日本−世界銀行 防災共同プログラム 1 世界銀行とは 日本−世界銀行防災共同プログラムと 東京防災ハブの役割 世界銀行東京防災ハブは、東日本大 日本−世界銀行防災共同プログラムでは、世界銀行の 震災(2011 年)の教訓を踏まえて 2014 年に設立されました。世界銀 支援を受けるプロジェクトに防災の観点が盛り込ま 行の防災グローバル・ファシリティ れるよう取り組んできました。個別のプロジェクトに (GFDRR) の活動拠点(ハブ)として、 対する技術支援に加え、国レベルの防災体制強化を図 日本−世界銀行防災共同プログラム を実施しています。 るため、災害に対する備えを視野に入れた財政運営枠 組みの構築、国家防災計画の策定など、政策面での協 プログラムは低・中所得国の開発政 策、投資戦略に防災を主流化させる 力も進めています。 ことを目指し、技術支援のためのグ ラントを提供します。また、日本や 世界で培われた防災の知見を低・中 所得国や開発プロジェクトを実施 する世界銀行のチームに共有するこ とにも力を入れています。 このような活動を通じて、日本−世 界銀行防災共同プログラムは「仙台 防 災 枠 組 2015-2030」、「持続可能 な開発のための 2030 アジェンダ」 、 「パリ協定」で合意された目標達成 各地の気象観測所と連携し、水文気象学の授業の中で防災を学習 ©SolStock に向けて各国を支援します。 世界銀行グループは、開発途上国への資金と知識の供給において世界最大の 自然災害や気候変動の脅威が、人々 の生活、財産、経済成長などに影響 提供元の一つです。189 か国が加盟し、スタッフの出身国は 170 か国を超え、 を与え続ける状況下で、世界銀行は 世界 130 か所以上の事務所を拠点に活動しています。 「住みやすい地球上で、貧困の無い インドネシアで 2019 年に開催された都市水害に備える防災ワークショップ ©World Bank 世界をつくる」というビジョンを掲 世界銀行のビジョン げています。 住みやすい地球上で、貧困の無い世界をつくること。 東京防災ハブは、このビジョンの実 現に重要な役割を果たします。日本 −世界銀行防災共同プログラムを通 じて、包括的な知識ベースとネット ワークを構築します。幅広い分野に おける国際的な専門知識と日本の技 術力を活かしながら、世界銀行のプ 表紙写真(世界銀行の防災関連活動) ロジェクトを通じて、低・中所得国 コスタリカのサンホセで災害に対応する消防士 ©Salvador-Aznar 洪水に対する防災能力を強化する世界銀行 で防災の専門知識を活用できるよう 南アフリカのトランスカイ地方で災害に強い学校を設計中 ©epicurean 活動 ©World Bank 防災強化活動の成果を紹介した 2023 年のパートナーシップ・デー ©GFDRR/World Bank に活動しています。 フィリピンのムスリム・ミンダナオ自治区バンサモロで、防災や復興の専門知識を高める「Ready to Rebuild」研修を開催 ©World Bank 道路インフラの防災対策に日本の専門知識を活用 ©World Bank ホンジュラスで非常事態常設委員会(COPECO)が活動中 ©GFDRR/World Bank 災害リスク管理のベストプラクティスをカリブ海地域で議論 ©World Bank 2 3 世界での支援状況 数字で見る日本-世界銀行防災共同プログラム 日本−世界銀行防災共同プログラムは、世界銀行のプロジェクトチームと協力しながら、 世界銀行の借り入れ国で気候変動や自然災害に対する強靭性の向上に貢献しています。 284件 1億7千万ドル 380億ドル 110か国 防災技術支援のグラント プログラムで拠出された プログラムが支援した 過去 10 年間のプログラム 件数 グラントの通算額 世界銀行の通算融資額 支援対象国 グローバル対象プログラム 550万ドル ヨーロッパ・中央アジア 東アジア・太平洋 2,800万ドル 東京防災ハブ 3,800万ドル 中東・北アフリカ 南アジア 900万ドル 4,100万ドル アフリカ 中南米・カリブ海 2,600万ドル 2,200万ドル 地図と連動したグラント額は、プログラム開始以来 2024 年 4 月まで の通算額です。 世界中の防災活動に貢献 日本−世界銀行防災共同プログラム 防災グローバル・ファシリティを通じた防災ノウハウの活用 世界銀行は低・中所得国において、 りなど多岐にわたる自然災害を対象 の支援分野 防災グローバル・ファシリティは、 は防災グローバル・ファシリティの ドル 100 災害リスク軽減を国家の優先事項と として技術支援を行っています。こ 法整備の評価、戦略の策定、リス 低・中所得国が自然災害や気候変動 共同設立者であり、同機関に対す ドル 1 し、実装していくことを支援してい の防災共同プログラムを通して、日 ク の 特 定、 資 金 調 達、 予 防 措 置、 に対する脆弱性を深く理解し、被害 る最大の資金提供者でもあります。 ます。日本―世界銀行防災共同プロ 本の長期間にわたる減災への取り組 災害対応などに関わる防災政策や を軽減できるように支援する国際的 防災体制の強化を各国政策の中心 グラムは、世界銀行融資プロジェク みから得られた知識と経験が世界各 制度構築の強化。 なパートナーシップです。防災グ に据えてもらうため、世界銀行が取 防災グローバル・ファシリティに託 トを通してこうした取り組みを行っ 国と共有され、役立てられています。 ライフライン維持や公共施設の強 ローバル・ファシリティの一角を担 り組むさまざまな活動にも貢献して された資金は、気候変動への強靱化 ている 85 の国々のうちの 67 か国 また、本プログラムのファシリテー 靱化など、気候や災害に関する提 う組織として、東京防災ハブはグ きました。 に向けて 1 ドルあたり 100 ドル以 に対し技術支援を行ってきました。 ションによって、防災における各国 案に基づいた防災インフラの整備。 ローバルなノウハウを駆使しながら 上の開発資金に影響を及ぼします。 本プログラムは、洪水、地震、地滑 政府間の対話も活発化しています。 問題解決に取り組んでいます。日本 4 5 最近の活動例:自然災害および気候変動への ナレッジ関連プロダクト 対策強化 グローバルな開発アジェンダに貢献 重要分野 該当テーマ するため、世界銀行はナレッジ関 洪水リスクについて包括的な防災戦 連プロダクトの制作に力を入れて 重要分野 . デジタルアース 略を作成できるようになりました。 います。防災グローバル・ファシリ リスク理解に基づいた意思決定 . 災害リスク分析 プロジェクトで得られたデータか ティの重要分野について、東京防災 重要分野 . 建築規制を活用した防災 ら、重要な都市インフラの強靱化に ハブも途上国のニーズに基づいたナ 災害リスクの軽減と . 都市の強靭化 ついて具体的な政策提言もなされま レッジ関連プロダクトを提供してい 防災分野の主流化 . 自然を活用した解決策 した。 ます。 . 災害に強い住宅 . 災害に強いインフラ フィリピン 以下の QR コードから、他の . 災害に強く安全な学校 学校、住宅、病院の 事例もご覧ください。 . 気候変動や災害に強い医療 安全性を向上 システム 世界銀行とフィリピン政府は、15 重要分野 . 災害リスクファイナンス 年以上にわたり自然災害への対応強 気候変動や災害に備える 化をめぐって緊密に協力してきまし 財政準備 フィリピンのレイテ島を 2014 年に襲った超大型台風「ハイエン」通過後の復興活動 た。日本−世界銀行防災共同プログ ©Dominic Chavez/World Bank ラムは、3 億ドルの「地震リスク削 重要分野 . 緊急時への準備と対応 減と強靭性プロジェクト」に対し防 日本−世界銀行防災共同プログラム る強靱な都市インフラ整備や社会的 防災と復興の体制強化 . 水文気象サービスと早期警報 災の観点を建築基準に入れることで は、日本との知見交換や低・中所得 包摂を目指す投資について助言しま システム 貢献しました。また、総額 15 億ド 国への専門家派遣を支援していま した。 ルの緊急災害ファイナンスに対して す。これにより、世界銀行の融資を は、教育、保健、居住、農業、適応 受ける国々と世界銀行のチームは、 型社会保護、緊急対応、防災、復興、 横断的分野 . 包括的な防災とジェンダー平等 開発プロジェクトに防災体制の強化 災害リスクファイナンス、気候変動 包括的な防災とジェンダー平等 を組み込むために必要な情報やアド への対処といった諸分野の政策改革 バイスを得ることができます。最近 を目指す調査を支援しました。 の活動例をご紹介しましょう。 横断的分野 . 災害と脆弱性・紛争・ 災害に起因する紛争への対策 暴力への対策 アフガニスタン トルコ 遠隔地でも技術を活用して 災害に強い住宅整備で トルコ・シリア大地震(2023 年 2 月)では、 迅速に損害評価 社会的弱者を包摂 被災者のために仮設シェルターを提供 防災グローバル・ファシリティが ナレッジ関連プロダクト(近刊) 日本−世界銀行防災共同プログラム ©World Bank 支援し世界銀行が開発した GRADE は、トルコの複数の州で耐震性およ は、被災地に調査団を派遣しなくて び耐候性に優れた住宅を整備し、自 リベリア も衛星写真や災害データベースから 治体インフラや住民サービスへのア 洪水リスク評価に基づいた 被害額を算出できるシステムです。 クセスを向上させる「気候・災害強 重要インフラ計画 通常は被災後 2 週間以内に、主要セ 靱性都市プロジェクト」の準備を支 日本の技術サービスプロバイダーが クターの物理的損害を迅速に推定す 援しました。 大手 IT サービス企業と提携し、リ る方法として使用されます。アフガ ベリア政府に世界初のグローバルな ニスタン西部のヘラート州で地震が トルコ政府は資金を活用した市民参 高解像度 3D 衛星モニタリングによ 発生した後、GRADE による遠隔被 加型の包括的アプローチを切望して るマッピングシステムへのアクセス 害評価が日本− 世界銀行防災共同プ いたため、東京防災ハブはトルコの を提供しました。日本の専門家チー ログラムの支援で実施されました。 環境・都市計画・気候変動省のプロ ムの支援によって、リベリア政府関 このシステムが明らかにした被害分 『統合都市洪水リスク管理におけ 『公共資産のための災害保険プロ 『防災と緊急対応 日本の事例に 『フロントライン パンデミック ジェクトチームに日本の専門家を紹 係者は国内人口の 4 分の 1(都市生 布は、復興計画の作成に役立ってい る日本の事例』 グラムと運用の枠組み』 学ぶ』 の衝撃に備える医療 システム』 介し、地震リスクの高い環境におけ 活者の半数)が居住する大都市圏の ます。 世界銀行東京防災ハブ 電話:03-3597-1320 メール:drmhubtokyo@worldbank.org ウェブサイト:https://www.worldbank.org/ja/programs/tokyo-drm-hub