議 図3.6 HIV/エイズの蔓延 50 2003年2月4〜7日 81 図3.7 浄化水源 51 囲み4.10 ジェンダーと法律 82 図3.8 政府開発援助の純額 51 囲み5.1 アフリカのHIV/エイズ 90 図3.9 地域別の実施中プロジェクト  囲み5.2 アフリカ・バーチャル大学 91 2003年6月30日現在 52 囲み5.3 東アジアにおける貿易 96 図3.10 プロジェクト結果の満足度  囲み5.4 紛争解決、和平、和解、および復興 101 1974–2002年度 55 囲み5.5 成果と課題 104 図4.1 途上国への長期資金流入額(純額) 囲み5.6 効果的な貧困削減戦略のための統計 111 1993–2002年度 74 囲み5.7 詩を利用した識字教育 116 図5.1 アフリカ地域: IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 92 図5.2 アフリカ地域: 図 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 92 図5.3 東アジア・大洋州地域: 図2.1 プロジェクト・サイクル 33 IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 97 図2.2 IBRDとIDAの地域別融資 2003年度 34 図5.4 東アジア・大洋州地域: 図2.3 IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 34 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 97 図2.4 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 34 図5.5 南アジア地域: 図2.5 IBRDの地域別融資 2003年度 37 IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 102 図2.6 IBRDのテーマ別融資 2003年度 37 図5.6 南アジア地域: 図2.7 IBRDのセクター別融資 2003年度 37 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 102 図2.8 資本利益率(ROA)推移 38 図5.7 ヨーロッパ・中央アジア地域: 図2.9 資本/貸出比率 39 IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 107 184 世界銀行 年次報告 2003 図5.8 ヨーロッパ・中央アジア地域: 表5.6 中東・北アフリカ地域に対するテーマ別、 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 107 セクター別融資 1994–2003年 118 図5.9 ラテンアメリカ・カリブ海地域: 表6.1 世銀融資適格国 136 IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 112 表6.2 アフリカ地域に対する世銀の融資承認額、融資実 図5.10 ラテンアメリカ・カリブ海地域: 行額、および純移転額 2002–2003年度 138 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 112 表6.3 東アジア・大洋州地域に対する世銀の融資承認 図5.11 中東・北アフリカ地域: 額、融資実行額、および純移転額 IBRDとIDAのテーマ別融資 2003年度 117 2002–2003年度 138 図5.12 中東・北アフリカ地域: 表6.4 南アジア地域に対する世銀の融資承認額、融資 IBRDとIDAのセクター別融資 2003年度 117 実行額、および純移転額 2002–2003年度 139 表6.5 ヨーロッパ・中央アジア地域に対する世銀の融 資承認額、融資実行額、および純移転額 表 2002–2003年度 139 表6.6 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対する世銀の融 表2.1 経済・セクター調査(ESW)報告書 資承認額、融資実行額、および純移転額 1998–2003年度 31 2002–2003年度 140 表2.2 世界銀行によるテーマ別、セクター別の融資 表6.7 中東・北アフリカ地域に対する世銀の融資承認 1994–2003年度 35 額、融資実行額、および純移転額  表2.3 世銀による構造調整融資承認額  2002–2003年度 140 2000–2003年度 36 表6.8 2003年度に承認された融資  表2.4 IBRDの財務データの概要 38 アフリカ地域 141 表2.5 信託基金ドナーの上位10ヶ国・機関 42 表6.9  2003年度に承認された融資  表5.1 アフリカ地域に対するテーマ別、セクター別融資 東アジア・大洋州地域 150 1994–2003年度 93 表6.10  2003年度に承認された融資  表5.2 東アジア・大洋州地域に対するテーマ別、 南アジア地域 154 セクター別融資 1994–2003年度 98 表6.11  2003年度に承認された融資  表5.3 南アジア地域に対するテーマ別、セクター別融 ヨーロッパ・中央アジア地域 159 資 1994–2003年度 103 表6.12  2003年度に承認された融資  表5.4 ヨーロッパ・中央アジア地域に対するテーマ別、 ラテンアメリカ・カリブ海地域 168 セクター別融資 1994–2003年度 108 表6.13  2003年度に承認された融資  表5.5 ラテンアメリカ・カリブ海地域に対するテーマ別、 中東・北アフリカ地域 175 セクター別融資 1994–2003年度 113 表6.14  構造調整融資 2003年度 178 囲み、図および表のリスト 185 索引 注:bは囲み、fは図、tは表を指す。 A‑Z え 2003年度の概観, 28 衛生, 74 ARDE (「開発効果に関する年次レビュー」 の項を参照) 栄養, 22, 67–68 CAS (「国別援助戦略」 の項を参照) 「栄養向上のためのグローバル同盟」 , 22 CGIAR (「国際農業研究協議グループ」 の項を参照) エネルギー, 20–21, 74–75 ECA (「ヨーロッパ・ 中央アジア地域」 の項を参照) エネルギー ・セク ター管理支援プログラム, 21 「ECAにおける人的開発MDGsの達成」 , 104b 遠隔研修センター, 32b ESW (「経済・セク ター調査」 の項を参照) 遠隔研修のツール, 32 FIRST (金融セク ター改革強化イニシアテ ィ ブ) , 80b エンパワーメ ント, 13, 60 FTI(「ファース ト・トラック ・ イニシアテ ィブ」 の項を参照) GEF信託基金, 21 お HIPCイニシアテ ィ ブのレビュー, 56 欧州連合, 17–18 HIV/エイズ, 22, 32b, 50, 65, 76 温室ガス排出, 21, 83 アフリカ地域, 89, 90b 教育, 90 か ケーススタデ ィ, 53 外国投資助言サービス, 73 孤児, 90 開発援助, 33, 92 子供の死亡率, 49 開発援助委員会 (DAC) , 17–18 ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 106 開発活動に関する情報データベース (AiDA) , 19b IBRD (「国際復興開発銀行」 の項を参照) 開発経済研究グループ (DEC) , 30 IDA (「国際開発協会」 の項を参照) 開発効果委員会 (CODE) , 57 IDA-13(「国際開発協会の第13次増資」 の項を参照) 開発効果に関する年次レビュー (ARDE) , 54, 55 IFC(「国際金融公社」 の項を参照) 開発効果の評価, 54, 56 IMF (「国際通貨基金」 の項を参照) 開発政策レビュー, 63, 64b infoDev, 75 開発のための知識プログラム, 32 MDGs (「ミ レニア ム開発目標」 の項を参照) 「開発の民主化」 会議, 60 OECD (「経済協力開発機構」 の項を参照) 学習, 29–33, 62b, 78 OED (「業務評価局」 の項を参照) ガバナンス、 アフリカ, 88–89 PRSP (「貧困削減戦略文書」 の項を参照) ガバナンス改革, 63 PSIA(「貧困・社会影響分析」 の項を参照) 「ガバナンスと汚職防止に関するコアコース」 , 63 StatCap, 47 借入金および投資額, 39f カリブ海地域 ( 「ラテンア メ リカ ・ カリブ海地域」 の項を参照) あ 環境, 50–51, 69, 83 アフガニスタン, 44, 75, 99, 100, 101b インセンテ ィ ブ構造, 69–70 アフガニスタン復興信託基金, 101b 管理, 32, 69 アフリカ地域, 88–93 「グリーン ・ アワー ド(緑の賞) 」 , 69 HIPCイニシアテ ィブ, 92 パー トナーシップ, 21 HIV/エイズ, 89–90 東アジア ・大洋州地域, 96 IBRDとIDAの融資, 92f ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 107 インフラ融資, 75 環境・社会面での持続可能な開発のための信託基金, 21 教育支援, 67 環境主流化基金, 70 世銀の援助, 88 監査委員会, 6 天然資源, 89 監督, 6 統合, 92 カン ト リー ・ イ ノベーショ ン ・デー (CID) コンテス ト, 28 紛争, 88–89 カン ト リー ・エコノ ミ ック ・ メモラン ダム, 63 「アフリカに対する多国間エイズ・ (MAP) プログラム 」, 89 アフリカ農薬廃棄プログラム, 18 き アフリカ ・バーチャル大学, 91b 企業の社会的責任, 19–20 アルゼンチン, 7, 109 技術, 20–21, 71b 「安全な道路」 , 75 技術協力プログラム, 31 技術支援, 80b い 基準・規定遵守報告書 (ROSC) , 82 イラク, 29, 44, 115 キャパシテ ィ ・ ビルデ ィング, 32b, 32–33, 46, 56b, 62b, 80b インド, 99, 100–101 教育, 28, 48, 65 「インフ ォシテ ィ(InfoCity)」, 95 アフリカ, 89, 90 インフラ, 73–76 アフリカ ・バーチャル大学, 91b アフリカ地域, 91–92 女児, 66b 投資, 3, 13 「教育と技術の格差解消に向けて」 , 65–66 水資源, 71 協調融資, 42, 43f 南アジア地域, 100 業務評価局 (OED) , 4, 54, 56 拠出金、信託基金, 41 う 緊急公共事業・地域社会エンパワーメ ン ト・ プロジェク ト、 アフガ 運輸, 62, 75–76 ニスタン, 44, 100 金融サービス, 78–79, 82 金融セク ター改革強化イニシアテ ィ ブ (FIRST) , 79, 80b 186 世界銀行 年次報告 2003 金融セクター学習プログラム, 78 ラテンア メ リカ・カリブ海地域, 112f 金融セクター審査プログラム, 79, 107 国際連合, 16 金融セクター、政策助言, 79–80 小口融資ゲー トウェイ, 77 金融セクター知識・情報サービス, 78 国家開発フレームワーク, 101b 金融知識の普及, 78 国連合同エイズ計画, 22 金融、法律改革, 81 「国境内」 貿易課題, 61 子供の死亡率, 49, 65 く コミュニティ財団, 19 国別援助戦略 (CAS), 23, 33f 国別援助ノー ト(CRN) , 23 さ 国別援助評価 (CAE), 56 災害対策ファシリテ ィ, 76 国別環境分析, 69 債権者の権利, 82 国別プログラム, 5–6, 55 財団, 18–19 国別プログラムの評価結果, 56 債務超過, 82–83 国別優先項目, 22 「債務超過に関する世界判事会議」 , 83 「グリーン ・ アワー ド (緑の賞) 」, 69 「債務超過リスク管理に関する国際会議」 , 82–83 グローバル・デ ィベロップメ ント ・ ラーニング・ネ ットワーク, 32b, 査閲パネル, 7 32–33, 95 暫定PRSP (I-PRSP), 23 グローバル・パー トナーシップ, 6, 20–23, 51, 55 「グローバルビレッジ・エネルギー ・パートナーシップ」 , 21 し グローバル・ プログラムの評価結果, 57 ジェン ダー, 14f, 101, 116b 開発, 62–63 け 評価, 63, 82b 経済開発, 76 平等, 49 経済協力開発機構 (OECD) とOECD開発援助委員会 識字教育, 116b (OECD/DAC) , 17 事業環境分析プロジェク ト, 73 経済政策, 63–64 資金流入, 74f 経済・セク ター調査 (ESW), 31, 31t 持続可能な開発, 83 契約の履行, 81 持続可能な開発に関する世界サミ ット, 3, 28, 71b ケーススタデ ィ, 52–54 実施中プロジェク ト, 52f 結核(TB) , 22, 53 質指標, 52 結果、測定, 15, 17b, 46 質保証グループ, 51 研究, 29, 62b シビルソサエテ ィ, 18 金融, 78 資本/貸出比率, 39f 農業, 20 資本利益率、IBRD, 37, 38f 貿易, 62 社会開発, 71–72, 76 原資、IBRDの, 36 社会的保護, 68, 90–91 研修, 79–80 重債務貧困国 (HIPC) イニシアテ ィ ブ, 3, 38, 43, 44f, 92 収支、信託基金, 41 こ 重症急性呼吸器症候群 (SARS) , 94 公共セク ター改革, 63 主要現状分析報告書, 31 公共セク ターの透明性, 19b 純営業利益の配分, 39f 構造調整融資承認額, 36t 障害, 68b コーポレー ト・ プログラムの評価結果, 56–57 生涯学習と知識経済に関する会合, 65 「国際 HIV 治療導入連合 (ITAC) 」, 22 常任委員会, 4 国際開発協会 (IDA), 8, 33, 38–39, 40–41, 67 情報公開, 6 アフリカ地域, 92f 情報公開センター, 6 援助, 24 女性差別, 82b 中東・北アフリカ地域, 117f 人口, 22, 67–68 ドナー, 39 信託基金, 41–42, 42f 東アジア ・大洋州地域, 97f アフガニスタン, 101b 南アジア地域, 102f 貧困削減, 23 融資承認額, 40f, 40–41 人的資源の開発, 48, 89–90 ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 107f 森林, 32, 70–71 ラテンア メ リカ・ カリブ海地域, 112f 国際開発協会の第13次増資 (IDA-13) , 3, 39, 41 す 国際開発金融機関 (MDBs) , 16–17 「随伴ガス削減のためのグローバル・パー トナーシップ」, 20 国際金融公社 (IFC),9 ストップ結核, 22 国際通貨基金 (IMF), 6, 16, 60 ストラテジック ・ コンパク トの目標, 55 国際農業研究協議グループ (CGIAR) , 20, 57, 71 スラムのない都市, 22 国際復興開発銀行 (IBRD) , 8, 28, 33–38, 38t スリランカ, 99, 100–102 アフリカ地域, 92f スリランカ北東復興信託基金, 101b 中東・北アフリカ地域, 117f 東アジア ・大洋州地域, 97f 南アジア地域, 102f ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 107f 索引 187 せ と 「成果基準援助 (OBA) に関するグローバル ・パー トナーシッ プ」, 73 統合, 61, 61b, 92, 96b 政策, 42, 47, 62b, 70 統合リスク管理, 57 成長, 29, 60, 91–92 投資環境, 12–13, 30, 73, 81, 94 債務救済, 42–43, 92 中東・北アフリカ地域, 115–116 セーフガー ド・ポリシー, 70 低所得国, 23–24 「世界エイズ・結核・マラリア対策基金 (GFTAM) 」, 22 東アジア ・大洋州地域, 94–95 「世界開発報告2004:貧しい人々のためのサービスの向上」 , 30 南アジア地域, 100–101 世界銀行開発経済年次会議 (ABCDE) , 28 ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 105, 107 世界銀行国会議員ネ ットワーク (PNoWB) , 19 ラテンア メ リカ ・ カリブ海地域, 110 世界健康デー, 75 投資助言サービス, 73 世界食糧賞, 20 投資紛争解決国際センター (ICSID),9 世界貿易機関, 18 透明性, 6 世銀・IMF合同開発委員会, 5 道路交通死傷防止に関する世界報告, 75–76 世銀・IMFのグローバル情報通信技術局, 75 特別援助, 42–44 世銀開発委員会, 14 特別引出権, 41 世銀の援助, 88, 94, 99, 105, 109–110, 114–115 独立評価, 54 世銀の評価活動, 51 都市開発, 22 世銀マネジメ ン ト委員会, 57 都市研究シンポジウム, 28 セクター戦略, 55 都市同盟, 22 セクター別戦略文書 (SSP), 31–32 土地購入委員会, 83 セクター別プログラム評価結果, 56 ドナーとの協議, 42 説明責任, 71 ドナーによるピア ・ レビュー, 77 戦略, 12–14, 70, 73 戦略フレームワーク, 5 な ナレッジネットワーク, 22 た 大湖地域を対象と した 「動員解除・社会復帰のための複数ド に ナー信託基金」 , 89 妊産婦の健康, 49–50, 65, 106–107, 117 第3次CAS検証, 23 大洋州地域 (「東アジア ・大洋州地域」 の項を参照) ね 多数国間投資保証機関 (MIGA),9 熱帯病研究プログラム, 22 タバコ, 68 ネパール, 99, 100 タバコ規制枠組み条約, 68 「タバコ流行の抑制」 , 68 の 農業, 3, 20, 70–71, 71b ち 農村開発, 70–71, 95–96 地域社会土地購入委員会, 83 農村電化プロジェク ト, 75 地区貧困イニシアテ ィ ブ・プロジェクト, 101 農村・都市開発局, 76b 知識・学習助言サービス, 33 知識共有, 29–33 は チャレンジ・ プログラム, 20 パー トナーシップ, 16–22, 47, 51, 79–80 中央アジア地域 ( 「ヨーロッパ・ 中央アジア地域」 の項を参照) 「バイ ダウン」 メカニズム, 67 中所得国, 25 パキスタン, 99, 101–102 中東・北アフリカ地域, 114–118 バングラデシュ, 99, 100–101 IBRDとIDAの融資, 117f 判事, 81 世銀の援助, 114–115 万人のための教育 (EFA) , 28, 65, 66b, 90, 106 世銀の融資, 118t MDGs, 14f 投資環境, 115–116 ケーススタデ ィ, 52 妊産婦と子供の健康, 117 貿易と統合, 117 ひ 調査請求, 7 東アジア ・大洋州地域, 94–98 調査、投資環境, 30 IBRDとIDAの融資, 97f 調和, 17b 国際優先項目, 96 世銀の融資, 98t つ 投資環境, 94–95 通信, 75 貿易, 97 ミ レニア ム開発目標 (MDGs) , 97 て 「ヒューマン ・ リプロダクテ ィ ブ・ プログラム」, 22 低所得国, 23–25 評価結果, 55–56 ディベロップメ ン ト ・ゲー トウェイ財団, 19b 貧困, 30, 48, 60, 69 ディベロップメ ン ト ・マーケッ トプレース, 28 貧困削減, 14f, 30, 77 デジタルデ ィバイ ド, 75 戦略, 12, 23, 32, 60, 101 テロ資金供与, 79, 82 データの精度, 111b 電子金融とセキュリテ ィ, 78 貧困削減支援融資 (PRSC) , 44, 101 伝染病, 20, 22, 67 貧困削減戦略信託基金, 23 188 世界銀行 年次報告 2003 貧困削減戦略ソースブック, 47 め 貧困削減戦略文書(PRSP), 2–3, 23–24, 55, 60, 95 メソアメリカ生物回廊, 112 貧困・社会影響分析(PSIA) , 60, 72 も ふ 最も貧しい層を支援する協議グループ (CGAP), 77 ファース ト・トラック ・ イニシアティブ(FTI), 28, 65, 66b モニタリ ング, 46, 55 ブレン ド借入国, 34 IDA援助の結果, 41 プロジェク ト協調融資, 42–43 ミ レニアム開発目標 (MDGs), 14–15 プロジェク ト結果, 55f モンテレー合意, 2 プロジェク ト・サイ クル, 33f 紛争, 88–89, 101b, 115 ゆ 紛争後復興基金, 72 融資, 33–35, 47, 66b, 67–68 IBRDとIDAの合計, 34f ほ アフリカ地域, 92f, 93 貿易, 61–62 技術支援, 79 貿易関連法と政策に関するアフロ ・ ラテンセミナー, 62 協調融資, 43f 包括的な開発フレームワーク (CDF) , 2, 5–6, 24b 世界銀行, 35t 防災コンソーシア ム, 76 中東・北アフリカ地域, 118t 法の執行と改革, 81–82 都市・農村部, 76b 法律改革, 81 東アジア ・大洋州地域, 98t 法律・司法・開発に関する全アフリカ会議, 81b 南アジア地域, 103t ポート フ ォリオの成果に関する年次報告, 52 ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 108t 保健・医療, 22, 67 ラテンア メ リカ ・ カリブ海地域, 113t 保険監督者国際機構 (IAIS), 79–80 融資実行, 41–42 保証, 76–77 有償技術支援プログラム、 中東・北アフリカ地域, 115 ポリオ, 19–20, 28, 67 「ポリオのための投資パー トナーシップ」 , 28 よ ヨーロッパ・ 中央アジア地域 (ECA) , 104–108 ま HIV/エイズ, 106 貧しい人々, 32, 38 IBRDとIDAの融資, 107f 中東・北アフリカ地域, 116 環境, 107 東アジア ・大洋州地域, 95–96 給水と衛生, 107 南アジア地域, 101–102 世銀の援助, 105 ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 105–106 世銀の融資, 108t 貧しい人々のエンパワーメ ント, 13 投資環境, 105, 107 エチオピア, 60–61 妊産婦と子供の健康, 106–107 中東・北アフリカ地域, 116 万人のための教育, 106 東アジア ・大洋州地域, 95–96 貿易, 107 南アジア地域, 101–102 ミ レニア ム開発目標 (MDGs), 104b, 105–106 ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 105–106 予算、運営, 6–7 貧しい人々への投資, 13 ヨルダン川西岸・ ガザ地区, 114–115 マネーロン ダリ ング, 79, 82 マネーロン ダリ ング防止/テロ資金対策 (AML/CFT)のための ら グローバル援助調整データベース, 79 ラテンア メリカ・カリブ海地域, 109–113 マネジメ ント委員会, 57 IBRDとIDAの融資, 112f マラリア, 22, 53 世銀の援助, 109–110 マラリア撃退, 22 世銀の融資, 113t 投資環境, 110 み ミ レニア ム開発目標 (MDGs), 110–112 水, 32, 50, 74, 南アジア地域, 99–103, 101b り HIV/エイズ, 102–103 理事会, 4 IBRDとIDAの融資, 102f リスク, 37, 52, 57, 78 世銀の援助, 99 世銀の融資, 103t れ ミレニア ム開発目標 (MDGs) , 5, 13–14, 14f–15f, 55 レビュー、ドナー, 77 ESW, 31 課題, 47–51 ろ 東アジア ・大洋州地域, 97 「ローマ調和化宣言」, 17b 目標, 2, 48f –51f モニタリ ング, 14–15 わ ヨーロッパ・ 中央アジア地域, 105–106 「ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)」, 22 民営化, 76–77 民営電力の開発 (PSDE) , 56 民間セク ター開発, 73 民間セク ター投資, 3 索引 189 略語 ADB アジア開発銀行 FSE 金融セクター AfDB アフリカ開発銀行 FTI ファースト・トラック・イニシアティブ AiDA 開発活動に関する情報データベース GAVI ワクチンと予防接種のための世界同盟 AIDS 後天性免疫不全症候群(エイズ) GDLN グローバル・ディベロップメント・ラーニング・ ARDE 開発効果に関する年次レビュー ネットワーク ARPP ポートフォリオの成果に関する年次報告 GDN グローバル・ディベロップメント・ネットワーク AVU アフリカ・バーチャル大学 GDP 国内総生産 Bank 世界銀行(IBRDとIDA) GEF 地球環境ファシリティ BCEAO 西アフリカ諸国中央銀行 GFATM 世界エイズ・結核・マラリア対策基金 Board 世界銀行理事会 GGFR 随伴ガス削減のためのグローバル・パートナー CAE 国別援助評価 シップ CAS 国別援助戦略 GHG 温室効果ガス CCO 共同スポンサー委員会 GNI 国民総所得 CDD 地域社会主導型開発 HDN 人的開発 CDF 包括的な開発フーレムワーク HIPC 重債務貧困国 CEE 中央・東ヨーロッパ HIV/AIDS ヒト免疫不全ウィルス/後天性免疫不全症候群 CGAP 最も貧しい層を支援する協議グループ HNP 保健・医療、栄養、及び人口 CGIAR 国際農業研究協議グループ IADB 米州開発銀行 CIS 独立国家共同体 IATT Inter‑Agency Task Team CODAM 理事行政管理委員会 IAVI 国際エイズ・ワクチン・イニシアティブ CODE 開発効果委員会 IBRD 国際復興開発銀行 COGAM 統治・理事行政管理委員会 ICA 投資環境評価 CPIA 国別政策・制度評価 ICFTU 国際自由労連 CRN 国別再関与ノート ICP 国際比較プログラム CSOs シビルソサエティ組織 ICR プロジェクト実施完了報告書 CWM 中 国 流 域 管 理 プ ログラム( China Watershed ICSID 投資紛争解決国際センター Management Program) ICT 情報・通信技術 DAC (OECDの)開発援助委員会 IDA 国際開発協会 DC 開発委員会 IDA‑13 IDA第13次増資 DEC 開発経済研究グループ IFAD 国際農業開発基金 DfID (イギリスの)国際開発省 IFC 国際金融公社 DOTS 直接監視下での短期化学療法 ILO 国際労働機関 EBRD 欧州復興開発銀行 IMF 国際通貨基金 EC 欧州共同体 IMFC 国際通貨金融委員会 EEP 教育強化プロジェクト InfoDev インフォデブ(開発プログラム情報) EFA 万人のための教育 InfoShop 世界銀行のインフォショップ ESMAP エネルギー・セクター管理支援プログラム INSOL 倒産実務家国際協会 ESSD 環境・社会・持続可能な開発 INT 組織保全局 ESW 経済・セクター調査 IPAA アフリカにおけるエイズ対策国際パートナー EU 欧州連合 シップ FAO 国連食糧農業機関 I‑PRSP 暫定貧困削減戦略文書 FIRST 金融セクター改革強化イニシアティブ ISDB イスラム開発銀行 FRESH 学校による効果的な保健活動に対する支援 ITAC 国際HIV治療導入連合 FSAP 金融セクター審査プログラム LIBOR ロンドン銀行間取引金利 190 世界銀行 年次報告 2003 LICUS 切迫した状況にある低所得国 RTFP 地域貿易促進プロジェクト MAP 多国間エイズ・プログラム SADC 南部アフリカ開発共同体 MDBs 国際開発金融機関 SARS 重症急性呼吸器症候群 MDGs ミレニアム開発目標 SDC スイス開発協力庁 MIGA 多数国間投資保証機関 SDP 戦略指針文書 NEPAD アフリカ開発のための新パートナーシップ SDR 特別引出権 NERICA 新アフリカ米(ネリカ米) SME 中小企業 NGO 非政府組織 SPA アフリカのための戦略的パートナーシップ NPV 正味現在価値 SRM 戦略・資源管理 NSCP 全国住血吸虫病抑制プログラム SSP セクター別戦略文書 NWFP 北西辺境州 SWAP セクター別アプローチ OBA 成果基準援助 TA 技術支援 ODA  政府開発援助 TB 結核 OECD 経済協力開発機構 TCP 技術協力プログラム OED 業務評価局 TRIPS 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定 OPEC 石油輸出国機構 TSS 移行支援戦略 PACT アフリカ地域キャパシティ・ビルディング・パー U.N. 国際連合 トナーシップ UNAIDS 国連合同エイズ計画 PAHO 全米保健機構 UNCTAD 国連貿易開発会議 PCF プロトタイプ炭素基金 UNDP 国連開発計画 PEFA 公共支出・財務責任 UNEP 国連環境計画 PHRD 開発政策・人材育成基金 UNESCO 国連教育科学文化機関 PnoWB 世界銀行国会議員ネットワーク UNGASS 国連環境開発特別総会 PREM 貧困削減・経済運営 UNHCR 国連難民高等弁務官事務所 PREM 貧困削減・経済運営(ネットワーク) UNICEF 国連児童基金(ユニセフ) PRGF 貧困削減・成長ファシリティ UNIDO 国連工業開発機構 PRSC 貧困削減支援融資 USAID (米国の)国際開発庁 PRSP 貧困削減戦略文書 WBI 世界銀行研究所 PRSTF 貧困削減戦略信託基金 WCL 国際労働組合連合 PSI 民間セクター・インフラ WDR 世界開発報告 PSI 民間セクター開発・インフラ・ネットワーク WHI 西半球決済・証券決済イニシアティブ PSIA 貧困・社会影響分析 WHO 世界保健機関 PTI 重点的介入プログラム WSSD 持続可能な開発に関する世界サミット QAG 質保証グループ WTO 世界貿易機関 ROSC 基準・規定遵守報告書 略語 191 世界銀行の主な出版物 2002 Annual Review of Development Effectiveness: Achieving Devel- Innovative East Asia: The Future of Growth opment Outcomes: The Millennium Challenge (開発効果に関す (東アジアのイ ノベーション:今後の成長の行方) る年次レビュー2002: ミ レニアム目標達成に向けての課題) Investment Climate Around the World: Voices of the Firms from the Achieving Universal Primary Education by 2015: A Chance for World Business Environment Survey Every Child(2015年の初等教育完全普及を目指して:すべての子供 (世界の投資環境:世界経営環境アンケー トの結果報告) に機会を) Land Policies for Growth and Poverty Reduction African Development Indicators 2003 (アフリカ開発指標2003) (成長と貧困削減のための土地政策) Agriculture and the WTO: Creating a Trading System for Develop- The Little Data Book 2003 (リ トル・データブック2003) ment (農業とWTO:開発のための貿易システム構築) The Little Green Data Book 2003 (リ トル・ グリーン・データブック2003) Agriculture, Trade, and the WTO: Creating a Trading Environment Moving People to Deliver Services for Development ( 農業、貿易、および WTO:開発のための貿易環 (人を動かす:サービスのよりよい提供に向けて) 境構築) Natural Resources and Violent Conflict: Options and Actions Analyzing and Managing Banking Risk, 2nd edition (天然資源と紛争による破壊:選択肢と行動) (銀行リスクの分析と管理:第2版) Pension Reform in Europe: Process and Progress Annual World Bank Conference on Development Economics 2003: (欧州における年金改革: プロセスと進捗状況) The New Reform Agenda (公共医療サービスへの民間参入) Private Participation in Health Services (世界銀行開発経済年次会議2003:新たな改革アジェンダ) Promoting Intellectual Property in Developing Countries Annual World Bank Conference on Development Economics, Europe (途上国における知的所有権の普及) 2003: Toward Pro-Poor Policies—Aid, Institutions, and Globaliza- Regional Integration and Development (地域統合と開発) tion(世界銀行開発経済年次会議 (欧州) 2003:貧困層に配慮した政 The Right to Tell: The Role of Mass Media in Economic Development 策を目指して―援助、制度、 グローバリゼーション) (言論の自由:経済成長におけるマスメディアの役割) Brazil—Equitable, Competitive, Sustainable Social Reinsurance: A New Approach to Sustainable Community (ブラジル―公平性、競争力、持続可能性) Health Financing (社会的再保険:持続可能な地域保険に向けた新し Breaking the Conflict Trap: Civil War and Development Policy い資金調達アプローチ) (紛争を超えて:内戦と開発政策) A Sourcebook for Poverty Reduction Strategies Can East Asia Compete? Innovation for Global Markets (貧困削減戦略のためのソースブック) (東アジアの競争力の展望:世界市場に向けたイ ノベーション) Standards and Global Trade: A Voice for Africa(スタンダー ドと国際貿 Cities on the Move: A World Bank Urban Transport Strategy Review 易:アフリカへの声) (都市が動く :世銀都市交通戦略レビュー) Taxation of Financial Intermediation: Theory and Practice for Emerg- Colombia: The Economic Foundation of Peace ing Economies (金融仲介の課税:新興経済国のための理論と実践) (コロンビア:平和の経済的基盤) Tobacco Control Policies: Strategies, Successes, and Setbacks Crisis and Dollarization in Ecuador: Stability, Growth, and Social Equity (タバコ規制政策:戦略、成功、後退) (エクアドルにおける危機と ドル化:安定、成長、 および社会的公正) When Things Fall Apart: Qualitative Studies of Poverty in the Former Doing Business in 2004: Understanding Regulation Soviet Union (崩壊のとき :旧ソ連の貧困に関する質的研究) (事業環境分析プロジェク ト2004:規制の理解) World Bank Africa Database 2003 CD-ROM Domestic Regulation and Service Trade Liberalization (世界銀行アフリカ ・データベース2003 CD-ROM) (国内規制とサービス貿易の自由化) World Bank Atlas 2003 (世界銀行ア トラス2003) East Asia Integrates: A Trade Policy Agenda for Shared Growth The World Bank Group Directory: 2002 November (東アジアの統合:成長を共有するための貿易政策) (世界銀行グループ・ディ レク トリー :2002年11月) Empowerment and Poverty Reduction: A Sourcebook World Bank Legal Review: Law and Justice for Development (エンパワーメン トと貧困削減: ソースブック) (世界銀行法務レビュー :開発のための法律と司法) Financial Sector Policy for Developing Countries World Development Indicators 2003 (世界開発指標2003) (途上国の金融セクター政策) World Development Report 2003: Sustainable Development in a Dy- Globalization and National Financial Systems namic World: Transforming Institutions, Growth, and Quality of Life (グローバリゼーションと国家財政システム) (世界開発報告2003: ダイナミ ックな世界における持続的開発) Global Development Finance 2003: Striving for Stability in Devel- World Development Report 2004: Making Services Work for Poor opment Finance (世界開発金融 2003:開発金融における安定性の People (世界開発報告 2004:貧しい人々のためのサービスの向上) 追求) Global Economic Prospects 2003: Investing to Unlock (世界経済見通 し2003: グローバルな機会を開くための投資) 上記出版物の題名は一部省略されています。 Global Opportunities (グローバル・オポチュニティ) HIV/AIDS in Latin America: The Challenges Ahead 電話: 703‑661‑1580 (ラテンアメ リカにおけるエイズ:待ち受ける課題) Eメール: books@worldbank.org HIV/AIDS in Southeastern Europe: Case Studies from Bulgaria, Croa- インターネット: www.worldbank.org/publications tia, and Romania (東南ヨーロッパにおけるエイズ: ブルガリア、 クロ アチア、ルーマニアの事例) インフォショップ/InfoShop India and the WTO (インドとWTO) 電話: 202‑458‑4500 Innovations in Health Service Delivery: The Corporatization of Public Eメール: Infoshop@worldbank.org Hospitals(公共医療サービスの革新:公立病院の民営化) インターネット: www.worldbank.org/infoshop 192 世界銀行 年次報告 2003 ワシントンD.C.にある 世界銀行 の「インフォショップ」 編集長 は、開発経済関連の文献を幅広く揃えたブックス トアで Cathy L. Gagnet、世界銀行対外関係局出版部 あると同時に、世銀のプロジェクトに関する情報セン ターでもあります。インフォショ ップにはNGOや国際機関 副編集長 Caroline L. Banton、世界銀行対外関係局出版部 などが発行する各種出版物や、世銀の情報公開政策に基 づいて公開されている文書のほか、 ビデオ、CD‑ROM、 編集協力 ギフトなども揃っています。 「インフォステーション」 を Carollyne Hutter 使って世界銀行のウェブサイ トにアクセスすることも可能 です。国別情報は一部の現地事務所に設置された情報 制作 公開センター ・図書館からも入手できます。インフォ (PIC) Mark Ingebretsen、世界銀行対外関係局出版部 ショップに関する詳細は下記のウ ェ ブサイトをご覧ください。 Monika D. Lynde、世界銀行対外関係局出版部 ウェブサイトでは常時、 出版物の検索や注文が可能です。 Mary C. Fisk、世界銀行対外関係局出版部 インターネッ ト: www.worldbank.org/infoshop プロジェクト・アシスタント Tad Doyle 電子書店 (e‑bookstore) :www.worldbankinfoshop.org 住  所 :701 18th St., NW Washington, D.C. 20433 編集コンサルタント (18th St.とPennsylvania Ave.の角、 UpperCase Publication Services 月〜金の午前9時〜午後5時) Grammarians, Inc. E メー ル :pic@worldbank.org 電  話 :202‑458‑4500 (午前9時30分〜午後3時30分) デザイン ファ ックス:202‑522‑1500 Patricia Hord. Graphik Design PICヨーロッパ 66 Avenue d’Iena 75116 Paris, France 電  話 :40.69.30.26 ファ ッ クス:40.69.30.69 E メー ル :pparis@worldbank.org PIC東京 〒100-0011 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル1階 電  話 :03-3597-6650 ファ ックス:03-3597-6695 E メー ル :ptokyo@worldbank.org 写真提供者 © 2003年 表紙−世界銀行 59頁−Nasim Kassum The International Bank for Reconstruction and 1頁−世界銀行/Frank R. Vincent 60頁−世界銀行 Development / THE WORLD BANK 2頁−State Council Information Office, 63頁−世界銀行 1818 H Street, NW China 65頁−世界銀行 Washington, D.C. 20433 USA 4頁−Michele Iannacci 67頁−Lynn Fieda 8頁−世界銀行 69頁−世界銀行 すべての権利は留保されています。 8頁−Eli Reed, A Day in the Life of 70頁−世界銀行 Africa. 73頁−John Fiege 9頁−Richard Lord 78頁−世界銀行/Samuel Munzele 本書中の地図に示されている国境、色、名称などの情報 9頁−Keppel FELS Energy Pte. Ltd. Maimbo は、それぞれの地域の法的地位に対する世銀グループの 9頁−モロッコ王国政府 79頁−世界銀行 意見や、こうした国境に対する支持あるいは承認を示す 11頁−世界銀行 82頁−ナイジェリアのカメラマン ものではありません。 12頁−Reidar Kvam 85頁−世界銀行 13頁−世界銀行 89頁−Arne Hoel 権利、 ライセンス、および認可に関するお問い合わせは 14頁−世界銀行 91頁−Arne Hoel 下記へお送り ください。 14頁−世界銀行 95頁−世界銀行 World Bank 14頁−世界銀行 100頁−Richard Lord Office of the Publisher 14頁−Michael Foley 102頁−Richard Lord 1818 H Street, NW 15頁−世界銀行 105頁−Nick van Praag Washington, D.C. 20433 15頁−世界銀行 106頁−Chara Tsitoura ファ ッ クス:202‑522‑2422 15頁−Didem Ayvalikli 110頁−Cecila Guzman E メー ル :pubrights@worldbank.org 15頁−世界銀行 111頁−Sebastian Szyd 21頁−世界銀行 115頁−世界銀行/Peter Koenig 27頁−Leo Mariboli 117頁−Bill Lyons 30頁−世界銀行 119頁−世界銀行/Frank R. Vincent 45頁−世界銀行 世界銀行の使命 長期的な結果を追求し、熱意とプロフェッショナリズムを持って貧困削減に取り組みます。 資源の提供、知識の共有、キャパシティ・ビルディング、公共・民間セクターにおける パートナーシップの推進を通じて、人々の自助努力とその環境作りを支援します。 人を引きつけ、活力を与え、また耳を傾け、学ぶ姿勢を持った優れた職員を育てることが できる援助機関を目指しています。 世界銀行 (ワシントン本部) 1818 H Street, NW Washington, DC 20433 USA 電   話:202‑473‑1000 フ ァック ス:202‑477‑6391 ホームページ:www.worldbank.org E メ ー ル:feedback@worldbank.org 世界銀行東京事務所 〒100‑0011 東京都千代田区内幸町2‑2‑2 富国生命ビル10階 電   話:03‑3597‑6650 (代) フ ァック ス:03‑3597‑6695 ホームページ:www.worldbank.or.jp E メ ー ル:ptokyo@worldbank.org